とある日のアウトウェイ~三つ実さん青空勲章獲得記念~
※リブログ用に編集済み
その日、アウトウェイでは朝から色々と大変だった。
「えーと、今週も勲章受賞者が出てるなぁ・・・って三つ実さん!?」
相葉が今見ている新聞には「今週の青空微笑勲章受賞者報告」としてその中に現在羅幻王国にいる三つ実の名前があったのだ。相葉自身も何度か会話をしたが彼女を考えると少し嬉しく思えた。
「久々にいいニュースだなぁ…それ以上にファンクラブが暴動とか起こさないか心配だなぁ・・・」
それと同時に不安を感じる相葉であった。実際今でも彼女の人気は高く、いまだにファンクラブが残っているほどなのである。ちなみに主な活動として月に一度はファンクラブ会員が集まって三つ実の可愛いところとかこういう魅力が見つかったという報告会がメインである。そして絶対にストーカーまがいや彼女を不安にさせる行為は絶対禁止が最初にして最大のルールでもある。現在三つ実がいないためその抑制力がないと言ってもよい状態であった。そんな不安を抱えつつ、相葉は用意したト-ストをかじった。
そして相葉が朝食をたいらげる頃、アウトウェイでは「な、なにー!?!?!?」という声が響き渡った。
街ではすっかり三つ実の青空微笑勲章獲得の話題でもちきりだった。ほぼ藩国全体が彼女のことをまるで自分達のようの大喜びをしていたと言ってもよかった。また、その中にはこの藩国から誰が獲得するのかな、という話までも出ている。この話を聞いて相葉は小さく苦笑した。確かにそうなれば良いニュースではあったが実際それほどの活躍をしているものは誰一人としていないのが現状だった。
空が茜色に染まり始めるころ、相葉はこの日新しく創設されたアウトウェイ観光協会で簡単な挨拶と打ち合わせをした後、久々に執務室に立ち寄った。
「お疲れ様で・・・って、なにやってるんですか」
相葉は入るなり呆れた顔で執務室に立っていた。そこでは床に手をついた藩王・さちひことそれをうざったく思いながら仕事をする摂政・空の姿があった。もしかしてこの二人朝からこの状態だったのか?という疑問がよぎるがとりあえず流すことにした。
「ん、ああ相葉か。どした」
「どした、じゃないですよ。観光協会から今後必要となる資料と予算リストに企画案用意してきましたからチェックお願いしましね」
そういって相葉はパンパンと手を打ち鳴らすと執務室スタッフが次々と書類を運んでくる。そしてあっという間に執務室は書類だらけでまったく進む余裕すらなくなった。
「おい、相葉。この異常なほどの書類の山は何だ?」
「ほとんどが新しいお土産品の案と大規模な企画の書類ですね。確か予算関係だけでもこの一山くらいあった気がしますね」
と言ってとある一角の書類を上から下へ指を動かす。相葉が指を動かしたところは床と天井の隙間がないほどに埋まっていた。
「ちょいと待て、何かの間違いじゃないのか?」
汗だらだらのさちひこに相葉は今回ばかりは冷たくこう言った。
「だって三つ実さんショックでふ抜けて話し合いに来ていないのが悪いからですよ?では用件伝えたので帰りますね」
そう言って扉を閉めた途端、書類の束が崩れる音に混じって二人の悲鳴が聞こえたような気がした。
場所は変わって味のれん。いつもの家族連れに混じってよーく見ると三つ実ファンクラブの人もいた。やはりここでも話題は三つ実のことであった。
「今日は・・・お勧め刺身定食とこっちにお勧め盛りの小で。それにしても今日はどこもこの話題で持ちきりですね」
「わう」
カウンターに座り親父さんといつもの他愛ない会話を始める。そして横の席では犬兵衛がちょこんと座っている。
「そうばいね。違う国でもこういう話はいいもんばいね」
そう言いながら調理する親父さんの顔は誰が見ても嬉しそうである。
「次は誰がいい話を聞かせてくれるんじゃろね。あんたはどげんね?はい、定食と盛り合わせね」
「うーん・・・あ、どうも。僕はそういうのは向かないほうですからねぇ」
実際アウトウェイでこの手の挑戦を行っているものは実質0と言っても良い。それぞれに用事があるのだから仕方ないのだが、何よりマイルを稼いでもどこで大きく消費するか分からないというのが現状である。裏話をすれば実際ターン10のスタートボーナス込みでも諸々の消費で潰れる寸前だったのは事実である。それを考えるとマイルの回転率は下がって値上がりするのは当然なのだが、そういうのを踏まえてもそこまで羽根を伸ばすのが出来ないというのが現状である。
「まあこういうのはのんびり構えるのも時には必要ですよ」
そういって相葉は刺身に手をつけた。
相葉が帰った後、味のれんではいつの間にか三つ実ファンクラブの人で溢れかえっていた。一応表向きは「三つ実さんの勲章授与を祝う会」なのだが、始まって30分もしないうちにただひたすら何かから逃れるように酒を飲み、料理をかきこむという暴飲暴食状態であった。さらに営業時間終了間際までこれが続くのである。親父さんは黙っていたが実際はしばらくこういうのがありそうだなと思っていた。そのため翌日、翌々日は三つ実ファンクラブの為に解放し、その結果連日悲壮なお祭騒ぎが続いた。
数日後(というか今日)に話は進む。朝の新聞にこういう見出しがあった。「アウトウェイ、特定の人物応援を表明」とあった。よく読んでみると「アウトウェイは古島三つ実の幸せを願う会わんわん支部設立を表明。入会条件は古島三つ実氏の幸せを願うものなら誰でも可能。なお、支部長は摂政の空氏が勤める模様」とあった。これを見て相葉は―
「藩王の仕業かぁぁぁぁぁ!!」
と思いっきり叫んだ。ちなみにこの表明は意外にウケが良く、ほぼ全ての国民が彼女の幸せを願うことに賛同し、表立った活動はないものの誰もが一人の幸せを願ったのは言うまでもない。
文:相葉 翔
(なお、これらの内容は三つ実さんへ許可をいただいて掲載させていただきました。ありがとうございます)
最終更新:2008年05月27日 19:29