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「う〜…寒い…」

20歳って寒さで目が覚める年代なのか。
ケータイを見ると、まだ6時。大学に行くにしても、遊びに行くにしても、まだまだ寝ているはずの時間だ。
あたしはもう一度目を閉じ、さっきよりも深く布団の中に沈んだ。

…はずなのに、寝られない。
あたしの親友であるPSP君やPS3ちゃんはちょっと遠い場所にあるから、ケータイでゲームをしようと手元のケータイを手に取る。ケータイを開くと、慣れない明るさに目がくらむ。

『新着メール 1件』

(誰だ?さっきもあったかな?)

不思議に思いつつメールを見る。

(…!あ〜ちゃん!)

メールの送信者は絶賛片想い中の相手でるあ〜ちゃん。
6時ちょっと前に受信してあったメールは、あたしと同様寒さで眠れないという内容のなんとも可愛らしいものだった。

(…なんて返そう)

(そうだ!…そ、い、ね、し、て、あ、げ、よ、ー、か、?っと)

こんなの日常茶飯事並みに送ってる。どうせ返事はNOだろうし、あ〜ちゃんも冗談ってわかってる。あたしは半分本気なのになー。ね、金魚さん。

ケータイから特別なメロディが鳴り、メールの受信を知らせる。
もちろんあ〜ちゃんからのメール。

ーーーーーーーーーー
送信 ☆あ〜ちゃん☆
件名 Re:
本文
のっち体温低いけぇ、嫌じゃ!
でも、あ〜ちゃんがのっちをあっためてあげてもえぇよ?(笑)
ーーーーーーーーーー

な、な、なんだってぇ!?
これは夢か?これが噂のツンデレか?

(うぁ、なんて返そう…期待していいんかな…)

返信を躊躇っていると、画面の上に新着メールを受信したマークが。
編集を中断して見ると、愛しの女神様。

ーーーーーーーーーー
送信 ☆あ〜ちゃん☆
件名 Re:
本文
起きとるなら家行ってもいい?
ていうか、今向かってるから片付けといて(*^ー^)ノ
ーーーーーーーーーー

あ、ありえない。どうしたんだ、あ〜ちゃん!あたしは寒さも忘れてベッドから飛び起き、汚い部屋(特にキッチン)を片付ける。


茶碗を洗い終わったのと同時にあのメロディ。どうやら着いた様子。
いつもと違うシチュエーションに緊張しながら玄関を開けた。

「お、おはよう」

「おはよ!あ〜ちゃん寒いけぇ、早よいれて」

鼻の頭を真っ赤にさせたあ〜ちゃんが吐く息は、外の寒さを物語っていた。
あたしはあ〜ちゃんを家の中に通し、ホットミルクを作って持っていった。

「のっちにしては気が利くねぇ」

ベッドに座ったあ〜ちゃんはいつもの瞳であたしをちゃかす。そんな仕草も愛おしくて、ほんとに夢の中みたいだ。
まだ信じられないあたしは、あ〜ちゃんのすぐ隣に腰掛けてそっと頬を撫でる。
冷たい。触れた瞬間に感じた温度は、あたしの指先から全身へ伝わっていく。あ〜ちゃんはさっきとは違う赤みを頬に浮かべて、ホットミルクの入ったカップをテーブルに置いた。

「…のっち」

「なに?」

「ホットミルク、ありがとう」

「いーえっ」

「体あったまったら、眠くなってきた…」

あ〜ちゃんが少し目を伏せた表情に、あたしはドキッと心が跳ねる。
赤みの増した頬と耳しか見えないくらいうつむいたあ〜ちゃんは、あたしのベッドの布団を捲ってポンポン叩いている。

「…さっきのメール、覚えてる?」

「え?うん」

「…一緒に寝よ?」

心臓を撃ち抜かれた、あ〜ちゃんのその上目遣いに。
赤い顔して、ちょっと目が潤んでて。
あたしは我慢できませんよ。
すげー夢見てるわ、のっち。自分の妄想力ハンパない。


「…あ〜ちゃんがあっためたげるけぇ…」


…………はっ!一瞬お花畑が見えた!!
あたしのスウェットの裾を引っ張って、布団の中へと導くあ〜ちゃん。
もう夢でもなんでもいいや。
あたしは全てを捨て、あ〜ちゃんに誘われるままにベッドに入った。
さぁ、ここからは理性との戦いだ。
がんばれ、のっち!

大学?サボります。


おわり






最終更新:2008年10月17日 15:58