あたしは二人を愛している。
ゆかちゃんも、あ~ちゃんも。同じくらい。
誰にも渡したくない。離したくない。
ゆかちゃんは女神のようにあたしを包んでくれて。
あ~ちゃんは天使のようにあたしを導いてくれる。
二人とも愛しているから、どっちかなんて決められない。
あたしは楽屋で二人の顔を見つめながら一人悩んでいた。
ゆかちゃんはいつも通り、雑誌を読んでいて、
あ~ちゃんは差し入れのドーナツを美味しそうに食べてる。
これって世間じゃ二股…なんだよね。
ゆかちゃんは、あたしとあ~ちゃんの関係を知らないし、
あ~ちゃんは、あたしとゆかちゃんの関係を知らない。
二人を愛しているから傷付けたくない。だから本当のことは言えない。
でもこのままじゃそのうちいつかきっと二人にバレて…
二人を傷付け二人とも失ってしまう。
でも二人に嘘をついてるのは辛くて…でも…。
のっちどうすればいいの?どうしたら…。
とりあえず、今の状態が持続できればいいんだ。そう考えてみよう。
まず二人は本当のことを知らないわけで。あたしも言いたくないわけで。
ってことは、バレなきゃ今の状態は維持だよね。
うん、そうだ。バレなきゃいいんだ!!
「バレなきゃ…」
「のっち?何か言った?」
「えっ?」
ハッとして顔を上げると、ゆかちゃんとあ~ちゃんがあたしのすぐそばにいた。
「うあっ!!」
驚いて思わず立ち上がってしまった。椅子が倒れる。
「どうしたの?のっち?そんなに驚いて」
「失礼じゃね、のっちは。二人の顔見て驚くなんて」
な、何で二人がこんな近くに?!
それもなぜかあたしの体が、少しずつ壁際に追い込まれてるような…。気のせいだよね?
「い、いや、ちょっと
考え事しとったけぇ…」
「へぇ~珍しい…」
「のっちの事じゃから、変な事でも考えてたんじゃない?」
うわわ…どうしよ~?!何て答えればいいの?!
ドンッ
「へ?」
あたしの背中が壁に当たる。やっぱり気のせいじゃなかった~っ!!
「「もう逃げられんよ、のっち」」
二人に追い詰められて、あたしは完全に逃げ場を失った。
「のっち…」
ゆかちゃんの顔があたしの方に近づいてくる。
「なっ!」
何ィィィ!!何、何すんの?!何しようとしてるのっっ?!!
助けを求めてあ~ちゃんの方に振り向く。
「のっち…」
あ~ちゃん、近っ!近いよ!!あ~ちゃんまでっ?!
「な…なななっ!?」
左右から二人の顔が近づく。
あたしはパニックと恥ずかしさに耐えられなくなって、ぐっと目を瞑る。
………?
何の柔らかい感触もないぞ??
瞑っていた目を少しずつ開く。
「「……ぷっ」」
「ほえ?」
「くくっ…あはははっ!!」
「あははっ…ダメ苦しい~!!」
笑われた。あたしの脳はまだ働いてくれない。
「のっちっ…あははっ」
「冗談、冗談よ!のっちっ、あはは…っ」
………冗談?………?!
「なあぁぁっっ!?」
ようやく動き始めるあたしの脳。
からかわれた!!二人に!!
「あ~っ…苦しかったぁ」
「はぁ、はぁ…苦しい…」
二人とも思う存分笑ったみたいだね……のっちへこんでいい?
「ヒドいよ二人とも…」
「ごめんごめん、のっちがすごく難しい顔してたから…」
「のっちを励ましてあげようとしたんじゃ」
それは嬉しいんだけど…でもあれは、下手に寿命が縮まるよ…
「二人ともありがとう…でもすごくドキドキしたよ」
「それは、ゆかみたいな美人さんと」
「あ~ちゃんみたいな可愛い子に迫られたら」
「「ドキドキするに決まってるじゃろ?」」
うう…それは、まぁ…うん。ドキドキしてクラッと来たけど。
あたしは、てっきりお互いの関係がバレてるのかと…。
「それとも…のっちはゆか達に隠し事でもあるの?」
ギクッ。
「そ、そんなわけないじゃろ…!」
「そうじゃね。のっちがあ~ちゃん達に隠し事出来るとも思えんしね」
「それもそうだね~」
これは誤魔化せたのかな?…良かったぁ…。
でも、のっちが隠し事出来ないって、何で?
のっち、そんなにわかりやすい人間じゃないよ!ちゃんと隠し事してるもん!!
「出番です!お願いしまーす」
スタッフさんに呼ばれた。もうそんな時間なんだ…。
「じゃあ、行こっか!」
「うん、頑張ろうね!」
ゆかちゃんとあ~ちゃんがドアに向かっていく。
…あたし、やっぱり二人とも好きだ。
どっちが上とか下とかそんなのない。
二人を愛してる。あたしは。
あたしは、うまくやってみせるよ。バレないようにうまく。
女神様と天使さんを幸せにできる王子様パワー発揮させるよ。
………それに、もしバレちゃったとしても、あたしは迷わない。
むしろ3人で…とか…。うへへ…。
「のっち~?」
「行くよ~のっち~!」
二人が呼んでる。行かなくちゃ!
「うん!行こう!頑張ろうね!!」
あたしは、絶対に二人を幸せにして見せる。
二人の事を愛してるからねっ!!
最終更新:2008年10月11日 01:43