のっちと再会してまだたった2日。
じゃあなんでこんなにも好きで苦しいんだろう。
ずっと蓋をして来たあの時のあたしの恋心がそうさせてるんだと思うとやけにしっくり来た。
恋に恋してるだけ。
のっちに向けた言葉はあたしにも当て嵌まっている事に言ってから気付いた。
幼いあたしは昔の想いに引きずられてただけ。
そしてのっちもきっと同じ…。
K『……ごめんね。のっち。』
もう終わりにしよう?
N『ゆかちゃん…っ。』
そんな顔しないで…?
もうこれで終わるから。
あの時くれた優しいキスを貴女に返して終わりにするから。
恋に恋してた幼かったあたしと貴女。
気付かずにそのままでいれたらよかったのにね……。
K『……大好きだったよ。』
K『……ごめんね。のっち。』
長い沈黙を破ったのはゆかちゃんだった。
N『ゆかちゃん…っ。』
何か言いたくて、でも何も言えない私に、君は泣きながら笑ってみせた。
その瞳は強い意思を秘めたように輝き私は身動き一つ取れなかった。
肩に置かれた長くしなやかなその腕が私の首に回され、
二人の距離がゼロになり君の唇が私の唇に重ねられた。
永遠にも感じられたキスは彼女の意思で終わりを迎える。
K『……大好きだったよ。』
N『え……っ。ゆかちゃんっ!』
彼女はあっという間に私の腕を擦り抜け立ち去っていった。
足が動かない。
声が出ない。
君を引き止められない現実に打ちのめされ、ただ、静かに涙が頬を伝い落ちた。
初恋は叶わないって言う話を聞くと妙に納得出来る自分が今はいる。
もう、貴女の姿を捜す日々は来ない。
貴女を想っても胸はざわつかない。
あたしの初恋は最後のキスとともに終わりを告げたから。
でももしまた出会えたらまた貴女を好きになりたいと思う。
K『あ、入道雲だ……。』
どこかで貴女もこの空を見上げてたらいいなぁ…。
幼かった二人のあの夏は終わったけど、次の夏はまたやってくるから。
この夏の花火は終わりじゃなくて新しい二人の始まりだと信じたい。
ありがとう、大好きでした。
ねぇ、ゆかちゃん今でも思うよ。
君は本当に夏が作り出した幻だったんじゃないのか、って。
最後に交わした口づけをそっと思い出す。
泣きながら笑ってた君の心はもう決まってたんだね。
それに気付けなかったのは私が君の幻に捕われていたからなんだと、今なら分かる。
恋に恋してた幼い自分にさよなら出来たらまた君に会えるかな……。
ふと空を見上げ立ち止まる。
N『あ……、入道雲…。』
君の残したこの痛みとともにあの夏は終わりを迎える。
ゆかちゃん、君が本当に大好きだったよ。
(完)
最終更新:2009年02月12日 15:43