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《現在》


サイドN


『んでさぁ、結局こうなるんよ。』
電話越しに聞こえるこの人の言葉と含み笑いが、あの時とまったく変わってなくて困る。
この人が変わってないってのは多分空想で、のっちが何も変わってないから、この人まで変わってないんだと錯覚してるんだろう。
情けない自分にこの人を巻き込もうとしてるだけだ。
そしてそれを共有して、正当化して、逃げてるだけだ。結局はこの人に逃げてるだけなんだ。
あ〜ちゃん、そういう奴だよ、のっちは。やっぱりあ〜ちゃん正しかった。
『ほぉんと、はっきりしないねぇのっちは。』
あの頃笑って言ってた言葉が、今じゃ違って聞こえる。
あ〜ちゃんは全部気付いてたんじゃないか?って。
あ〜ちゃんは全部知ってたんじゃないか?って。
ごめんね、あ〜ちゃん。もしそうなら、ずっと傷つけてたね。
それすら気付けなくて、ごめんね、あ〜ちゃん。




《過去》


サイドN


『で?どうゆうことよ?』
仕事を終えた23:30。こんな時間にわざわざのっちの家に来る人なんて、この人しかいない。
あ〜ちゃんだってまだ連れ込んでないんだぞ?
電話越しに聞こえていたこの人特有の含み笑いが、今日は目の前にある。
まいったなぁ。弱いんだよなぁ、、これに。

『・・・まぁでも、別れたんだし、、文句ないで、しょ?』
恐る恐る言うと、また始まる。のっちがそれに弱いこと知っててやってんのか、この人は?
ふふって含み笑いが、静かな部屋にこだまする。
『だって、終わりでいいよ。なんて言ってなくない?』
あーあ、まったく。その含み笑いはだめだって。
『いやいやいや、無理だって!てか付き合ってない、でしょ?』
うん。そうだ。付き合っては、、ない。別れるどころか、始まっても、ない。

『まぁ、、ねぇ。でも、することしといて、それ、ずるくない?』
『ぅ、、ごめ、ん、、』
大きくて白い手のひらが伸びてきた。優しく首の後ろにまわされたそれに、気持ちがぐらつく。
こんな時だって、いつもと変わらない表情で。いつのまにこんなに大人になったんだろう?

『いいんよ。でも終わりを決めるのは、のっちじゃない。』
『へっ?だってそんなん、、どうする・・・

『ゆかが、決めるの。』

そうだ。相手はかしゆかだ。
あーあ。いつからこんなふうになったんだろ。
小悪魔だと知りながら、あ〜ちゃんに告白する勇気もないのっちは、いとも簡単に愛する人の親友に手を出してしまったよ。
そしてそれを、今でも終わりに出来ないなんて。
でもさ、その含み笑いはずるいよ、ゆかちゃん。





最終更新:2009年07月22日 22:31