SIDE-N
汗だくになった二人。
眠りについてしまった彼女を横に、
私はとんでもない罪悪感に見舞われていた。
「何しとるんじゃろ…」
いくら彼女から誘ってきたからって。
服の乱れを正しながら、床に置かれたままの携帯をとって彼女に電話をかけた。
SIDE-K
ベッドの側に置いた携帯が大きな音をたてて震える。
相手は誰かだいたい想像はついてる。
「もしもし。」
『ゆかちゃん?のっちだけど。遅くにごめん。』
「…かけてくると思った。」
『な、なんで?』
「いいこと…あったじゃろ?」
『いいことって…もしかして』
「皆まで言わさんでよ。」
『でも…』
「そうなるように仕向けたんはゆかじゃけぇ。」
『…』
「ゆかに罪悪感でも感じとるん?」
『そりゃ…もちろん』
ほんとに彼女は…。
少し意地悪したくなる。
「最後までしといて?」
『それは…。ごめん』
「ふふっ、嘘ウソ。だから言ったじゃろ?ゆかが仕向けたって。
のっちがゆかに罪悪感感じることなんてないんよ。」
『でもさ…』
「まだ納得いかんの?成り行きは違うけど、ゆか達あ〜ちゃんと一緒になれたんよ?」
『そうだけど』
「まぁ…ゆか達はそれまでに同じ罪を犯した
共犯者じゃけぇ、その罰として夢が叶ってもその間苦しんでも仕方ないんじゃない?」
『罰…?』
「身体を重ねる度のっちは罪悪感を感じて、
ゆかはあ〜ちゃんに自分だけを見てもらえないことに苦しむの。」
『あ〜ちゃんは…それでいいのかな?』
確かに私もそれは思った。でも。
「これはゆかの観察と実験を踏まえた考察なんじゃけど…」
『観察と実験?』
「あ〜ちゃん観察とのっちを使った実験。」
『ち、ちょっと待ってよ!この数日間のことって実験やったん!?』
「実験は実験じゃけど…99%の確信を持った確認のための実験だし。
成功したんだからええじゃろ?」
『無責任な…』
「とりあえずあ〜ちゃんはさ、ゆか達を求めてるんよ。それだけは、確か。」
『そうなの?』
「そーなの。あ〜ちゃんからのっちに仕掛けてきたんじゃないの?」
『えっ、ちょっとなんで知っとるん!?』
「だーかーらー、全部そうなるようにもってったのはゆかじゃー言うてるのに。
…それがあ〜ちゃんからの答えなんじゃないん?
もう眠いけぇ、切るよ。」
『え、あ、ちょっと待っ』
まだ彼女の声が聞こえたけど、携帯の電源ごと切った。
そのままベッドに倒れ込む。
これで良かったんだと自分に言い聞かせる。
彼女の異常なまでの独占欲を溢れさせてしまったのは私のせい。
でもね、私一人じゃ彼女は満たされないの。
そんな彼女を愛してしまった共犯者同士、
彼女の歪んだ愛情を共有する代わりに協力してもいいんじゃない?
SIDE-A
私はPerfumeが好き。
もちろんそれは他の二人もそうだと思う。
でもきっと二人とは違う、好き。
グループとしての名が世間に浸透していくにつれ、
私のPerfumeへの執着心が強くなっていった。
グループが有名になれば、次はメンバーだ。
今まで挨拶だけで終わっていた人から話し掛けられ、
時にはメアドを聞かれたり、電話番号を聞かれたり。
急に周りの態度が変わり、人間不信になったときもあった。
それからだ。
私は二人に近づいて来る全てを排除したくなったのは。
独占欲なら可愛いものかもしれない。
私の感情はそんな言葉で片付けられるような感情ではない。
もっと黒くて、ドロドロしていて。
私は必死になって、溢れ出しそうになる感情を殺していた。
この感情で大好きなPerfumeを失ってしまったら。
そう考えると冷静な自分を取り戻せた。
でも彼女からの告白はそんな私の感情を抑えていたものを一気に崩壊させた。
『好きにして…いいよ』
この一言を聞いて、私は彼女の何もかもを奪ってやりたくなった。
身体が自然に動いて自分でも驚いた。
そして彼女が果てる前にした私のものになるという約束。
言葉だけの約束じゃ不安で、私はそれから彼女と身体を重ね続けた。
彼女からの愛情は痛い程感じた。
でも、ごめんね。
私はそれだけじゃ満足できなかった。
ある日投じられた疑惑の一石。
私が知らない彼女がいることが許せなかった。
彼女は少なからず自分に好意を抱いていると思っていたから余計に許せなかった。
どうしても私に繋ぎとめたかった。
だから私は彼女のものになることを選んだ。
そしてそれからは彼女の場合と同様だ。
どう考えたって私のやり方はおかしい。
非難されたって仕方ない。
でも私は満足なの。
形は違えど、彼女たちは私と繋がらざるをえない。
これでいい。
Perfumeは私のもの。
誰にも触れさせない。
終わり
最終更新:2009年03月17日 18:29