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あやちゃんがあたしの部屋を出てから、どうしたら良いかと悩むこと30分少々。
さっぱり良い案が浮かばないあたしは、ゆかちゃんに電話していた。

『のろけ話なら、お断りじゃけど。』
「…あの、まだ何も言ってないんですけど。」
何も言ってないのに、ゆかちゃんの第一声がそれだった。

『だって、どうせ、あやちゃんものっちのコト好きだったって話でしょ?』
「まぁ、そうだけど。」
『そういう訳で、じゃあ…。』
「ちょちょちょちょw待ってぇ!」
『も、なんよ〜。』
うぅ〜、何でそんなに嫌そうなのさぁ…。

「その、あやちゃんにも自分の気持ち、気付いてもらうにはどうしたら良いんかなと思って。」
『は?そんなん、自分で考えたら良いでしょ?』
「分からんけぇ、ゆかちゃんに頼ってるんよぉ。」
『誰かに言われたコトじゃなくて、のっちが精一杯考えて伝えたほうが想いが伝わると思うけど?』
「…けっこう考えたんけど。」
『じゃあ、まだまだ考えんさい。あやちゃん為じゃろ?それとも自分為?』
「違ぁうよ。二人の為っしょ!」

『あ〜、はいはい。じゃあ、そんな感じでがんばりんさいよ。』
「だから、何でそんなに投げやりなんよ?」
『だって今、お仕置きの…『だぁwゆかお嬢様!そんなことぉ、ふがw』あ〜ごめんごめんw』
「何?今の。」
後ろで、もごもご言ってますけど?
『ちょっと、うちのひつじが鳴いただけじゃけw気にせんで?ちゅうことで、じゃねw』
「ちょぉ!」

プツ…ツーツー…。
切られた。

ひつじってもしかして…、執事さん?


ま、まあ、それは置いておくとしてw
…自分の言葉ね〜。
もうちょっと考えてみよう。

で、夕食の時もずっと考えてみたけど、もやっぱり適当なことは浮かんでこなくて。

いつもの様に、寝る前の時間になって、あやちゃんがやって来る。

「彩乃様、気分が優れませんか?」
相変わらず恥ずかしそうな仕草で、話してくる。
「え?なんで?」
「なんだか、ずっと難しいお顔をされているようなので…。」

「いや、別に気分が悪い訳じゃないけぇ。」
「そうですか、それなら良かったです。」
「でもちょっと…考え事?」

「考え事ですか?」
「うん。」
考えるのも面倒になってきて。

「何をお考えになっていたのですか?」
「それは…。」
思ったことを言葉にしていく。

「あやちゃんのコトだよ。」
私の言葉に、当然のように顔を赤くするあやちゃん。


「あやちゃん。今、心臓ドキドキしてる?」
「…はぃ。しています。」
「じゃあさぁ…。」
あたしは椅子から立ち上がって、戸惑っているあやちゃんに近づく。

「あたしが近づくともっとする?」
「…は、ぃ。」

どんどん俯いていくあやちゃんに触りたくて、手を近づけると、今朝と同じように少しだけ後ずさるあやちゃん。
けど、今は引けない。一旦手を下ろして距離を縮める。

けどまたあやちゃんは距離をつくる。
もう一度前へ出る。

それを何度か繰り返した末、部屋の壁へとあやちゃんを追い込む形になってしまった。
「あ、のぉ…彩乃様?」
「にへwもうさがれないね?」

改めて、あやちゃんに触れようと手を伸ばしたけど、直前で
「っ、止めて下さい!」
ぎゅっと目を閉じたあやちゃんが叫んで、あたしは手を止める。
でもすぐに、ハッとして謝るあやちゃん

「…ねぇ、どうして嫌なの?」
できるだけ優しく聞いてみる。
「それは…私が変なんです。」
「変?」
「…彩乃様が、側に居るだけで、うるさいくらい心臓が鳴って、
…今みたいに、触られそうになっただけで、一番近い部分が熱くなって…。私、おかしく…なってしまうんです。」
説明しながら、あやちゃんの目に涙が滲んできた。

「おかしくなんてないよ。」
「いいえ!絶対におかしいです。こんなの…。今までこんなこと無かったのに…。
私はずっと、彩乃様のお側で、彩乃様を見ていたいのに。これじゃあ、それも叶いません…。」

側に居て見ていたい。
その言葉が無性に嬉しかった。



「じゃあ、あやちゃんがおかしいなら、あたしもおかしいかもw」
「??そんなはずありません。」
「へへ。だって、あたしも今ドキドキしとるもんw」
「どうして、ですか?」

「それはぁ…、あ。ねぇ、こっち見てよ。あやちゃん。」
「無理、です。きっと、心臓が破裂してしまいます…。」
「破裂ってwだぁいじょうぶだってぇ。それに、あたしのお願いだよ?」
「うぅ…。」

お願いっていう言葉に、あやちゃんは断ることが出来なくて。
何回か、こっちを見ようとしては、ふっと元の方へ向き直ったりと、がんばって応えようとしてくれてる。
そんな姿が愛しい。

そして、意を決したように、あやちゃんの顔が真剣になって。
大きく息を吸ったあやちゃんが、ようやく顔を向けてくれた。

「ね?大丈夫じゃろ?」
「…はい。でも…。」
でも、数秒間で、あやちゃんの揺らめく瞳は限界ですと言わんばかりに、顔ごとまた逸らされそうになったのを両手で押さえて。
「だ〜め。もっと、見てたいんだから。」
「あゃ、の、さま…恥ずかしぃ、です。」
まるで、色づいた苺のように、甘酸っぱい雰囲気が部屋に広がる。

「あたしも、あやちゃんと一緒に居たいし、見ていたいし、それに…触りたいんよ。」
「彩乃、さま?」
「どうしてか分かる?」
「…分かりません。」
あたしの手の中で小さく顔を振るあやちゃん。

ふぅぅ〜。ちゃんと伝わるかな?
「あやちゃんのコト、いっぱいいっぱい好きで、あやちゃんに『恋』してるからw」

「…コイ。ですか?」
「そう、恋。だから、あやちゃんはおかしくなんてないんだよ?」

もう少し。あやちゃんが理解するまで、あと、少し。
がんばれ、自分。

—つづく—






最終更新:2009年03月30日 20:50