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オレンジ - (2021/02/02 (火) 19:15:06) のソース

それは大学の帰りだった。 
行きつけの本屋に注文していた参考書が届いたというので、友達との予定をキャンセルして、 
自宅とは反対方向にあるその本屋に向かった。 
高校時代によく遊びに来ていたこの大通りも随分、変わったなぁと柄にも無く感慨に浸っていると、道路の向こう側にアイツがいた。 
ぼさぼさの髪の毛。3年前から全く伸びてない身長。オシャレには無関係な服装。 
おいおい、相変わらずオタクっぽいな。 
久しぶりにからかってやるかとケータイのアドレス帳を開いた時、思わぬ事に気が付いた。 
隣に誰かいる・・・しかも、男。 
背はまぁまぁ高くて、服も地味だけど少し高そう。 
顔も充分、男前だ。 
彼氏・・・かな? 
最初は友達かと思ったけれど、二人でしっかりと手を繋いで楽しそうに歩いている。 
まるで絵に描いたような幸せそうなワンショット。 
ったく・・・道理で最近捕まらないと思ったわ。一言ぐらい報告くれてもいいじゃない? 
今すぐ電話を掛けて文句の一つでも言ってやりたいけど、楽しくて嬉しそうなアイツの顔を見てると、 
それは無粋だなって思ってやめた。 
まぁ、しっかりしてそうな人だし、だらしないアイツには丁度いいかもね。 
末永くお幸せに・・・。 
遠ざかる二人の背中を心の中で祝福して、目的の本屋に歩き出す。 
けれど・・・。 



?
あれ、おかしいな? 
何か、胸の中が苦しくて痛いな。 
風邪を引いてるわけでも無いのに、鼻がシュンシュンする。、 
ゴミが入ったわけでもないのに、涙がポロポロ零れてくる。 
季節外れの花粉症かな? 



うん、そうね。そうに決まってる。
本屋は明日にして、今日はウチに帰って休もう。 
ははは。何か私、バカみたい・・・。 
みっともない顔が周りの人にばれない様に空を見上げて、踵を返して駅へと向かう。 
頬に当たる冷たい風がふいに卒業した日の事を思い出させる。 
こんな事なら卒業式の後に、怖がらずに告白しとけばよかったかな。 
本当に私はバカね。 
そんな事を心の奥で考えたけど、耳を塞いで聞こえないふりをする・・・。 
オレンジ色の空が、水彩絵の具をこぼしたみたいにぐちゃぐちゃに見えた  




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- こうゆうのもすき...  -- 名無しさん  (2021-02-02 19:15:06)
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