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あなたを愛すると決めたから。






あれからのっちもかしゆかも特にどちらの家に行くとか決めることもなく、向かったのはのっちの家だった。のっちの家の方が少しだけ大学寄りだから、朝も長く一緒にいられる。
ただいま、とのっちが家の鍵を開けて部屋の中へと入ると、かしゆかも続けて中へと入った。適当に荷物を置いてお風呂を沸かして、家の主であるのっちより先にかしゆかをお風呂へ通す。部屋の中で独りきりになったのっちは、ソファーに腰掛けながら浴室から聞こえるシャワーの音に耳を澄ました。そして、いつかのように唇にそっと触れる。先ほどのキスを思い出すかのように。


突然、わけのわからない罪悪感に襲われた。だが、のっちはそれが何故だかわからない。目を瞑って開いて、繰り返される無駄な動き。だけど今は思い出せない、


「のっちー、お風呂出たけえ入りなよ。」


かしゆかの声にハッと我に帰り、慌てて返事を返し浴室へと向かう。すれ違うときに思わず目がいったかしゆかの濡れた髪の毛と、細い身体、罰が悪そうに目を逸らして。



のっちがお風呂から出ると、かしゆかは先ほどののっちと同じようにソファーに腰掛けながらテレビを見ていた。無駄に露出される細い女らしい脚にのっちはドキドキした。急に、かしゆかを女として見てしまう自分に驚きを隠せない。


「あ、のっちー。」


振り向いてのっちの姿を確認すると、安堵しきった笑顔で微笑む。垂れる目が可愛らしい。おいでおいで、と手招きされて何だか嬉しくて犬のように尻尾を振りながらかしゆかの隣へ座り込む。その腕を離さない、とでもいうように絡み合った腕にのっちも安心する。


暫く2人で並んでテレビを見ていると眠くなった。かしゆかがまだきゃはきゃは言いながらテレビを見ていたので、のっちは我慢していたが思わず大きな欠伸が漏れた。大きく口を開けたのっちをじっと見つめて、罰が悪そうにしていたらかしゆかは、にこっと笑って「もう寝よっかあ。」と甘えた声で言った。


ベッドに潜り込むとまたすぐにどちらからでもなく指を絡めた。先ほどの激しいキスが嘘のように穏やかに時間は過ぎていく。ベッドに入ったら入ったで、のっちはドキドキして眠れなくなっていた。この間、酔ったかしゆかとひとつのベッドで寝たけれど、そのときとは全く違う。恋人同士になったのだから。


「のっち、眠いんじゃなかったん。」


先ほどからもぞもぞと寝ようにも寝れないでいたのっちに気付いたかしゆかがむくりと肘をついて上半身だけ持ち上げて、横になっているのっちを覗き込んで聞いた。バレてしまっては仕方がない、とのっちもかしゆかの方へと向き直る。


「なんか、寝れん。」
「じゃあ起きてよ?」
「それは、やだ。」
「なんでよおー。」


甘え口調のかしゆかは犯罪だ、とのっちは思った。ますます寄りそられて甘えられて、たとえ恋人同士の関係でなくてもドキドキする。今すぐかしゆかファンの方々に土下座したい、そのくらいの気持ちでいた。


「じゃあいい、ゆかも寝るわ。」
「え?」


かしゆからしくない、のっちが驚いて問い返すと、その代わり、と言葉を続けた。


「もっかいキスしてから寝よ?」
「いいよ。」


可愛いなあ、ゆかちゃんは。本当に可愛いよ、ゆかちゃん。
のっちが知らなかったかしゆかはどれも本当に魅力的で癒された。降ってきた唇も、髪の毛から香る甘い匂いも、柔らかくてつやつやした肌も全部可愛らしかった。
かしゆかのしあわせが、のっちと一緒にいることなら、それでいいと思った。たとえのっちのしあわせが今現在、かしゆかといることでなかったとしても。先はまだ長い、長い人生の中でいつかのっちのしあわせがかしゆかと一緒にいることになれば、それでいい。


(ねえ、あ〜ちゃん、あ〜ちゃんのしあわせは誰とおること?)






最終更新:2009年10月22日 20:49