あたしの恋は失恋からはじまった。
あなたが離れてはじめて自分の気持ちに気付いた。
気付いた時にはもう遅かった。
手をのばしても
もう届かない。
いつものように楽屋で3人でいると、のっちが改まった感じで話があるって言ってきた。
「なーによ?話って?」
ゆかちゃんは雑誌をめくりながら、のっちを促す。
あたしはネイルに夢中。
オッホンってわざとらしく咳払いをして、のっちが喋り始めた。
「えーと、、、実はのっち・・・彼氏が出来ました!!!」
「マジ!?相手は誰よ!!」
ゆかちゃんが即座に食いつく。
「ラジオ番組のスタッフさん。デヘヘw」
のっちはハノ字眉になってデレデレ顔になってた。
あたしは手に持ってたマニキュアを落とした。
「あーあ、あ〜ちゃん、こぼれちゃってんじゃん」
のっちがティッシュでこぼれたマニキュアを拭いてくれた。
「・・・のっち、その人のこと、好きなん?」
「うん・・・」
その返事を聞いた瞬間、あたしの心にポッカリ穴が空いた。
それは今まであたしの心にいた、のっちがいなくなったから。
自分で知らない間にあたしの中には、のっちがいた。
いなくなって初めてわかった。
あたしはのっちが好きだってことが。
好きってわかった瞬間、終わってしまった。
その後のレギュラー番組の収録は変なテンションになってしまって、空回りで終わった。
それから楽屋や休憩中になると、二人はのっちの彼氏の話で盛り上がるようになった。
あたしは聞きたくなかったから、ひとりで雑誌を見たりスタッフさんと一緒にいるようになった。
仕事が終わってお風呂に入っている時はいつも泣いてた。
泣いてもどうにもならないのに泣いた。
涙がバスタブいっぱいになるくらい泣いた。
ラジオの収録には行きたくなかった。
だって、のっちの彼氏に会いたくないから。
あっ、のっち話し掛けられてる。
すごく照れてる。
すごく女の子っぽくなってる。
のっちのそういう部分は、ここで見たくなかった。
あたしはローテンションでラジオ収録に向かった。
「あ〜ちゃん、今日どうしたん?元気なかったよね?」
案の定、ラジオの収録が終わったらのっちが心配して話し掛けてきた。
のっちのせいだよ!!って言えるはずもなく適当に誤魔化す。
「あぁぁ、ちょっと寝不足だったからじゃろ・・・」
「そう言えば、目ぇ赤いね・・・」
そう言ってのっちはあたしの顔を覗き込む。
「あ、あ〜ちゃん、もう帰るけ!」
自分の赤面を見られなくて、のっちの肩をグイって押しのける。
「え?もう帰っちゃうの?のっちこの後暇じゃけ。あ〜ちゃん遊びいこうよぉ」
「そんなん、かっしーといけばいいじゃろ」
「だって、かっしーもう帰っちゃったよ」
「それに最近、あ〜ちゃんなんか、よそよそしくない?のっちなんか悪いことしちゃった?」
のっちがハノ字眉になって、あたしの機嫌を伺ってる。
「・・・したよ」
「えっ?やっぱり・・・てか、なにしちゃった?ごめん、思い当たる節がないけ」
「勝手に彼氏作ったじゃろ・・・」
あ・・・言っちゃった。
ヤバイ、のっちの顔見れない・・・。
「だって、それは・・・あ〜ちゃんがいけないんじゃけ」
はい?なんであ〜ちゃんが悪いんよ?
のっちの言ってる意味がわからんよ?
「なんで、あ〜ちゃんのせいなんよ?」
「だって・・・のっちの気持ちわかってくれてないじゃん」
のっちはあたしの両手を握ってきた。
「のっちはずっと、あ〜ちゃんのことが好きでアピールしてたつもりだったけど、全然気付いてくれないから諦めたんだよ・・・」
「アピールって、どんなことしてたの?」
「いっつも、可愛いねって言ってたじゃん!」
何それw
そんなんじゃ気付かないでしょ・・・。
でも、なんだかのっちっぽいw
「今も、あ〜ちゃんのこと好き?」
「残念ながら、のっちは一度好きになるとしつこいんですw」
「じゃあ、なんでスタッフさんと付き合うことにしたんよ?」
「だからー、それは、あ〜ちゃんを忘れようとしてだよ〜」
「それじゃ、もうその必要はないね。スタッフさんには悪いけど」
「へ?・・・て、ことは?もしかして、あ〜ちゃんも・・・のっちのこと?」
のっちめ・・・あたしにあの言葉を言わせようとしてるな〜。
だってすんごいニヤケ顔だもん。
でも言ってあげようかな・・・。
もう、のっちを放したくないから・・・。
「好き」
「ねぇねぇ、もっかい言って。お願い!!」
のっちは懸命にねだってきた。
「やーだ、最初で最後だよ」
— Fin —
最終更新:2009年03月30日 20:58