しばらく事態を理解出来ないでいた。
違う正しくは、理解したくなかった。
え?なんで?だったらなんで指輪なんてくれたの?
言いたい事は山ほどあった。
でもそれを口に出来る程あたしのポジションは重要なとこになくて。
K『……うんわかった。』
それだけを言うのが精一杯だった。
のっちは、のっちの出した答えはあたしがずっと求めていたもの。
なのにこんなにも胸が苦しいなんて……。
新しく生まれ変わる日。
そう、あたし達が終わる展開もその意味を持ってたね…。
K『ハハハ、深刻な顔するけぇプロポーズでもされるんかと思うてびっくりしたじゃんっ。』
強めにのっちをはたいてみる。
思ったより痛かった手の平に泣きそうになる。
N『……ごめん、びっくりさせて。指輪に意味なんてないから気にしないで。ただ欲しがってたからさぁ。』
意味がないなら欲しくなかったよ、のっち。
あなたが出した答えは、ずるいあたしへの罰。
罪を重ねた者への罰。
ただ、それだけの事。
これが生涯最後のプレゼントになる訳じゃないけど、でも私の気持ちに区切りをつけるためにはこれしか浮かばなかった。
少しでもきみに何かを刻み込めたら……。
そう思った私の悪あがきは何も残せなかったみたいだけどね。
プロポーズかぁ……。
そんな展開ある訳ないのはきみが1番わかってるはず。
なのにそんな意地悪言うんだね。
最後まで私達らしくて泣けてくるよ。
一瞬でもきみの特別に私は成れてたのかな?
一生聞く事もないし、一生特別に成れない事くらい知ってる…。
だから最後の悪あがき。
最後くらいは何かを残せたとしたら、それだけで私は幸せだよ。
ありがとう、ゆかちゃん。
また明日からは普通の関係で、交わる事のなかった線は永遠に
平行線を辿るだけの事。
一緒に歩いて行く事に変わりはないから、だから私は胸をはってきみの隣を歩いて行く。
それが今の私の願い。
いっぱい考えて出した願い。
それぐらいは許されたい。
本当の願いは誰にも気付かれる事なく深く沈めておくから。
抜け殻ってこう言う事を言うんだろうね。
元に戻っただけ。
最初から何もなかったんだよね、二人は。
帰り道の事はよく覚えていない。
不思議と涙は流れて来なかった。
K『なんかのドラマみたい……。』
そうつぶやいたらなんだかおかしくて笑いが込み上げて来た。
一人あなたの部屋を後にし自分の部屋へと帰り着く。
電気もつけず玄関にへたりこむ。
足が一歩も動かない。
あなたとの関係は終わったのにもう罪は重ねていないのに、依然足の重りはそのままで。
あぁ……、そっか。
この重りは一生消せないんだ。
あなたに愛されなければ消えないんだね。
気付いた時にはもう遅い。
よくある話だよね。
K『まったくなんて出来の悪いドラマなんよ……。』
つぶやいて涙が流れる。
K『うぅ……っ。』
初めて流れた涙にせきをきったように溢れ出す想い。
声を押し殺しありったけの大声で泣き叫ぶ。
今ならあなたに気付かれる事はないから。
今なら素直になれるから。
最初から最後まであなたを愛していた事、愛されたがっていた事。
そして今もまだ愛してる事……。
行き場を無くしたあたしの本当の願い。
明日から笑ってあなたに会えるように。
深く深く涙の海に沈めるから。
(続く)
最終更新:2008年12月21日 04:21