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プロジェクト・こなかがDX - (2008/02/28 (木) 00:01:59) の編集履歴(バックアップ)


 さて、前回の続きであり、時系列から見たら次の日である今回。今日が何日かなんて言うのは、時間の概念が消えた今、でもそんなの関係ねぇ。
 でも、取りあえず学校はあり、授業はあり、当然お昼休みもある。
 お昼休みは、長いようでいて短いが、でもやっぱり他の休み時間と比べると長いですよね。
 だから、誰か一緒にいたい人とそれだけ長くいられるわけで、柊かがみが泉こなたに会いに来てしまう時間と言うのもやむなし、と分かるだろう。
 で、食卓を親友四人で囲みながら談笑し、和やかな時間を過ごすわけだ。

 さて、早速だが、お昼休み。
「オッス、こなた、つかさ、みゆき」
 チャイムと同時に教室に入ってくるかがみ。
「ヤフ~、かがみん」
「あ、お姉ちゃん」
「いらっしゃい、かがみさん」
 B組3人は三者三様の反応を示す。特にこなたが両手を広げて歓待の意を示しているのは、また今更のことであるだろう。
 適当な机をくっつけ、簡単な食事所を作る。今日は一人休んでいるから、机が余ってる分いつもより場所取りに困らない。
「この時期に休むなんて、休んだ奴、進学考えているのかしら」
「さぁ?もしかしたら、休んだ彼は今頃、樹海に行って清水を汲んでるのかもしれませんね」
「何の為にわざわざそんなとこ行って水汲むんだろうね~?」
「彼は、危うく取り返しのつかない間違いを犯すところでしたからね。戒めの為でしょう」
「樹海って危険らしいよぉ?むぅ、セバスチャン大丈夫か」
「泉さんが心配することありませんよ。寧ろ怒っていいくらいですから。樹海程度で済んで安いものです。冥府魔道へ旅立て、とは流石に言えませんでしたからね」
 かがみ、みゆき。つかさ、みゆき。こなた、みゆきの順で回った問答。でもこれも本編に関係ねぇ。が、一言一言にみゆきの怒りが篭っていた事だけは申し添えておく。

 さて、いつもならここで各々昼食を取り出し、並べるのだが今日は少し勝手が違う。
「あ、チョココロネが無い!」
 と、こなた。彼女が主食とする菓子パン。チョココロネが今日に限って、無い。
「おかしいな~、朝ちゃんと入れたはずなんだけど……」
 鞄を漁っても、机を漁っても出てこない。無いものは無い。では、彼女のお昼は、どうなってしまうのか?

 そこでプランA発動、承認!!
「こ、こなた。良かったら……ハイ」
「ふぇ、かがみ?」
 かがみが差し出すのはお弁当箱。さて、よく見てみよう。かがみは自分の昼食を持っている。双子のつかさも持っている。ではこのお弁当箱は何処から?
「きょ、今日は私が当番だったんだけど、ちょっと分量間違えちゃって余った分を持ってきたの。そ、それだけよ?たまたまだからね!?」
 ニヤリ。みゆきの眼鏡が光る。まぁ、かがみが言ってるのは所謂強がり。みゆき発案、つかさによってかがみに伝えられた(但し肝心な部分は暈して)このプランA。
 つかさが言った内容は‘多分、明日こなちゃんはお弁当忘れちゃうから多目に作っといて。でも、素直に渡すのって恥ずかしいよね?だから適当な理由はお姉ちゃんが考えて’

 勿論、最初は何故こなたがお弁当を忘れるのか訝ったかがみ。だが、つかさが煎餅を割ったらそのような卦が出た。と言ったら余計訝った。当たり前。
 その時、みゆきから電話。
「泉さんは今月お金を使い過ぎてピンチだそうです。もしかしたらお昼を抜こうと考えるかもしれません」
 かがみ、納得。だったらこなたの為に作ってやろう。こなたのことは好きだし(恋) もし叶わない恋だとしても、好きな人には笑顔でいて欲しい。
 ちなみに、何度でも言うが、2人は両想い。叶わない恋じゃない。だからさっさと気づいてください、と、みゆきは思うが、恋を自覚すると臆病になるのか、まだ先は長い。

「あ、ありがとう……」
 顔を紅くして受け取ったこなた。かがみのことは好き(恋) だから好きな人からの手作りお弁当は嬉しい。
「で、でも今の言い方、典型的なツンデレだよ?流石はかがみだね!」
 ビッと親指を立てる。これも強がり、嬉しさを面に出さないこなた流。
「ツンデレ言うな!」
 同じく顔を紅くして返すかがみ。
 ふ、と息を吐いて緩やかに頭を振るみゆき。今はいい。このやり取りが2人にとって自然な形だから。もう一手踏み込むための種は既に蒔いてある。
「ところで、チョココロネどこ行っちゃったんだろうね?」
 と、小声でつかさ。
「あ、それでしたら情けとして樹海直送しておきました。樹海の清水に良くあうことでしょう」
 と、小声でみゆき。

さて、プランB。蒔かれた種、今後について。
「ところで、皆さん、昨日のお話覚えてますか?」
 食がいい感じに進んできた所でみゆきが切り出す。
「昨日の……あぁ、あれね。アニ研と文芸部で機関紙をってヤツ?」
 かがみ。箸の用意を忘れたので、こなたと交互に使って食べている。かがみに自覚は無いが間接キス。
「そうです。具体的なお話を進めておかないと、期限も短いですし」
「だ、だったら、私が編集長やるよ!」
 と、こなた。ちなみにギャルゲ効果。間接キスの意味を彼女は正しく理解している。故に少しどもる。
「いえ、編集長は、アニ研顧問の桜庭先生が行うそうです。私達にはそれぞれ書くものが決まってましたよね?」
「私は恋愛面白エッセイ、だよね」
 つかさ。彼女は普通に食べている。
「そうですね。私は恋愛ミステリ。泉さん、かがみさんは恋愛小説、でしたね」
「うん、そうだったわね」
 さて、と、
「どうです?お2人は何とか書けそうですか?」
 ちょっと発破をかけてみようか。
 む~、と唸りながらこなたは、
「恋愛小説、ねぇ……ギャルゲとかよくやるけど、小説となるといまいちピンと来ないなって感じ」
「私も、昨日幾つかラノベを参考にしてみたけど、う~ん。みゆきは?恋愛ミステリって書けそうなの?」
 おっと、かがみから意外な逆撃がみゆきに来たようだ。だが、ここで慌てないのがみゆきのみゆきたる所以であり、聖人君子とかがみに言わしめるところ。
 みゆきは、お見合い写真に載せたら10人が10人結婚を申し込むような笑顔で頷くと、
「はい。なんとか。ミステリと言えば殺人事件等が有名どころですが、元々の言葉‘mystery’の本来の意味である謎や不可思議な事を題材にしようと思っています」
「へぇ、どんな?」
「そうですね。例えば、両想いであるにも拘らず、お互いがお互いの本心に気がつかず擦れ違い続ける2人。切欠はいくらでもあるのに。
 なんて言うのはジャンル的に恋愛であり、何故気がつかないのかという部分である意味ミステリと取れませんか?」
 と、考えている内容を話した。
「へぇ、確かに謎よね。両想いだったら直ぐに気がつきそうなものだけど」
「ま、ギャルゲだと最初から主人公を好きだって言うのは分かってるからね。フラグの立てによっては失敗するけど。でも、主人公が自覚したら固定ルート突入だよ。
 そういった意味では両想いで気がつかないって、どんだけヘタレって言うかさ」
 かがみ、こなた、共に感想を述べる。みゆき苦笑。
 あなた方の関係こそ、恋愛ミステリです。とは口が裂けても言わないが。

「つかささんは?」
 こなかがのみに話を振ったら不信感を抱かれる、と判断。一応つかさにも聞いてみる。
「ん~と、恋愛面白エッセイ……」
 必死に考えるつかさ。出てこないようだ。まぁ、ある意味一番難しい題材。
 特に答えを期待していたわけでもないし。みゆきはつかさなら充分面白いものを書いてきてくれると思っている。
 問題はこなかが。
「面白エッセイは兎も角。お2人の恋愛小説ならそれほど難しくは無いのでは?」
「何で?」
 猫口で玉子焼きを頬張りながらこなた。唇の端に欠片がついている。
「あ、こなた、ちょっと動かないで。玉子焼き、ついてるわよ」
 と、こなたから玉子焼きの欠片を取ったかがみ。自然に自らの口に運ぶ。
「あぅっ」
 ポッと擬音を立てて湯気を出し、仰け反ったこなた。かがみは怪訝そうに眉を顰める。
「どうしたのよ?」
「いや、何で食べたのかなって……」
「勿体無いじゃない」
「そ、そう?」
 これはこれでいいのだが、兎に角、今必要なことにも目を向けて欲しい。
 と言うか、ここまで自然にやっておいて擦れ違うのは何で?

みゆきは空咳を一つ。
「えっと、お話、戻していいですか?」
「あ、うん。どぞ~」
「恋愛小説。本人の恋愛感を元に文章化すればいいだけです。お2人にはいませんか?好きな方」
「ちょ、みゆきさん!」
「ま、待ってよみゆき!」
 慌てるこなかが。お互い告白はしていなくても、みゆきには、こなたの場合かがみが好き、かがみの場合こなたが好き、と相談している。
 で、こんなの変だよね、忘れて、と2人とも言った。
 なのに、好きな人の話を持ち出してくる、慌てるでしょう?そうでしょう?
 クスッとみゆきは微笑。
「兎も角、感じる事をそのまま文章化すればいいだけですよ。面白エッセイよりは簡単でしょうね」
 と、ここまで言った所でお昼休み終了のチャイム。

「嘘っ!まだ食べ終わってないよっ!!」
 慌てるこなた。急いで残りを掻き込む。
「ぐっ!」
 詰まった。大変!
 突然のアクシデント。プランEX発動!承っ認っ!!これが、勝利の鍵だぁっ!!
「かがみさん!泉さんの背中を擦ってください!」
「あ、うん!大丈夫!?こなたっ!!」
「つかささん‘かがみさん飲みかけ’の烏龍茶を」
「は、はい。こなちゃん!」
 こういった突然の出来事、その際、混乱した人は外からの情報を素直に受け入れてしまうものだ。
「んぐ、んぐ……」
「こなた……?」
 心配そうにかがみ。
「……間接ディープキス」
「え?」
「な、何でもないよ。もう、大丈夫」
 と、こなた。だけどかがみは納得しないようで、
「本当にホント?」
 まだ、こなたの背中を擦りながら、聞く。
「大丈夫だって、かがみんは心配性だネ~」
 かがみを安心させるよう、微笑んでみせると、少し安心したように、ほぅっと息を吐きながら、
「そう、でも、無茶食いはダメよ」
 それでも、そう言い聞かせるよう顔を近づける。ちなみに、まだ、こなたの背中を擦って少しでも楽にしようとしている。かがみの心遣い。何と微笑ましいことか。

 さて、第3者、傍からこの光景を見てみよう。
 かがみがこなたの背中に回した手、擦っているのだが、抱きしめてるようにも見える。
 で、言い聞かせるように顔を近づけている。アングル次第ではどう見えるだろう?
 もっと砕こう。ぶっちゃけ、傍から見るとマジでキスする3秒前。
「……お前ら、何しとんねん……」
 と、5限、世界史担当、黒井ななこ先生が突っ込みたくなるのもやむなし。ご理解いただける?
 突っ込みを入れられたこなかが。はて?何故?と、右を見て、左を見て、ついでに上を見て、互いの顔を見合わせて傍から見てどう映っているか気がついたようだ。
「「え……?あぁぁぁぁっ!!」」
 綺麗な二重奏。今の時間は音楽ではなく世界史です。
 前に一回してるし、前回も後一歩でキスまで辿り着きそうだった。
 今回は間接キスまでしてるのに……この反応。無自覚の恋って恐ろしい。それとも見られるのが恥ずかしいのか?
(思惑以上、ですね。流石お2人です)
 取りあえずプランEX、成功。人間、必要なのは咄嗟の場合に対応できる柔軟性ですよ。




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