Side A
ゆかちゃんが出掛けてから一人。
ちょっと寂しいな〜なんて思いながらご飯を食べる。
…テレビでも点けよっと。
時々、一人が恐くなる。
皆に置いていかれたみたいな気持ちになって、恐い。
彼の話題が出た日は特にそう。
だから、テレビとか歌で人の声がするもので気を紛らわす。
はぁ〜、早くゆかちゃん帰ってこないかなぁ。
Side K
のっちはもう大丈夫そう。
あ〜ちゃんは…どうかな。
私は少し早足で部屋に戻る。
玄関を開けて、あ〜ちゃんが居るであろうリビングへ一目散に駆けつける。
「あ〜ちゃんただいま〜!」
「お帰りw」
そこには、床に座ってテレビを見ているあ〜ちゃんが。
「あ〜ちゃん私が居なくて寂しかったぁ?」
あ〜ちゃんの後ろから抱きつきながら、いつもの軽いノリで言って。
また言ってるwって返ってくると思ったのに。
「…ぅん。ちょっと寂しかった。」
ありゃ?
あ、そっか。あ〜ちゃんアレか。今日の帰りのこと考えてたのかな?
「え、と。あ〜ちゃん、話、途中だったよね?」
「ぇへwやっぱり覚えててくれたぁ。」
そんなに、落ち込んでる様子ではない。
「当たり前でしょ?あ〜ちゃんのことだもんw」
「うん。ありがとう。やっぱゆかちゃん居ないとダメだわw」
「またまたぁ、そんなこと言っても何も出てこないよ?」
「だって、本当だもぉん。」
ぷくっと膨らんだほっぺが可愛い…。
しかも『だもぉん。』て…。
だwwもぅ!可愛いんだからぁw
思わずぎゅっと腕に力が入る。
へへwって笑ったあ〜ちゃんが話し出して。やっぱり、のっちが話したことと同じで。
「…結局、ちゃんと言ったのって、一回だけで。『好き』って言うだけで切なくなっちゃって…。」
話してる間にも、泣きそうな表情になっていくあ〜ちゃん。
「それは仕方ないよ。好きなんだから。」
「ぅん…。だから、もっと素直にならなきゃなって。」
「ん?」
どういうこと?
そのまま話を続けるあ〜ちゃん。
「あの、その好きって話した後に、大本さん
考え事してたみたいで…。一緒にいるのに遠くに感じちゃって。それがなんか嫌だったの。」
「それって?」
「ゃ、好き、とかじゃないけど…。なんていうか…、いなくても平気っていう存在じゃなくなってて…。」
ぴったりな表現が浮かんでこないのか、一生懸命言葉を探している。
いつかあ〜ちゃんは、のっちのこと知るのが恐いって言ってたっけ。
それはきっと、親しくなるのが恐いってことだよね。
失う事の悲しみを知ってるから。
だから、あ〜ちゃんからは何もしなかったけど…。
のっちが側に居て、私と話してるだけでも、のっちの情報はちゃんとあ〜ちゃんの中に入ってたんだね?
あ〜ちゃんも気付かないうちに、のっちとの距離が近づいてたんだね。
私はふと思い浮かんだ言葉を口にする。
「…ともだち?」
「うんっ。それ!友達!そんな感じw」
あ。あ〜ちゃんだ。
のっちのことで、こんなに幸せそうに笑うあ〜ちゃんは初めて?
ほんの一瞬。それは気のせいだったのかもしれないけど…。
あ〜ちゃんの瞳に、光が灯ったような気がした。
「大本さんにもちゃんと伝えたい、今の気持ち。後悔しないように。」
あの日から初めて出来た、あ〜ちゃんの友達。
友達…かぁ。
のっち、ちゃんと前進してるじゃん。
でも友達だから、ようやくスタートラインかな?
—つづく—
最終更新:2009年08月01日 21:31