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雪が降ってる。
真っ黒な空からひらひらと落ちてくる白い綿みたいなそいつは綺麗で、見惚れてしまっていたら隣で可愛いくしゃみが聞こえた。
鼻を赤くした君は、こっちを見て「さぶい」と笑顔で呟く。初雪が楽しいのかその目は子供みたいに輝いていた。

あたしは少し考えた後に、自分がしていたグレーのマフラーをその細い首に掛けてやる。空から舞い降りる雪とは対照的な黒髪を巻き込んで、リボン結びで可愛く君らしく。
なんでそんなに薄着なの?バカになった?って聞くと「下にババシャツ三枚着とるもん」となんとも色気のない答えが返ってきた。黒々とした睫毛に視線が奪われ、それに気付かれて上目遣いで見上げられ、あたしは誤魔化す様に真っ白な雪の絨毯を踏みつける。

「もうすぐ時間だよ」

そう言って君はあたしの髪についた雪を取ってくれた。震える指先は白い。
その冷えた手を取って、右ポケットに招き入れた。何度も中で繋ぎ直して、一番しっくりくる形で繋ぎ止める。熱が奪われてくのが分かって、少し誇らしかった。

「のっちの手、あったかい」

君のより小さくて不器用な情けないこの掌だけど、立派に役に立てた気がして。
交わった視線が照れ臭くて、小さく息を吐くとそれは白く冷たい風に飲まれていく。

あたし達がここにいた証を残すかのように、足跡は刻まれていった。でも明日の朝にはまた真っ白な雪の絨毯に元通り。
決して交わることのない平行線に振り返る。あぁ、もう向こうの方が消えそうになってるよ。
ちょっぴりそれは切ないけれど、今はこの先の光の刺す方へ。


「あ〜ちゃん、待ちくたびれてるかな」

君がこんなに今綺麗なのは、君がこんな冬に生まれたからなのかな。
そんなの口にしないけど。
寒いから冬は好きだ。





END






最終更新:2009年12月24日 18:08