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◇A-side◇
休み時間、廊下が賑やかだと思って覗いていると、のっちがキャピキャピな一年生に囲まれて天パっていた。これはこれは、モテモテですな。
「近付けんね」
気が付くと隣には苦笑いのゆかちゃんが。
「ほんまじゃね…鼻の下ビローンて伸ばしとる」
「あはは」
ゆかちゃんは笑ってるけど、あ〜ちゃんは笑えない。今まで自覚無かったけど、自分はヤキモチ焼きみたい。
「なんであんなんがモテるんよ」
「まぁルックス良いしね」
「…見た目だけで人を判断するのは、あ〜ちゃん良く無いと思うよ」
「ははっ、確かにね」
あの一年生達は皆のっちの見た目に騙されとるんよ。クールで格好良いだとか言われてるけど、ただ人見知りなだけ。優しいだとか言うのは、単にヘタレチキンで気にしぃなだけ。中身はただのムッツリ変態じゃ。
「…気に食わん」
「ゆかも」
二人でのっちを睨んで、溜め息を付いた。のっちがブルッと震えたけど、多分うちらには気付いてない。

◇N-side◇

放課後になって、あ〜ちゃんを迎えにあ〜ちゃんの教室へ向かう。なんだか凄く…ご機嫌ななめだ。


「あ〜ちゃん帰ろっ」
「…言われんでも帰る」
何この態度!恐いにも程がある。
「ゆ、ゆかちゃんは?」
「生徒会」
「なるほど」
それを最後に、学校を出るまで一言も話さなかった。
なんで怒ってるんだろう。のっちのせい?何かした?ずっとグルグル考え込んで、頭が破裂しそうだ。
「あ〜ちゃん、」
「……」
「朝起こしてくれてありがとね」
「……うん」
やっべー会話が続かねぇ。気まず過ぎる。
しばらく黙って歩いた。のっちは何か会話を探して、あ〜ちゃんはムッとしながら携帯をいじってる。携帯いじりながら歩くと危ないよ。
「なんで寝坊したん」
あ〜ちゃんがボソッと呟いた。
「えっと、めざまし掛け忘れちゃってさ」
「…ダサ」
グサッと来た。てゆーかそろそろのっちも訳が分からなくて泣きたくなってきた。のっちだってキレるんだぞ。
「自分で起きれないなら、今度から起こしてあげよっか?」
「え…」
あ〜ちゃんの一言に頭がフリーズする。全ての思考回路が停止し、のっちはあんぐり口を開けて立ち止まった。
「…のっちが起こして欲しいなら、起こしてあげる」
立ち止まったあ〜ちゃんが首だけ振り返り呟く。反則だよ。


これか、今流行りの俗に言うツンデレは。絶対絶対絶対、ずるい。ずる過ぎる。
「…起こして欲しくないんだ」
のっちが固まって突っ立っていると、あ〜ちゃんは踵を返してまた歩き出した。ハッとして追いかける。風が冷たいのは、きっと顔が熱いせい。
「起こしてっ!」
あ〜ちゃんの手を掴んで、声を裏返しながら叫んだ。あ〜ちゃんの足が止まる。のっちも止まる。
あ〜ちゃんの目を見つめた。やっと目を見てくれたね。
「起こして…下さい」
のっちの懇願に、あ〜ちゃんは小さく微笑んだ。可愛い。可愛過ぎ。連れて帰りたいくらい可愛い。
「良いよ」
しばらく見とれてた。あ〜ちゃんって…こんなに可愛かったんだ…。今までもめちゃくちゃ可愛いと思ってたけど、変わった。もっと可愛い。ひたすら可愛い。超好きなんてレベルじゃない。
「その代わり、もう一年生にデレデレせんでよ」
「デレデレ?」
「今日の休み時間しとったじゃろ」
した覚え無いんだけどなぁ。でも分かった、絶対にしない。見向きもせんよ。
「絶対せん、約束する」
「うん、約束だよ?」
「うんっ」
のっち達はどちらともなく手を繋いで、また歩き出した。


◇22:End◇






最終更新:2008年10月13日 18:02