これはまだ、のっち本人には話したことがない秘密。ってゆーか、これからも話すつもりはない。
ゆかはのっちの目が、たまに……怖い。
もちろんいつも怖い訳じゃないけど、する時は特に。その真剣な眼差しに気持ち全部、見透かされてるような気がして。だから弾ける瞬間になると、いつも目を反らして逃げる。のっちの鎖骨に頬を擦り寄せて、そのまま眠りにつく。今ゆかの顔見ないでって願いながら。だから…
「寝てるときが、一番いいかも」
目を閉じてるときは、正面から顔を見られる。小悪魔なんて言われてるゆかだけど、今はあ〜ちゃんにも負けないくらい、天使みたいな顔で微笑んでる。そういう優しい気持ちにさせてくれる。この時間が好き。そっと頬に口付ける。よし、よく寝てる。早く準備しなきゃ!脱ぎ散らかした服を跨いでバッグに走った。
「……ん…っ…」
あ、やっとお目覚め?…と思ったのに、のっちは眉間にシワを寄せたままで目を開かない。分かった、開かないんじゃなくて開けられないんだ。飲みすぎなんだもん、のっち。
昨夜のあれも酔っ払った勢い、だったのかな?
「ゆかちゃんにも酔いたいな」
なんてどこのおじさん?みたいな台詞の後は……うん…。ま、お酒ゆかもちょびっと付き合ったから変にテンション上がっちゃって、…。何度も…おねだり、した…かも。
もうやだ。恥ずかし過ぎ!このおじさんといるとゆかまで変態になってくる。アイドルなのに。
「甚だ不本意じゃけど、可愛い可愛い私のゆかちゃんがどーーーしてもって言うけ「ちょっ…ちょっとあ〜ちゃん!」」
口を塞ごうとあ〜ちゃんに飛び付いたけど、かわされて後に回られる。そのまま目をぱちくりしているのっちの目の前におしやられて、顔を見せないように思わず手で覆う。
「ま、今日は特別な日だし。あ〜ちゃんからのプレゼントはゆかちゃんってことで」
ごめんね、あ〜ちゃん…。いつも当日は3人だったのに。
「だ〜いじにするんじゃよ」
眉間のシワがなくなって、のっちの目がゆっくりと開いた。なのに今度は不思議そうな顔したりニヤニヤしたり…。
「何ひとり百面相しとるんよ」
のっちの視線がゆかをとらえた。
「あ、起きてたん?おはよ」
「うん、今朝は早起きしたから、のっちゃんの寝顔見てたん。それに昨日忘れちゃったから」
ゆかの髪を撫でていた左手のそれに、のっちの目が大きく開いた。
「ゆかちゃん…こ、れ…」
…えへへ、どう?映画みたいな渡し方でしょ?びっくりした?
「これ…普通にめっちゃ高かったでしょ?」
って、
「な…」
そこ?もうっ。なんか想像してたのと違〜う。ごめんじゃないよ。でも
「長く使って欲しいから、そこはそれなりでもね、良いもの買わないと。ね?」のっちはどこまでものっちだなぁって思ったら、心が温かくなって笑った。
「結構考えたんよ?何が一番喜ぶかなって。やっぱりゲームとか漫画とかDVDがいいかなとか」
「別にね、あ〜ちゃんが昨日言ったみたいにね」
「プレゼントはゆかだよってゆーの?してあげてもよかったんだけど」
「もうゆかの心も身体も全部のっちにあげちゃってるから、意味ないじゃない?」
だから、あのね…。ん?さっきからゆかばっかり話してる…。
「だから、これ買ったんだ…けど…のっ…ち?」
聞こえて、る?もしかして左手は…重かった?そうだよね、仕事に差し支えるし。指輪も、確かにちょっと躊躇したんよ。なんか…もっと軽い気持ちで受け取れるものにすれば良かったかも。
「気に…入らない…かな?あんまりこういうの、好きじゃなかった…?」
「………大好き」
呟いた顔から気持ちまでは読み取れないけど、その言葉に嘘はない。だってのっちはゆかに嘘はつかない。少しほっとした。
「そ、そっか!なら良かっ「ゆかちゃんが」
「ゆかちゃんのことが、大好きだよ」
視界いっぱいののっちゃんの笑顔。どうしよう…泣きそう。優しく重ねられる唇に、初めてキスしたときみたいに、胸が高鳴る。
「…本当に、大好きだよ」
息が、できない。絶対ゆか今真っ赤。見られた。最悪。ゆかの嫌いな、でも本当は大好きなのっちの強気な目。ゆかを小悪魔でもなんでもない、ただの女の子にする。だからゆかはのっちから離れられない。
好きって口に出したら本当に泣いちゃいそうな気がして、ゆかも、って言うのがやっとだった。けど、ほとんど声にならなかった気がする。
「指輪、大事にする」
「あ〜ちゃんからのプレゼントも大事にする」
「もう…まだそんなこと…知らん。バカのっち」
こんなに好きにさせてどうするつもりなん?
「どっちも、大事にして…?」
「はい」
ずっと傍にいてね。Happy birthday to
my one&only.
fin.
最終更新:2009年11月01日 03:08