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殺人考察(2) - (2009/03/23 (月) 07:06:29) の最新版との変更点

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6-1 「ラストが田村さんとあんたか…」 「うん」 「あのさ、このラスト結構スレスレじゃなかった?今になって考えてみると不自然なとこっていうか、見破る方法はあったわよね」 「…んー…そうかな…」 「まあ、後から考えてだけどね」  私はちょっと頭を傾がせながら喋る。 「まず、つかさが死んだ次の日…かどうかはよくわかんないけど、日曜日、知らないメアドからメールがきて、私は学校に行った。このメールを出したのは?…といってももう二択だけど」 「ん?そうでもないよ?あれ私でもひよりんでもないんだよね。使ったのは私のパソコンだけど」 「ええ?じゃ誰よ?」 「それについては…後でまとめて説明するよ」  また後回しか…。大丈夫なんだろうな…。 「しょうがないわね…。だけどさ、気になってたんだけど、私が、私に何かあったときのためにって、こなたにメールするかもしれないじゃない。もう一パターンとして、私がこなたが犯人だと気づいていて、こなたに確認のためメールするかもしれない。いずれにせよ、こなたは自分のメアドを変えて私に送ったわけだから、私からはこなたにメールが届かないわけで…そうすとばれちゃわない?」 「いやいや、そこは問題ないよ。分からなかった?あれパソコンから送ったものだったんだよ?携帯だとメアドは一つしかないから変えちゃったら届かないけど、パソコンだと、プロバイダーによっては一台で100~300個くらいメアド持てるんだよね。フリーメールアドレスを利用するって手もあるし」 「へぇ…そうなんだ」 「うむ。だから、かがみが私のパソコンにメール送ってきてもちゃんと届いたよ。でも、どの道この時点だったら『私が犯人』までならギリギリおけー。それが全部ブラフだってとこまでわからなきゃ大丈夫。ま、つかさが死んで茫然自失状態のかがみだったらそこまで頭回んないだろうとは思ってたんだけどね」  この野郎。 「それで言われたとおり私は学校に行った。そしたら田村さんとあんたがいたんだけど…あんた、いつから学校にいたのよ?」 「へ?」 「だって確かに陵桜学園にはこなたの家の方が近いけど、うちとこなたの家って電車で10~15分くらいの距離じゃない。パソコンでメール出してから家出て学校行ったんじゃ、私と、電車の中とか降りてからとか、学校に着くまでの間に鉢合わせたりする可能性もあったでしょ?でも、さっきの話だと、メールを出したのはあんたじゃないってことになるから…」 「うんうん。あのメール出したときにはもう学校にいたよ」 「やっぱりか。じゃあ、結局メール出したのは?」 「メール出したはお父さん。皆が集合して準備全部できてからうちに連絡入れて、かがみにメールしてくれるように頼んだの」  よう考えるわ…。 6-2 「うん、メールについてはわかったわ。それで、屋上に田村さんがいて、田村さんが襲ってきた…って思ったんだけ、ど!」 「うわ、何?」  急に大声を出した私に、こなたがちょっと跳ねた。 「思い返してみればすぐにおかしいと思えるわよ。私ね、気絶する直前に、田村さんの姿を正面から見てるのよ。ハンカチは後ろからあてられたの。つまり、田村さんの他に私を気絶させた、共犯がいるってことじゃないの」 「そうだけど…」  なんだかこなたの歯切れが悪い。  ちょっと気になったが続けることにした。 「田村さんの表情に気を取られすぎたわ…。その後、あんたが田村さんを殺したって言ったけど、この時点で矛盾に気づくべきだった。日曜日の学校の屋上よ?人がいる方が不自然じゃない。私を呼び出したのが田村さんで、田村さんを殺したのがこなたなら、こなたはなんでそこにいたの?」 「…ん?」  こなたが首をひねった。 「ちょいと待った。ひよりんを私が殺した?」 「…え?」  こなたが妙なことを言い出した。 「違うの…?だってあのとき…『アンタが!?』ってきいたら『うん』って言ったじゃない」 「いや、それは、私がかがみを気絶させたの?って意味だと思った」 「『揉み合ってるうちに』って…」 「え、私とひよりんが、じゃなくて、かがみとひよりんが、ってことだったんだけど…」  話がかみ合わない。  どちらかが何かを勘違いしている? 「よく思い出してよ、かがみ。私、ひよりんを殺したなんて一言も言ってないよ?」  あのときのやりとりを思い返してみる。  そういえばそうだ。  状況からして、こなたが私を助けるために田村さんを殺したんだと思っていたが…こなた自身は「殺した」とは言っていない。  待ってよ…。  じゃあなぜ田村さんは死んでいたの…? 「あれ…ひょっとしてかがみ…わかってなかったの…?ひよりんを殺したのは…」  こなた以外の誰かが田村さんを殺した…。  あの場は日曜日の屋上だ。第三者がいたとは考えにくいし、何よりこなたの計画では、今まで全く出てこなかった人がいきなり登場して田村さんを殺した、でも犯人はこなただった、なんて展開がある筈がない。まさか成実さんが?いや、それでもおかしい。やっぱり日曜日の学校にわざわざ来ている意味が分からない。  だとすると…。  あの場にいたのは…。 「…私…?」  しかいない。 「うん。ひよりんを殺したのはかがみ…のつもりだったんだけど…」  目の前が一瞬暗くなった気がした。本気で意識が遠のきかけた。  頭をぶんぶん振って現実世界に戻ってくる。 「ありゃりゃ…わかってなかったのかー…。つかさが殺されて私が皆を殺した犯人、これでも十分ショックだと思うけど…まだショックの与え方ってあるじゃない?それは、かがみに殺人をやってもらうこと。それも故意じゃなくて事故で。これならかなりダメージあるでしょ」 6-3  こなたの言葉が遠くから聞こえてくる。  でも、これでやっとつながった。 「そうか…そういうことか…。私に土曜日の記憶がないのはそういうことか…」 「あ、思い出した?多分そうじゃないかなー…とは思ってたんだけどね」  私は、こなたに『アンタが!?』と問いかけたとき何を考えていた?もしかしたらこなたかもしれない…そうかもしれない…そうであってほしい…と心のどこかで願っていなかったか?自分が殺してしまった可能性から逃げていなかったか?目を背けていなかったか?  度重なる友人知人の殺害に、つかさの死亡、そんな不安定なときに、とどめに田村さんを殺してしまった罪悪感。  これが私の記憶を丸一日分吹っ飛ばした理由だったんだ。  そしてその後、私は私に都合のいいように解釈し、田村さんを殺したのはこなただと思い込んだ…。それなら納得がいく。  感情がとんでもない振幅の幅を示したのがわかったが、でもまだだ。まだ抑えろ。つっこんでないところが残ってる。全部、終わってからだ。  頭に冷水をぶちこむ。それも-273.15℃のやつ。  こなたの方は変わらず喋っている。 「でも、本当はこのラスト、私が殺した、でもよかったんだよね」  必死に普通の声を出す。 「…それだとさっきも言ったけどおかしいことになるでしょ。私を呼び出したのが田村さんで、田村さんを殺したのがこなたなら、こなたはなんでそこにいたの?」 「…あぅ…そうか…」 「私を呼び出したのがこなたでも同じことが言えるわね。日曜日の学校に田村さんがいる理由が分からない。とすると、こなたと田村さんは共犯。私を気絶させたのはこなたになるわね」 「なはは…おっしゃるとおりで…」 「にもかかわらず、こなたは田村さんを殺したと言う。共犯どうしで仲間割れしたとも考えられなくもないけど…こなた、田村さんは私を『犯人だと勘違いしてた』って言ったわよね。こなたが私を気絶させたのならこなたは田村さんに協力してたのに、田村さんは私を犯人だと勘違いしてた?おかしいじゃない。勘違いしてるってわかってる人にいったんは協力して、その後やっぱり殺したってことになる」 「ううう…」  チクショウ。あのときこれくらい頭が回っていればもっと違う結末も考えられたのに。  いや、でもそれはこなたが田村さんを殺した場合か。  結局あの状態の私ではとてもそこまで考えられなかったと思う。 「田村さんはいつから真相知ってたの?さっきの話だと、少なくともつかさが殺される前日には知ってたことになるけど」 「うん。ひよりんには最初っから教えてたよ。『罪の色』絡みで殺す予定にない人だったからね。演技も上手いし、裏方サポートに回ってもらったんだー」 「…あ、そういえば、みなみちゃんが殺されたとき、私を3階に引き止めてたのも田村さんよね。あれも意図的なもの?」 「うんにゃ。それは特に予定になかった。多分、ひよりんがその場で考えて自発的にやったことだと思う」 「そっか…。で、私を気絶させる必要はあったのか?」 「…うんと…」 「私が田村さんを殺した場合でも、こなたが私の目の前で田村さんを殺しても、もう真相はすぐに分かるんだし、私が気絶しなくても特に問題なかったんじゃ?」 「…んーそれはですなー…。一応、ひよりんは階段から落ちて死んだってことになってるから、かがみが気絶しててくれないと困るんだよ。さすがに本当に突き落とすわけにはいかないしね。私もかがみも突発的にひよりんを殺したわけだけら、人を殺せるような凶器を持ってるってのもおかしいし。あと、最後の演出のために、かがみがカードを持ってたら抜き取っておくのもあった。これは持ってなきゃ持ってないでよかったけど」 6-4  なんとか思考力が戻りかけてきた。  勿論感情を抑えきったわけではないが。 「ふーん、そういうこと…。あ、そういえば、あんた土曜日は何してたのよ?あの一週間に意味のない空白はなかったのに、土曜日だけ何もなかったじゃない」 「あー、それは私のミス。本当はラストを土曜日に実行する筈だったんだけど、かがみの家との連携が遅れちゃって…金曜日の夜になってから電話して、明日用事とかありませんかーってきいたら、土曜日はかがみを慰めるために家族皆で出かけるつもりだったんだけどって言われたんだよね…。真相は最初から皆知ってたんだけど、それが裏目に出ちゃって…」  そうだったっけ…?  土曜日のことは本当に思い出せない。  でもそういえばお母さんやいのりお姉ちゃんが部屋に来て何か言ってた…ような…? 「一日予備日をつくっておいてよかったよー。それに、土曜日が空いたおかげで細かいとこの打ち合わせとか、マットを準備する余裕とかができたしね。日曜日しくじったら後がないんですごいがんばったよ。ただ、かがみに考える時間をあげちゃったのはちょっとまずかったかなとは思ったけど」 「そうね。私がこなたが犯人だって見破ってる可能性はどれくらいあったと思う?」 「そうだねー、色々ヒント出しちゃったからねー…私が犯行を止めてほしいと思ってるって思わせるためとはいえ、ゲーム、カード、メイド喫茶、アキバ…どっかで気づいても不思議じゃないとは思ってた。ただまあ、つかさを殺す前に気づかれることだけは避けようとはしてたけどね。それ以降なら、すぐにラストまでもってけるからね。一番怖かったのはみゆきさんとゆーちゃんのときかなー。みなみちゃんのときは情報が少なすぎるからまず無理でしょ?黒井先生のときも多分まだ無理。でも、みゆきさんとゆーちゃんのときはかなり無理やり感があったからねー…。謎解き任せたのは、それから目を逸らす意味もあった。で次だけど、自分が狙われてるかもしれないって思わせるのと、私と一緒に『罪の色』探すことで、犯人探しをいったん中断させて、そんでつかさ殺して一気にラストと。だから、気づくとしたらみゆきさんとゆーちゃんの後か、情報が全部揃ったつかさの後かなー…って。可能性としては…どうだろう。つかさの後は、一日空いちゃったけどまあ大丈夫だと思った。かがみの様子からすると、頭全然動かせないみたいだったし。みゆきさんとゆーちゃんの後に気づかれる可能性は…30%くらいかなぁ?」 「でも、私が気づいたのはつかさの後だったけどね」 「そうなるよね。日曜日、少し前に気づいてたって言ってたもんね。つかさの前に気づいてたとしたら、犯人かもしれない私をつかさと二人きりになれる状況におくとは思えないからね。ギリギリ大丈夫だったけど…やっぱ綱渡りだったよー…」 「色々考えてみたからね。黒井先生のときの、つかさの台詞もヒントになったのよ」 「あー、あれね。あれはちょっと焦ったよ。でも、まさかあれくらいで感づきゃしないだろうと思ってたんだけどなー…。かがみ、よく覚えてたね」 「まあね。それで、一つずつ事件を考えていって、一番可能性のある人を考えてったらこなただったのよ」 「それでもつかさの後でしょ?立ち直れたの?」 「いや、ゲームとかカードがヒントかもしれないって思い当たってからは、頭がリセットされた感じになってね。それでなんとか考えられたんだけど…。でも、もうちょっと考えてみれば、ヒントにするにしても、カードはともかくゲームってのはねぇ?あんなゲーム、できる人なんてかなり限られてるじゃない?あれをヒントとして持ってきたってことは、こなたが犯人というより仕組んでるって可能性も考えられなくはなかったのかもね…」 「なんにしろ、私が犯人、までなら大丈夫だったんだよ。その先までヒントを出したつもりはなかったんだけどね…」  鳥の鳴く声が聞こえる。  頭上の、桜の木の枝にとまっているようだ。  なんという鳥なのかはわからない。ただ、短く、小さな声で囀っている。  きっと身体も小さな鳥なのだろう。  私は、少しの間、その声を聞いていた。 7-1 「うん、聞きたいことはこれで終わり」 「ふぃー…。やっと終わった?疲れたよー…」  こなたが大きく息をつく。心底疲れきった様子だった。  ちょっとは参っててくれないと困る。  用意してきたこなたの計画へのツッコミはだいたい出尽くした。やれやれ…本当にこいつは…。なんというか…。もう…。  さて、これからは、ちょっと別の時間だ。  私は、身体をこなたの方に向けた。 「こなた」 「あい?」  次の瞬間、私は全力を込めて、こなたの頬を平手打ちした。  パン、という乾いた音が響いた。  こなたの顔が、右に大きく振れる。  こなたは戸惑いの表情で私を見つめる。 「か、かがみ…?痛いよ…」  その声は、何が起こったかよくわからない、という感じだった。  頬は桜色に染まっている。  こなたの目に軽く涙が滲んでいた。 「あんたねぇ…あんたねぇ!自分が何をしたか分かってんの!?」  こなたは答えない。唇がふるふる震えていた。  でも、もう止められない。私は、自分の感情のままに叫んだ。 「私が!…どんな思いでいたか、想像できる!?あんたは仕掛ける側だったから別になんてことないでしょうけど…皆を殺されていった立場に立ってみなさいよ!友だちを殺してしまった立場に立ってみなさいよ!私が皆と一緒にいられた時間を、どれだけ大事に思っていたかなんて、あんたにはわかんないんでしょうね!…いや、わかってるからこそやったのよね!そうよね!」 「…かがみ…」  こなたはやっとそれだけ口にした。消え入りそうな声だった。 「あんたは、『ショッキングな事件』を起こしてみたい、そんな軽い気持ちで友だちの大事なものを平気で壊していける…そういうやつだったのよね!確かに『ショッキングな事件』を望んだのは私よ?でも、皆が死んでいって喜ぶと思うの?自分の手で殺して嬉しいと思うの?そんなこともわかんないわけ!?正直見損なったわよ!」  もう日が落ち始めていた。桜の花が、少し赤と黒を帯びたように見えた。  こなたの顔にも陰影ができる。 「つかさが殺されたとき…私がどれだけ泣いたと思う!?どれだけ悲しんだと思う!?生まれたときからずっと一緒だったあの子を失って…あの子は私を支えにしてくれてたけど、私だってあの子にすごく支えてもらってたもの!あんたは知らないでしょうけどね、一緒に学校に行って、一緒にお喋りして、一緒にご飯食べて、一緒に寝て…数え切れない思い出があるのよ?それを何?私にショックを与えられそうだから殺した?最低よ!」  こなたの目から涙がこぼれだしていた。  でも私の感情は収まってはくれなかった。  記憶がなくなるほどダメージを受けたのは、確かに引き金となったのは田村さんを殺してしまったことだろう。しかし、その前につかさが死んだこと。これが何よりも大きかった。 「私が寂しがるのをみて楽しかった?悲しむのをみて嬉しかった?シナリオが大成功してよかったわね!ええ、すっかりだまされたわよ!悲しかったよ!辛かったよ!あんたはそれでいいでしょうよ!死んじゃったお母さんまでダシにして、そうやって楽しんでればいいわよ!人の感情をおもちゃ代わりにせいぜい色々引き起こしていればいいよ!」 「かがみ…ごめん…」 「今さら謝るんじゃないわよ!ここまでやったんだから筋は通しなさいよ!それに、私が何も言わなければなんとも思わなかったんでしょ!?そんな程度の反省で、何かできるなんて思わないでちょうだい!」  桜の木が、風に揺れた。 7-2  少し、沈黙が訪れた。  静かに息を吐きながら、それを言う。 「私もう、あんた、いらない」  こなたが、びくっと震えた。 「聞こえた?私もう、あんたとは友だちやめる。これから先、一生私に顔見せないでくれる?メールも電話もしてこないで。大丈夫でしょ?あんたには私以外にも友だちだくさんいるものね。一人くらい減ったってちっとも寂しくなんてないでしょ?…返事しなさいよ!」  こなたがおずおずと口を開く。 「…かがみ…。私…ただ…かがみをちょっと驚かせたくて…」 「それが嫌だって言ってんのよ!なんにもわかってないわね!そんなちょっとした気持ちでみゆきを…つかさを…つかさを!軽々しく死んだことにしてしまえるようなやつと、一緒になんかいたくない!ほんとにもう私に関わるのはやめて。あんたと一緒にいると、私の大事にしたいものがどれだけ壊されるかわかったもんじゃないわ。いい?わかった?」  自分でも、自分の怒りがここまでのものだとは思っていなかった。でも、これは伝えなきゃならないことだ。  また少し沈黙が落ちる。  風が強くなってきた。桜の木が、ざわざわと音を立てる。  かすれた声でこなたが言う。 「ほんとに…ごめん…」 「あやまんなって言ってんでしょ!」 「…だけど…だって…私…。…最後に皆と一緒にかがみが笑ってくれればいいなって…それだけ考えて…。でも…やりすぎたよ…。ほんとにそう思ってるよ…。いつもかがみ…私が何しても最後には許してくれるから…かがみの気持ち…考えなくなってたのかも…」  こなたがしゃくりあげながら、少しずつ、言葉を押し出す。 「…だから何よ」 「…つ…かさ…まで…つかさまで…殺したのは…いけなかったよね…。かがみが本当に大事に思ってたのは…つかさだって…わかってたのにね…」 「つかさだけじゃないわよ!みゆきも!ゆたかちゃんも!みなみちゃんも!田村さんも!黒井先生も!皆よ!」 「うん…うん…そうだよね…わかってる…わかってるよ…」 「嘘だよね。わかってないよ、あんたは」  こなたの言葉を全否定する。頭の中で熱さと冷たさが混ざり合っている感じだ。 「…そんなことないよ…わかるよ…。私だって…皆と一緒にいた時間…すごく楽しかったもん…。皆がいなくなっちゃったら…寂しいもん…」 「わかるくせに人は平気で傷つけるのか?自分は全部知ってて、安全圏にいて、それで本気で悲しんでる人を見下ろしてたわけだよね?いい人間だよな、あんたは!」 「…違うよ…違うんだよ…」 「何が違うのよ」 「…私…かがみを傷つけたかったわけじゃないんだよ…。そんなことで楽しんでないよ…」 「あんたがどう思ってたかにかかわらず、私は悲しかったの!それで、もう二度とそんな思いをしたくないの!だからいなくなってよって言ってんの!わかる?」  このままこなたに怒りをぶつけ続けても、収まりそうもない。  どうすればいいんだろう。 「…私…ほんとうにただ…いつもの感じで…かがみと一緒に…笑いたかっただけ…。なんにも考えてなくて…かがみがそんなに悲しむとは思わなくて…」 「だから嫌なのよ」 「…あの…でもね…かがみは私がいなくなってもなんとも思わないかもしれないけど…私はかがみとお話できなくなったら…すごく悲しいんだよ…すごく寂しいんだよ…。自分勝手かもしれないけど…。かがみがつかさを失ったときの気持ち…だから…わかるよ…。つかさにはかなわないと思うけど…かがみとの思い出…いっぱいあるもん…」 7-3  こなたが、真っ赤になった目を、真っ直ぐにこちらに向ける。 「…宿題、みせてもらいに、家に何回も行ったよね…。…お昼、お弁当、一緒に食べにきてくれたよね…。…寄り道に、いっぱい、つき合ってくれたよね…。…家に、遊びに来てくれて、一緒にゲームしたよね…。…かがみとつかさの誕生日、皆で、お祝いしたよね…。…バレンタインに、チョコ、くれたよね…。海に行ったよね…。…花火大会に行ったよね…。コミケ行ったよね…。お祭に行ったよね…。それに…この公園で、お花見、したよね…。全部全部…かがみとの…大事な思い出だよ…」  こなたの瞳を見つめる。  さっきからずきずきと痛むところがある。  なんだろうと思ってちょっとこなたから視線を外す。  桜の木の合間から、長い髪の小さい少女が見えた。髪を二つに結わえた、隣の少女より頭一つ分くらい高い、少女が見えた。ショートカットで、リボンをつけた少女が見えた。ふわふわした髪の、眼鏡をかけた少女が見えた。4人は何か話しながらゆっくりと歩いている。何を話しているのかは聞こえないが、雰囲気は伝わってきた。長い髪の少女が笑っている。背の高い少女が呆れている。リボンの少女が慌てている。眼鏡の少女がなだめている。とても、仲がいいんだな、と思った。  こなたに視線を戻す。こなたはまだ涙をぽろぽろ流しながら、私をじっと見ていた。  こなたの顔に目がいくと、痛みが突然倍加した。  頭の中の熱が、一気に引いた気がした。  そうだ。  怒りのあまりちょっとだけ忘れてたことがある。  それも伝えなきゃ。  こなたが本気で許せないのはまだ変わらない。  それでも。  その両方を伝えることが目的だったわけだしね。  私は口を開く。 「こなた」 「…なに?」 「私はあんたが嫌いよ」 「…うん。わかってる」 「人の気持ち考えないし、大事なものは平気で壊すし、しかもそのことに気づいてないし」 「…うん」 「やっぱりあんたはまだ私の気持ち、わかってないと思う」 「…」  こなたは押し黙る。 「私が大事だって思ってるもの、なんだかわかる?」 「…それは…皆…だよ…」 「それは誰のこと?」 「…つかさ…みゆきさん…ゆーちゃん…みなみちゃん…ひよりん…黒井先生も…かな…」 「うん、そうね。まあ、私には他にも友だちいるし、家族も大事だけど。でもね、まだこなたが挙げてないけど、失いたくない、大事な人っているよ」 「…そうなんだ…」  こなたが私を見つめている。  私もこなたをじっと見る。 「それはね…こなた…あんたよ」 「…え…?」 7-4  こなたの瞳が、ちょっと揺れる。 「あんたが犯人だってわかって…私がどんな気持ちになったかわかる?あんたが屋上から飛び降りて…どんな気持ちになったかわかる?…わかんないわよね」 「…え…えと…」 「私、あんたが犯人だってわかって、まず悲しかったよ。それまではつかさを殺した犯人を捕まえたら殺してやろうと思ってたけど、あんただとわかったら、その憎しみもすぐ消えていったよ。今まで一緒に過ごしてきた時間が、ただ懐かしくてね…。つかさと一緒にいた時間とどっちが大事かなんて比較はできないけど、あんたと一緒にいた時間は…私の中でも、大事な思い出だよ」 「…かがみ…」 「あんたが屋上から飛び降りたときは、とにかく怖かった。もうこれ以上大事なものを失いたくなくて、ただただ、怖かった。…あんたが何事もなかったかのようにまた出てきたときは、呆れるより、怒るより、ほんとうに、嬉しかったよ」 「…そっか…」 「でも、だからこそ、後になってあんたを許せなくなってね。つかさたちを殺して回ったのもそうだけど、あんた自身、自分がどれだけ大事に思われてるかわかってない。あんたがそういうことするのがどれだけ悲しみを与えるのかわかってない。そこがどうしようもなくむかついて…。この先、あんたこのままだったら、私以外の人にも同じ思いさせそうだし…。だから、それだけは伝えておきたかったのよ」  こなたはもう泣いていなかった。ただ、真剣な眼差しを、こちらにむけていた。 「こなた…だから、もう、あんなこと、しないで…」  でも、今度は私の目から、涙がこぼれた。  絶対泣かないつもりだったのに。 「本当はね、不安だったのよ…。こなた、私の気持ちになんか全然気づかないから…こなたと一緒にいると…いつまた壊されるかって…。だったらもう最初からいない方がいいかもって…それで苛立ちも手伝ってひどいこと…言っちゃって…。こなたぁ…」  涙はあとからあとからあふれ出て、止まらなかった。  同時に感情の制御もできなくなっていた。 「かがみ…。謝っても…いい?」 「うん…」 「かがみ…。本当に…ごめん…。かがみの気持ち…大事なもの…気づかないで…全部壊しちゃって…ごめん…」 「うん…。こなたが、ちゃんとそのことに気づいてくれたんなら…いいよ…。私の方こそ…ごめん…。こなた…そんなつもりじゃなかったんだよね…それはわかってた…。私を楽しませようとしてくれてただけなんだよね…」 「謝らなくていいよ…。今回、悪かったのは全部私だし…。あのね、…かがみだからだよ…?私…かがみに笑ってほしかったから…やり方はちょっと間違ってたと思うけど…色々考えて…あっちこっち走り回って準備して…がんばったんだよ…」  こなたの思いが、ストレートに伝わってくる。  どうしてこれに気づけなかったのだろう。  ちょっと顔が赤くなってしまうのがわかる。 「…ありがと。まだ私の気持ちを本当に分かってくれたかどうかはわかんないけど…でもね、これからは…ちょっと…考えてみて…ほしいな…」 「え…じゃあ…これからも一緒にいても…」 「…いいよ…」  こなたにぱあっと笑顔が戻る。 「…ありがとう、かがみ…。もう、あんなことしないよ…。かがみのこと、もっと考えるようにするよ…。だって…かがみが…私の…一番大事な人なんだもん…」 「ふふ…そっか…光栄ね…。頼むわよ…」 「うん…」  桜の木に、月の光が当たっていた。  その日は綺麗な満月で、桜の花も白く、輝いて見えた。  私は、大事な人と一緒に、しばらくの間、桜に見入っていた。 8  結論から言うと、失敗だったのかもしれない。  次の日から、こなたは毎日家に遊びに来るようになった。  もうすぐ大学進学。確かに、二人とも進路は違うし、最後の思い出づくりだと考えればそれはそれでいいことだとも言えないでもない。  しかし…。 「かがみーん!ごはん何食べたーい?」 「かがみーん!マッサージしてあげるよー?」 「かがみーん!一緒にお昼寝しよー?」  …ずっとこの調子だ。  私の言葉をどう解釈したのか、私にべったりくっついて離れない。嫌ではないのだが…正直そろそろつかさを含め家族の視線が痛い。  でも、いつもとびっきりの笑顔をむけてくれるので、無下にするのもためらってしまう。  もしかすると、大学に入った後も来るつもりなのか?  それも、よりエスカレートしていって… 「かがみーん!ぎゅってだっこしてー?」 「かがみーん!あーんしてー?」 「かがみーん!一緒にお風呂入ろー?」  …とか言い出すようになったりするのだろうか…。  …いや、こんなことを考えてしまうあたり、もう私も毒されてるなのかもしれない…。  頼む。  まだ間にあう。  誰かなんとかしてくれ…。  外は相変わらず、桜が満開だった。  あの2本の桜の木も、きっと変わらず、咲き乱れているのだろう。  昨日みたのと同じように。  多分、明日も。明後日も。当分の間はね…。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3()
6-1 「ラストが田村さんとあんたか…」 「うん」 「あのさ、このラスト結構スレスレじゃなかった?今になって考えてみると不自然なとこっていうか、見破る方法はあったわよね」 「…んー…そうかな…」 「まあ、後から考えてだけどね」  私はちょっと頭を傾がせながら喋る。 「まず、つかさが死んだ次の日…かどうかはよくわかんないけど、日曜日、知らないメアドからメールがきて、私は学校に行った。このメールを出したのは?…といってももう二択だけど」 「ん?そうでもないよ?あれ私でもひよりんでもないんだよね。使ったのは私のパソコンだけど」 「ええ?じゃ誰よ?」 「それについては…後でまとめて説明するよ」  また後回しか…。大丈夫なんだろうな…。 「しょうがないわね…。だけどさ、気になってたんだけど、私が、私に何かあったときのためにって、こなたにメールするかもしれないじゃない。もう一パターンとして、私がこなたが犯人だと気づいていて、こなたに確認のためメールするかもしれない。いずれにせよ、こなたは自分のメアドを変えて私に送ったわけだから、私からはこなたにメールが届かないわけで…そうすとばれちゃわない?」 「いやいや、そこは問題ないよ。分からなかった?あれパソコンから送ったものだったんだよ?携帯だとメアドは一つしかないから変えちゃったら届かないけど、パソコンだと、プロバイダーによっては一台で100~300個くらいメアド持てるんだよね。フリーメールアドレスを利用するって手もあるし」 「へぇ…そうなんだ」 「うむ。だから、かがみが私のパソコンにメール送ってきてもちゃんと届いたよ。でも、どの道この時点だったら『私が犯人』までならギリギリおけー。それが全部ブラフだってとこまでわからなきゃ大丈夫。ま、つかさが死んで茫然自失状態のかがみだったらそこまで頭回んないだろうとは思ってたんだけどね」  この野郎。 「それで言われたとおり私は学校に行った。そしたら田村さんとあんたがいたんだけど…あんた、いつから学校にいたのよ?」 「へ?」 「だって確かに陵桜学園にはこなたの家の方が近いけど、うちとこなたの家って電車で10~15分くらいの距離じゃない。パソコンでメール出してから家出て学校行ったんじゃ、私と、電車の中とか降りてからとか、学校に着くまでの間に鉢合わせたりする可能性もあったでしょ?でも、さっきの話だと、メールを出したのはあんたじゃないってことになるから…」 「うんうん。あのメール出したときにはもう学校にいたよ」 「やっぱりか。じゃあ、結局メール出したのは?」 「メール出したはお父さん。皆が集合して準備全部できてからうちに連絡入れて、かがみにメールしてくれるように頼んだの」  よう考えるわ…。 6-2 「うん、メールについてはわかったわ。それで、屋上に田村さんがいて、田村さんが襲ってきた…って思ったんだけ、ど!」 「うわ、何?」  急に大声を出した私に、こなたがちょっと跳ねた。 「思い返してみればすぐにおかしいと思えるわよ。私ね、気絶する直前に、田村さんの姿を正面から見てるのよ。ハンカチは後ろからあてられたの。つまり、田村さんの他に私を気絶させた、共犯がいるってことじゃないの」 「そうだけど…」  なんだかこなたの歯切れが悪い。  ちょっと気になったが続けることにした。 「田村さんの表情に気を取られすぎたわ…。その後、あんたが田村さんを殺したって言ったけど、この時点で矛盾に気づくべきだった。日曜日の学校の屋上よ?人がいる方が不自然じゃない。私を呼び出したのが田村さんで、田村さんを殺したのがこなたなら、こなたはなんでそこにいたの?」 「…ん?」  こなたが首をひねった。 「ちょいと待った。ひよりんを私が殺した?」 「…え?」  こなたが妙なことを言い出した。 「違うの…?だってあのとき…『アンタが!?』ってきいたら『うん』って言ったじゃない」 「いや、それは、私がかがみを気絶させたの?って意味だと思った」 「『揉み合ってるうちに』って…」 「え、私とひよりんが、じゃなくて、かがみとひよりんが、ってことだったんだけど…」  話がかみ合わない。  どちらかが何かを勘違いしている? 「よく思い出してよ、かがみ。私、ひよりんを殺したなんて一言も言ってないよ?」  あのときのやりとりを思い返してみる。  そういえばそうだ。  状況からして、こなたが私を助けるために田村さんを殺したんだと思っていたが…こなた自身は「殺した」とは言っていない。  待ってよ…。  じゃあなぜ田村さんは死んでいたの…? 「あれ…ひょっとしてかがみ…わかってなかったの…?ひよりんを殺したのは…」  こなた以外の誰かが田村さんを殺した…。  あの場は日曜日の屋上だ。第三者がいたとは考えにくいし、何よりこなたの計画では、今まで全く出てこなかった人がいきなり登場して田村さんを殺した、でも犯人はこなただった、なんて展開がある筈がない。まさか成実さんが?いや、それでもおかしい。やっぱり日曜日の学校にわざわざ来ている意味が分からない。  だとすると…。  あの場にいたのは…。 「…私…?」  しかいない。 「うん。ひよりんを殺したのはかがみ…のつもりだったんだけど…」  目の前が一瞬暗くなった気がした。本気で意識が遠のきかけた。  頭をぶんぶん振って現実世界に戻ってくる。 「ありゃりゃ…わかってなかったのかー…。つかさが殺されて私が皆を殺した犯人、これでも十分ショックだと思うけど…まだショックの与え方ってあるじゃない?それは、かがみに殺人をやってもらうこと。それも故意じゃなくて事故で。これならかなりダメージあるでしょ」 6-3  こなたの言葉が遠くから聞こえてくる。  でも、これでやっとつながった。 「そうか…そういうことか…。私に土曜日の記憶がないのはそういうことか…」 「あ、思い出した?多分そうじゃないかなー…とは思ってたんだけどね」  私は、こなたに『アンタが!?』と問いかけたとき何を考えていた?もしかしたらこなたかもしれない…そうかもしれない…そうであってほしい…と心のどこかで願っていなかったか?自分が殺してしまった可能性から逃げていなかったか?目を背けていなかったか?  度重なる友人知人の殺害に、つかさの死亡、そんな不安定なときに、とどめに田村さんを殺してしまった罪悪感。  これが私の記憶を丸一日分吹っ飛ばした理由だったんだ。  そしてその後、私は私に都合のいいように解釈し、田村さんを殺したのはこなただと思い込んだ…。それなら納得がいく。  感情がとんでもない振幅の幅を示したのがわかったが、でもまだだ。まだ抑えろ。つっこんでないところが残ってる。全部、終わってからだ。  頭に冷水をぶちこむ。それも-273.15℃のやつ。  こなたの方は変わらず喋っている。 「でも、本当はこのラスト、私が殺した、でもよかったんだよね」  必死に普通の声を出す。 「…それだとさっきも言ったけどおかしいことになるでしょ。私を呼び出したのが田村さんで、田村さんを殺したのがこなたなら、こなたはなんでそこにいたの?」 「…あぅ…そうか…」 「私を呼び出したのがこなたでも同じことが言えるわね。日曜日の学校に田村さんがいる理由が分からない。とすると、こなたと田村さんは共犯。私を気絶させたのはこなたになるわね」 「なはは…おっしゃるとおりで…」 「にもかかわらず、こなたは田村さんを殺したと言う。共犯どうしで仲間割れしたとも考えられなくもないけど…こなた、田村さんは私を『犯人だと勘違いしてた』って言ったわよね。こなたが私を気絶させたのならこなたは田村さんに協力してたのに、田村さんは私を犯人だと勘違いしてた?おかしいじゃない。勘違いしてるってわかってる人にいったんは協力して、その後やっぱり殺したってことになる」 「ううう…」  チクショウ。あのときこれくらい頭が回っていればもっと違う結末も考えられたのに。  いや、でもそれはこなたが田村さんを殺した場合か。  結局あの状態の私ではとてもそこまで考えられなかったと思う。 「田村さんはいつから真相知ってたの?さっきの話だと、少なくともつかさが殺される前日には知ってたことになるけど」 「うん。ひよりんには最初っから教えてたよ。『罪の色』絡みで殺す予定にない人だったからね。演技も上手いし、裏方サポートに回ってもらったんだー」 「…あ、そういえば、みなみちゃんが殺されたとき、私を3階に引き止めてたのも田村さんよね。あれも意図的なもの?」 「うんにゃ。それは特に予定になかった。多分、ひよりんがその場で考えて自発的にやったことだと思う」 「そっか…。で、私を気絶させる必要はあったのか?」 「…うんと…」 「私が田村さんを殺した場合でも、こなたが私の目の前で田村さんを殺しても、もう真相はすぐに分かるんだし、私が気絶しなくても特に問題なかったんじゃ?」 「…んーそれはですなー…。一応、ひよりんは階段から落ちて死んだってことになってるから、かがみが気絶しててくれないと困るんだよ。さすがに本当に突き落とすわけにはいかないしね。私もかがみも突発的にひよりんを殺したわけだけら、人を殺せるような凶器を持ってるってのもおかしいし。あと、最後の演出のために、かがみがカードを持ってたら抜き取っておくのもあった。これは持ってなきゃ持ってないでよかったけど」 6-4  なんとか思考力が戻りかけてきた。  勿論感情を抑えきったわけではないが。 「ふーん、そういうこと…。あ、そういえば、あんた土曜日は何してたのよ?あの一週間に意味のない空白はなかったのに、土曜日だけ何もなかったじゃない」 「あー、それは私のミス。本当はラストを土曜日に実行する筈だったんだけど、かがみの家との連携が遅れちゃって…金曜日の夜になってから電話して、明日用事とかありませんかーってきいたら、土曜日はかがみを慰めるために家族皆で出かけるつもりだったんだけどって言われたんだよね…。真相は最初から皆知ってたんだけど、それが裏目に出ちゃって…」  そうだったっけ…?  土曜日のことは本当に思い出せない。  でもそういえばお母さんやいのりお姉ちゃんが部屋に来て何か言ってた…ような…? 「一日予備日をつくっておいてよかったよー。それに、土曜日が空いたおかげで細かいとこの打ち合わせとか、マットを準備する余裕とかができたしね。日曜日しくじったら後がないんですごいがんばったよ。ただ、かがみに考える時間をあげちゃったのはちょっとまずかったかなとは思ったけど」 「そうね。私がこなたが犯人だって見破ってる可能性はどれくらいあったと思う?」 「そうだねー、色々ヒント出しちゃったからねー…私が犯行を止めてほしいと思ってるって思わせるためとはいえ、ゲーム、カード、メイド喫茶、アキバ…どっかで気づいても不思議じゃないとは思ってた。ただまあ、つかさを殺す前に気づかれることだけは避けようとはしてたけどね。それ以降なら、すぐにラストまでもってけるからね。一番怖かったのはみゆきさんとゆーちゃんのときかなー。みなみちゃんのときは情報が少なすぎるからまず無理でしょ?黒井先生のときも多分まだ無理。でも、みゆきさんとゆーちゃんのときはかなり無理やり感があったからねー…。謎解き任せたのは、それから目を逸らす意味もあった。で次だけど、自分が狙われてるかもしれないって思わせるのと、私と一緒に『罪の色』探すことで、犯人探しをいったん中断させて、そんでつかさ殺して一気にラストと。だから、気づくとしたらみゆきさんとゆーちゃんの後か、情報が全部揃ったつかさの後かなー…って。可能性としては…どうだろう。つかさの後は、一日空いちゃったけどまあ大丈夫だと思った。かがみの様子からすると、頭全然動かせないみたいだったし。みゆきさんとゆーちゃんの後に気づかれる可能性は…30%くらいかなぁ?」 「でも、私が気づいたのはつかさの後だったけどね」 「そうなるよね。日曜日、少し前に気づいてたって言ってたもんね。つかさの前に気づいてたとしたら、犯人かもしれない私をつかさと二人きりになれる状況におくとは思えないからね。ギリギリ大丈夫だったけど…やっぱ綱渡りだったよー…」 「色々考えてみたからね。黒井先生のときの、つかさの台詞もヒントになったのよ」 「あー、あれね。あれはちょっと焦ったよ。でも、まさかあれくらいで感づきゃしないだろうと思ってたんだけどなー…。かがみ、よく覚えてたね」 「まあね。それで、一つずつ事件を考えていって、一番可能性のある人を考えてったらこなただったのよ」 「それでもつかさの後でしょ?立ち直れたの?」 「いや、ゲームとかカードがヒントかもしれないって思い当たってからは、頭がリセットされた感じになってね。それでなんとか考えられたんだけど…。でも、もうちょっと考えてみれば、ヒントにするにしても、カードはともかくゲームってのはねぇ?あんなゲーム、できる人なんてかなり限られてるじゃない?あれをヒントとして持ってきたってことは、こなたが犯人というより仕組んでるって可能性も考えられなくはなかったのかもね…」 「なんにしろ、私が犯人、までなら大丈夫だったんだよ。その先までヒントを出したつもりはなかったんだけどね…」  鳥の鳴く声が聞こえる。  頭上の、桜の木の枝にとまっているようだ。  なんという鳥なのかはわからない。ただ、短く、小さな声で囀っている。  きっと身体も小さな鳥なのだろう。  私は、少しの間、その声を聞いていた。 7-1 「うん、聞きたいことはこれで終わり」 「ふぃー…。やっと終わった?疲れたよー…」  こなたが大きく息をつく。心底疲れきった様子だった。  ちょっとは参っててくれないと困る。  用意してきたこなたの計画へのツッコミはだいたい出尽くした。やれやれ…本当にこいつは…。なんというか…。もう…。  さて、これからは、ちょっと別の時間だ。  私は、身体をこなたの方に向けた。 「こなた」 「あい?」  次の瞬間、私は全力を込めて、こなたの頬を平手打ちした。  パン、という乾いた音が響いた。  こなたの顔が、右に大きく振れる。  こなたは戸惑いの表情で私を見つめる。 「か、かがみ…?痛いよ…」  その声は、何が起こったかよくわからない、という感じだった。  頬は桜色に染まっている。  こなたの目に軽く涙が滲んでいた。 「あんたねぇ…あんたねぇ!自分が何をしたか分かってんの!?」  こなたは答えない。唇がふるふる震えていた。  でも、もう止められない。私は、自分の感情のままに叫んだ。 「私が!…どんな思いでいたか、想像できる!?あんたは仕掛ける側だったから別になんてことないでしょうけど…皆を殺されていった立場に立ってみなさいよ!友だちを殺してしまった立場に立ってみなさいよ!私が皆と一緒にいられた時間を、どれだけ大事に思っていたかなんて、あんたにはわかんないんでしょうね!…いや、わかってるからこそやったのよね!そうよね!」 「…かがみ…」  こなたはやっとそれだけ口にした。消え入りそうな声だった。 「あんたは、『ショッキングな事件』を起こしてみたい、そんな軽い気持ちで友だちの大事なものを平気で壊していける…そういうやつだったのよね!確かに『ショッキングな事件』を望んだのは私よ?でも、皆が死んでいって喜ぶと思うの?自分の手で殺して嬉しいと思うの?そんなこともわかんないわけ!?正直見損なったわよ!」  もう日が落ち始めていた。桜の花が、少し赤と黒を帯びたように見えた。  こなたの顔にも陰影ができる。 「つかさが殺されたとき…私がどれだけ泣いたと思う!?どれだけ悲しんだと思う!?生まれたときからずっと一緒だったあの子を失って…あの子は私を支えにしてくれてたけど、私だってあの子にすごく支えてもらってたもの!あんたは知らないでしょうけどね、一緒に学校に行って、一緒にお喋りして、一緒にご飯食べて、一緒に寝て…数え切れない思い出があるのよ?それを何?私にショックを与えられそうだから殺した?最低よ!」  こなたの目から涙がこぼれだしていた。  でも私の感情は収まってはくれなかった。  記憶がなくなるほどダメージを受けたのは、確かに引き金となったのは田村さんを殺してしまったことだろう。しかし、その前につかさが死んだこと。これが何よりも大きかった。 「私が寂しがるのをみて楽しかった?悲しむのをみて嬉しかった?シナリオが大成功してよかったわね!ええ、すっかりだまされたわよ!悲しかったよ!辛かったよ!あんたはそれでいいでしょうよ!死んじゃったお母さんまでダシにして、そうやって楽しんでればいいわよ!人の感情をおもちゃ代わりにせいぜい色々引き起こしていればいいよ!」 「かがみ…ごめん…」 「今さら謝るんじゃないわよ!ここまでやったんだから筋は通しなさいよ!それに、私が何も言わなければなんとも思わなかったんでしょ!?そんな程度の反省で、何かできるなんて思わないでちょうだい!」  桜の木が、風に揺れた。 7-2  少し、沈黙が訪れた。  静かに息を吐きながら、それを言う。 「私もう、あんた、いらない」  こなたが、びくっと震えた。 「聞こえた?私もう、あんたとは友だちやめる。これから先、一生私に顔見せないでくれる?メールも電話もしてこないで。大丈夫でしょ?あんたには私以外にも友だちだくさんいるものね。一人くらい減ったってちっとも寂しくなんてないでしょ?…返事しなさいよ!」  こなたがおずおずと口を開く。 「…かがみ…。私…ただ…かがみをちょっと驚かせたくて…」 「それが嫌だって言ってんのよ!なんにもわかってないわね!そんなちょっとした気持ちでみゆきを…つかさを…つかさを!軽々しく死んだことにしてしまえるようなやつと、一緒になんかいたくない!ほんとにもう私に関わるのはやめて。あんたと一緒にいると、私の大事にしたいものがどれだけ壊されるかわかったもんじゃないわ。いい?わかった?」  自分でも、自分の怒りがここまでのものだとは思っていなかった。でも、これは伝えなきゃならないことだ。  また少し沈黙が落ちる。  風が強くなってきた。桜の木が、ざわざわと音を立てる。  かすれた声でこなたが言う。 「ほんとに…ごめん…」 「あやまんなって言ってんでしょ!」 「…だけど…だって…私…。…最後に皆と一緒にかがみが笑ってくれればいいなって…それだけ考えて…。でも…やりすぎたよ…。ほんとにそう思ってるよ…。いつもかがみ…私が何しても最後には許してくれるから…かがみの気持ち…考えなくなってたのかも…」  こなたがしゃくりあげながら、少しずつ、言葉を押し出す。 「…だから何よ」 「…つ…かさ…まで…つかさまで…殺したのは…いけなかったよね…。かがみが本当に大事に思ってたのは…つかさだって…わかってたのにね…」 「つかさだけじゃないわよ!みゆきも!ゆたかちゃんも!みなみちゃんも!田村さんも!黒井先生も!皆よ!」 「うん…うん…そうだよね…わかってる…わかってるよ…」 「嘘だよね。わかってないよ、あんたは」  こなたの言葉を全否定する。頭の中で熱さと冷たさが混ざり合っている感じだ。 「…そんなことないよ…わかるよ…。私だって…皆と一緒にいた時間…すごく楽しかったもん…。皆がいなくなっちゃったら…寂しいもん…」 「わかるくせに人は平気で傷つけるのか?自分は全部知ってて、安全圏にいて、それで本気で悲しんでる人を見下ろしてたわけだよね?いい人間だよな、あんたは!」 「…違うよ…違うんだよ…」 「何が違うのよ」 「…私…かがみを傷つけたかったわけじゃないんだよ…。そんなことで楽しんでないよ…」 「あんたがどう思ってたかにかかわらず、私は悲しかったの!それで、もう二度とそんな思いをしたくないの!だからいなくなってよって言ってんの!わかる?」  このままこなたに怒りをぶつけ続けても、収まりそうもない。  どうすればいいんだろう。 「…私…ほんとうにただ…いつもの感じで…かがみと一緒に…笑いたかっただけ…。なんにも考えてなくて…かがみがそんなに悲しむとは思わなくて…」 「だから嫌なのよ」 「…あの…でもね…かがみは私がいなくなってもなんとも思わないかもしれないけど…私はかがみとお話できなくなったら…すごく悲しいんだよ…すごく寂しいんだよ…。自分勝手かもしれないけど…。かがみがつかさを失ったときの気持ち…だから…わかるよ…。つかさにはかなわないと思うけど…かがみとの思い出…いっぱいあるもん…」 7-3  こなたが、真っ赤になった目を、真っ直ぐにこちらに向ける。 「…宿題、みせてもらいに、家に何回も行ったよね…。…お昼、お弁当、一緒に食べにきてくれたよね…。…寄り道に、いっぱい、つき合ってくれたよね…。…家に、遊びに来てくれて、一緒にゲームしたよね…。…かがみとつかさの誕生日、皆で、お祝いしたよね…。…バレンタインに、チョコ、くれたよね…。海に行ったよね…。…花火大会に行ったよね…。コミケ行ったよね…。お祭に行ったよね…。それに…この公園で、お花見、したよね…。全部全部…かがみとの…大事な思い出だよ…」  こなたの瞳を見つめる。  さっきからずきずきと痛むところがある。  なんだろうと思ってちょっとこなたから視線を外す。  桜の木の合間から、長い髪の小さい少女が見えた。髪を二つに結わえた、隣の少女より頭一つ分くらい高い、少女が見えた。ショートカットで、リボンをつけた少女が見えた。ふわふわした髪の、眼鏡をかけた少女が見えた。4人は何か話しながらゆっくりと歩いている。何を話しているのかは聞こえないが、雰囲気は伝わってきた。長い髪の少女が笑っている。背の高い少女が呆れている。リボンの少女が慌てている。眼鏡の少女がなだめている。とても、仲がいいんだな、と思った。  こなたに視線を戻す。こなたはまだ涙をぽろぽろ流しながら、私をじっと見ていた。  こなたの顔に目がいくと、痛みが突然倍加した。  頭の中の熱が、一気に引いた気がした。  そうだ。  怒りのあまりちょっとだけ忘れてたことがある。  それも伝えなきゃ。  こなたが本気で許せないのはまだ変わらない。  それでも。  その両方を伝えることが目的だったわけだしね。  私は口を開く。 「こなた」 「…なに?」 「私はあんたが嫌いよ」 「…うん。わかってる」 「人の気持ち考えないし、大事なものは平気で壊すし、しかもそのことに気づいてないし」 「…うん」 「やっぱりあんたはまだ私の気持ち、わかってないと思う」 「…」  こなたは押し黙る。 「私が大事だって思ってるもの、なんだかわかる?」 「…それは…皆…だよ…」 「それは誰のこと?」 「…つかさ…みゆきさん…ゆーちゃん…みなみちゃん…ひよりん…黒井先生も…かな…」 「うん、そうね。まあ、私には他にも友だちいるし、家族も大事だけど。でもね、まだこなたが挙げてないけど、失いたくない、大事な人っているよ」 「…そうなんだ…」  こなたが私を見つめている。  私もこなたをじっと見る。 「それはね…こなた…あんたよ」 「…え…?」 7-4  こなたの瞳が、ちょっと揺れる。 「あんたが犯人だってわかって…私がどんな気持ちになったかわかる?あんたが屋上から飛び降りて…どんな気持ちになったかわかる?…わかんないわよね」 「…え…えと…」 「私、あんたが犯人だってわかって、まず悲しかったよ。それまではつかさを殺した犯人を捕まえたら殺してやろうと思ってたけど、あんただとわかったら、その憎しみもすぐ消えていったよ。今まで一緒に過ごしてきた時間が、ただ懐かしくてね…。つかさと一緒にいた時間とどっちが大事かなんて比較はできないけど、あんたと一緒にいた時間は…私の中でも、大事な思い出だよ」 「…かがみ…」 「あんたが屋上から飛び降りたときは、とにかく怖かった。もうこれ以上大事なものを失いたくなくて、ただただ、怖かった。…あんたが何事もなかったかのようにまた出てきたときは、呆れるより、怒るより、ほんとうに、嬉しかったよ」 「…そっか…」 「でも、だからこそ、後になってあんたを許せなくなってね。つかさたちを殺して回ったのもそうだけど、あんた自身、自分がどれだけ大事に思われてるかわかってない。あんたがそういうことするのがどれだけ悲しみを与えるのかわかってない。そこがどうしようもなくむかついて…。この先、あんたこのままだったら、私以外の人にも同じ思いさせそうだし…。だから、それだけは伝えておきたかったのよ」  こなたはもう泣いていなかった。ただ、真剣な眼差しを、こちらにむけていた。 「こなた…だから、もう、あんなこと、しないで…」  でも、今度は私の目から、涙がこぼれた。  絶対泣かないつもりだったのに。 「本当はね、不安だったのよ…。こなた、私の気持ちになんか全然気づかないから…こなたと一緒にいると…いつまた壊されるかって…。だったらもう最初からいない方がいいかもって…それで苛立ちも手伝ってひどいこと…言っちゃって…。こなたぁ…」  涙はあとからあとからあふれ出て、止まらなかった。  同時に感情の制御もできなくなっていた。 「かがみ…。謝っても…いい?」 「うん…」 「かがみ…。本当に…ごめん…。かがみの気持ち…大事なもの…気づかないで…全部壊しちゃって…ごめん…」 「うん…。こなたが、ちゃんとそのことに気づいてくれたんなら…いいよ…。私の方こそ…ごめん…。こなた…そんなつもりじゃなかったんだよね…それはわかってた…。私を楽しませようとしてくれてただけなんだよね…」 「謝らなくていいよ…。今回、悪かったのは全部私だし…。あのね、…かがみだからだよ…?私…かがみに笑ってほしかったから…やり方はちょっと間違ってたと思うけど…色々考えて…あっちこっち走り回って準備して…がんばったんだよ…」  こなたの思いが、ストレートに伝わってくる。  どうしてこれに気づけなかったのだろう。  ちょっと顔が赤くなってしまうのがわかる。 「…ありがと。まだ私の気持ちを本当に分かってくれたかどうかはわかんないけど…でもね、これからは…ちょっと…考えてみて…ほしいな…」 「え…じゃあ…これからも一緒にいても…」 「…いいよ…」  こなたにぱあっと笑顔が戻る。 「…ありがとう、かがみ…。もう、あんなことしないよ…。かがみのこと、もっと考えるようにするよ…。だって…かがみが…私の…一番大事な人なんだもん…」 「ふふ…そっか…光栄ね…。頼むわよ…」 「うん…」  桜の木に、月の光が当たっていた。  その日は綺麗な満月で、桜の花も白く、輝いて見えた。  私は、大事な人と一緒に、しばらくの間、桜に見入っていた。 8  結論から言うと、失敗だったのかもしれない。  次の日から、こなたは毎日家に遊びに来るようになった。  もうすぐ大学進学。確かに、二人とも進路は違うし、最後の思い出づくりだと考えればそれはそれでいいことだとも言えないでもない。  しかし…。 「かがみーん!ごはん何食べたーい?」 「かがみーん!マッサージしてあげるよー?」 「かがみーん!一緒にお昼寝しよー?」  …ずっとこの調子だ。  私の言葉をどう解釈したのか、私にべったりくっついて離れない。嫌ではないのだが…正直そろそろつかさを含め家族の視線が痛い。  でも、いつもとびっきりの笑顔をむけてくれるので、無下にするのもためらってしまう。  もしかすると、大学に入った後も来るつもりなのか?  それも、よりエスカレートしていって… 「かがみーん!ぎゅってだっこしてー?」 「かがみーん!あーんしてー?」 「かがみーん!一緒にお風呂入ろー?」  …とか言い出すようになったりするのだろうか…。  …いや、こんなことを考えてしまうあたり、もう私も毒されてるなのかもしれない…。  頼む。  まだ間にあう。  誰かなんとかしてくれ…。  外は相変わらず、桜が満開だった。  あの2本の桜の木も、きっと変わらず、咲き乱れているのだろう。  昨日みたのと同じように。  多分、明日も。明後日も。当分の間はね…。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - コメントありがとうございます。こなかがBBSの「こなかが絵師+職人雑談スレッド」に回答を載せておきましたので、よろしければご覧下さい。 -- j (2009-04-17 23:04:00) -  みゆきに計画がばれるのを警戒するんなら &br() 最初から手伝ってもらえばいいとか &br() 人が死んだら葬式とかが行われるのにそれが行われないことに誰も疑問を持たないことや &br() 実際に死んだにせよ死んだふりにせよそれが噂にならないはずがないのにそんな噂を全く聞かなかった事 &br() こなたたちやひなたさんの働いているお店の人たちがあんな計画を許す事 &br() &br() かがみは計画の粗さじゃなくて計画が発生する事に疑問を持つべきだったな &br() &br() もしかして何か超常的なものがかがみを後追い自殺させるためにこなたたちを使ってあんなことをさせたのかもしれない &br() &br()と思う &br() -- 名無しさん (2009-04-16 01:07:16) - 洞察力が凄い・・・ &br()後半の流れも良かったです。 &br()いくら冗談とは言えショックだし普通怒るよなと思いながら読んでましたので。>小説版 &br()GJでした! -- 名無しさん (2009-03-24 00:52:53) - そこまで深く考えてなかった……不覚……… -- 名無しさん (2009-03-23 22:24:35) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください。 コンペでの得票とは関係がありません ) #vote3(8)

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