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  • Side N-


N『もうすぐ、今年も終わりじゃねぇ。』
朝食兼昼食の用意をしてくれているゆかちゃんの背中に話しかける。
K『ねっ!今年も早かったねぇ。な〜んかぁ、年々早い気がせん?』
振り返りもせず彼女は答える。
N『そのセリフおばちゃんくさいよ…。』
K『なんか言ったぁ〜。』
包丁片手に笑顔で振り向く君。
N『いっ、いえ何も言ってませんっ!』
もげるんじゃないかって勢いで首を左右にふる。
K『だよねぇ〜。』
彼女は得意げに私に背を向け、リズミカルな包丁の音を鳴らし始める。


今も昔も、それ以前も以後も。
私はゆかちゃんの尻に敷かれている。
惚れた弱みってこう言う事なんだろう、となぜかやけに納得がいく。

彼女はきっと寂しさから私を求めたんだろうなと自己完結してみても虚しさが募るばかりで何も生み出さないこの関係。

でもそれでもいつかはなんて期待する気持ちもある。
でもそんなモノは邪魔になるだけ。
ますます切なさに拍車かけてどうすんのさ自分、なんて自問自答を何回繰り返せばきみに届くのだろう…。
どれだけきみの事想い続けたらやわらかい言葉じゃなくてきみに届く?
もしもね、この願いがいつか叶うなら……。

永遠に出ない答えを欲しがってる私はまるで、居もしないサンタを待ち侘びる子供のようだね。


K『で、今年は何くれるん?』
N『クリスマスプレゼント??』
K『それ本気で言いよるん?』
もちろん本気なはずがない。

私にとって12月は特別な月。クリスマスの2日前が彼女の誕生日。
毎年お祝いをして来たその日、今年はどんな顔して祝えば良いと言うのか…。
N『まぁ、当日までのお楽しみって事で。』
冗談めかした私は上手く笑えてるかな。

K『…まぁ楽しみにしとくけぇ。よろしくねっ。』
無邪気に笑う貴女にとって私達の関係はたいした出来事じゃないんだね。
じゃなきゃそんなに無邪気に笑えるはずないよね。

叶わない願いを口に出せず私はいつまで上手く笑えてるかを気にすればいいのかな…。

ねぇ、ゆかちゃん。

私とのこの曖昧な関係はいつまで続ける気なの?
貴女はどこに向かって歩いてるの?

もうすこしの勇気がないと叶わないことばかりで、だけどもしかしたらって距離は平行線……。

私の向かう先に貴女がいる事を願わずにはいられないよ。


  • Side K-


のっちとの関係は一度で終わるはずだった。

でもお互い、キズを舐め合う子猫のように寄り添う事を止められないでいる。
ダメだとわかっていてものっちの温もりから逃れる術をあたしは知らない…。

のっちの本音は知らない。
知りたくもない。知ってしまえばこの寒い夜を乗り越える手段を失いそうで。
こんな夜は独りでは寂し過ぎるから……。
あなたの優しさを利用するあたし。


なんて自分を責めてはこの愚かな行為の言い訳にしてる。
本当は…、あたしの本当の願いは……。

N『ごちそうさまでした、美味しかったぁ〜。』
ニコニコしてるあなたを見てあたしは胸を締め付けられる。
K『……片付けないとね。』
この関係も終わらせなきゃいけないね。
N『後片付けはのっちがやるよ。ゆかちゃんは作ってくれたんだしそんくらいはせんとね。』
腕まくりをして空いた食器を下げ出すのっち。
K『おっと、のっちが片付けるなんて今日は雪じゃね。』
N『失礼なっ。のっちだってやる時はやるんよっ。ただ自分のためには出来んだけで。』

知ってるよ、のっち。
あなたはやれば出来る人。ただ欲がないから誰かのためにしか出来ないのも。
全部知ってる、あなたの良いとこも悪いとこも。もう何年一緒にいると思う?

あなたは優しいからあたしを突き放せないだけなんじゃない?
そんな優しさをはねつける勇気もなく、ただ流れに身を任せるずるいあたし。


K『じゃあゆかも手伝うよ。』
立ち上がりあたしより少し背の高いのっちの隣に並ぶ。
あたしの斜め上その距離が遠くて近づけないけど、その大きな目で見つめられるたび体の力が抜けてくの。

視線が交差する。

どちらからともなく交わされる口づけ。
あぁ、やっぱりこの温もりはなくせない。
例えそれがあなたにとってはただの優しさだとしてもあたしには抗える理由がなくて。

今日もまた罪を重ね、足には重りを。
罪を重ねる毎に重くなる体では天国へは昇れないね。

だから早く終わらせて欲しい。
身動き取れないあたしを置き去りにして、あなたは一人高みに昇れば良い。
一緒に堕ちる必要はない。あの高みに昇るのは綺麗なあなただけでいい。


ねぇ、のっち。

こんなあたしをあなたは軽蔑する?

それでもなお欲してしまうあなたの温もり。
こんな罪深いあたしは雪に埋もれれば白く綺麗に生まれ変われるのかな?

教えて欲しい、どうすればあなたのようになれるのか。
どうすればあなたの白さを手に入れられるのか。

ずっと欲しくてずっと焦がれて、もうずっとずっと昔からあなただけを見て来た。

本当はずっとずっとあなたが欲しくて仕方なかった。
それがあたしの願い。
ずっと言えないでいた願い……。
そしてこれからもきっと言えない願い。

白くて綺麗なあなたにこんな黒い本音は見られたくなくて、ただの遊びにすり替え一瞬の行為に酔いしれる愚かなあたし。

こんなあたしでも素敵な朝が来て二人で過ごしたら当たり前の幸せが来るかな。


(続く)







最終更新:2008年12月15日 13:34