Side-k
それは、とてもー
㊖
キッチンでは、のっちが遅い朝食の後片付けをしている。
ゆかは、というと
急に連絡の入った仕事の準備。
もう、なんで、こんなときに!
今日は、のっちとの、デートの日、なのに。。
バタバタと身支度を終えて、のっちの後姿に目をやる。
「ん?ゆかちゃん、どうしたん?」
のっちの声で、自分が、後ろからのっちを抱きしめてることに気付いた。
「ごめんね…」
「なにが?」
「デート、だったのに・・」
「あぁ、仕方ないじゃん、仕事だったら。
それに、昼過ぎには終わるんでしょ?」
「うん、絶対に終わらせてくる!」
「ははwうん、待ってるから。それからでもデートは間に合うよ?」
「うん」
ぎゅっと、腕に力を込める。
腰に回された、ゆかの手を
ぐっと一度強く握り返してくれたかと思うと
そっとほどいて
「さ、早くしないと遅刻しちゃうよ?」
と、玄関へとゆかをうながす。
「わかってるよぉ・・」
ぶーたれるゆかに
「そんな顔しないのw仕事遅れたら、デートの時間減っちゃうよ?」
㊖㊖
「お待たせ!」
「んーん、大丈夫だよw」
「もう、いきなり関さんが!
「だから、大丈夫だって!w早く、いこ?」
「・・・うん」
路地裏を駆け抜ける電車で向かったのは、ゆかが大好きな町。
首には、お気に入りのカメラを提げて。
仕事以外で、写真を撮るのはほんと、久しぶり。
そんな気分にも、なれなかったし・・・
のっちは、はしゃぐゆかの後ろを
きょろきょろ、のんびり、、ついてくる。
「これ、超かわいいー!」
「うん、かわいいねぇw」
「あ、、、ね?」
のっちが、ゆかの腕を引き寄せる。
「ん、なに?」
「あれ」
指差した先には、
一番星。
「きれーだね・・」
「うん、すごくきれー・・・」
㊖㊖㊖
「うみー!!」
「うみー!!!」
「マネせんでよぉー」
「マネせんでよぉ〜w」
「うるしゃい!」
「うるっーいてっ!」
のっちを、軽く小突く。
夏ももうすぐ終わる。
時間帯のせいか、人はもうまばらだ。
カシャッ、、、カシャッ、、、、
「ゆかちゃん、ほんと、写真好きだね」
「ん?んー、、そだねぇ」
「好き、だよ」
「え?」
「写真、ゆかちゃん撮ったの」
「あぁ、、、」
「部屋にあったの、いくつか見せてもらったから」
「・・うん」
「ねぇ、のっち?」
「ん?」
「一緒に、撮ろうっか、、、?」
「え、、、あぁ、、、、
「ヤ、だ?」
すると、のっちはなんともいえない表情して
「のっち、もしかすんと、写らないかもしんないよ?」
「…ゆーれーだから?」
「そ、幽霊、かもしんないから?」
「・・・・そっか」
「・・・なぁんてねw」
「えっ」
「撮ろうっか」
「はっ?」
なんかわけわかんなくなってるゆかをよそに
のっちは、近くを通りすがった人に「写真いいですかぁ?」なんて声かけてる。
「はい、なに固まってんの?w」
「あ、うん」
「笑って、笑って〜」
いつかのように、二人並ぶ。
カシャ。
ねぇ、のっち?
あなたは、どんな顔してた?
ゆかは、どんな顔してたんだろ?
㊖㊖㊖㊖
「手、繋いで、、いい?」
「・・・いいよ」
左手を差し出して、指を絡めて
親指を撫でる癖は、やっぱ変わんなくって
「・・ふふっ」
「ん、どしたの?」
「ん?なんもないよ」
嬉しくって、胸が苦しい。
㊖㊖㊖㊖㊖
「今日は、楽しかったね」
「…楽しかった、ね・・」
「ねぇ?」
「ん?」
「一緒に、寝よ?」
「え?」
「ヤ?」
「ヤ、じゃないけど」
「いいじゃん、今夜、くらい」
「・・・うん」
「お、おじゃ、ましましゅ」
「なんで、そんなに緊張するんw」
「いや、なんとなく」
「こっちまで、照れるじゃん」
「腕枕して?」
「うん」
だらしなく微笑んで
やさしく包んでくれた。
明かりの消えた部屋を
月の光が、じんわりと照らし出す。
「満月、だね」
「…うん」
「お迎えが、、来るんかな・・・」
「・・・来る、、のかな・・・」
「なんか、思い出した?」
「うん、、大切なこと」
「大切なこと?」
「あぁ、てか、当たり前のこと、か」
「?」
ぎゅーっと、愛しい体温に包まれる。
「すごく幸せだった」
「うん」
「最後まで幸せだった」
「うん」
「なんかもう、好きとしか言えない」
「うん」
「泣きそうなほど、愛しい」
うん
「ゆかもだよ」
瞳を閉じる。
のっちの胸元に顔を埋めて
大好きな香りを、吸い込む。
「ずっと、愛してていい?」
心地よい声が、耳の奥に響く。
「・・どーしようっかなぁ・・」
唇に、一瞬のあったかさ。
「ごめん、ヤだって言われても、愛してるわ」
「知ってるよ」
だから、この月の光と一緒に
ゆかの中に、溶けちゃいなよ。。。。
「のっち、、、大好き」
「わかってるよ」
「ばーか、、、、おやすみ」
「うん、おやすみ」
溶けて、一つになろ?
㊖㊖㊖㊖㊖㊖
まるで、夢、みたいな。。。
それは、とても
ありふれた、恋人同士の
一日、だったね。
最終更新:2009年12月09日 15:00