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Side N
あの後、あ〜ちゃんは、こんな顔で帰れないということで、とりあえず家に上がってもらって。
メイクを直す事に。
その間、絶対コッチ見ないでと念押しされて、あたしはちょっと残念に思いながら、
あ〜ちゃんに背を向けて、漫画を読みながら待つ事にした。

なんだけど、頭の中は違う事を考えている。
なんていうかぁ、嬉しくて仕方ない。

それに、例の人にモヤモヤしてたのを考えると少し可笑しかった。
だって、結果的に自分にしてた訳だからねw

それにしても…う〜ん。何か大事な事を忘れてる気がするんだけど〜…。

なんて思ってたら、いつの間にか直し終わっていたあ〜ちゃんが話してくる。
「あ、そうだのっちぃ。」
「ん?なぁに?」
振り返ると、ちょっと目が薄っすら赤い気もするけど、いつものあ〜ちゃん。
「ゆかちゃんに、報告とお礼したいんだけど。一緒にする?」
「する!するする!」

コクコクと頷いてズイッとあ〜ちゃんに近づく。
「へへ、だよね〜。ちゃんとしとかないとね?」

…ん?ゆかちゃん?
……あ!そうだ!

さっそくという感じに携帯を手にするあ〜ちゃんの手を掴んで
「やっぱちょっと待って!」
「の、のっち?」

そうだよ。さっきの引っかかりはコレだよ!


勢い良く掴んでしまった手を解いて。
「や、あの。そのぉ…、確かあ〜ちゃん、例の人に告白しないの一緒にいる子も、その人のコトす、好きだからって。言ってなかったっけ?」
「ぁぁ、あれ〜ね…。」
気まずそうに視線を逸らすあ〜ちゃん。

え。そ、そうなの?やっぱりそうなの?
ゆ、ゆかちゃんがぁ、あたしを?

「二人見てるとすごく仲良さそうだったから、あたしが勝手に勘違いしてたみたいでぇ…。」
「そっ、そっかぁ。」
だよね…。だって、ゆかちゃん好きな人には触れないって言ってたのに、
あんなに腕組んだりとか、なんだかんだしてきてたもんね。
「でも、意味は違うけど…好きだよ。って言ってた…。」
「え?」

戻ってきたあ〜ちゃんの視線と合ったと思ったら、むって口を尖らせるあ〜ちゃん。

「ん?」
「今、喜んだでしょ。好きって言われて…。」

自分の頬に手をやると、いつの間にか顔がニヤケてたようで…。かなり焦るあたし。
「こ、これは!違うよ!ゆかちゃんが好きって言ったからじゃなくて…。」
「ふ〜ん…。」
また、ふいっと視線を逸らされる。

「だから、これはぁ、あ〜ちゃんに好きって言われたみたいでぇ…、嬉しくて〜、その〜…。」
やばい。何か恥ずかしいぞ?

「…ばか。」

え、またですか…。

だけど、良く見ると。
髪の毛から覗くあ〜ちゃんの耳が赤いのに気付く。
あぁ。そうか。この「ばか」っていうのはあ〜ちゃんの照れ隠しなんだ。
そう思ったら、なんだかまた嬉しくなってニヤケそうだ。


そこに聞こえたシャッター音。

「うえ?」

「ニヤケのっち、も〜らい♪」
携帯で撮られてしまった。

あれ。…すでにニヤケてたみたいです。

その写真を見て嬉しそうなあ〜ちゃん。
「これ、ゆかちゃんに送っちゃおー。『ばか』って言われてニヤケてる人です。って。」
「のぉあ。そ、それはダメだよ!またキモイって言われちゃうよっ。」
それは、困る!

「うっそぴょ〜ん♪」
こぉの子は、無邪気な顔してまぁ…。
「勘弁してくださいよ…。」
「送らないよ〜。やっと撮れた好きな人の写真だもん。えへw」

あ…、そういうば。さっきの公園でのことを思い出した。

「あの…のっち?」
「ん?」
「一緒にぃ、撮らせて下さぃ…。」
携帯を握り締めながら、恥ずかしそうに言うあ〜ちゃん。

…コレ。可愛すぎでしょ〜。
「…こちらこそ、お願いします。」
「ありがと。」

初めて二人で撮ったその写真は、記念に二人だけで持ってようってことになって。
二度目に撮ったものを、ゆかちゃんに送って。
電話で報告とありがとうを言って。

あ〜ちゃんは、ゆかちゃんと話している最中、時々顔を赤くしながら答えていた。
何話てんだろ?


そして、あたしに携帯を渡してくるあ〜ちゃん。
それを耳元に持っていくと。
『のっち?』
「はい、何でしょうか…?」
思わず敬語になってしまった。

『偉い偉いw。ちゃんと前に進んだんだね。』
「ゆかちゃんが言ってくれたからだよ…。ありがと。」
『そぉんなに、改まらないでよ〜。も〜。それに、決めたのはのっちじゃん。』
ホントにゆかちゃんのお蔭だよ。
『振られ仲間にはなれなかったけどねぇw。』
「だねぇ〜。」

『のっち、あ〜ちゃんいっぱい泣かせてあげてよ。』
「え?逆じゃないの?」
『もちろん!嫌な思いさせたら、許さないけど。嬉し泣きならいっぱいさせても許すよ?』
お。
「なるほど。」
『あの顔は可愛いからw』
うん。確かに。
「だねw」

ゆかちゃんと笑ってたら
「二人だけで楽しそうぅ〜。」
ちょっと拗ねてるあ〜ちゃん。

「ゆかちゃん、あ〜ちゃんが拗ねてる。」
「そんなの報告しなくて良ぃよぉ。」

『はいはいwじゃあのっち、あ〜ちゃんにも聞こえるように、耳近づけてって言って?』
言われたように、あ〜ちゃんと一緒に携帯に耳をくっつける。
『あ〜ちゃん。聞こえる?』
「うん。聞こえる〜。」


こ、これはぁw
あ〜ちゃんの顔が近くて髪が触れてくる。
ドキドキしてるのあたしだけ?

『じゃあ、ここで質問です。今二人の間にあるのはぁ…?』
「「けいたい…。」」
『でぇすぅ。…それでは?その携帯が切れた後、くっ付いてる二人はどうなるでしょうか〜?』

え?

『にへへぇ〜。じゃぁあね〜w』
嬉しそうなゆかちゃんの声がして、そのまま通話は切られてしまった。

ツー、ツー、ツー………

鳴り響く音と、身動きがとれない二人。

ゆかちゃん、それは…キ、キスしなさいってコト?なw、なんちゅう爆弾を投げていくの!

ど、どうしたら良いの?あ〜ちゃんの顔が近すぎて、携帯下ろせない…。
ココは離れた方が良いの?あたし、心臓の音がハンパないんですが!
あ〜ちゃんは?

気になるけど、ピクリとも動けないよ〜。

不意に、携帯を持つあたしの腕が掴まれる感覚。
その重みに任せて、ゆっくりあたしの腕は下りていく。
そして、横ではあ〜ちゃんの顔が動く気配。

「のっち…。こっち向いて?」
すぐそこで聞こえるあ〜ちゃんの声。
む、無理無理無理!そんなこと言われたってぇ…。
そう思ったけど、あ〜ちゃんにグイって向かされて、おでこが当たってあ〜ちゃんの顔が至近距離にww
顔から火ぃ吹きそうなんですけどw


「質問の…答えは?」
両手であたしの顔を挟んだまま聞いてくるあ〜ちゃん。
「ぇっ、ぇっとぉ。」
答えを探して、何気なく見てしまったあ〜ちゃんの瞳は、
揺らめいて、そのまま視線を外すことが出来ないくらい綺麗で。
あ〜ちゃんも緊張してるんだぁ。そう思ったら、不思議と焦りが治まっていく。

だから、こんなことまで言えてしまった。
「キス、しちゃうとか?」
その言葉に、一際大きく揺れた瞳はふっと細くなって
「あたしも…そう思った。」

そうは言ったものの、二人ともなかなか動けなくて。だけど…
「のっち…。」
微かに呼んだあ〜ちゃんの声が合図になり、
ゆるゆるとお互いに、何かを確認するように動き出すあたしたち。

そして触れたあ〜ちゃんの柔らかい感触。
うわぁ、またドキドキしてきた。

唇を離したあ〜ちゃんの真っ赤な顔はまだ近くにあって。でも、視線は下を向いている。
あ〜ちゃん?て呼ぶと視線を上げて「何か、照れるね。」そう言いながらくしゃっと笑うから。
あたしも一緒に笑ってしまう。

「あ〜ちゃん…。」
そのままの距離で、もう一度名前を呼ぶ。
「ん?」
「これから、宜しくお願いします。」
「ふへっ。こちらこそぉ。」

また、笑いあって、もう一度だけ短いキスを交わす。

あ〜ちゃんと一緒に幸せになれますようにって願いを込めて…。


<気になる子>
fin





最終更新:2009年01月28日 20:42