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「お待たせ、帰ろう」 「遅いよ、かがみん」 「HRが長引いちゃって…」 今日もいつも通りの放課後で、いつも通りにみんなで帰宅。 これが、私の毎日なんだ。 「テストまでもう少しね」 「そうですね。今回も頑張らないといけませんね」 「はぅ~…」 かがみは勉強の話ばかり。私とつかさは似たもの通しで、そんな話は嫌いだ。 「も~、かがみは。毎度毎度気分を萎えさせるんだから…」 「なによ、たまには私に勝つくらいの勢いで頑張りなさいよ」 「えー、無理だよ~」 そんなの不可能に決まってるから。 私じゃ、かがみになんてかなわないよ。 「あ、本屋さんに行きたいんだけど…みんなつきあってくれない?」 思い出した。今日は新刊の発売日。 「あ、ごめんこなちゃん…今日は早く帰らないとなんだ」 「すみません、私もこの後歯医者さんに行かなければ…」 なんと、残念。みんなで行きたかったな。 「かがみは…?」 「私は別に平気よ」 「よかった♪」 一人じゃ寂しいもんね。 私はかがみと二人で本屋へ向かい、お目当ての本を買った。 「いや~、買えてよかったよ。…かがみは何買ってたの?」 「私は新しいラノベよ」 「へぇ~……」 思わずニヤニヤしちゃうヨ。 「な、何よ。何でそんなニヤけてるのよ」 えー?だって… 「最近ますますオタク化進行してるね♪」 「はぁ!?」 「いやいや、目に見える進展ぶりだよ」 「私は違うわよ!」 そんな否定しなくてもわかってるよ。 だけどそんなに向きになるとかえって怪しいよ? まあ、そこがかがみらしいというか何というか。 私たちは帰路に就いた。 二人して、歩いてた。 他愛のない話しながら。 楽しかった。 笑いあえたし、からかいあえた。 幸せだった。 朝。 「おはよ、かがみんとつかさ」 「おはよー、こなちゃん」 「おはよ、こなた…」 心なしか、2人は元気のないようにみえた。 気のせいだと思ったけど、なにかあったのって聞いた。 でも2人は何もないって言った。 かがみはどうしてか、私と顔をあわせない。つかさはというと… 「…ぐすっ、…」 「…!?なんで急に泣いてるのさ!?なんか、酷いことされた…!?」 「…こ、こなちゃん…あのね、じ、実はね…」 「こら、つかさ!!い、言わなくて…いいの!」 かがみまでなぜか目に涙を溜めていて。 「やっぱりなんかあったでしょ!?2人とも…隠さないでよ…」 悲しかった。一番の仲良しである2人に隠し事されたことが。 悲しかったら一緒に悲しみたい。 楽しければ一緒に笑いあいたい。 2人は私にとって、そんな関係だから。 「…後で必ず話すから」 「後っていつさ」 「…放課後、みゆきもいるときに」 なぜか、嫌な予感がした。 嫌な考えがよぎった。 ◇◇◇ 放課後、喫茶店。 4人座れるボックス席に、私とみゆきさんが隣。相向かい側にかがみとつかさ。 注文は適当だった。 つかさはもう泣くのを堪えてしかいなくて、かがみも目が赤かった。 私とみゆきさんは口を開くことができない。いつものように、話ができない。 適当に注文したジュースが届いて、そして、かがみが重い口を開いた。 ◇◇◇ 私は帰宅して、真っ先にシャワーを浴びた。 ただいまとお父さんにも告げず、一目散に。 熱いお湯を頭からかぶり、しばらくずっとそうしてた。 「…うぅ…ひっく、か…がみ……つか、さ……」 お父さんやゆーちゃんに聞かれないように、声を殺した。 「…冗談だよね?」 と私。 「…つかさが泣くのを冗談だと思う?」 とかがみ。 「……ううん」 今さっきのやりとりが蘇る。 熱いお湯のなか、溢れ出す。 「…いつなのさ、それって……」 「…テストが終わって一週間後…」 「……急だね」 まるでそれはゲームの中の出来事だったから。 小説のような、展開だったから。 冗談なら、大笑いできる冗談。 お腹を抱えてさ、馬鹿みたいに、声高らかに笑える冗談。 ちっとも笑えなかった。 重い口を開いたかがみは、時を止めた。 「もう、会えなくなっちゃった……」 嫌な予感は、物の見事に的中した。 ◇◇◇ 次の日から、無理にでも遊んだ。 少しでも思い出が欲しくて。 4人で、ひたすらずっと遊び続けた。 毎日毎日、ひたすらひたすら。 カラオケ、ゲーセン、ボーリング。買い物、映画、バイキング。 その間は私たちはいつも通りだった。 そんな日々のなか、かがみと私、2人きりで本屋に寄った日のこと。 「ねぇ、かがみ。楽しい?」 ふと、聞いた。 聞くべきではないことだとわかっていても、聞きたくて。 かがみは泣きそうになってしまった。 「……も、ちろん…!!」 ヤバい。私も、泣きそうだ。 帰りの途中、公園に寄った。 2人ベンチに座って。 少しだけ、2人の間は空いていた。 「…私、どこにも行きたくない」 「……」 返答できない。願うなら、そうあって欲しいから。 でも、それは不可能だった。 しばらく2人で、座ってた。 「もうテスト一週間前だから、今までみたく遊べないね」 「…テストなんてどうでもいいよ。私はかがみとつかさ、2人ともっと一緒にいたい」 「またー、あんたは。私は心配よ…あんたを注意する人間がいなくなって、ちゃんとやっていけなそうで…」 「だって、私にとって2人はテスト以上だョ…」 …もっとずっと遊びたいよ。 ◇◇◇ テスト期間中、遊ぶこともできず、ただ時間ばかりが過ぎていった。 「…引っ越しならまだよかったのにね」 かがみが言う。 「…そうだネ。無理すれば会えるし。…つかさ、大丈夫そう?」 つかさは1日休んだ日があった。 悲しすぎて具合が悪くなったらしい。 「全く、あのコってば。休んだらもったいないじゃないのよ…」 「まぁまぁ。責めちゃかわいそうだョ」 私はつかさのお見舞いに行った。 つかさの部屋の前、かがみと2人で立っていた。 だって、入れなかったから。 泣き声が聞こえてきて、それはどうしようもないから。 仕方なく、かがみの部屋へ。 「ねぇ、かがみ…」 「何よ」 「泣いて、いいんだよ?」 かがみは涙をみせない。泣きそうでも、決して泣かない。 「…ほら、かがみ…」 手を広げる私。 かがみは無言で、俯きながら私に抱きついた。 「……泣きたくなんて、っ…ないんだから……っ!!」 そう言って、かがみは大泣きした。 かがみの涙は止まらなかった。 私も、また泣いた。 悲しいこの運命に私も涙を流した。 端からみたら異常なくらい、2人して泣きあった。 しばらくして、私たちは向き合った。 お互い肩が涙でぐっしょり。 「…透けてる」 「あ、ばかっ!」 かがみは恥ずかしそうに隠す。 こんなかがみももう見れなくなっちゃうなんて考えると、悲しくてまた泣きそうで。 ◇◇◇ テストも終わって。 ついにラストの一週間。 …この一週間で、かがみとつかさに会えなくなる。 憂鬱な毎日だったけど、少しでもみんなと過ごしたくて。 「あんたテストどうだった?」 「ふっふっふ~」 ちらりと見せつける。 実は今回のテスト結果は… 「な…!!?」 「すご~い、こなちゃん」 「頑張られたのですね」 かがみに勝つとまでは言わないものの、それに準じる成績だった。 「あんた、一体なにが…」 「今回はかーなーり頑張ったョ」 そう、頑張った。 「だからさ、あ…」 安心して出発していいよ。そう言おうとしたけど、今の私たちには禁句の一つだった。 「あ、遊ぼー!打ち上げだ!!」 なんとかごまかした。 今の私たちは、出発や別れといった発言は避けていた。 決まってつかさが泣いちゃうから。 それに泣いてる隙があったらみんなで笑いあいたいしね…。 今回のテストは、かがみに安心してほしかったから頑張れた。 だからさ。迷わずに出発してね。 ◇◇◇ また1日が過ぎた。 残酷なまでに決まった通りに日は落ちる。 最近はみんなと遊んで、その後かがみと一緒にぶらぶらするようになっていた。 帰りたくなくて。 夜だけどまだ人がたくさんいる商店街とか、駅前とか。 目的なんて決めないで、ひたすら喋りながら歩く。 しょっちゅう笑って、時々しんみりして、とにかく、とにかくこんな時間が続いてほしかった。 ずっとずっと、続いてよ。 でも、それはかなわない願いだった。 「あと…6日だね」 かがみはどうしようもない寂しさを私にぶつけた。 「たった6日だね…」 「…まだ、6日よ」 「…たったの、6日だョ」 「あーもー!しょうがないじゃない…だからさ!目一杯遊ぼうよ、こなた」 そういって笑いかけるかがみは寂しそうで。 だって、目が笑っていても、わかっちゃうよ。 私とかがみの仲なら、作り笑いくらいすぐに。 私はかがみの手をとる。 「手…繋ごうよ」 「……いいわよ」 何も言わずに、2人で夜の雑踏を歩いた。 きらめくネオン看板。明るいライトアップ。 それらが照らす、私たち。 ◇◇◇ 私はあせっていた。 日に日に迫る別れに。 その別れはどうしようもないけど、だけどもなぜかあせった。 「あと、2日……」 朝起きて、私は1人呟く。 あとたった2日で…かがみとつかさに会えなくなる。 また泣きたくなってしまって。 久しくネットに繋いでいない。まぁ、そんなものより今は今を謳歌しなければ、死んでも死にきれない。 今日は土曜日で、1日中かがみんちにいた。 みゆきさんも、みさきちたちも来た。 みんなしての大宴会だった。 私たちは夜遅くまでずっとずっと遊んだ。 みんなで、写真も撮った。 楽しい時間はあっという間で。 夜10時になる頃には、私とかがみだけしかいなかった。 みんなもっと居たそうだった。 つかさは今、お風呂。 かがみの部屋にいる私たち。 「…ねぇ。私…こなたにに別れを告げてから、ずっとずっと何か特別なことしようと考えてた。もうこれから、会うことはおろか、話すことすらできなくなっちゃう…だ、だから…」 「もう、いいよ。かがみ…だから、泣かないで。ね?」 「な、泣いてなんて……い、いな…い……」 俯いて、震えていて。 私はそっとぎゅっと抱き締める。 かがみは私の腕の中で泣いた。 私もまた、泣いた。 最近泣いてばっかだね。 涙、一生分だしたくらい。 「ねぇ。今、大丈夫?かがみ」 「…ぐす、…なんで…?」 「今から遊びにいこうよ」 「…はぁ…!?い、今…もう12時…」 「…特別なこと、したいんでしょ?」 つかさも誘ったけれど、さすがについてこれなかった。もう眠くなっちゃったらしい。 かがみのご家族には内緒に、こっそりと深夜の世界に踏み出した。 「夜道に女2人だけじゃ怖いよ…」 珍しく弱気なかがみ。 「大丈夫、私がいるから」 だって武道経験者だもん。 「…手…いい?」 「…いいよ」 2人で手を繋いで歩いた。 幸い、変な人や酔っ払い、不良には出逢わないでいた。 「どこまで行くのよ」 「…あ、そうだ…!」 私はかがみを連れて、ある場所を目指した。 「ねぇどこ、行くのよ」 「いいからついてきてよ」 「…こんな坂道登って…」 少し台地になっている場所に来た。 ここには公園があって… 「わぁ…」 夜景が綺麗なんだ。 私たちの街の光。東京の光。 夜空を照らす月と星。 「……きれい…」 「来てよかったでしょ」 「……うん」 ここの公園は夜は恋人たちのデートスポットで、私たち以外にも若いカップルがいて。人目はばからずいちゃつく人々が、月の少しだけ明るい光の中にいた。 そんな中にいたから、流されちゃったのかな。 「…かがみ、目を…閉じて」 私は別にかがみの恋人でもなんでもないけれど。 「…いいわよ…」 かがみも、多分流されていた。 だけど、それでもよかった。 流されていようと、なんであろうと。 あのとき、私たちは。 月が照らす中、私たちはキスをしたんだ。 ◇◇◇ ついにやってきた。 永遠の別れとなる日が。 駅にはクラスの人々がいて、一年生のゆーちゃんたちまで来ていた。 流石に今日ばかりはパティやひよりんはふざけてなかった。 「つかさちゃん…もっと話してみたかったよ~」 かがみとつかさはクラスの人に沢山話しかけられていた。 「あの…ひ、柊さん!実は…好きでした!」 かがみに告白する男子もいた。 中にはいつかのセバスチャンもいた。 やっぱりモテてたんだね、かがみは。 そんな光景は私にとって不快だった。 周りとの最後の挨拶が一通りすんで、かがみとつかさは、私とみゆきさん4人で喋った。 駅のホーム、しんみりとした空気が漂う。 「…くすん、こなちゃぁん…!!」 つかさは私に抱き付いた。 つかさ。私も、悲しいよ。 「つかさ…ぐすっ、かがみと、仲良くやるんだよ?」 「うわぁぁん…!」 つかさ。…私の大親友。 私の大好きな友達。 「ひぃらぎぃぃ…なんで柊がいっちゃうんだよぉぉ…」 みさきちらも私たちの輪の中に入ってきた。 「日下部…あ、あんたと過ごせて、楽しかったわ」 涙を溜めていうかがみ。 「峰岸、日下部を頼んだわよ…」 「勿論、柊ちゃん……」 発車の時刻が迫る。 「かがみ…ちょっと、2人だけになりたいな…」 「…うん、いいわよ…」 みんなに無理いってそうさせてもらった。 少しみんなから離れた場所。 「かがみんちの神社も、かがみとつかさがいなきゃ寂しくなるね…」 「大丈夫よ。上の姉2人がいるんだし」 「でも魅力半減だよ」 確かにかがみのお姉さんたちは美人だから、困らないこともないけど。 「………もっともっと、話したいことがあったよ…」 「……もっともっと、遊びたかったわ…」 「…もっともっと、笑いたかったよ」 「…わ、私だって…、笑いたかったわよぉ…」 私はかがみの両手をとって言う。 「…かがみに会ってからは…かがみに会うための人生だったよ…」 「こなたぁぁあっ!!」 かがみはもう泣かないのは無理だった。 私だって…もう、無理だった。 かがみとの今までの生活が走馬灯のように流れてきて。 初めて会った、あの日。 初めてお昼を一緒に食べた、あの時。 一緒に遊びにいったりして。 お祭りや海にもいったね。 こんなにも可愛いあなたを、いっぱいからかっちゃったね。 「…ずっと、こんな日々が続くと思ってた」 「…こなた。…最後に、言わせて」 真面目になるかがみ。 かがみの目は赤くて、そこに映る私もまた泣いていて。 「…沢山、たくさん…こなたは、思い出くれた…。本当にほんとうに、楽しかった…わ……」 涙が邪魔して、かがみは喋れない。 『――まもなく、列車が参ります…危ないですから線の内側までお下がりください――』 最後のアナウンスが、なった。 列車がやってくる。 うるさい音を纏いながら、やってきた。 そんな中、かがみは。 「私は、こなたが―――――」 ゴォォっという、電車でかき消されて。 だけど、かがみが何を言ったかなんて簡単にわかった。 電車が止まった。 「もう、行かなきゃ…」 「かがみ…」 「…ばいばい…こなた」 私は去り行く彼女の腕を掴もうとしたけれど…つかむことはできなかった。 車内に入るかがみ。 もう、こっちをみてくれない。 「…、かがみっ!!」 電車の中、出入り口の場所。 向こう側を向いて、肩を震わせるかがみ。 駅のホームと電車の溝は、限りなく無限に近く思えた。 発車のベルは鳴る。 電車の扉はしまる。 発車する直前…かがみはこっちを向いて。 満面の笑みで、こちらを振り向く。 電車は、動き出した。 もう、止まらない。 もう、二度と。 徐々に速くなる電車の中のかがみを見失うのはあっという間だった。 電車が発車したあと、駅のホームにはすすり泣きしか残らなかった。 クラスからきていた人たちも、また泣いていた。 ◇◇◇ 朝、起きる。 登校はゆーちゃんと一緒。 昼はみゆきさんとみさきちたちと一緒に食べる。 放課後はバイトが増えた。 だけど、今までとあまり変わらない生活。 今日も私は帰り際。 かがみがいたクラスを覗くんだ。 かがみの机はまだちゃんとある。 今でもよく思い出すよ。 あの夜の日のこと。 流されていただけだったかもしれない彼女の唇の感触を、私はもう確かめられることがなくて。 あの夜空の下、夜景と同じくらい綺麗なあの人は、今私の隣にはもういない。 毎日私の隣で、一緒に過ごしたあなたはもういない。 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - ??かがみとつかさは何処に行ったの? &br() -- 名無しさん (2009-05-07 19:39:45) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)
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