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あいうぃっしゅ - (2011/05/14 (土) 01:41:06) の最新版との変更点

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「んー……あ、あれ」 目覚ましの音に夢の世界から連れ戻され、布団から出ようと思ったのに起き上がれない。 以前の私ならいざ知らず、きちんと起きる習慣の身に着いた今はこの暖かさが魔力とかそんなんじゃなくて。 物理的にどうも体が拘束されてるみたいだった。 「かがみ、起きてよ。朝だし、私動けないし」 抱き締められている、というよりはのしかかってきているかがみを起こそうと試みる。 初めの頃はこうして一つのベッドに二人で寝るのすら恥ずかしかったものだけど。 今ではめちゃくちゃ気持ちよさげに寝ているかがみの寝顔を寝起きにドアップで見ても溜め息が出てしまうほどだから不思議だ。 しかしこの人は眠ったまま私を離してくれないね。 つかさをよく起こしてあげていたという話からして目覚めはいいほうだと思うのに、どうしてだろう。 一応、安眠妨害を承知で強引に起こすことも、無理やりにでも脱出することは可能だ。 そうしないのは少なからずこのままでいいやって思ってる自分がいるわけで。 「かがみぃ、起きてってば。……重いから」 「う、ぅーん……」 ちょっろっと禁句ワードを出したらたまたまかがみが寝返りをうって私の上から退いてくれた。 ふぃ、やっと出れたよ。 時計を見ると予定より数分ばかし遅れた程度。合格点。 当り前だけど二人だけしかいない寝室で、特別何も変わってたことなどないに決まってる。 振り返ってかがみを見てみる。相変わらず熟睡してますね。 なぜかさっきまでの笑顔が消えて時々ウンウン唸っているんだけど、悪い夢でも見てるのかな。 ま、今は無理に起きなくていいからゆっくり休んでてよ。 静かな部屋に小さくおやすみと残してあとにした。 顔を洗ったあと、今私はキッチンに立っています。 朝ご飯作らなきゃいけないから。エプロンをつけて……残念ながら制服エプロンじゃないけどね。 というかもうあの制服も普段着ることはないし。 しばし朝食の献立を思案。とは言っても柊家では家が神社の割に朝は洋風が主だったようで、あえて私は手間のかかる和風を好んでいる。 理由は簡単、毎朝嫁が作った味噌汁を啜るのが日本の食卓ってものじゃないか。 「ぷっ、かがみは私の嫁って言ってたのどこのどいつだったっけなぁ」 半分くらいネタとして使っていた愛情表現がさ、いつの間にかリアルになっちゃってさ。 最初はあんまり女の子女の子って感じなのは私に似合わないし、抵抗もあったりなかったり。 でもかがみは家事が不得手というかわいい欠点を持っているのは現実問題厳しいわけで。 それに食べることが好きなかがみの喜ぶ顔を見れば、こういう役回りも案外悪くないもんだね。 じーっと火のかけてある小さな鍋を見つめながら。 チンと小気味いい音が響いた。 電子レンジから取り出したるは若鶏の唐揚げ。昨日の晩遅く安売りしていたので買いだめしておいたそれから。 別に少しくらい手抜きしたっていいじゃんね。主婦は忙しいのさ、って私まだ大学生だし。 ご飯とお味噌汁と少々お漬物も一緒にテーブルに並べる。良い感じに湯気がこうモクモクと。 時計を確認するともういい時間になっていた。かがみを起こしに行きましょうかね。 あ、私まだ着替えてなかったっけ。ま、いっか。 「起きてかがみ。朝ご飯できたよ」 小さな規則正しい寝息が聞こえるばかり。眠り姫は一向に目を覚まさない。 何度か肩を揺すってみても鬱陶しそうに寝返りをうって逃げていく。愛しの旦那様は寝相がなかなかによくないみたいだ。 ……どっちだっていいんだよ、もう。 こんなにかわいくて綺麗で凛々しくてかっこいい女の子を何と申せばいい。 まるで誘っているようにわずかに開いた唇が憎々しいよ。 不意打ちは私の最も得意とするところ、だから。 ちゅ、っと軽く唇を触れさせた。ちなみに目は閉じない。 頑なに閉じられていた目がゆっくりと開かれて、私は重ねた状態そっとから離れていく。 「ぁ……こな、た?」 「おはようかがみ」 「ん、おはよ」 ぼんやりとした様子で小さく欠伸も漏らすかがみ。きっとキスされたことはわかってないんだろうね。 教えてあげたらかがみのことだから真っ赤になってかわいいところが見られるだろうけど、あえて私はそれをしない。 私からのキスは特別なのだよ。 ま、付き合いだしてから思いの外デレた時のかがみが手ごわくて悔しいからってのもあるんだけどさ。 いつも通りにかがみを食卓へと急かす。 着替えとか後でいいじゃん。私もこのカッコだし。 「もうできてるの? 朝ご飯」 「もちろん。ささ、冷めないうちに食べようね」 「……そうね」 機嫌が悪いというほどじゃないけど、朝特有にローテンションなかがみ。 「個人的にはあんたって朝全くダメなもんだと思ってたんだけど」 「んにゃ、朝がっていうより単純に寝るのが遅かったからかな。最近はそんなに夜更かししてないし」 厳しい監視の目が光ってるからネ。 それに「一緒に寝よ?」って甘えてくるかがみがかわいいのなんの。断れるはずないって。 こういう朝の無防備な感じのかがみを見れるのも私だけの特権だね。 どんな時できっちりしているこの人の、普段はまとめている髪も少し寝癖が目立ってたり。 前にも思ったことだけど、かがみは髪を下ろしているといつもよりちょっぴり大人っぽく見えるな。 「どうかした?」 「えっ、な、なんでもないよ」 ありのままのキミが好き──なんてよくいったもんだねと。 この家は大して広いわけでもないのでいつまでもおしゃべりしているわけにはいかなくて。 出来立ての朝食を見てかがみは小さな溜め息をつく。 「なんにしてもこなたが料理できて助かるわー。こういう光景が毎日見られるのってなんか……安心する」 ドモドモ。でも、あんまりデレた発言されると対応に困るのでほどほどにお願い。 実家にいた頃はそれが普通で、ゆーちゃんには尊敬の眼差しで見られたけど、そういう風に考えることもなかったわけで。 だからかがみに素直に褒められると照れくさくてしょうがない。 かがみを早く席に促して私も向かいに座る。 「いただきます」 合掌したらかがみがご飯を口に運ぶのを見て私もやおら箸を動かす。 今さら味がどうのこうのって思わないけど、まぁ、一応上出来だ。 しばらくの間は無言の行。 一旦箸を休めてお椀を持ってお味噌汁を啜ると、向かいからもずずっと音が聞こえてきた。 親父っぽいかもだけど「あったまるね」と投げかける。 案の定「年寄りくさいぞ」って返ってきたけど本当のことだもん。 だいたい同じくらいに食べ終えてお茶を飲む。あ、どうせなら熱いのにしておけばよかったよ。 「ごちそうさまでした」 「ごちそうさま。……美味しかったわ、こなた」 「どういたしまして」 「あ、洗い物なら私がやっとくからくつろいでなよ」 さりげないそう言うところがいかにも優しいかがみらしい。 まさか皿を割るなどというレベルの不器用なことはないし、お言葉に甘えてテレビでも眺める。 かがみが食べることが好きだというのは昔から知っていることだけど、そのかがみが美味しいって言ってくれるのなら。 つかさほどじゃないけど作ってよかったなって感じたりしていた。 小難しい政治の話とか、連日のように起こる犯罪とか、どうでもいいニュースばかり右から左へと流れていく。 この生活を始めてやっとこさ一ヶ月弱過ぎたところ。 まぁ、当初ほどは確かにだいぶ気が緩んできたこともあるけれど、マンネリって言うほどでもなく。 思っていた以上に暮らしぶりは順調そのものだ。 テレビの音声よりも小さな水音に耳を澄ませながら、今日という一日を始めていく。 「かがみは今日どんな感じだったっけ?」 「相変わらずびっしり埋まってるわよ」 かがみの通う大学は私みたいなお気楽大学生とは違って週に自主的休暇を作る暇などないみたいだった。 曲がりなりにも進学校の高校を卒業して、みゆきさんみたいに本気で医者を目指している友達もいる私だけど、人生ヒトそれぞれってことで。 「じゃあ、帰ってくるのも遅そうだね」 「そうなるわね。もう少し余裕を作ってバイトしたいんだけど」 「ダメだよ。そんなことしたら身体壊しちゃう」 わかってるって、と笑顔のかがみが近づいてくる。 お金のことはお互いに親がいて支えてくれているんだし。 それに私も暇な時にはバイトに精を出しているんだから、かがみがそこまで気にする必要はないんだ。 「心配してくれているのね、こなた」 「当り前じゃん。毎晩睡眠時間削って勉強してるんだもん、心配するよ」 ふわっと、甘い香りが私を包む。 「大丈夫、絶対倒れたりしないから。……それに」 「それに……なに」 「将来こなたを守っていくためにも、今頑張るのよ」 「う、ん……」 首のあたりに柔らかな何かが触れた。 微かな電流が私の体の中を巡る。 かがみの腕の中はあたたかくてとても気持ちがいい。 「そういえば、かがみが家を出るのって、いつ頃だっけ」 「まだ一時間以上あるかしら」 お弁当は30分くらいあればどうにかなると思う。 かがみはきっちりさんだから出かける前の準備は色々とかかるかもしれないけど、たぶんどうにかなる。 というかさ、綺麗なかがみを見るのはもちろん好きなんだけど、他の人も見てるんだって思うと気が気でないというか。 以前そんなこと話したらメイクご指導とかなんとか、弄られる羽目になっちゃったんだけど。 とにもかくにも今しばらくは時間に余裕があるってことで、さ。 「ねぇ、もう少しこのままでも、いいかな」 「当然──」 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 良すぎて &br()鳥肌が立った -- 名無しさん (2011-05-14 01:41:06) - なんか癒される内容です、素晴らしい! -- 白石 (2010-04-01 10:48:25) - ほわぁ~ &br() &br()いやされる作品だなぁ -- 白夜 (2010-03-01 21:29:47) - 癒された! -- (*´ω`*) (2010-02-18 14:11:04) - 2人の生活が目に浮かぶようです。 マンネリ?いえいえ、それが良いのです。歌にもあるでしょ『何でも無い様な事が幸せだったと思う』って、古~!! -- kk (2010-02-09 20:52:06) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(8)
「んー……あ、あれ」 目覚ましの音に夢の世界から連れ戻され、布団から出ようと思ったのに起き上がれない。 以前の私ならいざ知らず、きちんと起きる習慣の身に着いた今はこの暖かさが魔力とかそんなんじゃなくて。 物理的にどうも体が拘束されてるみたいだった。 「かがみ、起きてよ。朝だし、私動けないし」 抱き締められている、というよりはのしかかってきているかがみを起こそうと試みる。 初めの頃はこうして一つのベッドに二人で寝るのすら恥ずかしかったものだけど。 今ではめちゃくちゃ気持ちよさげに寝ているかがみの寝顔を寝起きにドアップで見ても溜め息が出てしまうほどだから不思議だ。 しかしこの人は眠ったまま私を離してくれないね。 つかさをよく起こしてあげていたという話からして目覚めはいいほうだと思うのに、どうしてだろう。 一応、安眠妨害を承知で強引に起こすことも、無理やりにでも脱出することは可能だ。 そうしないのは少なからずこのままでいいやって思ってる自分がいるわけで。 「かがみぃ、起きてってば。……重いから」 「う、ぅーん……」 ちょっろっと禁句ワードを出したらたまたまかがみが寝返りをうって私の上から退いてくれた。 ふぃ、やっと出れたよ。 時計を見ると予定より数分ばかし遅れた程度。合格点。 当り前だけど二人だけしかいない寝室で、特別何も変わってたことなどないに決まってる。 振り返ってかがみを見てみる。相変わらず熟睡してますね。 なぜかさっきまでの笑顔が消えて時々ウンウン唸っているんだけど、悪い夢でも見てるのかな。 ま、今は無理に起きなくていいからゆっくり休んでてよ。 静かな部屋に小さくおやすみと残してあとにした。 顔を洗ったあと、今私はキッチンに立っています。 朝ご飯作らなきゃいけないから。エプロンをつけて……残念ながら制服エプロンじゃないけどね。 というかもうあの制服も普段着ることはないし。 しばし朝食の献立を思案。とは言っても柊家では家が神社の割に朝は洋風が主だったようで、あえて私は手間のかかる和風を好んでいる。 理由は簡単、毎朝嫁が作った味噌汁を啜るのが日本の食卓ってものじゃないか。 「ぷっ、かがみは私の嫁って言ってたのどこのどいつだったっけなぁ」 半分くらいネタとして使っていた愛情表現がさ、いつの間にかリアルになっちゃってさ。 最初はあんまり女の子女の子って感じなのは私に似合わないし、抵抗もあったりなかったり。 でもかがみは家事が不得手というかわいい欠点を持っているのは現実問題厳しいわけで。 それに食べることが好きなかがみの喜ぶ顔を見れば、こういう役回りも案外悪くないもんだね。 じーっと火のかけてある小さな鍋を見つめながら。 チンと小気味いい音が響いた。 電子レンジから取り出したるは若鶏の唐揚げ。昨日の晩遅く安売りしていたので買いだめしておいたそれから。 別に少しくらい手抜きしたっていいじゃんね。主婦は忙しいのさ、って私まだ大学生だし。 ご飯とお味噌汁と少々お漬物も一緒にテーブルに並べる。良い感じに湯気がこうモクモクと。 時計を確認するともういい時間になっていた。かがみを起こしに行きましょうかね。 あ、私まだ着替えてなかったっけ。ま、いっか。 「起きてかがみ。朝ご飯できたよ」 小さな規則正しい寝息が聞こえるばかり。眠り姫は一向に目を覚まさない。 何度か肩を揺すってみても鬱陶しそうに寝返りをうって逃げていく。愛しの旦那様は寝相がなかなかによくないみたいだ。 ……どっちだっていいんだよ、もう。 こんなにかわいくて綺麗で凛々しくてかっこいい女の子を何と申せばいい。 まるで誘っているようにわずかに開いた唇が憎々しいよ。 不意打ちは私の最も得意とするところ、だから。 ちゅ、っと軽く唇を触れさせた。ちなみに目は閉じない。 頑なに閉じられていた目がゆっくりと開かれて、私は重ねた状態そっとから離れていく。 「ぁ……こな、た?」 「おはようかがみ」 「ん、おはよ」 ぼんやりとした様子で小さく欠伸も漏らすかがみ。きっとキスされたことはわかってないんだろうね。 教えてあげたらかがみのことだから真っ赤になってかわいいところが見られるだろうけど、あえて私はそれをしない。 私からのキスは特別なのだよ。 ま、付き合いだしてから思いの外デレた時のかがみが手ごわくて悔しいからってのもあるんだけどさ。 いつも通りにかがみを食卓へと急かす。 着替えとか後でいいじゃん。私もこのカッコだし。 「もうできてるの? 朝ご飯」 「もちろん。ささ、冷めないうちに食べようね」 「……そうね」 機嫌が悪いというほどじゃないけど、朝特有にローテンションなかがみ。 「個人的にはあんたって朝全くダメなもんだと思ってたんだけど」 「んにゃ、朝がっていうより単純に寝るのが遅かったからかな。最近はそんなに夜更かししてないし」 厳しい監視の目が光ってるからネ。 それに「一緒に寝よ?」って甘えてくるかがみがかわいいのなんの。断れるはずないって。 こういう朝の無防備な感じのかがみを見れるのも私だけの特権だね。 どんな時できっちりしているこの人の、普段はまとめている髪も少し寝癖が目立ってたり。 前にも思ったことだけど、かがみは髪を下ろしているといつもよりちょっぴり大人っぽく見えるな。 「どうかした?」 「えっ、な、なんでもないよ」 ありのままのキミが好き──なんてよくいったもんだねと。 この家は大して広いわけでもないのでいつまでもおしゃべりしているわけにはいかなくて。 出来立ての朝食を見てかがみは小さな溜め息をつく。 「なんにしてもこなたが料理できて助かるわー。こういう光景が毎日見られるのってなんか……安心する」 ドモドモ。でも、あんまりデレた発言されると対応に困るのでほどほどにお願い。 実家にいた頃はそれが普通で、ゆーちゃんには尊敬の眼差しで見られたけど、そういう風に考えることもなかったわけで。 だからかがみに素直に褒められると照れくさくてしょうがない。 かがみを早く席に促して私も向かいに座る。 「いただきます」 合掌したらかがみがご飯を口に運ぶのを見て私もやおら箸を動かす。 今さら味がどうのこうのって思わないけど、まぁ、一応上出来だ。 しばらくの間は無言の行。 一旦箸を休めてお椀を持ってお味噌汁を啜ると、向かいからもずずっと音が聞こえてきた。 親父っぽいかもだけど「あったまるね」と投げかける。 案の定「年寄りくさいぞ」って返ってきたけど本当のことだもん。 だいたい同じくらいに食べ終えてお茶を飲む。あ、どうせなら熱いのにしておけばよかったよ。 「ごちそうさまでした」 「ごちそうさま。……美味しかったわ、こなた」 「どういたしまして」 「あ、洗い物なら私がやっとくからくつろいでなよ」 さりげないそう言うところがいかにも優しいかがみらしい。 まさか皿を割るなどというレベルの不器用なことはないし、お言葉に甘えてテレビでも眺める。 かがみが食べることが好きだというのは昔から知っていることだけど、そのかがみが美味しいって言ってくれるのなら。 つかさほどじゃないけど作ってよかったなって感じたりしていた。 小難しい政治の話とか、連日のように起こる犯罪とか、どうでもいいニュースばかり右から左へと流れていく。 この生活を始めてやっとこさ一ヶ月弱過ぎたところ。 まぁ、当初ほどは確かにだいぶ気が緩んできたこともあるけれど、マンネリって言うほどでもなく。 思っていた以上に暮らしぶりは順調そのものだ。 テレビの音声よりも小さな水音に耳を澄ませながら、今日という一日を始めていく。 「かがみは今日どんな感じだったっけ?」 「相変わらずびっしり埋まってるわよ」 かがみの通う大学は私みたいなお気楽大学生とは違って週に自主的休暇を作る暇などないみたいだった。 曲がりなりにも進学校の高校を卒業して、みゆきさんみたいに本気で医者を目指している友達もいる私だけど、人生ヒトそれぞれってことで。 「じゃあ、帰ってくるのも遅そうだね」 「そうなるわね。もう少し余裕を作ってバイトしたいんだけど」 「ダメだよ。そんなことしたら身体壊しちゃう」 わかってるって、と笑顔のかがみが近づいてくる。 お金のことはお互いに親がいて支えてくれているんだし。 それに私も暇な時にはバイトに精を出しているんだから、かがみがそこまで気にする必要はないんだ。 「心配してくれているのね、こなた」 「当り前じゃん。毎晩睡眠時間削って勉強してるんだもん、心配するよ」 ふわっと、甘い香りが私を包む。 「大丈夫、絶対倒れたりしないから。……それに」 「それに……なに」 「将来こなたを守っていくためにも、今頑張るのよ」 「う、ん……」 首のあたりに柔らかな何かが触れた。 微かな電流が私の体の中を巡る。 かがみの腕の中はあたたかくてとても気持ちがいい。 「そういえば、かがみが家を出るのって、いつ頃だっけ」 「まだ一時間以上あるかしら」 お弁当は30分くらいあればどうにかなると思う。 かがみはきっちりさんだから出かける前の準備は色々とかかるかもしれないけど、たぶんどうにかなる。 というかさ、綺麗なかがみを見るのはもちろん好きなんだけど、他の人も見てるんだって思うと気が気でないというか。 以前そんなこと話したらメイクご指導とかなんとか、弄られる羽目になっちゃったんだけど。 とにもかくにも今しばらくは時間に余裕があるってことで、さ。 「ねぇ、もう少しこのままでも、いいかな」 「当然──」 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-21 08:11:58) - 楽しい生活 -- かがみんラブ (2012-09-16 21:43:34) - 良すぎて &br()鳥肌が立った -- 名無しさん (2011-05-14 01:41:06) - なんか癒される内容です、素晴らしい! -- 白石 (2010-04-01 10:48:25) - ほわぁ~ &br() &br()いやされる作品だなぁ -- 白夜 (2010-03-01 21:29:47) - 癒された! -- (*´ω`*) (2010-02-18 14:11:04) - 2人の生活が目に浮かぶようです。 マンネリ?いえいえ、それが良いのです。歌にもあるでしょ『何でも無い様な事が幸せだったと思う』って、古~!! -- kk (2010-02-09 20:52:06) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(22)

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