逃げても逃げても、近づいてくる
ブルーマンデー、エスケープ
01:run away
『只今四国南西部より台風16号が接近しており、大雨洪水警報が各地で……』
朝ごはんを食べながらいつものように某めざまし時計のマスコットが出ている番組を見る。
まだ四国の下ら辺だから大丈夫だろうとか、どうせ本州から反れてどっか行っちゃうんだろうとか
まるで人事のようにサラッと聞き流しながら。
だって最近当たらないから、予報。
そんでもって、人の気持ちも当たらない。
予報とか予想とか、当たってもその時しか嬉しくない。
むしろ外れた時の代償がデカいでしょ?
「彩乃ー?時間いいのー?」
「んー、今出るー」
時計を見るともう家を出る時間になっていたもんだから
急いで夏服の制服に着替えながら玄関に向かう
「お母さん、今日ゆかちゃん家泊まるからご飯いらないや」
「あら、今日も泊まるの?先週も泊まってたじゃない」
「今日はあ〜ちゃんも一緒じゃけぇ、3人で一緒に泊まる」
「そう…ゆかちゃんママに迷惑かけてないといいけれど……」
なんてお母さんは困ったように眉をハの字にしてそう告げて見送ってくれた
……やっぱり遺伝なんかな。
「…ってそんなこと考えとる場合じゃないよ。行ってきます!!」
勢いよく飛びだして駆け出すと、
空は少し灰色で埋まっていた
少し似ている、自分の気持ちと。
曖昧で中途半端で矛盾で
白黒ハッキリつけられない。
いや、つけたくないんだ、きっと。
そこに青空を彩る明るい太陽があっても
「のっち遅いけぇ!はよしんさい!!」
そこに静かに闇夜を照らす月があっても
「もーゆか朝から走りたくないんですけどー」
のっちにとっては2つとも大事な光。
どちらか選べと言われても絶対に選べない。
息を整えて待ち合わせの場所に着くなり二人の親友にあーだこーだ言われる始末。
「へへへっゴメンゴメン。ちょっとボーッとしとったらこんな時間に…」
「まぁーた夜遅くまでゲームしとったんじゃろ。だいたい明日からテスト期間が始まるって言うときにね………」
「ご、ごめんなさい。」
「ほらほら、あ〜ちゃんも説教なら学校着いてからでも出来るじゃろ?早く行かないと遅刻になるけぇ」
「お!そうじゃった!もーのっちが早く来ればあ〜ちゃんたちは必死な思いで登校する必要ないんじゃからねっ」
そう言って
ツンデレお姫様はプンプンしながら前を歩いていってしまった
「あ〜あ、お姫様は朝からご機嫌ななめみたいですよ、王子様?」
意地悪なパッツン小悪魔が言う。
なんて素敵なその笑顔。
まるでのっちを試すかのようにその口角を少しだけあげて。
「そ、そんな王子様とか違うけぇ、ていうかのっちいつもより2分早く家出たしっ」
「まったく…たった2分早く来たからって偉そうなこと言わないのー」
コツンとのっちのおでこをつつくとゆかちゃんは小走りであ〜ちゃんの下へと向かって行った。
王子様なんてのっちには程遠い称号なのかもしれない。
ゴメンネ、ていうかなりきれないよ、王子様なんて。
前を見てもう一度駆け出すと、
ちょっと先に歩く2つの手が重なり合うから
なぜだか少し鼓動が早くなった。
最終更新:2010年11月06日 15:52