先生と再会してから
あたしは、毎日毎日
部室へと足を運んだ。
それも決まって、他の部員たちが
活動が終わる時間帯に。
「失礼しまぁす」
「あ、きたきたw」
あ、ども。
なんて言いながら、カバンを机の上に置く。
「写真、撮ってきた?」
「あぁ、、いや、まだです…」
「えぇ、まだぁ?せっかくカメラ貸してんのに」
「なんか、、、なに撮ったらいいのか、よくわからんくって」
「なにって、、、撮りたいって思ったものでいいんだよ」
「撮りたいもの、、、か・・・」
「ないの?なにか」
「・・・先生、かな」
ぼそっと無意識に呟いた自分にびびった。
いきなり、なに言ってんだ!?
先生も目を見開いて止まってるし。
「あ、いや、その・・・」
うまくコトバがでてこず
金魚みたいにパクパクしてると
「う〜ん、、それは恥ずかしいかも」
そういって、困ったように笑った。けど
「でも、ま、いいよ」
「えっ?」
「やっぱ、とにかく撮ってみないと、
上達しないし、なにより、楽しさがわかんないから」
「はぁ・・」
「せっかく、写真に興味もってくれて転部までしれくれたのにw」
惹かれたのは、写真じゃないんだけどな・・
そんなこと言えるわけない。
「とりあえず、適当に撮ってみてよ」
言われるまま、先生にカメラを向ける。
レンズ越しに、先生を見つめる。
はにかんだような笑顔がかわいらしい。
ぼやっとしていると
「こらこら、ぼーっとしないでよw」
て、おこられた。
「あ、すんません」
カシャッ
カシャッ
静かな部室に、
シャッターの音が響いては消えていく。
表情の一つ一つを
フィルムだけでなく
ココロん中にも、おさめていく。
「んー、なんか、
撮られてるだけじゃ緊張するから
なんか、話しようよ」
「…いいですよ」
カシャッ
「大本さんは、どうして“のっち”って呼ばれてるの?」
「あぁ、、、あやのっち、の“のっち”から」
「なるほどねぇ」
カシャッ
「きょうだいは?」
「一人っ子、です」
「そだと思った…」
カシャッ
「・・どうしてですか?」
「んー、、、雰囲気?」
「はぁ・・・」
カシャッ
「・・・じゃぁ、さ——
レンズ越しに、視線を捕らえられる。
「なんで、いつもこの時間にしか部活にこないの?」
「・・・補習、受けてるから」
実際、時間つぶしに使ってるだけ、だけど…
「そっか、今年、受験だもんねぇ。
でも、それだけ?」
「手、止まってるよ?w」
カシャッ
「あとは、、、人見知りするから。
やっぱ、この時期に転部すると浮いちゃうだろうし…」
これは、半分ホント。
「なるほど、ねw
でもそれは、ある程度、覚悟の上じゃないの?」
「…まぁ・・」
カシャッ
「騒がれるのが、面倒だったりもするの?」
「えっ?」
「いや、みんな、いつも騒いでるからさ。
のっち先輩はいつ現れるのっ!?とか」
「あぁ・・・」
「あ、少しは、モテてる自覚あり?」
「別にそんなつもりは・・・」
モテるっていうのだろうか・・・
「ふーん、、、、で、それだけ?」
「えっ?」
「この時間帯にこっそり現れる理由」
なにを言わせたいんだろう…
「ふふっ、手、止まってるよ?w」
「特に理由なんてないですよ…
でも、、、このほうが、先生とゆっくり話できるし」
やばっ、また変なこと口走ってるよ。
「えっと・・・あぁ、、、初心者としては、
ゆっくり教えてもらえる方がありがたいなって」
「ははっ、それはそうかも、ね」
意味ありげに笑う先生。
カメラ越しでよかった。
でなきゃ、こんな会話、まともにできん・・・
「あたしも、聞いていいですか?」
話題を逸らそう・・
カシャッ
「いいよ」
「なんで、先生になろうと思ったんですか?」
「・・・」
あ、またこの表情。
ふと見せる、曖昧なそれ。
揺らぐ瞳。
そう、初めて桜の木の下で会ったときも
こんな表情をしてた。
今にも消えてしまいそうで
なんだか、とても悲しくって。
でも、それと同じくらい
愛しいと、思ったんだ。
「…なりたかった、から・・・」
「…」
「ごめん、うまく言えないや」
「いや、、、大丈夫、です…」
カシャッ
「でも、なんで、、、、そんなこと聞きたいの?」
「あぁ、、、自分の進路について考えた時に
みんな、どうやって決めたんだろうって思ったんで」
「・・そっか、、、3年生だもんね…」
「だいたいは、好きなこと、やりたいことってのが
あるみたいなんだけど、、、、自分はまだよくわからなくって…」
「…あわてなくてもいいんじゃないかな」
「そう、ですかね」
カシャッ
「うん、、、きっと、みつかると思う、から」
カシャッ
あ
「1本、撮り終わっちゃったね」
「あ、はい」
「じゃ、今日はここまで、だね。
来週、それ現像しようっか」
先生?
もう、この頃には
自分のキモチに迷いはなく、はっきりと決まってたんだ。
でも、あなたのキモチは、最後までつかめないままだったよ。。。
最終更新:2009年02月23日 04:57