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かが×こな(後編) - (2010/02/12 (金) 15:09:08) のソース

こ「ふぁ~ぶるすこ~……うぅん。…んぅ?」 
…眠い目を掻いて私は目をこする…ねむい。 
…そういや昨日死んだんだっけ?…ってここどこ? 
…明らかにウチの中ではない。 
…どこかの渓谷のど真ん中、近くに川のせせらぎのような音が聞こえ、 
空を見上げるとドス黒い雲の隙間に紫色の空が見える。 
…近くに人の気配はない。 
…私のマンガ的フィルタでは、ここは”三途の川”ということになるが…。 



(…正解…。聞こえてるかな?) 
「誰?」 



…心の中に直接、響く。 



(こなた…。大きくなったね。) 
…気づくと目の前に私そっくりの人が立っている。 
…翼があるかないかを除いては。つか、翼でかっ! 
…F●7のセフ●ロスみたいに非常識に大きい翼が計6枚展開している。 
…これなら大気圏内も高機動で…って今考えるのはさすがにそこじゃない気がする。 



「おかあさん…?」 
(うん…正解。) 
(私のかわいい娘…あいたかった。) 
「私だってそうだよ…。」 
…母親の顔がほころぶ。…見ていて私も嬉しい気持ちになった。 



…かがみんが読んでるラノベとかならこういうの”邂逅”っていうんだよね。 



(こなた。大事なお話をするから、よく聞いてね。) 
「うん。」 
(あなたはまだここに来るべき人じゃないの。) 
(私の力で、あなたの体の自然治癒能力を最大限に高めておいたの。) 
(あなたがいつもやってた”ネトゲ”でいうならリザレクション+ヒールね) 
「…。(イヤ・・その例えもどうよ?)」 



…かまわずお母さんの言葉は続く。 



(…ただし、生き返れるとは限らないの。) 
(……失敗した場合、あなたの魂は永遠に消え去ってしまうの。) 
「…。(じゃあリザじゃなくてザ●ラルじゃん。)」 
(もちろん、そういうリスクを負わないで私とこの世界で生きることは可能よ。) 
(生活は保障できるわ。何かお母さん”天使”みたいだし。) 
(どっちがいい?…選んで。こなた。) 



……どっちがいいだろう…? 



―究極の選択。 
…この世界で生きるか? 
…リスクを負って生存に賭けてみるか?。 



…頭をよぎるのは…かがみん。つかさ。みゆきさん。みんなの笑顔。 



………選ぶほうは…決まってる。 
…まっすぐお母さんを見つめる。 



「私は………。」 



・・・・。 
・・。 


「・・みさん。朝ですよ。」 
「…!!!はっ!?」 
…私、寝ちゃってた? 
…こんなときに!? 
…こなたは!? 
…大げさに頭を振って確認するがこなたを見つけることができない。 
…声すら聞こえない。 



…みゆきが私の顔を見つめる。 
(ちなみに昨日の時点で泉家にいつものメンバーは集合している。) 
「探し物ですか?」 
…キョロキョロと辺りを見回す私をみて、みゆきがたまらず聞いてきた。 
「うん。…探してる。…こなたを…。」 
「え?」 



―えぇ。そりゃ変な回答だったでしょうよ。 
かまわず下を向いて意識を集中する。 
…が、何回やってもこなたの姿はもちろん声、気配すら感じなかった。 



「朝食ができてますよ?。昨日から何も食べてないように思いますが?」 
…集中できなくなるから、話しかけないでほしい。 
「私は・・いい。」 
「いいえ。食べてください・・・。」 
…妙にみゆきが食い下がる。放って置いてほしい。 
「お姉ちゃん。ゴハンできてるよ。一緒に食べよ。」 
…つかさまで来た。もう集中できそうにない。 



……ほかの人のせいで自分のやりたい事が寸断されると、無性にイライラしてくる。 
「もう!放っておけばいいじゃない!?こっちは食べたくないって言ってるの!」 
…お腹は確かに空いてる。だけど、食べる気が起きない。…というか、食べ物を見たくない。 
…コイツらは普通に食べれたのだろうか? 
…私はむしろその感性を疑いたい。 
…だって、こなたが…こなたが!! 



「そうやって、”自分だけが”悲しんでると思ってるの!?」 
…数年ぶりに聞く、つかさの激昂した声。 
「つかささん・・・。」 
「私たちだって、悲しいんだよ!?」 
…つかさの目から涙がこぼれる。 
「今、かがみさんが泉さんのために泣いているとしても、 
それを見て泉さんは喜ぶでしょうか?」 



…こなたが私たちの事を見ているとすれば、決して喜ばないだろう。 
「だから…せめてお別れまでは、…笑顔で、…見送ってあげましょう…?」 
…言いながら、みゆきも嗚咽を漏らす。 



……そっか…みんな、私と同じだったんだね…。 
…泣きながら無理やり笑顔を作り、つかさが言う。 
「お姉ちゃん。ご飯食べよ・・っ。」 



…精進料理でご飯はおむすびに姿を変えている。 
…いつも通り食べれる自信はないが、食べなかったらみゆきたちに心配をかけるだろう。 
…一口、食べてみる。 
「しょっぱい。」 
…久しぶりに食べたご飯は…涙の味がした。 



―ご飯を無理やり押し込んで、その後も何度かいる”はず”のこなたに 
意識を集中して話しかけてみたけど、やっぱり無駄に終わった。 
翌朝4時ほどまで頑張ったところで、諦めがついた…。 



―だからこの時の私は知らない。 
おしろいを塗られて少し白くなったこなたの顔。 
”まるで生きている”ではなく、”生きていた”ことを。 
白装束の下でその小さくてかわいい胸がかすかに動いていたことを。 
いろいろはっちゃけているようで、ホントは結構クールなこなたのハートが 
また動き出していたことを。 
……私はまだ、知らない。 


―翌日、告別式。 
「はんにゃ~は~ら~………」 
…聞こえてくるお坊さんの大変アリガタイ読経を聞き流し、 
私は、一人…いや、つかさ、みゆき、おじさんだって多分そうなのだろう。 
こなたのことを思っていた。 
…こなた、ごくろうさま。 
…シアワセだった? 
…ゆっくり、ゆっくり、…休んでてね。 
…話せて、とっても嬉しかったよ。 
…最後に、キスできて、私、とっっても嬉しかったよ。 
…私の想い通じてる?…向こうでも、好きでいてくれてる? 
…無理やり奪って、ホントにごめんね。 
…ホントは迷惑だったのかなぁ…。 
…だから、昨日も、そして今も、出てきてくれないのかな…? 
…ひょっとしたら、私はあの瞬間から嫌われちゃったのかな…? 
―いや、自分でやっといて何だけど、最後には照れた顔で笑ってくれてた。 
……こなたを疑いだすなんて、どうかしてる。 



「なまんだ~ぶ~、なまんだ~・・なまんだ・・なまんだ・・・。」 
―読経がクライマックスに近づいているのが分かる。 
私が生身のこなたを見られるのも、もうすぐ終わりという事だ。 



…きっとこの後、男性陣がこなたの眠る棺を担いで、 
霊柩車だかなんだかに乗せられ、どっかの斎場にいって、 
こなたは、都市ガスとかLPGなんかで焼かれてしまうのだ。 



…何もかも……すべてを。 



…そして、文字通り”骨だけ”になってしまったこなたを、 
私たちは泣きながら白いツボに入れるのだ。 
…明日や明後日は本当に泣いてばっかりいるだろう。 
でも、週七日、四十九日、初盆、一周忌……と時間がたつにつれて、 
こなたへの記憶はどんどん薄くなっていって、 
十年もたてば、”あぁ、そんな事もあったね。”程度の想いになるのだ。 



―なんでこんなこと考えちゃうの!? 
…私は”そんな事もあったね”なんて薄情なセリフ、言いたくない! 
こなたがいなくなって寂しい、ツライって気持ち、ずっと残しておきたい! 
こなたのことが”大好き”って気持ちいつまでも感じ続けていたい! 



…きっと、みゆきやつかさのほうが先に、”気持ちの整理”はつくと思う。 
昨日だってそうだった。…二人のほうがずっと私より大人だ。 



―でもね、つかさ、みゆき。 
…そんなのが”オトナ”ってやつなら、私はそんな奴に、 
こなたを、たった十年や二十年で忘れる”オトナ”になんて…なりたくないよ!!! 



「うえぇ……っく………っく………っ!」 



―もう、何回目か分からない涙・・。声を殺して、泣いていた。 
「なまんだ~・・・・なまんだ~・・・・。」 
・・・終わりが近い。 




― 出棺直前。 




ああぅ…体が……重い…。 



…やたら私の大好きな菓子パン(たぶんチョココロネ) 
の匂いがするけど、暗すぎて何も見えない。 



…匂いをかいだせいですごい空腹感を覚え、 
まだ重い手を使い、手探りで匂いのありかを探す。 



―あった。なぜか私の顔の真横に。 
…構わず食べ始める。 
すると、突然強烈な光が差し込む。うぉ!まぶしっ! 



…棺の扉が開いたのだ。 
…続いて覗き込むのは、嗚咽を漏らして顔がぐしょぐしょのかがみん。 
…目が合う。まさに邂逅の時ー。 
お互いに思考回路がハングアップ(フリーズ)したようだ。 



……3秒後。 
「こ……な…た?」 
「かがみん……。お…おはよう?」 
「生きてる…起きてる…?。」 
「と、取りあえず。」 
…意味不明な会話だが、意思は通じたらしい。 



「ばかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 



―突然、恐怖(?)の雄叫びをあげだすかがみん。 
棺のふたをその辺に放り投げる。 
……アレ…結構重いような…。 
ゴトン!!という音がしてみんなの注目がこちらに集まる。 



「うわぁぁぁ~かがみんやっぱ凶暴~。」 
「ばかあぁっ……ばかっ……っ」 



…言いながら、私の胸のあたりをポコポコ叩いている。威力はほとんどない。 



「私が…どれだけ…どれだけ………ひっく……うわあああぁぁぁん!」 



…そっか、心配かけちゃったんだね。 
―謝るようにように目を閉じ、無言でかがみんの髪をなでてみる。 



「うぅ………~~っ!!」 



…またかがみんの中で何かが弾けたらしい。 



「うむぅ?」 



…何度目かのキス。 



「あ、あのさっ…ぷはっ…みんな見て…うぅん(るん)…だへろ(だけど)?」 
「し…らない…もん!!…ちゅぅ…うん…。」 



……ちょ!…かがみん…だから……激しいってば…。 



「はぁっ…うむぅ…おかえり、…こなた。」 



……噛み締めるように、言う。 
「ただいまっ、…かがみん♪」 



―また唇がふさがれる・・。 



ー直後に予想できるその他の人たちの大混乱を前に今日も長い一日が始まろうとしている。 



fin 

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- 直木賞狙える。  -- ミッキー  (2010-02-12 15:09:08)
-  普段、泣いたり笑ったりしない人間だが、これは泣いた。  -- ムシュキン公爵  (2010-02-07 09:46:22)
- チョココロネwwww &br()良かった!  -- 名無しさん  (2010-01-13 22:31:14)
- こなたあぁぁぁぃぅぅぅぅ、おかえりぃぃぃ!!!  -- 名無しさん  (2010-01-07 21:51:12)
- こ!な!た!お!か!え!り! &br() &br()チョ!コ!コ!ロ!ネ!  -- 名無しさん  (2009-12-05 19:15:47)
- 意味不wwww  -- 名無しさん  (2009-11-28 08:36:27)
- すごい感動しました 涙がとまりません本当に感動しました  -- らきすた  (2009-10-21 00:28:52)
- 泣けました。  -- HY  (2009-10-20 01:19:31)
- つまり下の下の下の下のコメやそれに対して批判した奴、更にそれを批判したお前みんな荒らしってことか  -- 名無しさん  (2009-07-02 17:36:00)
- はいはい 言いたいのはわかるがいちいち書き込むのもどうかと思うぞ? &br()そういうのに反応するからダメなんだろ?wそれにこなかがをだめにしたっていう言葉もある意味上から目線だぞ?それこそ今だってこなかが書いてくれてる人に失礼だ…。見方によってはかわらんこと言ってるようなもんなんだぞ? ちょっとそう思ったから書き込みした…。不快ならすまんな。 だが俺はそう思うぞ 長文スマソ  -- 名無しさん  (2009-07-02 02:20:11)
- 下の下、随分上から目線だな。初期らへんでは一番だと思う…調子のんな。ほかの人たちだって初期盛り上げようと沢山書いてくれた。そんな人たちへの感謝も表さずに何が一番だ。お前みたいのがこなかがを駄目にした  -- 名無しさん  (2009-07-01 23:10:51)
- すごい … マジで泣ける おかしいな…  何でだ??  -- 名無しさん  (2009-06-26 00:03:25)
- やばいな俺初期らへんではこれが一番のSSだと思うw  -- 名無しさん  (2009-04-16 13:53:48)
- すごいです。ヤバいほど上手いです。  -- 名無しさん  (2009-04-12 17:05:17)
- SS見にきましたよ! 文章力あるじゃないですか!!!  -- kou777  (2008-10-19 01:50:59)
- これが記念すべきこなかがスレSS第一号か…鬱要素アリだけど、最後はハッピーエンドで甘く終える事になってて良かったw  -- 名無しさん  (2008-06-12 18:32:26)
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