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作戦


SS

癖毛爆男

「・・・『斬敵・滅殺』なんてどうよ?」

「いや、それは・・・」
「はっきりいって、アイタタ・・・って感じですよ、隊長」

コパイの二人が視線で「それは無い」とはっきり隊長に言った。

事の発端は訓練中、たまたまなのか狙ってなのか知らないが、隊長が物凄くいい動きをしたから、それをI=Dに取り入れよう、という所から始まった。

ついては、折角だから必殺技みたいに名前をつけたらどうよ、という話になったわけである。

「ぶっちゃけ、幾らなんでもそれは無いですって。必殺技とか言ってる時点で、ちょっとアイタタ、ですよ、隊長」
「I=Dはスーパーロボットじゃないんですから、あんまり夢見がちなことを言わないでください」

部下であるコパイの二人にバッサリ斬られて、流石に隊長もひくひくと笑わざるをえない。

「い、いや、でもよ? 必殺技だったら、やっぱり格好いいって感じだし、名前を叫んだらかなり気合が・・・」

「いや、もうそれが痛々しくて・・・」
「えぇ、隊長・・・ゲームじゃないんですから、真面目にやりましょう、本当に」

コパイの二人が隊長を諭している。本人たちからも、或いは客観的に見ても、これは諭しているわけなんだが、これをいちゃもんだと思う人物もいた。

まぁ、隊長本人なわけだが。

「ぐぅっ・・・えーい、うっさいうっさい! お前ら、そういうことは俺に勝ってから言え!! 負け犬のクセに正論ばっかり吐きやがって!!」

と、声を大にして強がるも、隊長の目にはうっすら涙が浮かんでいる所を見逃す二人ではない。

「あ、あー・・・そ、そうですよねー。うん、必殺技も格好いいかもしれません」
「う、うん・・・そうだよね? すっごく気合はいりそうだよね?」

どれだけ腕が立とうと、根が子供な隊長は、不機嫌になればそれこそ子供の様に暴れたりするので、仕方なくコパイの二人も同意する。

「ほ、本当か、お前ら!? な、なら、新しく考えた名前をだな・・・」

「あ、そ、その前に! 折角の必殺技なんですから、もっと強くしましょうよ!」
「そ、そうですよ! 必殺技を使って、敵を倒せなかったらそれこそ格好悪いですし!」

隊長がきらきらした目で語りかけてくるのを見て、経験的に危険を察知した二人が何とか話をそらす。

「そ、そうだな・・・うん、それじゃ、今日は訓練時間倍にするか!」

「え・・・あ、いえ、なんでも無いです・・・・」
「う・・・この後、約束が・・・わ、わかりました」

何か言おうとした瞬間、涙目の隊長に睨まれて黙る二人。

こうして、動機は不純ながらも訓練はいつも以上に、いや、むしろ異常に力が入った物となった。

「ん・・・なんだこりゃ?」
「おい、どうした?」

I=Dの整備点検中の出来事である。

ブースター、エンジン、外装、内部の機械など、様々な部分をチェックする際、当然白兵武器も点検するのだが。

そこにある物を整備兵が見つけたのだ。

「ほら、これ・・・見てみろよ、なんだ・・・」

「んー・・・あちゃぁ・・・なんか書いてあるな、これ」

見てみれば、I=Dの白兵武器には何かが書き込まれていた。

『天下万民の為に振るわれる・斬敵刀』

「・・・」
「・・・」

流石の整備士も、ソウイッタ書き込みは初めてなので、一瞬これはこういう仕様なのかと考えてしまう。

「なぁ、これって・・・」
「あ、あぁ・・・多分、落書きだと思うんだが・・・」

他の機体のI=Dでは見たこともないのに、あまりに堂々と書かれているせいで、何故か自信が無くなる。

「と、とりあえず・・・他の部分はどうだった?」
「あ、あぁ・・・まぁ、なんだ。問題はない。白兵だって、きっちりこなすさ」

とりあえず、話題変更をして、仕事の確認をするが、それも長くは続かない。

「・・・なぁ、このI=Dの搭乗者って・・・」
「・・・・・」

『・・・あぁ!!』

二人がしばらく考えて、思いついたのはある男である。
そして、その男ならこういうことも、やりかねないと一瞬で思う。

そして・・・

「・・・仕方ない、放っておくか」
「そうだな・・・消して怒られるのは、目に見えてるし」

二人はため息を吐いた。

それでもその白兵武器は落書きがあると言う点を除いては整備万全であり、そして、気のせいだろうか?

普段よりもその機体は凛々しく見えた。

「はーーっはっはっはっはっはっ! さーて・・・行くぞ、お前ら! リベンジタイムだ!」

先ほど攻撃を受けて少し傷ついたそのI=Dの中で隊長であるメインパイロットの男が不敵に高笑いをする。

「えぇ・・・さっきの攻撃を受けた時に相手の機動データも取れましたしね」
「正直・・・死ぬほど怖かったので、お礼はさせていただかないといけませんよね」

コパイの二人の声に強い感情が宿っている。
底抜けに明るくはないが、それでも、絶望していてないことは声から判る。

「いい返事だ、お前ら。さーて・・・やるなら、やっぱり・・・」

メインパイロットの男がニヤリ、と笑う。
見えていたわけではないが、コパイの二人がその意思をはっきり汲み取る。

「好きですね。いいですよ・・・白兵戦用意します! データ統合を開始!」
「先の攻撃による自機の影響を自動計算中です! また、味方の最新データを取得中!」

一気にI=D内の情報が書き換わっていく。

古い情報は捨てられ、ドンドン新しい情報に書き換わっていく。

見てみれば、やはりというか戦況は動いているようだ。

「さてさて・・・何なら、使えるかな、と・・・」

自機の詳細情報を見ながら、メインパイロットの男が呟く。

「データ統合、現在7割終了! 残りの最優先は先ほどの攻撃で得た敵の機動情報!」
「自機の影響計算終了! 白兵は・・・イケますね! 好きにやっちゃってください!」

パ、パ、パ、と一瞬目を離した瞬間には次の情報に入れ替わっている情報を頭の中で統合、取捨選択を繰り返し、メインパイロットの男は笑った。

「よーし・・・それじゃ、奴等に一発、お返ししてやるぞ!」

「了解! 情報は自動更新! 補助モードに入ります!」
「了解! 情報は自動統合! 補助モードに入ります!」

コパイの二人が補助操縦に入る。

「全力の一撃・・・食らわせてやるか!」

『はい!』

そのI=Dは手負いの獣の様に、機体の中からパイロットの気合を醸し出しながら、突撃を開始する。

「行くぞ、斬敵刀、一文字切り!」

『て、本当にやるんですか!!』

コパイの二人が叫んだ。

それでも、その機体は本当にパイロットの気合を汲み取るように、攻撃を開始した。

RP、応援

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コメント:
  • 「あの時の恨みを込めて斬れ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-23 02:43:56)
  • 「相手に好き勝手させるな!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-22 19:42:16)
  • 「断ち斬れ!!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-22 16:01:44)
  • 「ドーンといってみよー!そりゃ!!」 -- 相葉 翔@OW (2007-06-22 13:05:29)
  • 「頑張れよ・・・その一撃が戦況を決める事だってあるんだ」 -- 癖毛爆男@アウトウェイ (2007-06-21 21:51:38)
  • 「・・・背水の陣、って知ってるか?」 -- 癖毛爆男@アウトウェイ (2007-06-21 21:50:50)
  • 「白兵に必要なのは勇気! 恐れず踏み込め!」 -- 癖毛爆男@アウトウェイ (2007-06-21 21:50:22)
  • 「白兵なら、外す心配もないだろ!」 -- 癖毛爆男@アウトウェイ (2007-06-21 21:49:19)
  • 「コパイには剣士もいるはずだろ! 踏ん張れよ!」 -- 癖毛爆男@アウトウェイ (2007-06-21 21:48:43)
  • 「わん!!」 -- 西田八朗@OW (2007-06-21 21:33:33)
  • 「わんわんの白兵能力は高いぞ! がんばれ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 21:19:21)
  • 「敵を倒せ!生き残れ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 20:49:49)
  • 「腕だけじゃなく、勢いを乗せて体全体で斬るんだ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 20:28:57)
  • 「いっけー!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 20:08:57)
  • 「ぽち姫が名前を書いてくれた剣だ!切り裂け!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 19:58:34)
  • 「剣に思いを込めて、我らが敵を切り裂け!」 -- 空@アウトウェイ (2007-06-21 19:50:07)
  • 「この一撃の重みに耐えられるか!?」
    -- 空@アウトウェイ (2007-06-21 19:48:21)
  • 「ここまできたんだ! 勝つぞ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 14:28:04)
  • 「アウトウェイの底力を見せてやるぞ!」 -- さちひこ@アウトウェイ (2007-06-21 12:20:15)
最終更新:2007年06月30日 20:19