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それは、3ヶ月くらい前
あるスタッフさんと
“恋バナ”で盛り上がった
ときのことだった。


「てかさぁ、のっちゃんの好きな人って
ゆかちゃん、でしょ?」

動揺して、どう答えたらいいか
戸惑っていると

「はは、わっかりやすいねぇw」


そのやわらかな笑顔に
この人なら話しても大丈夫だな

よくわからないけど
直感的に、そんなふうに思い


「わかりやすいですかねぇ?」
苦笑いしながら答えた。


「うん、まぁ、、、見る人が見たら?」
「はぁ・・」
「告白したらいいのに」
「えっ!?」


いきなり、なに言い出すんですか・・・


「たぶん、、、うまくいくと思うんだけ、ど?」
「・・いやぁ、、、それがもう
 フラれてんですよねぇ・・・」
「えっ、まじで?」


なんで、そんなに驚くかなぁ。


「…それって、、、いつの、こと?」
「えぇ、、と、もう半年以上前、、、
 1年も経ってはないけど・・」
「・・・ふーん」


彼は、口元を手でおさえ
何かを考えるような表情を見せたかと思うと

いいことを思いついた、と
言わんばかりの笑顔で
のっちに、こう切り出した。


「のっちゃん、僕と、“賭け”しない?」


賭けの内容は、こんな感じだった。

半年間。
のっちは、彼の言うとおりに行動する。
半年以内に
のっちがゆかちゃんと付き合うことができれば
彼の勝ち。
そうでなければ、のっちの勝ち。

付き合えないことが、勝ちってのも
どうかって思うけど・・
ま、付き合えるなんて思ってないからいいけどさ・・・

てか、なんちゅう賭けですか、それ。

唐突な展開に、返事ができないのっちに

「別に、悪くない賭けだと思うけど?」
「…まぁ・・・」

そりゃ、のっちは負けたとしても
てか、負けるってことは、、、付き合えるってことでしょ?
まぁ、勝っちゃったとしても
今と状況は変わらないわけだし?

てか、負ける方がいい賭けって
考えるほど、変な感じだ。

「うまくいったら、ラッキーじゃない?」
「…まぁ・・・」

そんな、簡単にうまくいかないだろうけど…


「騙されたと思って、のっかってみなよ!」
「・・・言うとおりって、具体的に
 どんなふうにすればいいんですか?」

にっと笑って、彼は
「簡単なことだよ。僕と付き合ってるフリをするだけ。
 あ、指輪もちゃんとつけてもらうから」
そう言った。


「えっ、、、、付き合ってるフリって・・
 逆効果じゃないですか?」

普通に考えたら、、、諦めるんじゃないかなぁって思った。
まぁ、、相手が好きな人の場合、、だけど。


「いや、それは大丈夫だよ、たぶん、ね」
「そっかなぁ・・・」
「のっちゃんは、ゆかちゃんに
彼氏ができたからって諦められる?諦められた?」
「・・・・」
「ま、僕が考えた“茶番”につきあってよ」

なんで、この人はこれほどまでに
自信満々なんだろ?

ま、いいか…


「てか、付き合ってる人、いるのかと思ってました」
「えっ、僕?」
「はい」
「いるよ」
「えっ!?」

なに、言ってんですか?

「じゃぁ、付き合うフリなんて駄目じゃないですか!」
「あぁ、それは大丈夫よ、たぶん」
「大丈夫なわけないです!」
「いや、ほんと。僕の彼氏、女の子に嫉妬なんかしないから」

        • はい?

「…彼氏?」
「うんw」

—見る人が見たら・・

なるほど、そういうこと、か。


「僕が、賭けに勝ったらダブルデートしようっか。
 めちゃイケメンの彼氏、紹介してあげるねw」

やられたなぁ・・・

そうして、のっちたちの賭けは始まったわけなんだけど・・・


ほんと、めでたく
『負ける』なんて、思わなかったよ。


k-side

のっちから語られた、「ほんと」のこと。

いったい、なにを基準に
驚いたらいいのかわからないほど
突拍子もない話だった。

けど



けど

付き合ってるフリってなに!?

ゆかが、そのせいで
どんなに、ツライ想いをしたと思ってんの!?


のっちの首、絞めようとまでしたんだよ・・

いや、もちろん
フリで、良かったんだけど


けど


「もう!なんなんよ!
 いったい、ゆかが、、どんな想いしたと…」

ほっとしたのか
恥ずかしいのか
悔しいのか

なんだかよくわからない感情が
こみ上げてきて

のっちの胸元を
ぼこぼこ殴る。


「痛いっ、痛いって。
 てか、ごめんよぉーw」
「うぅ、、、もう!」
「だから、ごめんって。
 もう、ゆかちゃん、昨日から泣きっぱなし!」


ダメだ、あたし
また泣いてるよ。
のっちに言われて気付く。

けど、今
頬を伝う涙は、さっきまでのものとは違う。


うん、澱んだキモチはどっかに消えてしまった。
なんだか、心地のいい涙、だ。


えっ—

のっちをボコッていた手を
すっとひっぱられ

気がつけば
のっちの腕の中にすっぽり埋まっていた。


「ゆかちゃん、、、大好き」
「うん…」

言いたいことがいっぱいあったはずなのに
いざとなったら、なにも言えなかった。


でももう、いいや。


もう届かないと思っていた幸せが
今、ここにあるんだから。


あぁ、、、、でもやっぱ一言、言いたい!

「でもほんと、死ぬほどしんどかったんだよ…」
「うん、ほんと、、、ごめん、ね」


ゆかの髪を撫でる、のっちの手。

「・・悩みまくった、時間をかえしてよっ!」

なんて、文句を言ってみるものの
のっちの体温に触れていると
どんどん、ココロん中が浄化されていくのがわかる。


「だから、ごめんって。
 でも、それは、おあいこ、、、だよ?」
「えっ?」
「のっちも、ゆかちゃんが恋するたび、
 彼氏ができるたび、めちゃ苦しかったもん」
「・・・そんなに前から、、、ゆかの、、こと?」

見上げて、のっちに尋ねる。

「う〜ん、、、それは、秘密w」


でも、、、、さ?


「のっちだって、、、、彼氏、いたりしたじゃん…」


するとのっちは
「はは、やっぱ、そのへんは説得力ない?」
そう笑いながら答えたかと思うと

「たしかに、、、あちこち、ふらふらしたけど、、
 結局、ココロは、ゆかちゃんとこに
戻ってきちゃってたんだよね」

て。

そう言った、のっちの表情は
今まで見せてくれたどんなものより
ゆかを、キュンをさせた。


それにしても・・・

「付き合ってるフリ、なのに
 よく指輪なんて買ってくれたね」

すると
「あぁ、、、これは、自分で買った」
「えっ?」
「さすがに、それは、、、ね。
 彼氏さんも許せんでしょw」

だよねぇ・・・

「あの人、自分で提案しといて
 指輪は自分で買ってねって」

なんだそれ。

「まぁ、、、それも、気合い入れてっていうか・・
 適当に買うんじゃなくって、ちゃんと
 ゆかちゃんのこと想って買いなさいって、ね」

え、どういうこと?


わけがわからず
ただのっちを見つめるゆか。



のっちは、ゆかを抱きしめていた腕をほどき

一つ、大きく深呼吸。


再びゆかに向けられた視線。


吸い込まれそうな瞳。

一瞬にして堕ちてしまった瞳。


愛しくて仕方がない
あなたに囚われたままだと


こうして何度も
思い知らされるんだろうな・・


n-side

さて、、、と。

やばい、、、心臓バクバクしてきた。

大丈夫、かな?

けど、、、


そっと、右手から指輪をはずす。


「これは、、、ね。ゆかちゃんを想って
 買った指輪、なんだ」

さっきから、ゆかちゃんは
黒目がちな瞳をのっちに向けたまま
      • 止まってる。


「もし、、もしも、ゆかちゃんが
 のっちのこと好きになってくれたら、、
 そんときに、渡そうと思って…」
「・・・」
「でもやっぱ、ダメでも、きっと
 のっちのキモチは変わらんから
 ずっと、大切にしよう、守ろうって
 勝手に誓ったというか・・・」

はっきり言って
イタイ子、よね?
わかってるよ、、、わかってるけど


「ずっと、ゆかちゃんの傍におらせてください」


この想いは、ウソじゃない。
永久に変わることない、のっちの願い。


k-side

のっちのコトバに
ココロの奥から
熱いなにかがこみ上げてきた。

なんなん、これ?


ただただ
のっちが愛しい。


人を想うって、こういうことなんだね。。。


差し出された、指輪を手に取る。


ん?
内側に、なにか刻まれてることに気付く。

そっと傾けて、文字に目をやる。

『 N to Y 』

のっちから、、、ゆか、、へ?


「手渡せるかどうかわかんないのに
 恥ずかしいことしとるじゃろ?」

苦笑いするのっち。

「笑い飛ばしてくれたらいいよ?」



あぁ、、ダメ、だ。

最高に忌々しかったはずなのに
この瞬間、
最高に輝く宝物にみえる。



「笑うわけ、ないじゃん」

そして


「ゆかこそ、ずっとのっちの傍にいさせてよ」


そう言って、
ぎゅっと、ぎゅっとのっちを抱きしめた。


これ以上、泣き顔を見られないように。。。


のっちはただ
「うん」とだけ答え

ゆかが泣きやむまで頭を撫でていてくれた。


ひとしきり泣いたあたしは
なんだか生まれ変わった気分だった。

大袈裟だ、って笑われたっていい。


でも確かに、
新しい自分がここにおるんだもの。


「これ、、、もらっていいの?」
もう一度、確かめる。

「うん、受け取って」
はにかむのっち。

「…どの指にしたら、いい?」
あなたを試す、いじわるなあたし。
少し、ココロに余裕がでてきたのかも・・


耳まで真っ赤にしてあなたは答える。

「左手の、、、って言いたいけど、やっぱいろいろ面倒だから…
 けど、薬指にして欲しい。のっちのものなんだって見せ付けたい
 わがまま聞いて欲しいんだ、、、ダメ、かな?」


ダメなわけないじゃん。
だって、もうすでに
ゆかはのっちのものなんだから・・
のっちじゃなきゃ、ダメなんだよ?


「いいよ」
冷静ぶる、あたし。
「でも、のっちにつけて欲しいな?」

そう言って、指輪と
右手を差し出した。


すっと、薬指のおさまる、まぶしいほどの宝物。


これで、完全に
のっちから逃れられなくなったゆか。


「ありがと、、、、大好き」

そう呟いて

も一度、やさしい口付けを交わした。


n-side

はは、、
結局、彼の思惑にしてやられたり、、、かな?

でも、こんな結末なら悪くない。


目の前には
かけがえのない愛しい人。


ずっとずっと
焦がれていた幸せ。


はぁ、、、、
やっぱ、のっちにはゆかちゃんなんだな・・


最高な幸せの余韻に浸っていると———


携帯がものすごい勢いで響きだした。


慌てて、ディスプレイを確認。


あ、あ〜ちゃんだ。


「もしもし?」
『はぁ!もしもしってなにのんきなこと言っとるん!?
 今どこにおるんじゃ!』
「え・・・どこって、海?」
『なんでそんなことおるん!?今日は大切な撮影じゃろが!』

えっ?

「ゆかちゃん、今何時?」


そう尋ねると
ゆかちゃんは、時計を確認。
さっと顔色が変わる。


「のっち、やばい!!大遅刻じゃ!!!」


『えっ!?ゆかちゃんも一緒なん?
 よかった、連絡とれんから心配しとったんよ。
 いや、、てか、、よくないよくない!
 とにかく、早く二人とも来んさい!!』

「ごめん、あ〜ちゃん。すぐ行くから!」


そう言って、携帯を切った。


さぁ、と思うよりも早く

「のっち、急ぐよ!!」

ゆかちゃんに、手をひっぱられ
走り出した。



日常へと戻っていくあたしたち。


でもきっと

向かうその先は

昨日までとは違う、新しい未来だね。



絶対に、この手は離さないよ?
ずっとずっと守るから、ね。


あなたの指で光る決意の証に
永遠に変わることのない愛を誓った。








最終更新:2009年02月12日 13:51