「お邪魔しまーす。」
珍しくあ~ちゃんからの呼び出し。
また何かのダメ出しかも知れん。
「やっほー。」
中に上がって、リビングに居るちゃあぽんとたかしげに手を振る。
「ええから、早しんさいや。」
あ~ちゃんがそう言いあたしの背を押して、二人に「しっしっ」と追い払う仕草をした。
あ~ちゃんの部屋の前に来て、ドアノブに手をかける。
「あらー。」
相変わらずの可愛らしい部屋が広がっていて、思わず声が出た。
「もー、つっ立っとらんで。」
「すいませーん。」
あ~ちゃんがまたあたしの背を押した。
ほんのり伝わる熱が心地よい。
「おっ…」
部屋に入って一番に目についたものに、あたしは見入ってしまった。
「なんしよん?」
横からあ~ちゃんが覗き込んで、きいてきた。
「え、これ見てた。」
あたしはそれを指差した。
あたしとあ~ちゃんの、懐かしいツーショット。
「…ぁ、だめじゃ!!」
眉間にしわ寄せたかと思うと、突然写真を取り上げられた。
「なんで?」
「なんでも。」
「なにそれ?」
「じゃけんなんでも。」
「…へえ。」
あたしの言葉を最後に、言い合いはにらめっこに変わった。
時間が経てば緊張も次第に緩んできて。
「…待って。」
「あ~ちゃんの負けー!」
あ~ちゃんがくつくつと笑い始めた、だからあたしの勝ち。
そこからあたしたちは大笑いした。
「…あー苦しい。」
「な、もお無理無理。」
べたっと座るあ~ちゃん。
あたしも隣に腰をおろす。
あ~ちゃんの肩があたしに少し近づいた…気がした。
「なんか近いね。」
ちょっと気になったから、言ってみる。
でも、あ~ちゃんは答えないで下を向いた。
「西脇さーん?」
「あやちゃーん?」
「綾香殿ー?」
ひっどい。
図星だからって無視することないじゃん。
「あ~ちゃん図星…」
「何が?寂しそうやね。」
珍しくあたしが主導権を握れたかと思えば、すぐに奪われた。
「別に」
「逃げとる?」
「別に」
「寂しかったんじゃろ?」
「別に」
「
ツンデレになっとらんよ。」
「なっ……」
しまった。
でも、勝った勝ったと手を叩くその姿を見たら、微笑ましくて自然と口元が緩んだ。
「あ~ちゃんデレを見たことないんよ。」
突然真顔で切り出された話。
「はあ?」
「じゃけん、デレて。」
お願いと言って上目づかいで手を握ってくる。
レッドカードだと思うよ、それは。
ま、たまになら…目指してるのはツンデレだし。
「あのな、寂しかったんよ。」
「ほお。」
「だから構っ…てよ。」
「…ほお。」
レッドカードなあ~ちゃんの真似をした。
二度目のほお。の前ニヤけたのをあたしは見逃さなかった。
「よし、構うけん移動じゃ。」
「移動?」
「うちは二人がおるけん、のっちん家。」
「なんで?」
「ええから、行こっ。」
あ~ちゃんは理由をぼかして、あたしの手を引っ張る。
今度はしっかり伝わる熱、離すのには少し惜しかった。
「…わかった。」
あたしの返答に、あ~ちゃんは一つ笑ってドアを開けた。
最終更新:2008年10月09日 23:38