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意外と結果は甘い……ゼリー戦争(戦ってないけど)

 暑い……さすが夏。高校を卒業して、はや半年が過ぎた。始めは、こなたと一緒に生活をするの、結構不安があったんだけど、意外とうまくやっていけていると私は思っている。
 こなたはどうなんだろう?等と、冷蔵庫に何かおやつでもないかと漁りながら思う。私と一緒で楽しいのかなーなんて疑問に思うことも時間がたってから濃くなるものだなぁ、何て思い出したのも最近だしね。
 でも、愚問よね。そんな風に思い、私は心の中で笑ってしまう。最近そんなことの繰り返し。
 ただ、それは決して悩みではなく、ただの幸せなノロケとみゆきには言われたっけ。
 それはそれとして、ちょっと小腹が透いてしまったから、こうして冷蔵庫を漁ってたんだった。
 何かないかなぁと思った所でふっと目を開いたときに視界に入ったのは一つの如何にも涼しげなソーダ味のゼリー。
 たった一つ……、こなたは寝室で伸びている。そして、私は……体重は気になるけれど御菓子や甘いものが大好きだ。それもよく冷えたゼリーとくれば、独占欲が強くもなるものだ。こなたには悪いけど、食べたい、この暑さのなか、砂漠で一滴の水を求めるように、このゼリーを求めずにいることなどできるのだろうか?否、私にはとてもじゃないけどできない。
 思わず生唾を飲み込んでしまう。それくらいおいしそうに見えた。一個百円のいつもなら他愛のないゼリー一つがとてもとても、美味しそうに見えたのだから。
 いや、でも、もう一つ買いに行ってこなたと二人でゼリーにアイスというのもオツな気がしなくもないなんて、甘いことを思って窓を開ける。
 その考えは外気という自然の力によって打ち消されることになった。ミニエアコンというか空調というか、そういうものがこの家にはある。その小さな体でこの家全体をどうにか冷やしてくれているのだけれど、それがどんなにがんばってくれているのかよくわかった。
 今日はきっとマンホールの蓋でステーキが焼けるわ、それもウェルダンで。
 そして私は、ゼリーを手に取った。そのひんやりとして心地の良いそのカップの手触りに心を奪われ、スプーンを握ってしまった。

◆

あ……つ……い……
「今度二人のバイト代合わせてさぁ、エアコンかもちっとパワーのある扇風機買おうよ?かがみ~」
そう言って目を閉じたまま、自分の隣を手でまさぐった。……あれ?
 手でまさぐった所にはちょうどかがみの髪があるはずなのに?もうちょっと手を伸ばしてみてもかがみに手が触れない。
 もの寂しさで目を開けて隣を見ても誰もいなかった。
 なんだかざわざわと胸騒ぎがする。これだけ暑いと私の最終兵器を口にしたいと思うのだけど……かがみだって人のおやつに手を出したりはしないよねぇ?アイスなら絶対食べられちゃうけど、ゼリーだしなぁ。
 い、いや、この暑さならかがみに我慢できるとは思えない。それに最近、大分体重が落ち着いてきたらしいしーし。
 私は、その忍び足で、冷蔵庫のある部屋へと向かう。音を立てないよう、気がつかれないようにそろりそろりと、気分はスネークだネ!もし、かがみに見つかったら、頭に“!”がでて、HQに連絡を取られそう。ダンボールに入って、やり過ごさねば……。
 なんか、暑さでイマイチ、気分がでないなぁ。
 冷蔵庫の前で見たものは私のゼリーを片手に、もう片方の手で額を押さえて悩む仕草をしているかがみ。まだ、蓋のビニールは取られていないけど、これからはがして食べてしまうのカナ?あれほど、あのゼリーだけは私のだから駄目だって言ったのに。かがみ、信じていたのに……九割は疑ってただけどさ。
 というか、やっぱしあれがゼリーじゃなくてアイスだったらとっくにペロリとかがみのお腹の中だよねぇ。
「か~が~みぃ~!!」
食べられてなるものか!そんな気持ちでかがみに飛び掛る私。……体格差って、この世の不条理ダヨ、絶対。
 飛び掛っても背中にしがみついてるのと変わらないという!……そうだよね、身長が小さい方が萌えだとか、貧乳がステータスなんて、所詮―見苦しい言い訳だよ、ね。
「こ、こなた!?あ、いや、これは……ち、ちがうのよ、そうちがうのよ」
思いっきり慌てふためくかがみ。
「いやいや、かがみん。今更、言い訳したって遅いヨ?その手に持ってるのはなんだろうねぇ」
「いや、これはその、だから……」
私は冗談半分にかがみのお腹の辺りさすりながら
「そういう油断がお腹のお肉になるんだヨー?」
と耳元で囁いた。もちろん、かがみはもともと言うほどお腹に無駄な脂肪をつけてないからさするだけ。つまんだら痛そうだし…掴めるほどついてないしね。
「な!」
が、かがみは私の意地悪な囁きを聞いたとたん無言で手にゼリーを持ったまま冷蔵庫を閉じる。
「か、かがみん?」
「ふふ、あっはっはっは」
「ど、どしたのカナ、かがみ?」
不気味な笑みを浮かべて私を引き離してかがみがこちらを向いた。
「そういう事を言うなら、私が食べてやる!もうダイエットがなんだぁぁぁぁ」
「かがみが壊れたぁぁぁ!」
私がムンクの叫びのマネをして絶叫するのを華麗にスルーして、ゼリーの蓋を開けて、スプーンを突き刺し中身を……。
「させるかぁぁぁ」
ゼリーの乗ったスプーンがかがみの口にたどり着く前にかじりつく。あぁ、ひんやりしてソーダの甘味が程よくて幸せー。
 あれ、さっきまで不気味な笑みを浮かべていたかがみが優しい顔で微笑んでる。なんでだろ?
「もう一口食べる?」
「ほぇ?」
差し出されるスプーンに意味もわからずかぶりつく。
 なんか、幸せな気分だった。
「んじゃ、私もかがみに~」
 結局ゼリーは私とかがみとで分け合ったわけだけど……最初からそうしてればよかったと何時も思うんだけどね。
 お互い何時もこうなってしまう。どっちが先に食べようとしても最近はずっとこんな感じ。
 そんな暑い夏の一コマ。

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- 猛暑でも酷暑でも甘々なこなかがは良いですなぁ  -- こなかがは正義ッ!  (2010-04-22 12:25:17)
- 甘ぁ〜いなあwwwGJです!  -- 名無しさん  (2010-04-21 21:19:38)


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