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小料理屋 西脇。
ツンデレ女将『あ〜ちゃん』が切り盛りするここは、仕事や人生に疲れたサラリーマンやOLが癒されるお店。

カラカラカラ…。
「いらっしゃ……また来たん」
「あ〜ちゃん今日も可愛いね」
「はいはい。いいから早よぅ座りんさいや」
入り口近くのカウンター席に座る。
一人で来てもゆかちゃんと来てもいつもカウンター席だ。もう常連だから、あ〜ちゃんも特に何も言わずお冷やを出してくれる。
「相変わらず冷たいなぁもう…」
「…ゆかちゃんにチクろ」
「ごめんなさいそれだけは止めて下さい」
ゆかちゃんの氷の微笑が脳裏をよぎった。チクられたらあたし明日いないかも、この世に。

「そういえば同窓会のハガキ来とったね」
おでんを摘みながら、洗い物をするあ〜ちゃんに話し掛ける。
あたしとゆかちゃん、それからあ〜ちゃんは幼なじみで。小中高と、ずっと三人一緒だった。
大学は残念ながらあ〜ちゃんだけ別だったけど、それでも昔と変わらない友情で結ばれている。


「のっちは行くん?」
「行きたくないけど、どうせゆかちゃんに引きずられて行くに決まっとるよ…。あ〜ちゃんは?」
「行く。皆に会いたいけぇ」
「そっかぁ…皆どんなんなってんだろ」
「案外変わっとらんかもしれんよ。うちらは昔から全然変わらんし」
「そうじゃね」
なんか色々思い出した。楽しかったなぁ、いつだって三人でいたから。いや、今は今で楽しいんだけどね。
「…ゆかちゃんはどう思う?」
「…へ?」
ちょ…ま…背後から殺気を感じるんですけど…。まさか。
「帰りの連絡が入らん思っとったら、やっぱりここにおったんじゃね」
「いや…あの…ちょっと同窓会の事で…用事が、ありまして…」
怖い…怖すぎる…。背後に立つゆかちゃんの目が笑っていない。
「ふぅーん…ゆかの手料理よりあ〜ちゃんの料理のが好きなんだ」
「や、あの、そういうわけでは決してなく…」
異常なくらいに冷や汗が流れる。これはもしかして、明日会社休まなきゃいけないフラグでしょうか。
「ゆかちゃん、今日の分はツケにするけぇこのままのっち連れて帰っていいよ」
「ほんま?ごめんねあ〜ちゃん。…じゃあ帰ろっかぁ、のっち」
「ひっ…!!」
がっしと襟を掴まれた。あたしまだ覚悟も何もしてないよ!
「ばいばーい」
ちょっ、あ〜ちゃん!なんでこういう時だけそんな笑顔なの!ていうか誰か助けて〜!!




翌日。
「…あ、大本です…。ちょっと階段で派手に転びまして…身体が。…ええ…今日お休み戴いてよろしいでしょうか…」


#02END





最終更新:2008年10月17日 14:58