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悪意は無かったし、ほんの出来心だった。そのときはお金が無くて、でもどうしても欲しいものがあった。 気がついたらそれはポケットの中に入っていて、何も考えずに店の外に出た。出てすぐのところで、店員に肩をつかまれた。 私は万引きをしてしまった。 お父さんと黒井先生が謝ってくれたし、初犯だからということで、警察には通報しないで済ませてくれた。 でも、今の社会では、隠したい情報を隠し通すというのは本当に難しいことだった。 いつの間にか、私が万引きしたことは、学校中の噂になっていた。 教室に入ると、騒がしかった室内が急に静まり返った。クラスメートの視線が一斉にこちらに向けられる。 にやにやと笑っている人や、汚いものでも見るような眼をしている人、興味津々と言う表情をしている人。 仕方ないよね。私は、万引きしたんだから。 先に学校に行っていたつかさとみゆきさんと目があった。手を上げて挨拶しようかと思うと、すぐに目をそむけて二人で会話をはじめた。 「泉って、万引きしたんだよな」 「ああ。しかも万引きしたものがアニソンなんだってよ」 「うわ、キモ」 「泉さん、万引きしたんだって」 「へー。もうこの年で犯罪者の仲間入りか~」 「犯罪者とは関わりたくないよね」 静まり返っていた教室がまた騒がしくなった。わざと私に聞こえるくらいの大声でしゃべっている。 「あ……」 机には、犯罪者、死ね、警察に捕まれ、死刑確定、キモい、私は犯罪者です、万引き犯は帰れと、黒マジックで落書きがされていた。 急いでハンカチでこするが、消えることは無かった。 いつの間に、私が万引きしたことが出回っていたのだろうか。もしかしたら、誰か学校の生徒が現場を見ていたのかもしれない。 授業が始まって、先生たちが私の机の前を通ったけど、みんな何も言わなかった。自分の学校の生徒が万引きをしたのだから、あまり表沙汰にはしたくないのだろう。 誰とも話さないまま、午前の授業は終わり、昼休みになった。 私は勇気を出してつかさたちに声をかけることにした。 「ねえ、つかさにみゆきさん。お昼一緒に食べよう」 私の声に気づいたクラスメートたちが、次々とこちらを見てくる。 つかさは周りの視線に戸惑っているようだ。 「あ、あの、こなちゃん。悪いけど、私、ゆきちゃんと中庭で食べるから。行こう、ゆきちゃん」 「え、ええ。行きましょうか」 二人は私を置き去りにしていってしまった。 仕方がない。犯罪者の私と関わってしまったら、二人も同類に扱われてしまうだろうから。つかさもみゆきさんも、悪くない。私が悪いだけだ。 「あれ、こなた、あんた一人なの?」 気がつくと、隣にかがみが立っていた。 周囲から、奇異の視線が向けられているが、平然としている。 「つかさとみゆきは何処に行ったの?」 「え、えと、二人で下でお弁当を食べてるよ」 「二人でって、こなたを置いてったわけ?」 「仕方ないよ。私、犯罪者だから、みんな私を避けてる。かがみも私と関わらないほうがいいよ。同じように見られちゃうから」 「何馬鹿なこと言ってるのよ。ほら、二人だけどお昼ご飯食べましょう」 「でも、それだとかがみが……」 「あ、こなた。これ食べる?」 「……うん、ありがとう、かがみ」 **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - かがみのやさしさがわかるいい作品だと思います。 &br() &br()原作を見るかぎりだと 同じことが起こったら &br()つかさは真っ先にこなたの所にいって一緒に泣いてくれるかな &br()かがみは2~3発ぶん殴ってから叱り付けてからぐっと抱きしめて慰めるかな &br()みゆきは普段と変わりなく接するかな &br()と勝手に思ってしまった &br() &br() &br() &br() &br() -- とおりすがり (2009-01-07 19:54:55)
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