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第08回トーナメント:予選④




No.6352
【スタンド名】
ゾディアック
【本体】
G・T (ジー・ティー)

【能力】
双手剣と棍を駆使する


No.6332
【スタンド名】
ナイトウィッシュ
【本体】
尾上 功(オガミ コウ)

【能力】
本体と融合して真の狼男となる




ゾディアック vs ナイトウィッシュ

【STAGE:雑木林】◆iL739YR/jk





その日の夜空は厚い雲に被われていた。
時折、雲の絶え間から漏れ出る月の光が辺り一面を照らしていた。

「間もなく時間だな……」
腕時計に目をやると、銀髪をした色黒の大男、尾上功 (オガミコウ)は呟いた。

「……待たせたな」
背後から聞こえた声に、尾上は焦らず、さも当然のように落ち着いて振り向く。

「お前が対戦相手か。時間が惜しい……さっさと始めるぞ」
赤のYシャツの上に喪服を思わせる漆黒のスーツを着込んだ男は尾上に語りかけると、どこからともなく双剣を構える。
そして、携えた双剣を流れるように尾上へ振り抜く。

「ナイトウィッシュ!」
即座に尾上から古代文明期の戦士を彷彿とさせる革鎧を着込んだデザインのスタンドが飛び出し、月明かりに煌めく刃を受け止める。

「なるほど、その武術を心得た身のこなしに、双剣のスタンド使い……あんたがあの噂の殺し屋、G・T (ジー・ティー)か」

「ほぉ……俺のことを知ってるとは、お前も表の人間じゃないというわけか」
G・T は手を緩めることなく、双剣の乱舞を続ける。
数々の武術の動きを取り入れた変則的な身のこなしだが、尾上はナイトウィッシュのスピードで確実に捌いていく。
しかし、深刻なダメージこそ無いものの鋭い剣裁きに晒され続ける尾上には細かい切り傷が増えていく。

「スタンドヴィジョン相手に生身の剣術でここまでやるとは、噂は伊達じゃなさそうだな、あんた」

「お前もなかなかのものだ。優秀な近距離パワー型とはいえ、俺の攻撃をここまで捌ければ対したものだ」

「ふーん、その言い方、まだ俺のこと舐めてる感じか……だったら、これでどうだ?」
G・T の剣戟を捌きながら、ナイトウィッシュは徐々に尾上の身体へと吸い込まれるように消えていく。
そして、それに合わせて尾上自身の肉体に輝きが生まれる。

「これは……肉体にスタンドパワーが漲っているのか……?」

「ご名答……ウォォォォォ!!」
輝く尾上の肉体から吹き出すように体毛が生え、全身の骨格もうねるように変化していく。
手足、口から鋭く堅剛な爪牙が飛び出し、頭部も狼のものへと変貌した。
いよいよ茜色の体毛に全身は被われ、そして黄金の眼が雲の隙間から漏れる月の光を反射して煌めいた。


「そうか、狼男の傭兵がいると聞いたことがあるが、それがお前だったというわけか」

「分かったところで意味はない。あんたの体術では俺の攻撃は捌けまい……」
攻守一転、肉体の変質を遂げた尾上はその驚異的な身体能力でG・T に詰め寄る。

「ウォォォォー!」

咆哮をあげた直後、尾上の姿は闇夜に掻き消えた。

「何……?」
とっさに双剣を左右に展開させると、硬いもの同士がぶつかり合う鈍い音がG・Tの左方から聞こえた。
尾上はG・Tにも捉えきれないスピードで横合いから斬りかかっていた。

「なるほど……人間離れしたスピードだな」
そう言うや否や、G・Tは双剣を左手に集め、宿る力を強くする。
双剣は一つに重なり、大きな槍となると、突然の武器の変化と不自然に加えられた力によって、尾上は思わずのけ反ってしまう。
背筋を大きく後ろに反らせた体勢となるが、尾上はその状態のまま後方へと飛び去り、槍を回避する。

「G・T……そのスタンド武器が組み換え可能だということも噂で聞いている。残念だったな……」

武術を心得た双剣のスタンド使い、伝説の殺し屋G・T。
その双剣は棍との組み合わせによって、様々なる長器械に可変でき、確実に依頼を遂行する。

「有名過ぎるが故の欠点…ってことだな、G・Tさん」
嘲笑うような口調とともに、尾上は体勢を立て直す。

「ふ……」
G・Tは言葉を鼻笑いに隠し、再び携えた双剣で斬りかかる。

「無駄だ……如何に鍛え上げた肉体だろうと、俺のこの肉体に敵うものか!」

そのとき、雑木林のとある一本の木から、一枚の葉がヒラリと散った。
以下の出来事は、この葉が地に着くまでの数秒の間に起こった出来事である。

G・Tの振り上げられた右の刃を尾上は鋭い爪で弾き返す。
振り下ろされた左の刃も同様に弾く。
真横一文字に切り払った右の刃を受け止める。
左の刃も薙ぎ払うように横に一閃するが、受け止めていた右の刃をぶつけて返す。
返された二つの刃を交差させるように上段からの袈裟懸を放つが、両腕の爪がその軌道を正面から受け止め、弾き返す。
二つの刃を一つに集め、槍で突き込むが、尾上の鋭い牙が光る口で穂先を受け止める。

「G・T……これで終わりだ」
尾上は槍を口で咥えたまま、その柄を握り、G・Tを怪力で投げ飛ばそうと持ち上げる!


……はずだった。
しかし、尾上がG・Tを持ち上げることはなかった。

気がつけば、尾上の身体の中央を貫くように異形の腕が生えていた。

「……な、なに?」

狼の口から咳とともに血が吹き出す。
恐る恐る振り返る尾上の視線に入ったのは、自らの腹部に腕を突き刺す中華風の華美な鎧に身を包んだ非常に大柄かつ屈強な体格の武人の姿だった。

「スタンドヴィジョンは……双剣だけじゃなかった……ってことか」

力なく崩れ落ちる尾上に武人は声もなくただ淡々とラッシュを叩き込む。

その激しいラッシュによって飛ばされた尾上は林の脇の川に落ち、その流れの中に消えていった。

「俺が双剣のスタンド使いと呼ばれる理由……それはゾディアックの姿を見たものはこの世にはいないからだ」

ヒラヒラと一枚の葉が地面へと舞い落ち、風に流され、尾上の後を追うように川へと消えた。

空を被う厚い雲は消え去り、遮るもののない月明かりが G・Tを照らした。

その日の月は満月だった。

★★★ 勝者 ★★★

No.6352
【スタンド名】
ゾディアック
【本体】
G・T (ジー・ティー)

【能力】
双手剣と棍を駆使する








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最終更新:2022年04月16日 21:54