SIDE-K
部屋には私の乱れた呼吸だけが聞こえる。
彼女は黙ったまま私を見下ろしていた。
何て言うだろう。
軽蔑した?
ちょっと待って。
お互い様じゃない?
開き直っている自分に嫌気がさす。
「ゆかちゃんさ…」
「今…『あ〜ちゃん』って、言った?」
「…うん。言った。」
私の答えに彼女は笑った。
予想外だ。
どこかに頭のネジが飛んでいってしまったんじゃないかと思う程彼女は笑う。
「やーばい…っ!のっち、あ〜ちゃんじゃないから!!あーウケるわ…」
彼女は本当に私が彼女と勘違いしたと思っているのだろうか。
ベッドの空いた部分に彼女は俯せに倒れ込む。
まだ笑ってあるのか、肩は僅かに振動していた。
「ゆかだって…あ〜ちゃんじゃないもん。」
隣に感じていた振動が止まる。
私が意味したことがわかったらしい。
「…いつから知ってたの?」
こっちを見ずに彼女は呟く。
「ちょっと前から。」
そう、と言って仰向けになる。
横から顔を見ると、あの眉になっているのがわかった。
困ってます。
そう顔に書いてある。
自分のしていたことに対して私に罪悪感を感じてるのなら。
共犯者として私はその罪悪感を取り去る義務がある。
「謝らないで。ゆかものっちと同じだから。」
そっと髪を撫でる。
彼女のとは違うけど、嫌いじゃない。
むしろ好き、だ。
嫌いな人と身体を重ねようとは思わない。
彼女はすらりと長い腕を伸ばして、空中で弄び始めた。
「うちらって…馬鹿だよね。」
自嘲気味に呟く彼女。
その腕は彼女を求めているように思えた。
「こーんなに好きなのになぁ…」
素直な気持ちを溜息混じりに言う彼女を愛おしく感じる。
髪を撫でる手を止めて、頬に唇を落とす。
「馬鹿でいいんじゃない?」
彼女の上に跨がる。
「お互いさ…」
彼女の腰のラインに指を沿わせる。
「馬鹿になるほど、好きってことでしょ?」
つづく
最終更新:2009年02月12日 17:34