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side K

朝から、テンションは低くて。
佐藤君が必死に盛り上げようとしてくれてたけど、愛想笑いしか出来なくて…。
その愛想笑いも上手く笑えてたか疑問だ。

見たかった映画は面白かった。
けど、全然楽しくなかった。

「結構、面白かったな」

佐藤君が、話す映画の事に私は何も言えなくて…。


のっちぃ…

今、何してるの?

のっちぃ…

両親帰ってきてなんかいないんでしょ?

のっちぃ…

独りで寂しくない?

のっちぃ…

会いたい。


side N

目が覚めて、三時間。
いや、寝てたのかどうかも解らない。
体は重くて、ベットから一歩も動けない。
寝不足だけが原因じゃないことはわかってる。


ゆかちゃーん…

映画、楽しかった?

ゆっかちゃーん…

今頃、告白されてるの?
でも、信じてるよ?

ゆかちゃん…

会いたい。


「ゆっ、か、、ちゃん…うっ、うっ」
泣くくらいなら、言えば良かった。
いくら信じてるからって、やっぱり好かれてる男子と2人っきりなんて、ヤダよ…。辛いよ…。


電話しよう。
電話して、「本当は遊びになんか行かないで欲しかった」って伝えよう。
「不安で、不安でしょうがなかった」って打ち明けよう。


side K

佐藤君は何の話をしてるんだっけ…

カチャカチャスプーンがカップに当たる音がうるさくて、聞こえないよ。

—…
早く帰ろう。
早く帰って、のっちに電話しよう。
電話して、『ちっとも楽しくなかった』って伝えて。
『のっちが居れば"楽しい"に変わってたかも』って教えてあげよう。



side K


「樫野?」
「えっ?あっ!何?」
「浮かない顔してるけど、どーかした?」
「ううん、ちょっと考え事」
「大本さん?」
「あー…まぁ」


俯いた私に、佐藤君は止めていた手を動かしコーヒーを混ぜた。


「そっか…」



—…カチャカチャ、、


ねぇ…それうるさいよ?

スプーンがカップに当たる音。


「こういう事はさぁ…あんま俺の口から言いたくないんだけど、、、」



—…カチャカチャ、、



「大本さんの事、もっと考えてあげないと」
「何それ」
「恋人いるのに、他の奴と2人きっりで会っちゃダメってこと」
「のっちはそんな事気にせんよ」


だって、


"楽しんできて"って、
"大丈夫"って、


鳴り続けるスプーンがカップに当たる音。


—…カチャカチャ、、



「じゃあ…関心無いのかもね、、樫野に」



—…カチャカチャ、、



「のっちは優しいから…」



—…カチャカチャ、、



「その優しさは何?」
「何って、、何?」
「ヤキモチ妬かないのが優しさなの?」



—…カチャカチャ、、


止めてよ…


—…カチャカチャ、、


止めてよ…


「あっ!ごめん。あくまでも、俺の憶測だからさ、、」


—…カチャカチャ、、


「でも、不安でしょ?」


—…カチャカチャ、、


止めて…


「正直になりなよ、、」


止めて!


—…カチャカチャ、、



止めてよ!
うるさいんだよそれ!


うるさいんだよ…


「今日はもう帰るね」
適当な理由も言い訳も言わぬまま、自分の分のコーヒー代をテーブルに置いて、鞄を手に取った。

「樫野!」

「…なに?」
「…もし、俺なんかで良かったら・・・」


side N


ねぇ…
いくら君が頑張ったって、ゆかちゃんは渡せない。


———…
「それ、、本気?」
「本気」

…———

ゆかちゃんものっちからは離れないよ。
きっと…
きっとね…。

———…

「じゃあ、そうする…」

…————

でしょ?ゆかちゃん








最終更新:2009年10月22日 16:09