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「んん・・・」
ベットの横にある目覚まし時計を見る。
AM6:59
よかった、大学は遅刻しなくてすみそう。
隣には一糸纏わぬ姿のうつ伏せで寝ているのっち。

そう・・・あたしたちは不思議な雰囲気と甘い毒に侵されたせいで、一線を越えてしまった。

毒がまだ回っていたから、正直あまり憶えていない。
憶えているのは、のっちが思ったより柔らかかったコト。

あたしの横で無防備で寝ているのっちを見ると、また罪悪感が甦る。
蛇男の時はこんな気持ちにならなかったのに・・・。

誰にも言えない秘密をのっちと共有したのに、なんか釈然としない・・・。
でも、もうやり直しなんて出来ない。
このまま突っ走るしか道はない。

あたしは、のっちに脱がされた下着、Tシャツ、パーカー、ジャージを着る。
昨夜呑み散らかした残骸を片付ける。
そして、のっちに置手紙を書いて部屋を出た。

あたしは自分の家に戻りシャワーを浴びる。
裸になったら、昨日の夜のっちに撫でられたのを思い出してしまった。
身体が火照る前に、昨日の出来事を洗い流す。
身体をキレイにしてあたしは大学へ行った。

大学の最寄の駅であ〜ちゃんと会った。
「ゆかちゃん〜。おはよう」
「あっ、おはよう」
「なんか、ゆかちゃん眠そうじゃね?昨日バイト遅かったん?」


「あ〜、バイトは早く上がったんだけど、テレビ見てたら寝るの遅くなっちゃった」
「へー、どんなテレビだったん?バラエティー?」
「あー・・・なんかすごくくだらなくて、憶えてないやw」
昨日はのっちと一晩一緒にいたなんて言えるはずがない。
本当のこと言ったら、あ〜ちゃんとの関係が終わってしまう。

嘘を一度ついてしまうと、つき続けなければいけなくなってしまう・・・。
あたしは一体いつになったらこの嘘の螺旋から逃れられるのだろうか・・・。

「そっかー。実は、あ〜ちゃんも寝不足なんよね」
「あ〜ちゃんが寝不足って珍しいね。課題でもしてたん?」
「いや、課題はまだ時間があるから平気なんだけど・・・。考え事してたら、眠れなくなってしまったんよ」
「考え事?」
「あっ・・・うん」
「ゆかでよかったら、相談乗るよ?」
「大丈夫じゃけ!そんな深刻なコトじゃないけぇ」
「ほんと?」
「ほんと!ほんと!」
昔からあ〜ちゃんはどうでもいいコトはあたしにすぐ泣きついてきて相談してくれるけど、重要なコトは自分一人で抱え込んで悩んでしまう癖がある。
大変な時こそ頼ってほしいのに、あ〜ちゃんは自分でなんとか解決しようとする。
そこがあ〜ちゃんの良い所と言えば聞こえはいいけど、あたしはやっぱり自分を必要としてほしい。

「あ〜ちゃん今日授業中寝ちゃうかも。したら、ゆかちゃん起こしてね」
ほら、こんな簡単なコトくらいしか頼ってくれない。
「いいよ。じゃあ、ゆかが寝てたらあ〜ちゃんが起こしてね」
でも、これでいいんだ。
あ〜ちゃんの隣にいるのには、変わりないんだから。


お昼になっても、のっちの姿は見なかった。
だから必然的に、あ〜ちゃんとふたりでお昼を食べることになる。
二人っきりでご飯を食べるのって久しぶりで、ちょっと嬉しかった。

「もー、のっち何やっとるんじゃろ?メールしても返事返ってこんし、電話しても出んし」
あ〜ちゃんは、お弁当をつつきながらのっちに文句を言ってた。
「あー、まだ寝てんじゃない?」
そう言った矢先、今朝ベットの中で見た裸ののっちの姿を思い出してしまった。
ヤバイ、これじゃただの変態だ・・・。

「ゆかちゃん?どしたん?顔赤いよ?」
「えっ・・・うどんが熱かったからかな・・・」
あたしはうどんのせいにする。
なんでこんなフラッシュバックが起きるんだろう・・・。

「ゆかちゃん、今日バイトある?」
「ううん、ないよ」
「んじゃさぁ、一緒に課題やらん?」
「おー、いいね。それじゃ、うちでやろうよ」
「えっ、いいの?ゆかちゃんちに行くの久々じゃ。そうだ!お菓子とアイス買っていこうよ」
「いいね〜。楽しみじゃ」

今日の授業がすべて終わり、あたしたちはコンビニに寄ってお菓子とアイスを買い、あたしの家へ向かった。
結局のっちは来なかった。


「あー、とうとうのっち来なかったね〜」
あ〜ちゃんが呟く。
「のっちも呼ぼうか」
「え!!いいの?」
「いいも悪いも、のっちだけ呼ばないってもの可哀相じゃろ」
「あっそうだよね・・・のっち来るかな・・・。てか、携帯出るかな?」
「携帯繋がらなかったら、直接家に行けばいんじゃない?あ〜ちゃん掛けてみなよ」
「う、うん」
あ〜ちゃんは携帯を取り出し、のっちに電話する。
「あっ!出た!」
あ〜ちゃんは電話越しにのっちに怒ってる。
あたしは頬杖をついて、怒ってるあ〜ちゃんを見つめる。

「のっち、さっき起きたみたい。で、来るって」
さっきまで怒ってたあ〜ちゃんは、のっちが来るって決まったら心なしか嬉しそうな感じがした。
「そっか。よかったね・・・」

何時ものあたしなら、自分からのっちを誘おうなんてしない。
でも、今日は誘いたくなった。
あ〜ちゃんに、あたしたちが一線を越えたことを知られてはいけない。
最大の秘密を共有したあたしたち。
その秘密を抱えたのっちが、あ〜ちゃんの前でどんな態度になるか・・・。
それが見たかったから、のっちを呼んだ。
のっちへの罪悪感はスッキリ消えたワケじゃない。
でも今はその感情よりも小悪魔な好奇心の方が強い。

程なくすると、呼び鈴が鳴った。
のっちがやってきた。






最終更新:2009年03月30日 00:03