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社長室をあとにし、会議室に向かう。もうそろそろ、中心となるスタッフが集まって全体会議をする時間だ。

「失礼します」そう言って、部屋に入るともうすでに、打ち合わせは始まっていた。
半年後をめどに、中田さんプロデュースで、再スタートする方向性で話は進んでいるようだ。
ちらっと、彼女を見ると、手元の資料に真剣に目を通している。・・・どんな、話したのかな?
そんなことを、ぼんやりと考えていると、ふいに視線を上げた彼女と目が合い、ふわっと微笑みかけられる。

同じように、笑い返せてる、、、かな?
ごめんね、のっち完全に上の空だ。キミのその笑顔ですら、軽くフィルターがかかってる。
もうさ、頭ん中は、“これから”のことでいっぱいでさ、心臓のリズムもちょっぴり変動していて苦しくて。


そう、本当の勝負は、、、この後、だから。


◇◇◇◇㊖◇◇◇◇㊖◇◇◇◇㊖


「お疲れさまです〜」
「お疲れ様〜」
一通りの挨拶をすませて、家路へと車を走らせる。
バックミラー越しに、ゆかちゃんと目が合う。

「ねぇ?」
「なに?」
「この後、時間ある?」
「ある、けど、、、なに?」
「話したいこと、、聴いて欲しいことがあるんだ」


ゆかちゃんを連れて行ったのは、都会の喧騒を離れ、住宅街を通り過ぎた小高いとこにある公園。
無言のまま、二人並んで、ベンチに座る。

「・・・なんかさ、キラキラっていうより、ガヤガヤって感じじゃない?」
「ん?・・・そだね」
「あの中でさ、毎日、必死で働いて、過ごしてんだよね」
「…うん」

「…中田さんと、ちゃんと話できた?」
「うん、、、できた、よ?」
「そっか、、、のっちも、ちゃんと話、してきたよ?」
「えっ?・・」



きっと、ゆかちゃんの頭ん中は“?”で溢れてるだろうな。
のっちの頭ん中も、ぐるぐるして、うまくまとまってくれない。さっきから、なに話してんだか、、、

「ここにね、初めてきたのは、前の彼女に振られたとき」
「…」
「なんか、知らん間に、たどり着いてた」
「…うん」
「ここってさ、普段、生活してる街がさ、見渡せるじゃん?こっから、いつもいるあの場所を見下ろした時、
 あぁ、自分の悩みなんてちっぽけだなぁ、、て。なんか、単純にそう思ったんだよね」
「…うん」
「だって、ここからだと、なにもかも、ちっさいじゃん?」
「…うん」
「・・・ごめん、話したいこと、そんなんじゃない」
「…うんw」


目の前の景色。いつもと違って、なんだかとても、イミテーションだ。
隣に座る、彼女が、愛しい彼女だけだ、リアル。


「この前、ね、、、久々に彼女に会ってきたんだ・・・うぅん、別れてからは、初めてだった、、かな」
「そ、、、なんだ・・・」
「うん、、、ちゃんと、さよなら、できてなかったから」
「…」
「たくさんの“ありがとう”も伝えられてなかったし、、、“ごめんね”って、ちゃんと言えてなかった、から」
「そ、、っか・・」
「うん・・」
「・・・ちゃんと、話できたの?」
「そだね・・・ようやく、止まってた時間が回りだした、、、て感じか、な・・」

「ふーん…」なんて呟く、キミの甘い声が、頭ん中に響く。
あぁ、、、手のひらに汗が滲んできた・・・・鼓動よ、、おさまってよ!ちょっとでも、いいからさ・・・


それとね、、、
「さっきね、社長と話してきたよ」
「え、、なに、を?」
「新しいマネージャー、探してくださいって」
「っ!・・・なん、で・・・?」
「もう、マネージャーじゃ、いられなくなった、から」
「・・・」

視線をガヤガヤとうるさく輝く街並みから、戸惑いが溢れる表情の彼女へとうつす。

「のっちは、ゆかちゃんに、恋、してるから」
そっと手をとり、ぎゅっと握り締める。


「ゆかちゃんのことが、大好き。ねぇ、、、ゆか?、、、のっちの、恋人になってください」


ぺこりと、頭をさげる。だって、これって、人生かけたお願いなんだもん。



しばしの沈黙。・・・うわっ、、心臓やべぇ・・・バクバクしすぎて、口からでてきそう・・・


ちらっと、見上げたゆかちゃんは、耳まで真っ赤にして、、、、とまってる。。。。


「・・・でね?…“母さん”とも、話してきたんだ」
「…?」
「のっちは、、、ゆかちゃんとずっと一緒にいたい、、んだって。
それが、のっちの幸せなんだって・・・これが、のっちだ、、て」
「・・・・・お母さん、、、なんて?」
「あぁ、、うん、、わかってたよ、、てw」
「そっかw」
「うん、、、あと、、、、捨てられんようにねって」
「ふふっwなにそれ〜」
「ほんと、縁起でもないよねぇ・・・でもさ、正直言うと、ちょっぴり自信ないんだ・・」
「なにが?」
「ゆかちゃんのキモチ、、、、のっちの勘違いじゃないのかな、、、て」
「・・・」
「中田さんのことだって、、、ほんとはすっげー気になるし、、、さっきだって、なに話したんだろって」
「たぶん、、のっちと・・・一緒、だよ?」
「えっ・・」
「区切りつけてきた、だけ。ゆかの、キモチはもうとっくに、決まってる」

        • まいったな、、、くらっくらする・・・・けど、、、、大丈夫、だよね?



さぁ、、、手を繋いで、、、華麗に、ジャンプしよっか?・・・未来に向かって。。。


「ゆか?ずっと、大切にするよ。ずっと守りたい。うん、、、めっちゃ愛してんだよね、、、だから・・・
 でね、、、ずっと傍にいて欲しいんだ、、愛して欲しい。一人の人として、、、それが、のっちの幸せ、だから」


その先になにが待ってるかなんて、まだ全然わかんないし、不時着しちゃうかもしんないけど、、
ゆかに、怪我なんてさせないよ、ずっとずっと、のっちが守るんだから、、、、、、
だから、絶対に離れないように、ぎゅっと抱きしめる。


「のっちの、恋人になってください」







最終更新:2009年10月22日 18:03