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サクライロノキセツ - (2009/03/24 (火) 02:09:33) の最新版との変更点

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――やだよ!!何で言ってくれなかったの!? ――ごめんね、言い出せなくて……。 ――やだやだぁ!!かがみと離れるの嫌だぁ!! ――こなた……ごめんね!! ――かがみ!?かがみぃ!! ――サクライロノキセツ―― 『……かがみが居ない世界なんて……いらない……さよなら……』 「……あっちゃー……BAD ENDになっちゃった……」 どこで選択肢を間違えたのだろうか……。 「桜並木の道」……新しく発売されたエロゲだけど……難しい……。 このエロゲは珍しく付き合う相手の名前を決められる。 ……真っ先に思い付いたのがかがみ……。 「……んもう!!選択肢が多過ぎて分かんないよー!!お手上げー!!」 恐るべし桜並木の道……。 「……かがみ……元気してるかなぁ……」 そういえばかがみと別れたのもちょうど今頃だっけ……。 ……酷いよかがみ……私を置いていくなんて……。 ---------- それは突然の話だった。 かがみが急に引っ越しをするって……。 かがみは元々卒業したら一人暮らしをする事を決めていたみたい、でも……私達には何も言ってくれなかった……。 この話を聞いたのは卒業してから少し経った日の事。 つかさから連絡があってすぐにかがみに会いに行ったよ。 まだかがみは居たんだけどね、もう荷物がまとめられてたよ……。 かがみは私が来た事に驚いていたみたい、でもね……私の方が驚いたよ……そして……悲しかったよ……。 私とかがみは恋人同士だ。 世間では許されない関係だけど私達は恋人同士だ。 忘れもしない桜が舞い散ってたあの場所……。 確か私がかがみを呼び出したんだよね……。 いつからだったかな……かがみを好きになったの……。 恋は盲目というけど私もそうだった、だって気がついたら好きになってたんだもん! でも……悩んだ、かがみは女の子だし……なによりお父さん達が許してくれない……。 悩んだ、悩んで悩んで、ゲームも出来なかった。 でもね、お父さんが言ってくれたんだ。 ――お前の幸せは俺の願いだ、恋に境界線は無い―― お父さんにはバレバレだったみたい、私はその場で泣いたよ……。 それで……かがみに告白しようとして……呼び出したんだよね……。 その時は綺麗だったよね……桜の吹雪が辺り一面に広がってて……。 アニメの主題歌にもあるサクライロノキセツだったね……。 ……でも……私……中々告白出来なかった……かがみの顔を見る事が出来なかった。 ずっと下を向いて……何を話せばいいのか分からなくて……頭の中が真っ白になってもうこんがらじゃって……。 かがみを困らせちゃったよね……本当に……ごめんね……。 ……でも……かがみは私の頭を撫でてくれたよね、ずっと俯いてる私の頬を撫でてくれたよね。 かがみの手は暖かくて……なんか上手く言えないけど……うん……嬉しかった。 それで私……泣いちゃったんだよね、かがみの優しさに触れたからかな? 泣いて、泣いて、もう頭の中がむちゃくちゃになって、かがみを見る事が出来なくて、惨めな所を見せちゃって、申し訳ない気持ちで一杯で……。 この時私はもう嫌われたと思ったよ……。 ……その時かがみは何て言ったと思う? ……分からないよね?私も予想してなかったもん、だって……だって……。 『大好きだよ、こなた』って言ってくれたんだよ!? 泣いている私に言ってくれたんだよ!? 告白出来なかった私に……言って……くれて……。 もうその一言が嬉しくて嬉しくて……!! 泣きながら好きって言ったよ……何十回も何百回も……。 ……ずっと抱き締めてくれたよね、夜になって寒さに震えてた私を……温めてくれたよね……。 私の涙をハンカチで拭いてくれたよね……その時のかがみの笑顔……忘れられないよ。 今思えば卒業までずっとかがみと一緒に居たなぁ……。 朝はつかさも一緒に登校して、昼はみゆきさんも一緒に四人で弁当を食べて……あ、私はチョココロネだったかな。 それでかがみは手作り弁当を持ってきてくれたんだよね……あの時のツンデレは最高だったよ……。 ……放課後、二人きりでアキバにデートしたり家に行ったりして過ごしたよね……。 気がついたらあの桜はもう無くなってたよね、あの時私は不安だったんだ。 いつかかがみもこの桜の様にいつの間にか居なくなっちゃうって……。 ……それからすぐにかがみの引っ越しが私の耳に届いた。 ずっと一緒に居られると思った、側に居てくれると思った、離れ離れになるなんて……思っていなかった……。 嘘であってほしかった、悪い夢なら覚めてって思った……でも……本当の事だった……。 ……泣きながらかがみを引き留めたんだっけ……行かないでって言って、かがみの腕を引っ張って、小さな子供が親にやる様に……。 ……でもかがみは行っちゃったよ……! 泣きながら追いかけた私を置いて……! その時はもうショックでずっと泣いて過ごしてた、自分の部屋に籠もって泣いてた。 ゆーちゃんにも迷惑をかけちゃったね、ごめんね……こんな駄目な姉で……。 それで気を紛らわそうとしてエロゲをやり続けたんだよね……画面上の相手をかがみと思って……。 目の前の現実から目を逸らして、絶対に裏切らない二次元の世界に逃げて、逃げて、逃げて……!! …………寂しかった。 ねぇかがみ、私の事嫌いになっちゃったの? 何で手紙もくれないの?何でメールしてくれないの? 何で……電話してくれないの? 駄目なんだよ……かがみじゃなきゃ……。 二次元のキャラじゃなくて……かがみじゃなきゃ……駄目なの……!! この寂しい気持ちを無くしてくれるのは……この世界でただ一人、かがみじゃなきゃ無くならないの……!! お願いだよぉ……会いたいよぉ……あれからもう……2年も経つんだよぉ……。 私はどこまで待てばいいの?いつまで頑張ればいいの? 二人じゃなきゃ頑張れないよぉ……!! 「こなたー!!お前に手紙が届いてるぞー!!」 下からお父さんの声が聞こえてくる、私はそのまま操られたかの様にフラフラしながら居間に向かう。 「……こなた……泣いていたのか?」 お父さんの表情が曇る。 あれから私は成長していない、寂しいから泣く、かがみが居ないから泣く……そんな生活の繰り返し。 「……差出人が不明な手紙なんだが……こなた宛てなんだよ……」 差出人が不明……? ……私……手紙を送った記憶無い……。 「取り敢えず読んでみたらどうだ?」 言われるままに封筒を開ける。 ……開けたその刹那、私の脳内に懐かしい記憶が蘇ってきた。 ――ちょっとこなた……。 ――エヘヘ……見てみて!!赤いリボン!! ――何よ、運命の赤い糸とでも言いたい訳? ――こうしていればいつでも繋がってるでしょ? ――う……そ、それもそうね……。 ――お?デレた?デレた? ――うっさい!!一言余計だ!!……元々繋がってるでしょ、私とこなたの心が!! ――ツンデレ萌えー!! ――ツンデレ言うな!!どこがツンデレなのよ!! ――そこは脳内変換!!どんな時でも私のフィルターは働くのだよ!! ――威張れる事じゃないでしょ!!全くもう……。 ――……ずっと一緒だよね……。 ――……当たり前でしょ、こなたが嫌だと言ったって側に居るわよ。 ――じゃ、その証拠に……ん……。 ――っ!?……ん……。 ――……ごちそうさまでした。 ――……もう……。 あはは……あの頃は輝いてたなぁ……かがみが側に居てくれて……。 ……そう、あの赤いリボンがこの封筒の中に入ってたんだ……! 「……手紙が……」 そしてルーズリーフに書かれた……物凄く適当だけど……私の心に響いた一文……そして見慣れた文字で……。 『桜吹雪の中で、貴女を待ってます』 その時、私は家を飛び出していた。 見慣れたあの文字、桜吹雪、あの赤いリボン……!! 外は寒くて冷たい夜だったけど私は知らなかった。 こんなにも暖かな光に満ち溢れていたなんて。 夜空で月と星が流れ星のダンスを舞っている。 走っている内に流星が私を包み込む。 ゲームでいったらどこかにワープする時のような景色、星が私の行く場所を導いてくれる。 ……そして着いた。 桜吹雪……2年前私が……かがみに告白したこの場所……。 その時一陣の突風が走った、周りを見るとあの時の様に桜が舞い散っている。 ……あの桜吹雪の様に……そして星の光を浴びて光っている……。 幻想的で……なんとも綺麗で……見入っていた。 その刹那、また風が吹いた。 桜が舞い上がる。 ……その時私は自分の目を疑った、何回も目を擦った、泣きすぎて幻惑でも見ているのかと思った。 ……桜の中に一人の女性が立っていた。 私より背が高くて……忘れもしないあのツインテール。 ……その女性は振り返って……。 「桜、綺麗だね」 私の身体はその場から飛んだ。 「かがみぃ……かがみぃ!!」 2年前……あの時と同じ様にかがみは私を抱き締めてくれた、頭を撫でてくれた、頬を撫でてくれた……。 ……あぁ……この暖かさ……私が求めていた……暖かさ……。 「……ごめんね、2年もほったらかしにして……」 「馬鹿!!馬鹿!!かがみの馬鹿!!」 「うん、うん……」 「寂しかった!!寂しかったんだからぁ!!」 今までの怒りと悲しみをかがみにぶつける様に叫ぶ。 「ごめんね……謝っても済まないかもしれないけど……ごめんね……」 「ひっく……えぐ……うわあああああぁぁん!!!」 かがみの胸に頭を押し付けて……泣いたよ……。 もう涙なんて出ないと思ったのに……いや、家で泣いてたね……。 かがみが目の前に居るなんて……夢みたい……夢じゃないよね……。 ……そう思いたくない、夢だったらこれはなんて意地悪な夢なんだろう。 ---------- 「あの頃に戻ったみたいね……」 「うん……」 抱き合いながら私とこなたは2年振りの会話をしている。 「どうして……電話とか……してくれなかったの?」 今のこなたは何というか……小動物みたい、なんか守ってあげたくなっちゃう……。 「……かがみ……?」 涙を溜めながら見つめてくるこなた……やばい、可愛い……。 「……夢?」 「夢じゃないわよ」 ……つい反射的に答えてしまった。 そういえば何かこなたに質問されたわね……えーと……。 「……じゃあ……何で……電話してくれなかったの……?メール……してくれなかったの……?」 ……あー……気にしてたんだ……。 「ごめんね、勉強で忙しくて……連絡出来なかったの……」 「……嫌われたのかと……思った……」 「ないわよ……そんなの……」 ……あ、いや2年も連絡しなかったらそう思うわよね……勉強ばかりに熱中してこなたの事忘れてた私……最低……。 「……かがみぃ……」 涙まじりの声でこなたが私を呼ぶ。 「……もう……行かないで……」 「……こなた……その事なんだけど……」 「……えぐ……」 「ちょ、泣かないで!……最後まで聞いてね……あのね……その……こなた」 私がここに戻ってきた理由はこなたに会う為、それともう一つ……。 ――……一緒に暮らさない? 「……え?」 こなたが信じられないという様な表情をする。 ……そりゃそうよね……。 「それとも……後一年……待てる?」 「ヤダ」 おま……即答かよ……それもそうよね。 「だからさ……こなたも一緒に来ない?ちゃんとこなたの部屋も用意してあるし……」 「……行きたいけど……いいの?」 「……寂しかったのは私もよ、それに……2年間もほったらかしにした……償いよ」 「……ありがとう……ありがとう……かがみぃ……」 「いいのよ、お礼の言葉なんて……あぁんもう、また泣く」 問題はこなたの家なのよね……果たして許してくれるか……。 「もう許しもらったよ」 「え!?早っ!!」 まだその過程も書いてないんだぞ!? 「これも愛の力なのだよ~」 コイツは……本当変わらない……。 「はいはい、で?いつ出発する?」 「今からでもいいよ!?」 「落ち着け!!一応私も家に帰るんだから!!……その後アンタん家に行くわよ」 「ツンデレ萌えー」 「ツンデレ言うな!!」 ……久しぶりね、このやり取り。 その夜、私は家に帰りつかさにタックルを受けたのは言うまでもない。 そしてこなたに一晩中抱きつかれたのも言うまでもない。 ---------- 出発の日がやってきた。 「エヘヘ……」 「何よ?さっきからニヤニヤして……」 「だってさ!!これからずっとかがみと一緒に居られるんだよ!?嬉しくて嬉しくて!」 ……本当アンタは変わらないわね……いい意味で。 「……今失礼な事考えなかった?」 「気のせいよ」 カンが鋭いのも変わらないか……。 ……なんてやり取りをしてたら私達を乗せた電車が動き始めた。 「いざ行かん!!私達の愛の巣へー!!」 「ちょ!!恥ずかしい発言禁止!!」 全く……恥ずかしい……。 「え……?……わぁ!!かがみ!!外!!外!!」 「え……?……わぁ……」 こなたに言われるままに外を見ると……あの桜が舞い散っていた……!! 「もしかして……私達を祝福してくれてるのかな?」 「……そうかもしれないわね……」 桜は出会いと別れを彷彿させるけど、私にとって桜は再開も彷彿させると思う。 だってまたこなたと会えたんだから!! 「かがみ……大好き……」 「……私もよ……こなた」 サクライロノキセツの中で私達は出会い、別れ、再開した。 そしてその桜はこれからの私達の道を見守っててくれる。 ……サクライロノキセツの中で。 -END- **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 凄い好きなストーリーでした! 頑張ってください -- 名無しさん (2009-03-24 02:09:33) - もうそんな季節か…変わらないものってあるよな -- 名無しさん (2009-03-23 20:53:14) - お前最高だ -- 名無しさん (2009-03-23 20:29:28) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください。 コンペでの得票とは関係がありません ) #vote3(4)
――やだよ!!何で言ってくれなかったの!? ――ごめんね、言い出せなくて……。 ――やだやだぁ!!かがみと離れるの嫌だぁ!! ――こなた……ごめんね!! ――かがみ!?かがみぃ!! ――サクライロノキセツ―― 『……かがみが居ない世界なんて……いらない……さよなら……』 「……あっちゃー……BAD ENDになっちゃった……」 どこで選択肢を間違えたのだろうか……。 「桜並木の道」……新しく発売されたエロゲだけど……難しい……。 このエロゲは珍しく付き合う相手の名前を決められる。 ……真っ先に思い付いたのがかがみ……。 「……んもう!!選択肢が多過ぎて分かんないよー!!お手上げー!!」 恐るべし桜並木の道……。 「……かがみ……元気してるかなぁ……」 そういえばかがみと別れたのもちょうど今頃だっけ……。 ……酷いよかがみ……私を置いていくなんて……。 ---------- それは突然の話だった。 かがみが急に引っ越しをするって……。 かがみは元々卒業したら一人暮らしをする事を決めていたみたい、でも……私達には何も言ってくれなかった……。 この話を聞いたのは卒業してから少し経った日の事。 つかさから連絡があってすぐにかがみに会いに行ったよ。 まだかがみは居たんだけどね、もう荷物がまとめられてたよ……。 かがみは私が来た事に驚いていたみたい、でもね……私の方が驚いたよ……そして……悲しかったよ……。 私とかがみは恋人同士だ。 世間では許されない関係だけど私達は恋人同士だ。 忘れもしない桜が舞い散ってたあの場所……。 確か私がかがみを呼び出したんだよね……。 いつからだったかな……かがみを好きになったの……。 恋は盲目というけど私もそうだった、だって気がついたら好きになってたんだもん! でも……悩んだ、かがみは女の子だし……なによりお父さん達が許してくれない……。 悩んだ、悩んで悩んで、ゲームも出来なかった。 でもね、お父さんが言ってくれたんだ。 ――お前の幸せは俺の願いだ、恋に境界線は無い―― お父さんにはバレバレだったみたい、私はその場で泣いたよ……。 それで……かがみに告白しようとして……呼び出したんだよね……。 その時は綺麗だったよね……桜の吹雪が辺り一面に広がってて……。 アニメの主題歌にもあるサクライロノキセツだったね……。 ……でも……私……中々告白出来なかった……かがみの顔を見る事が出来なかった。 ずっと下を向いて……何を話せばいいのか分からなくて……頭の中が真っ白になってもうこんがらじゃって……。 かがみを困らせちゃったよね……本当に……ごめんね……。 ……でも……かがみは私の頭を撫でてくれたよね、ずっと俯いてる私の頬を撫でてくれたよね。 かがみの手は暖かくて……なんか上手く言えないけど……うん……嬉しかった。 それで私……泣いちゃったんだよね、かがみの優しさに触れたからかな? 泣いて、泣いて、もう頭の中がむちゃくちゃになって、かがみを見る事が出来なくて、惨めな所を見せちゃって、申し訳ない気持ちで一杯で……。 この時私はもう嫌われたと思ったよ……。 ……その時かがみは何て言ったと思う? ……分からないよね?私も予想してなかったもん、だって……だって……。 『大好きだよ、こなた』って言ってくれたんだよ!? 泣いている私に言ってくれたんだよ!? 告白出来なかった私に……言って……くれて……。 もうその一言が嬉しくて嬉しくて……!! 泣きながら好きって言ったよ……何十回も何百回も……。 ……ずっと抱き締めてくれたよね、夜になって寒さに震えてた私を……温めてくれたよね……。 私の涙をハンカチで拭いてくれたよね……その時のかがみの笑顔……忘れられないよ。 今思えば卒業までずっとかがみと一緒に居たなぁ……。 朝はつかさも一緒に登校して、昼はみゆきさんも一緒に四人で弁当を食べて……あ、私はチョココロネだったかな。 それでかがみは手作り弁当を持ってきてくれたんだよね……あの時のツンデレは最高だったよ……。 ……放課後、二人きりでアキバにデートしたり家に行ったりして過ごしたよね……。 気がついたらあの桜はもう無くなってたよね、あの時私は不安だったんだ。 いつかかがみもこの桜の様にいつの間にか居なくなっちゃうって……。 ……それからすぐにかがみの引っ越しが私の耳に届いた。 ずっと一緒に居られると思った、側に居てくれると思った、離れ離れになるなんて……思っていなかった……。 嘘であってほしかった、悪い夢なら覚めてって思った……でも……本当の事だった……。 ……泣きながらかがみを引き留めたんだっけ……行かないでって言って、かがみの腕を引っ張って、小さな子供が親にやる様に……。 ……でもかがみは行っちゃったよ……! 泣きながら追いかけた私を置いて……! その時はもうショックでずっと泣いて過ごしてた、自分の部屋に籠もって泣いてた。 ゆーちゃんにも迷惑をかけちゃったね、ごめんね……こんな駄目な姉で……。 それで気を紛らわそうとしてエロゲをやり続けたんだよね……画面上の相手をかがみと思って……。 目の前の現実から目を逸らして、絶対に裏切らない二次元の世界に逃げて、逃げて、逃げて……!! …………寂しかった。 ねぇかがみ、私の事嫌いになっちゃったの? 何で手紙もくれないの?何でメールしてくれないの? 何で……電話してくれないの? 駄目なんだよ……かがみじゃなきゃ……。 二次元のキャラじゃなくて……かがみじゃなきゃ……駄目なの……!! この寂しい気持ちを無くしてくれるのは……この世界でただ一人、かがみじゃなきゃ無くならないの……!! お願いだよぉ……会いたいよぉ……あれからもう……2年も経つんだよぉ……。 私はどこまで待てばいいの?いつまで頑張ればいいの? 二人じゃなきゃ頑張れないよぉ……!! 「こなたー!!お前に手紙が届いてるぞー!!」 下からお父さんの声が聞こえてくる、私はそのまま操られたかの様にフラフラしながら居間に向かう。 「……こなた……泣いていたのか?」 お父さんの表情が曇る。 あれから私は成長していない、寂しいから泣く、かがみが居ないから泣く……そんな生活の繰り返し。 「……差出人が不明な手紙なんだが……こなた宛てなんだよ……」 差出人が不明……? ……私……手紙を送った記憶無い……。 「取り敢えず読んでみたらどうだ?」 言われるままに封筒を開ける。 ……開けたその刹那、私の脳内に懐かしい記憶が蘇ってきた。 ――ちょっとこなた……。 ――エヘヘ……見てみて!!赤いリボン!! ――何よ、運命の赤い糸とでも言いたい訳? ――こうしていればいつでも繋がってるでしょ? ――う……そ、それもそうね……。 ――お?デレた?デレた? ――うっさい!!一言余計だ!!……元々繋がってるでしょ、私とこなたの心が!! ――ツンデレ萌えー!! ――ツンデレ言うな!!どこがツンデレなのよ!! ――そこは脳内変換!!どんな時でも私のフィルターは働くのだよ!! ――威張れる事じゃないでしょ!!全くもう……。 ――……ずっと一緒だよね……。 ――……当たり前でしょ、こなたが嫌だと言ったって側に居るわよ。 ――じゃ、その証拠に……ん……。 ――っ!?……ん……。 ――……ごちそうさまでした。 ――……もう……。 あはは……あの頃は輝いてたなぁ……かがみが側に居てくれて……。 ……そう、あの赤いリボンがこの封筒の中に入ってたんだ……! 「……手紙が……」 そしてルーズリーフに書かれた……物凄く適当だけど……私の心に響いた一文……そして見慣れた文字で……。 『桜吹雪の中で、貴女を待ってます』 その時、私は家を飛び出していた。 見慣れたあの文字、桜吹雪、あの赤いリボン……!! 外は寒くて冷たい夜だったけど私は知らなかった。 こんなにも暖かな光に満ち溢れていたなんて。 夜空で月と星が流れ星のダンスを舞っている。 走っている内に流星が私を包み込む。 ゲームでいったらどこかにワープする時のような景色、星が私の行く場所を導いてくれる。 ……そして着いた。 桜吹雪……2年前私が……かがみに告白したこの場所……。 その時一陣の突風が走った、周りを見るとあの時の様に桜が舞い散っている。 ……あの桜吹雪の様に……そして星の光を浴びて光っている……。 幻想的で……なんとも綺麗で……見入っていた。 その刹那、また風が吹いた。 桜が舞い上がる。 ……その時私は自分の目を疑った、何回も目を擦った、泣きすぎて幻惑でも見ているのかと思った。 ……桜の中に一人の女性が立っていた。 私より背が高くて……忘れもしないあのツインテール。 ……その女性は振り返って……。 「桜、綺麗だね」 私の身体はその場から飛んだ。 「かがみぃ……かがみぃ!!」 2年前……あの時と同じ様にかがみは私を抱き締めてくれた、頭を撫でてくれた、頬を撫でてくれた……。 ……あぁ……この暖かさ……私が求めていた……暖かさ……。 「……ごめんね、2年もほったらかしにして……」 「馬鹿!!馬鹿!!かがみの馬鹿!!」 「うん、うん……」 「寂しかった!!寂しかったんだからぁ!!」 今までの怒りと悲しみをかがみにぶつける様に叫ぶ。 「ごめんね……謝っても済まないかもしれないけど……ごめんね……」 「ひっく……えぐ……うわあああああぁぁん!!!」 かがみの胸に頭を押し付けて……泣いたよ……。 もう涙なんて出ないと思ったのに……いや、家で泣いてたね……。 かがみが目の前に居るなんて……夢みたい……夢じゃないよね……。 ……そう思いたくない、夢だったらこれはなんて意地悪な夢なんだろう。 ---------- 「あの頃に戻ったみたいね……」 「うん……」 抱き合いながら私とこなたは2年振りの会話をしている。 「どうして……電話とか……してくれなかったの?」 今のこなたは何というか……小動物みたい、なんか守ってあげたくなっちゃう……。 「……かがみ……?」 涙を溜めながら見つめてくるこなた……やばい、可愛い……。 「……夢?」 「夢じゃないわよ」 ……つい反射的に答えてしまった。 そういえば何かこなたに質問されたわね……えーと……。 「……じゃあ……何で……電話してくれなかったの……?メール……してくれなかったの……?」 ……あー……気にしてたんだ……。 「ごめんね、勉強で忙しくて……連絡出来なかったの……」 「……嫌われたのかと……思った……」 「ないわよ……そんなの……」 ……あ、いや2年も連絡しなかったらそう思うわよね……勉強ばかりに熱中してこなたの事忘れてた私……最低……。 「……かがみぃ……」 涙まじりの声でこなたが私を呼ぶ。 「……もう……行かないで……」 「……こなた……その事なんだけど……」 「……えぐ……」 「ちょ、泣かないで!……最後まで聞いてね……あのね……その……こなた」 私がここに戻ってきた理由はこなたに会う為、それともう一つ……。 ――……一緒に暮らさない? 「……え?」 こなたが信じられないという様な表情をする。 ……そりゃそうよね……。 「それとも……後一年……待てる?」 「ヤダ」 おま……即答かよ……それもそうよね。 「だからさ……こなたも一緒に来ない?ちゃんとこなたの部屋も用意してあるし……」 「……行きたいけど……いいの?」 「……寂しかったのは私もよ、それに……2年間もほったらかしにした……償いよ」 「……ありがとう……ありがとう……かがみぃ……」 「いいのよ、お礼の言葉なんて……あぁんもう、また泣く」 問題はこなたの家なのよね……果たして許してくれるか……。 「もう許しもらったよ」 「え!?早っ!!」 まだその過程も書いてないんだぞ!? 「これも愛の力なのだよ~」 コイツは……本当変わらない……。 「はいはい、で?いつ出発する?」 「今からでもいいよ!?」 「落ち着け!!一応私も家に帰るんだから!!……その後アンタん家に行くわよ」 「ツンデレ萌えー」 「ツンデレ言うな!!」 ……久しぶりね、このやり取り。 その夜、私は家に帰りつかさにタックルを受けたのは言うまでもない。 そしてこなたに一晩中抱きつかれたのも言うまでもない。 ---------- 出発の日がやってきた。 「エヘヘ……」 「何よ?さっきからニヤニヤして……」 「だってさ!!これからずっとかがみと一緒に居られるんだよ!?嬉しくて嬉しくて!」 ……本当アンタは変わらないわね……いい意味で。 「……今失礼な事考えなかった?」 「気のせいよ」 カンが鋭いのも変わらないか……。 ……なんてやり取りをしてたら私達を乗せた電車が動き始めた。 「いざ行かん!!私達の愛の巣へー!!」 「ちょ!!恥ずかしい発言禁止!!」 全く……恥ずかしい……。 「え……?……わぁ!!かがみ!!外!!外!!」 「え……?……わぁ……」 こなたに言われるままに外を見ると……あの桜が舞い散っていた……!! 「もしかして……私達を祝福してくれてるのかな?」 「……そうかもしれないわね……」 桜は出会いと別れを彷彿させるけど、私にとって桜は再開も彷彿させると思う。 だってまたこなたと会えたんだから!! 「かがみ……大好き……」 「……私もよ……こなた」 サクライロノキセツの中で私達は出会い、別れ、再開した。 そしてその桜はこれからの私達の道を見守っててくれる。 ……サクライロノキセツの中で。 -END- **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-16 22:53:46) - 凄い好きなストーリーでした! 頑張ってください -- 名無しさん (2009-03-24 02:09:33) - もうそんな季節か…変わらないものってあるよな -- 名無しさん (2009-03-23 20:53:14) - お前最高だ -- 名無しさん (2009-03-23 20:29:28) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください。 コンペでの得票とは関係がありません ) #vote3(14)

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