夕方6時。
のっちの家での作戦会議は終了。とりあえず決まった事は、今日からあ~ちゃんの家に泊まる事に(ただしゆかちゃんは用事があるとかで除く)。
家族の前でのっち(姿はあ~ちゃん)がボロを出さない様に、あ~ちゃん(姿はのっち)が監視する為だ。あと、何かあったら助け合えるし。
「ここからが勝負じゃよ、」
「…うん」
ここは西脇家の玄関の前。のっちは頑張ると決めた。あ~ちゃんの為にも、全力で頑張るよ。
だけど、そんなあ~ちゃんが暗い。姿は自分だから、なんか笑ってしまいそうになるけど、グッと我慢する。
もしコレが、本物のあ~ちゃんの姿だったら。きっと抱き締めて、キスの一つや二つ…。
「あ~ちゃん、」
のっちはそっとあ~ちゃんの手を握った。あ~ちゃんは、驚いた表情で顔を上げた。
「のっちが付いとるけぇ、安心して」
ニッコリ笑ってそう言った。あ~ちゃんの目が細くなって、小さく笑った。
「本当の姿ののっちに、言われたいわ」
「え?」
良く聞き取れなくて、聞き返したけど、はぐらかして教えてくれない。なんて言ったん、気になるじゃろ。
◆◇◆◇
ここは、あ~ちゃんの部屋。可愛らしい見るからに女の子の部屋って感じ。甘い匂いがする、この匂いが好き。あ~ちゃんの匂いだから。
「上手く行ったね、」
「のっち演技下手じゃけヒヤヒヤもんじゃったわ」
でも、のっちにしては頑張ったね。って褒めてくれた。うへへ、嬉しくて口元が緩む。
ご飯食べてお腹もイッパイ。凄く幸せな気分だ。なんか、大変だと思ってたけど意外と簡単かも。三日なんて、あっという間じゃ。緊急の糸が切れたのか、急にトイレがしたくなった。
「ごめん、トイレ借りるね」
そう言ってトイレに行こうとするのっちの手を、あ~ちゃんが掴んだ。え。振り返ると、顔を真っ赤にしているあ~ちゃん。自分の顔だし、可愛いとか思わんけど、ドキッとした。
「ダメ…絶対ダメ…!」
「え、なんでよ?」
訳が分からずキョトン顔ののっち。あ~ちゃんは目に涙まで浮かべている。自分の顔なのに、胸が苦しくなった。
「漏れそうなんじゃけど…」
「だって…見えるけぇ!」
「…見える?何が?」
あ~ちゃんは真っ赤。耳まで赤くして、猿みたい。これが本当のあ~ちゃんの姿だったら間違なく鼻血モノ。
「分かるじゃろ!のっちのアホ!!」
分からない。見えるって何が?トイレで見える物って何?相田み〇をの日めくり
カレンダーくらいしか思い付かん。
「恥かしい所が丸見えじゃろうが…!!//」
あ~ちゃんが声を振り絞る。ちょっと待てい。恥かしい所って…まさか。
ぶふぉっ!
ちょっとだけ想像したら、鼻血が噴き出した。
エッチ?スケベ?言いたいだけ言え。のっちはあ~ちゃん限定のド変態じゃ。いわゆるムッツリスケベじゃ。
「みみみ見る訳ないじゃろ!目ぇ閉じてするけぇ!」
「嘘!絶対見るじゃろうが!」
「ち、ちょっとくらいなら良ぇじゃろが!別に減るモンじゃ無し、」
「なんソレ見る気満々ですか!?」
やいやいわーわーと言い合うこと数分、とうとうあ~ちゃんがキレた。
「なら付いてくわ!」
「はいー!?」
あ~ちゃんは黙って腕を掴み、ズルズルとトイレまで引きずられる。途中、すれ違った妹のちゃあぽんが変な物を見る様な目で二人を見ていたのは気付いていない様子。
ちゃあぽんからすれば、「なんでお姉ちゃんがのっちに引っ張られとん?」みたいな疑問が生まれるだろう。この瞬間、ちゃあぽんの抱くのっちのイメージが少し壊れた。
バンッ!ガチャ、
勢い良く扉を閉め、鍵をかけるあ~ちゃん。トイレという狭い空間に、二人がいる。あ~ちゃんはのっちを無理矢理便座に座らせた。
「な、なにするんよっ」
あ~ちゃんは持っていたタオルでのっちの目を覆う。いわゆる目隠しだ。のっちの視界は真っ暗で何も見えない。
「これじゃ何も見えんよ」
「いやいや、見んくて良ぇんよ」
これなんてプレイ?目隠しして、用を足す所を好きな人に見られるとか。のっちMだけどここまでハードなのは無理だって。
「のっちは何もせんで良ぇんよ、脱がすのも、あ~ちゃんがするけぇ足上げんさい」
そう言って服を脱がし出すあ~ちゃん。おいおいおい。おかし過ぎるよ。マジでどんなプレイなのさ。
「ねぇ…ホント、絶対見んけぇ出てってぇや」
「見るやろ」
「ぜーったい見ん!約束する!」
だって…例え体があ~ちゃんでも、本人に見られながら出来なくない?
「ほんま?」
「あ~ちゃんがトイレする時、のっちにこんな事されたら困るじゃろ?」
「…うん」
のっちを信じて。そう言って微笑む。あ~ちゃんの顔は見えないけど、分かったと呟いて、出て行く気配。良かった。これでなんとか用は足せる。
◆A-side◆
トイレから出て、しまったと思った。そこにはちゃあぽんの姿。
「のっち…お姉ちゃんとトイレで何しとん…」
ドン引きの目だ。今あたしはのっちの体なんだ。明らかに二人でトイレに入ってるなんて怪し過ぎる。
「えーっと…」
うまい言い訳が浮かばない。どうしよう。可愛い妹の冷たい視線が刺す様に痛い。
こうなったのも、そもそものっちが拾い食いなんかするからじゃ。アホ。
「やっぱ…のっちとお姉ちゃんって、そんな関係やったん?」
「は、はぁ?」
急に顔を赤くして恥ずかしそうに尋ねるちゃあぽん。そんな関係って、どんな関係よ。でも、半分正解かも。そんな関係みたいな所はあるし。
「え、えっと…そう…かなぁ」
「やっぱりー!うわぁショック…のっちの事、狙っとったんに」
えーほんまに?お姉ちゃん初耳ですけど。ちょっとショック。てか、本人に言うなよ本人に。本物ののっちだったらパニックで卒倒してるよ。
ガチャ、
背後の扉が開いて、トイレを終えたのっちが出て来た。
「目隠し、もう取って良ぇじゃろ?」
ちょっとちょっと、のっちタイミング悪過ぎ。ちゃあぽんののっちへのイメージがブッ壊れた瞬間だった。
◆3:End◆
最終更新:2008年10月10日 15:22