Side A
高校卒業と同時に、三人一緒だった寮を出て、あたしとゆかちゃんは広島から家族が来てくれて一緒に住むようになって
のっちは一人暮らしを始めた
この頃だったかな、のっちのこと好きかもって思うようになったの
寮にいた頃は、ずーっと一緒で、それが当たり前で、気にする事がなかったけど…
離れてから、のっちのことが気になってしょうがなかった
のっちのことを思い出して会いたくなったり
ちゃんとご飯食べてるかな?とか一人で淋しくないかな?とか
のっちって、甘えてくれてはいたけど、何でかあたしには弱い所を見せたがらなかったからな…
だけど、自分の気持ちに気付いたのは、あたしだけじゃなかった
のっちも気付いたんだ
『ちょっと、相談っていうか、聞いて欲しいことがあるんけど』
『どうしたん?そんなに改まって』
のっちから相談ていうのも珍しかったから、あたしは直ぐに応えた
『あの、引いたりせんでね?』
『のっちのことで引くことなんてないけぇ』
『…うん』
『なんよ?言うてみんさいな?』
『その…好き、かもしれん』
のっちの言葉に、あたしの心臓は大きく脈打った
『え?誰、を?』
それが一番肝心だ
『…ゅか、ちゃn…』
ずっと俯いたままののっち
声も小さくてよく聞こえなかったけど
でも、震えるようなのっちの声は、聞きなれた名前を発した
『ゆかちゃん?』
頷くのっち
何て言ったら良いのか分からなくて、黙っていると、
『やっぱ、引くよねw女の子同士だし。しかもメンバーなのに…。ごめん…こんな話しちゃって…ハハw』
顔を上げて、無理に笑うのっち
あたしは首を横に振る。そして、目の前ののっちの手を取る
一瞬ビクッとしたけど、じっとあたしを見てくるのっち
『言ったじゃろ?のっちのことで引くことなんてない。って』
あたしも同じだから…
『のっちがゆかちゃん好きでも引いたりせん』
のっちを好きだから…
ぃや、もしそうじゃなくても、きっと引いたりしない
二人のことなら受け入れられる
『あ〜ちゃんを誰だと思っとるん?』
『そりゃ、あ〜ちゃんじゃけど…』
『ほうじゃろ?ほんだら何も怖がることないじゃろ?』
『…うんwそうじゃねwあ〜ちゃんじゃもんね?』
『のっち…』
『ん?』
『言ってくれて、ありがとね?』
『なんよ?お礼いうのはのっちの方じゃ!』
『だって、結構言い難い事でしょ?』
『んまぁ…ちょっと、ね?』
『だから、ありがとね』
へへwって照れくさそうに笑うのっちに、自然と笑顔になる
自分の気持ちを後にして、のっちの想いが叶うようにって、素直にそう思った
ゆかちゃんも、一人暮らしののっちを気にしていたし、きっと上手くいくって変な自信があった
負けず嫌いで、でも、その分誰より努力家のゆかちゃん
甘え上手だけど、頼るのは下手なんだよね
そんなゆかちゃんに頼られる人になりたい
それがのっちの気持ち
のっちはやろうと思えばなんだって出来ちゃう方だから、告白だってのっちにその気があれば出来ると思う
あたしが出来るのは、ほんの少しの手伝いだけ
少しでも、二人の時間をつくってあげること
二人きりか…
初めてのっちとゆかちゃんを二人きりにした時、ゆかちゃん豪い怒ってたっけ…
でも、今はそんな事ないでしょ?
きっとゆかちゃんものっちを好きでしょ?
二人なら
大丈夫
…そして一ヵ月後
のっちは無事に告白できたみたいで…
あたしの予想通り、二人は付き合い始めた
そのわりには、いつもと変わらない
二人の距離
『あんたら、ほんまに付き合っとん?』
思わず聞いてしまうほどで
でも、そう聞けば、二人はちゃんと可愛い反応を返してくるから
『あー、ハイハイ。あたしが悪かった。もう聞かんわぁ』
十分、初々しいわw
少し、胸は痛かったけど…二人が笑ってるのを見れば、そんなことはどうでも良くなった
周りに言えるような関係ではないけど、ずっと続いてくれたらと、そう願った
そう…願ってたんよ
なのに…
—つづく—
最終更新:2009年12月09日 15:47