(09)595 名無し募集中。。。 (モーニング戦隊)

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「ほうとうイェー!」

彼女がそう言い終わると、周囲が再び騒がしくなった。撮影が終了し、番組のスタッフ達が慌しく動き回る。
彼女はそんな者達を横目に一息ついていると、後ろから声をかけられた。

「おつかれさん。しかし舞子は本当に器用だな、幾度と無く感心させられるよ。
今日みたいに小さな仕事はもちろん、バラエティ番組の司会進行も簡単にこなす。
私も上司として、そして君の父親としても鼻が高いよ。今すぐにでも報道でやっていけるんじゃないかね」

「ありがとうございます。でも報道局にはお養父様をはじめ、もっと立派な方達がいますからね。
それに私は今の仕事の方が好きです」

舞子と呼ばれた女はそう言って、義理の父である男に小さく笑みを浮かべた。

「そうかい。舞子がこの仕事に就きたいと言ったときは驚かされたがね。血が繋がっていなくても、子は親に似るものだな。
それより早速で悪いんだが、その好きな仕事の話だ」

「そう来るだろうと思っていました。でもわざわざ部署の違うお養父様を経由しなければ頼めない仕事だなんて。
そういうやり方は感心しません」

「まあそう言ってやるな。君の評価が上がっているからこそ、易々と物を頼めなくなっているんだよ。
君は気に入らないかもしれないが、これは名誉なことだ。ここは素直にそう受け取ってくれ。
それで、次の仕事というのがな・・・」

そういうと男は舞子に説明を始め、彼女もそれに黙って耳を傾けた。
大方、昔の知り合いに依頼された仕事だろう。彼女はそれを聞かずとも予想がつく。
養父はとても情が深く、義を尊ぶ人だった。
彼女はそれが嫌いではない。そんな人に育てられたからこそ、今の自分があると思っている。
舞子は小学生の頃、かつて親だった者に捨てられ、児童養護施設に引き取られた。
そんな彼女を養子に迎え入れ、育てたのが、今彼女の目の前に立つ男・・・斉藤だった。


養親は彼女に優しかった。躾は厳しかったが、そこには常に愛情があった。彼女もそれを理解していた。
彼女は恩返しをするべく勉学に励み、今や立派なアナウンサーとなった。
養父がかつて同じ職だったことは後に聞かされ驚いたが、
それは彼女が気付かぬうちに尊敬する養親の影響を受けて育った証だった。
血が繋がっていなくても、そのとき初めて本当の娘になれた気がして、とても嬉しかった。

彼女はそんなことを思い出し、再び頬が緩んだ。彼女は幸せというものが再び訪れ始めていたのだった。

しかしそんな彼女の心にも、今なお一つだけ影を落とすものがある。
それは彼女をいまだ悲しませ、後悔を抱かせる。遠い昔の出来事だった。

舞子はかつて『4』だった。それは彼女が捨てられる前の話だ。
父が母を捨て『3』になり、母は彼女を捨て・・・彼女の家族は『2』になった。
この時点では、まだ複数。
彼女には8つほど年の離れた妹がいた。
――いや、妹などとはもう呼べないだろう。
彼女は妹を守れなかった。
彼女もまた、妹を捨てたのだ。自分を捨てた者達と同じように。

舞子は時々考える。
妹はまだ愛情に恵まれることなく、今も孤独だったとしたら。
舞子にとって、いまだ家族は『2』のままだった。
その『2』の中で、自分だけが幸せになってしまっているとしたら。
どんなに貧しくなっても、妹と離れるべきではなかった。
妹を、守るべきだったのだ。

「どうした?聞いているのかね?」


優しい養父の声を聞き、意識が引き戻される。表情を慌てて取り繕う。

「え、ええ。月島きらりちゃん・・・あの有名な、トップアイドルのことですね」

舞子はすぐに思考を切り替えた。この思考の速さこそが、彼女の最大の武器だ。

月島きらりは――スタイルと容姿はもちろん、歌、演技、そして最近では声優としての素質も開花させ、
人気、知名度ともに絶大なトップアイドルのことだ。
彼女が芸能界にデビューしてから数年で、その名を知らない者はいなくなった。

「そのトップアイドルがどういうわけだか、今回の仕事を引き請けたんだ。
企画の制作者というのが私の知人なんだが、まさかこんな企画が彼女に通ると思っていなかったらしくてね。
かくいう私も、正直言って驚いているよ」

「どういう企画なのですか?」

「局のアナウンサーとゲストの2人で、今話題になっている店のメニューを紹介する、というものだ。
君にこんなことを言うのは失礼かもしれないが・・・」

「ええ、わかります。大した内容ではないと、そう思ったのでしょう?私が先程終えたばかりの仕事ですけどね」

舞子はそう言ってくすくすと笑った。

「確かに、とてもきらりちゃんのようなトップアイドルが出演してくれるような企画ではないですね。
もしかしたら、何か理由があるのかしら」


「彼女がオファーを請けた理由は、その店にあるらしい。そこは彼女が選んだ店だそうだ。
だが、そのことは今回はあまり関係が無い。我々にとって、店の紹介なんて無くてもいいくらいだ。
月島きらりが出演するというのはそういうことなんだよ」

「月島きらりに何を言わせるのか。それが重要だということかしら」

「ああ、そうだ。彼女はたしかに有名だが、その素性は彼女がデビューして3年が経った今でも、謎のままだ。
テレビや他のメディアが映し出す彼女は飄々としていて、いつもどこか掴みどころが無い。
彼女は完璧すぎるんだ。もしかしたら、今回初めて彼女の本質に迫れるかもしれない。目的はそれだ」

「なるほど。たしかに彼女には、手から雷を出すとか、霊が周りについているとか、
そういうおかしな噂が立つほどですからね」

「そう、噂だが・・・その店も、実は不思議な噂が絶えないんだ。
訪れた客の心を読んでいるように、不自然なほど気の利く店主がいるとか、
味は今一つだが食べたら傷や怪我が瞬時に治るリゾットがあるとか」

「本当なのですか?それは・・・何だか、楽しくなってきました。
そんなお店であれば、月島きらりが興味を示すのも当然かもしれませんね。それは、何というお店なのですか?」

「『喫茶リゾナント』だ」



「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー!」

高橋愛は愛想良く、打ち合わせ通りに2人を一番奥の席へ座らせる。
テレビカメラが彼女の姿を捉えているが、緊張はしていなかった。
撮影の訪れたスタッフ達には普段通り振舞うよう言われていたし、
それ以外は何も自分に求められていないことを、彼女は知っていたからだ。

彼等が撮影しにきたものは、高橋でも喫茶リゾナントでもない。
見るからに聡明で、優秀なアナウンサー。
彼らの目的はその反対の椅子に座っている、月島きらりという少女だ。
そう、少女。彼女はスタイル、風格ともに大人びていたが、高橋が彼女に感じた印象は少女だった。

だが、彼女に関してそれ以上は高橋にも分からない。高橋が持つ、その不思議なチカラを使っても。
月島きらり、彼女はおそらく――能力者なのだ。高橋はそう考えた。
それも、かなりの実力者だろう。
高橋の持つ、他者の心を読み取る力――精神感応――が効かないとなると、自分と同じレベルの能力者。
高橋は自分が月島きらりと戦う姿を思い浮かべた。
自分のもう一つの能力、瞬間移動だけで彼女を倒せるだろうか。
彼女の能力は?それに対抗する術は?

だがそんなことを考えて、すぐにそれを打ち消した。こんな想像は無意味だ。
月島きらりはダークネスではない。彼女と戦う必要はまるで無い。
――自分の心は、少し戦いに傾きつつある。
度重なる戦いの連続で、戦いの亡霊のようなものに憑りつかれてしまったのかもしれない。
それとも自分が、i914として戦うために生まれ、生きてきたからか。
半ば自嘲気味にそんなことを思いながらカウンターに戻ると、入り口に人影が見えた。


「愛ちゃん、遊びに来たよ・・・って、あれ?今日お店休みじゃないの?」

新垣里沙。その後ろに、田中れいな、道重さゆみ、亀井絵里の姿もある。

「これ、何かの撮影と?」
「テレビだよ、テレビ!」
「うそ、あれ月島きらりちゃんじゃない!?」
「何で秘密にしよると!言ってくれれば遊びに行かんでお店手伝ったのに!」
「愛ちゃん・・・自分だけテレビに映りたいからってそれはダメなの」
「リーダーの裏切りによるリゾナンター分裂の危機だよ、さゆ」

「あー!わかった、わかったって!じゃあ3人とも、早く着替えてきな」

高橋がそう言うなり、3人はそれぞれ2階へ上がっていった。
撮影スタッフの何人かが高橋を睨んでいた。静かにしろということだろう。
それに気が付いた高橋がばつの悪そうにしていると、新垣が店の入り口で厳しい顔をしたまま立ち尽くしていた。

「・・・まさか、里沙ちゃんまでテレビに映りたいとか言うんか」

「ねえ、あれが・・・月島きらりなの?」

新垣から小声で発せられた予想外の質問に高橋は少し驚きつつも、それに答えた。

「ん、ああそうみたい。私はそんなに知らないけど」

ふーん、そうなんだ。新垣は大して興味もなさそうに言った。


「愛ちゃんごめん、私今日は帰るね」

「やっぱり里沙ちゃんも怒ってるんか・・・」

「いや、そうじゃないから!・・・私テレビとか苦手だし、ここで働いてるわけでもないし」

スタッフの1人がこちらに近付いて来る。そろそろ限界か。確かに今は撮影中だ。

「じゃあ愛ちゃん、またね」

「うん、またやよ」

新垣が店を出て行った。しばらくして、2階から警報ブザーが鳴り響く。
ダークネスが現れたときに鳴るようにしてある警告音だった。
しかし最近は誤報が多い。まだ昼間という時間帯を考慮すると、今回もおそらくそうだろう。
ダークネスの悪事が増え、反応しすぎて壊れたのかもしれない。
――それにしても、音量はもう少し絞っておくべきだった。
撮影スタッフ達の視線を感じていたが、そちらに振り向く勇気は無い。
装置を止めて、出動しよう。高橋は2階へ駆け上がった。



舞子は、れいな達がリゾナントに訪れたことも気が付かないほど、月島きらりとの会話に集中していた。

舞子が今、月島きらりと共演しているこの番組の真の目的は、彼女の謎に包まれた素性を暴くというものだったが、
制作スタッフ達の思惑通りには上手くいかず、その場にいる者達は皆、
今回の企画が凡庸なものになりつつあることを理解し始めていた。
ただ1人、舞子だけを除いて。

舞子だけは、月島が――月島きらりとしての生き方意外のものを持っていることを感じていた。
月島きらりは、あくまで月島自身が演じている姿に過ぎない。
月島は全て自身のことしか話そうとしなかった。
家族や友達、人にとって心の支えとなる他者の存在が、彼女にはないのだ。彼女が演じている月島きらりには。

舞子にはそれが分かる。
舞子にも演じているものがあったからだ。
斉藤の子。聡明で落ち着きのある、優秀なアナウンサー。妹を愛していた自分。
このどれもが舞子を表しているが、全て本当の自分と言えるか、舞子には定かではない。
自分も目の前にいる彼女も、どこか似ているところがあるのかもしれない。舞子はそう考えていた。
だとすれば、偽者の自分を演じなければならない理由が、そしてそのきっかけが、自分と同じようにあるはずだ、と。
そう、自分と同じように。月島きらりの過去にも、何かきっかけが――。


だが、舞子にとって他人の過去を探ることには抵抗があった。
過去の出来事は変えることは出来ない。
だからこそ、人は過去から目を背け、忘れようとする。それは至極当然なこと。それが舞子の考えだった。
月島きらりも辛い記憶を抱えているのかもしれない。おそらく、そうなのだろう。
だからこそ一点の曇りも無いトップアイドル、月島きらりを演じている。
そのことに思い立った今、目の前にいる女の無垢な笑顔が、舞子には怖く感じた。
この仮面を剥いではいけない気がする。だが、今日はこの場にいないが、私に仕事を斡旋した養父の面子というものもある。
舞子が逡巡していると、2階から赤い光と、けたたましい警告音が聞こえてきた。

女性店主が2階へ駆け上がる。
突然の出来事にスタッフ達も対応しきれない。女性店主が再び現れ、弁解することを誰もが望んでいたが、
それは叶わなかった。
こんなことでは、もはや月島きらりの素性を暴くどころか、放送することさえ難しいかもしれない。
舞子はそんな風に思い始めた。

小柄な店主の代わりに現れたのは、さらに一回り小さな少女だった。
その少女は店主がもう戻らないことを簡潔に、スタッフ達に述べた。
舞子はその内容を聞き取れなかった。内容が、頭に入ってこない。
それには理由がある。スタッフ達がその少女の姿を見たのは、数分前とあわせて2度目。
舞子はそのとき見ていなかったから、初めて見る顔だ。
そのはずだった。
それなのに、初めてではなかったのだから。
忘れるはずは無かった。
特徴的な、鋭いその目。
養父に手を引かれ、立ち去る私を見つめる目を――。



リゾナントが喧騒に包まれた頃、新垣は携帯電話型の通信機を取り出し、話し始めていた。

『おう、ガキさんか』

「お久しぶりです」

通信に答えたのは、新垣がダークネスの部隊に編入されたとき、その部隊長を務めていた女だった。
その時代に培われた信頼と上下関係は、新垣が彼女と対等になった今もなお続いている。

『何かあったか?・・・あったんだろうな、めんどくせぇなあ』

「そんな事言わないで下さいよ。・・・あの『月島きらり』が彼女達と接触を図ったようです」

『ああ、やっぱカオリンの言った通りになったか』

「飯田さん、です。階級はあなたより上ですよ」

『いいだろ、別に。お前だって私にまだ敬語使うじゃねーか』

通信の相手である彼女の豪放な性格を思い出し、新垣は小さくため息をついた。

「わかりましたよ。しかし、月島は仲間を求めるような性格ではなかったはず。目的は何です?」

『お前がスパイだってことをリゾナンターに言うつもりなんじゃないか?』

そう言って通信相手の女は笑い出した。


「吉澤さん、通信切りますね。あとはよろしく」

『ああ、待てって!冗談だろ?それに、可能性はある。月島は念写能力者だ。何か‘視た’のかもな』

「それは有り得ません。私の偽装は、愛ちゃ・・・いえ、i914ですら見抜くことは出来ない」

新垣が吉澤と呼んだ女は、再び笑い出した。
――何がおかしいのだろう。新垣はその声を聞いて一層不機嫌になった。
新垣は吉澤を尊敬していた。その戦いぶりは勿論、部下への思慮、リーダーとしての資質。
そのどれをとっても、ダークネスでありながら見習うべき点は多い。
しかし、今の言動は軽率すぎる。
新垣里沙――つまり私がリゾナンターのスパイだという事実は、軽々しく口にするべきではない。
計画が少しでも狂うことがあれば、ダークネスという組織の存亡に関わる可能性だってある。
そうなったら、私の目的も――。

『推測しただけだ。何にしても、月島きらりをこれ以上野放しにしておくのは危険だな。あいつには下位の構成員達が
何人もやられてる。仕事が増えちまったってことだ』

「殺しは、得意分野でしょう」

『・・・そうだったな。めんどくせぇけど』


時計の針が0時に近付き、日付が変わろうとする頃。月島きらりは、その日の撮影を全て終えた。
帰り支度を済ませながら、一日を振り返る。どれも退屈な仕事だったと、きらりは思った。
都会に出る前、どこにでもいる只の田舎の学生だった頃は、もっと楽しいことがたくさんあった。
――どこにでもいる、だって?こんなことが出来るのに?
きらりはそう考えながら、持っていたデジカメを覗き込む。
彼女には、不思議な能力があった。
元々霊感の強い家系で育った彼女は、先祖代々受け継がれる除霊や交霊の術を身に付けていた。
そんな彼女が最も得意としている能力がある。念写の術。
意識を霊界に漂わせ、媒体を介しそこで見たものを写し出す、チカラ。

きらりは帰宅することにした。

夜の深いこの時間には、いつもタクシーで自宅まで送ってもらうことになっている。
しかし今日からはそれを全て断るつもりだった。
高橋愛。きらりのデジカメに何度か映り込んでいた女。ダークネスの最大の敵。
そんな女と接触したのだ。――能力者の私が。奴らが黙って見ているはずはない。

異変は既に、きらりの周囲に起きていた。
きらりは素早く細い路地に入り、辺りを見回す。

辺りには、生物の存在のかけらさえ感じられなくなっている。
夜の闇が際限なく深まり、彼女自身の存在すら消し去って行く。
まるで霊界とこの世界が1つになったかのようだった。
きらりはそんな感覚に眩暈がし、近くの壁にもたれかかった。

――もう来たか。思っていたより早い。
闇の中に目を凝らすと、遠くから女が一人、こちらに近づいてくるのが見えた。


――あれは、バレーボール?
きらりが女の動作に気付くと同時に、顔のすぐ横の壁が音を立てて吹き飛んだ。

「お前、避けんなよ!あの魔女だったら、そう言いそうだな」

女。女がきらりに話しかけている。

女は再びバレーボールの『スパイク』の動作をとった。
動作だけだ。手には何も持っていない。
いや、きらりにはそれが見えている。圧縮されたエネルギーの光球。
きらりは反射的に身を翻す。背後でアスファルトの砕ける音がした。

――ダークネスだ。ダークネスの、能力者。きらりは、自分が笑っていたかもしれないことに気付く。
このために、高橋愛と接触したのだ。ダークネスの能力者を、殺すために。

「ダークネスの『粛清人』ってのは、あなた?」

「答える必要は無いね。それよりお前、月島きらりだろ?悪いけど、死んでくれよ」


女がそう言い終わる頃には、きらりが先に動いていた。
手には彼女がいつも護身用に持ち歩いているスタンガンを構えている。
きらりは女めがけてあらゆる角度からそれを突き出す。

だが、ダークネスの女には当たらない。
女はスタンガンの放つ青い光に導かれるように、それを回避する。
女は久しぶりに相手の攻撃をかわすという感覚を思い出していた。
思い出さなければならないほど、女にとってこの動作は新鮮だった。
今まで戦った相手は、女のその能力の高さゆえに、攻撃を仕掛ける暇も無く死んでしまったからだ。
女が体を動かすたびに、つま先から頭の先まで、戦いが本来もたらす恐怖と緊張が、女を満たしていく。
――少しでも何かを間違えれば、たちまち死が訪れる。
女が今まで、そしてこれからも歩もうとしている道と、同じだった。

きらりは相手の動作に合わせ、空いたほうの手のひらを女の顔の前にかざした。
いつも通り。いつでもそうしてきた。
彼女は戦闘の経験が無いわけではなかった。
霊力者の家系に育った彼女は、その能力を最大限に発揮させる方法を学んでいた。
彼女は1人で戦い、生き抜いてきた。自らを守るため、そして――家族の仇、『粛清人』を倒すために。

きらりは頭の中に黒い霧をイメージする。
次にその霧が、女の眼球を覆うように、『念写』し、貼り付ける。念写能力を戦闘に応用した、高度な技。
この短い時間では、視界を一瞬だけ奪う程度の効果しか得られなかったが、それで十分だった。
きらりは動きの止まった女の背後に素早く回り込んだ。
狙いは、女ではない。女の霊体。生物の持つ命の源泉――きらりだけが見えているそれ――に、直接電流を流し込む。
そう、いつでもそれで十分だったのだ。きらりが今まで戦った相手には。


だが、女はダークネスだった。ダークネスの、しかも一線級の能力者だ。
女にとってそれは容易いことだった。
暗闇は確かに予想外だったが、スタンガンでの攻撃方法は突きの一手しかない。つまり、あとはタイミングだけだ。

女はきらりの手首を掴み、そのまま腕をねじ切る勢いで捻り上げた。
きらりが手に持っていた物を放したことを、地面に落ちたスタンガンの音だけで確認し、
次にきらりの体を宙に蹴り上げた。
その頃には視界が元に戻っていたので、きらりが地面に叩き付けられる瞬間は目で見ることが出来た。

女はスタンガンを足で払い、そのままうつ伏せに倒れたきらりの頭を踏みつけながら言った。

「ダークネスに逆らうから、痛い目見るんだよ」

――痛い目、だって?このダークネスの能力者は、この後自分の身に何が起こるのか、少しも理解していないらしい。
きらりはうんざりしていた。この世界のことも、この愚かなダークネスの能力者のことも。
この短い時間で、人生で・・・何度そう思ったことか、数えられない。

「・・・あんた、油断しすぎだよ」

きらりはまだかろうじて動くその手で女の足を掴んだ。
辺り一面が赤く煌く。赤い電撃。それは彼女が最も嫌いな、血の色だった。
だが、確かな手応えを感じた。
女は縦と横に回転しながら数メートル吹き飛び、コンクリートで出来た壁にぶつかった。


「まさか手からカミナリを出せるとは、思ってなかったでしょ?まあ勘違いしちゃうのも仕方ないけどね。
あんたの仲間は全員、あのスタンガンでやられてたんだから。って、もう聞こえてないか」

女は倒れたまま動かない。
辺りに散らばったコンクリートの破片、女の流している血。
それから女の着ている黒いボディスーツの所々が焼け焦げた臭いが、電撃の威力を知らせていた。

きらりは辺りに散乱した荷物――スタンガンや自分のバッグ――を拾い上げた。
だが――無い。バッグに入れておいたはずのデジカメが。いや、入れたのはズボンのポケットの方?

「これを探してるんだろ?」

女はきらりの後ろで、既に立ち上がっていた。きらりはその事実を受け入れられない。
――まさか、何で生きてるの?それより、いつ私のデジカメを?
きらりは明らかに動揺していた。理由は女が彼女の電撃を受けても生きているからではない。
デジカメ――今あの女が持っているそれ――には、彼女が大切にしている全てが記録されている。
家族や、友人。月島きらりには存在しないものが。
それだけは、渡せなかった。
――落ち着け・・・もう一度、カミナリを食らわせてやるだけだ。
きらりは再び、構えた


先に仕掛けたのは、今度は女の方だった。
女の構えが変わる。フットサルの『シュート』。

きらりはそのことに気付いたが、女の狙いまでは気付かなかった。
女が放った『シュート』は、道の壁に、アスファルトに、様々な角度で打ち付けられた。
その全てが不規則に跳ね返り、きらりはその軌道を見失う。
1球目は勘だけでかわしたが、2球目がきらりの太股に当たった。
一瞬にして足の感覚が無くなる。
動くことの出来なくなったきらりの腹部に、3球目が音を立ててめり込んだ。
きらりはゆっくりとうずくまるようにして、その場に倒れた。

――私、何をやってるんだろ。デジカメなんかに気を取られて。情けない。

きらりはこの状況にあって、なぜかまだ自分が中学生だった頃のことを思い出した。
家族はすでに失われていた。その時はまだ、他者からの愛に飢えていたのかもしれない。
彼女は芸能界へ入ることにした。

しかし彼女はすぐに自分の選択を疑うことになった。


そこは見せかけの愛に溢れていた。
彼女はその優れた容姿から、誰にでも褒められ、煽てられたが――それは家族が注いでくれた真実の愛とは程遠いものだ。
そんな世界にも、次第に染まっていく。そんな自分のことが許せなくなり、自分自身ですら、愛せなくなった。
きらりは更に孤独を深めていった。

最後に笑ったのはいつだろう。最後に、本当の自分――久住小春――だったのは。
きらりは死ぬ前に、そのことを確認したかった。
撮影が始まりスケジュールが埋められた。友達とも会えなくなった。
そんな中、中学校最後に行われた遠足。
皆が暖かかった。
――穂村君、小春のこと忘れてないかなあ。
思えばあれからもう誰とも会っていない。
あれが最後の、笑顔だった。
出来ればもう一度皆に、会いたかった。
でももう、動けない。もう、疲れたよ・・・。

「久住・・・久住小春」

唐突に自分の名を呼ばれ、小春が顔を上げる。
高橋愛が、そこにいた。
デジカメに写っていた女。喫茶リゾナントの店長。ダークネスの最大の敵。
その全てが、目の前の女を表す記号だ。
だが小春には分かった。その女が高橋愛だということが。
月島きらりではない、久住小春には。
そこで小春の意識は途切れた。


「そこまでやよ、ダークネス」

高橋は女にそう言った。
女は黙ったままだ。だが、声に出さなくとも、高橋には聞こえる。
女の思考全てが。

(こいつが高橋愛、i914)
(新垣の――)

一瞬、親しい者の名を女が呼んだ気がするが、今はもう聞こえなくなった。女の思考が切り替わっていく。
女は戦う事に全てを集中させた。狙いは、久住小春だ。
高橋は女の心を読み取り、そう理解する。

女の足が光る。再び『シュート』が次々に放たれる。
高橋はその場から動かない。
後ろの久住小春をかばう必要があった。

高橋とて、乱反射する光球の軌道全てを見切れるわけではない。
いや、特に見切る必要は無い。高橋には相手の狙いが分かるのだから。
手に持った刀で次々とエネルギーの光球を切り裂いていく。
女が隙を見せたときが、攻撃のチャンス。高橋はそう考えた。

しかし、すぐに女の攻撃が止まった。
何かを迷っている。
高橋が女の思考を読み取ろうとした瞬間には、すでに女はダークネスの使う転移装置を作動させていた。
逃がすものか。
高橋は女との距離を瞬間移動で一気に詰め、女の心臓を狙って刀を突き出した。
だがわずかに狙いがそれ、刀は女の肩口を貫いた。同時に女は姿を消した。
辺りには深い闇と静寂と――それからデジカメが残った。


「あなた、怪我は大丈夫?さゆがいれば簡単に治せるんだけど・・・」

高橋愛は、意識を取り戻した久住小春に話しかけた。

「・・・一晩寝れば治ります。私はそういう体質なんです。それより、あの女は?」

小春は立ち上がりながら、突き放すように言った。それなりに重傷だったが、今は誰の力も借りたくなかった。

「ええ、残念ながら逃げられたわ。でも、これ」

高橋は小春にデジカメを手渡した。女が逃げる前に置いて行ったのだった。小春は何も言わずにそれを受け取る。

「大事なものなんでしょ?それ。そう聞こえたから」

「あなたには関係ありません。それより、聞こえたって?さっき私のことも『久住小春』って言ってましたけど」

「それがあなたの本当の名前、でしょ。月島きらりちゃん。私少し変だからさ。聞かなくても分かるんだ。
でもこのチカラで、人を救えることもある。あなたもそれが分かっているから、戦っているんでしょ?」

「人を救う?私にそんな資格は、ない。私のチカラのせいで、私の家族は殺されました。私のせいです」

「きらりちゃん・・・いえ、久住小春。それは違うわ。悪いのはダークネス。チカラを悪用して人を傷つける奴等。そうじゃない?」

高橋はそう問いかけた。少しの間があって、小春はそれに答える。

「私がやっていることは、復讐です。家族の仇を見つけて、殺す。――ただそれだけ。
高橋さん――あなたがやっていることとは違うんですよ」


久住小春の顔から、あらゆる表情が消えた。小春の心の影が、高橋には見えている。
小春がリゾナントを訪れていた時には見えなかった心が。
彼女が月島きらりを演じているときには、心がなかったのだ。

「――私は、失うのが怖い。もう何も失いたくないんです。だから仲間も友達も、もう必要ない。
私には、思い出だけで十分です」

小春の心の声が、高橋に流れ込む。心と心が高橋の精神の内で重なり合い、1つになっていく。
そうして出来た心が、高橋に遠い過去の映像を映して見せた。

どこにでもある田舎の風景。少女が自転車を漕いでいる。
自転車を漕いでいるのは小春だ。
家では小春の誕生日祝いの準備が済んだころだろうか。
小春はまだ小さな体で、村中が見渡せる丘を登った。ここを通ったほうが近い。小春は少しでも早く家に帰りたかった。
だが何か様子がおかしい。小さな村で、異変はすぐに村中に伝わる。
大きな事件が起きたことなど過去に1つもない。平和だけが取り得の、素晴らしい村だった。
ましてや殺人事件など――。
自転車などどこかに置いて来てしまった。村の大人達の声だけが聞こえる。
小春ちゃん、危ない。小春ちゃんが中に入ったぞ。外に連れ戻せ。
家中が炎に巻かれ、ありとあらゆる場所に血がまみれている。泣き叫ぶ小春。
父、母、姉、ペットのなーさんまで。
彼女の全てが一瞬で失われた。
別れはいつも唐突にやってくる。
――だから悲しい。


「・・・なんで、あなたが泣くんですか」

そう言われるまで、高橋は自分の涙に気付いていなかった。高橋はその涙を拭うことも忘れ、言った。

「私もダークネスに大切な人を殺された。あなたと同じようにね。
でも・・・それでも、過去に囚われていては前に進めない。小春、あなたも本当は分かっているはず――」

過去に囚われていては、前に進めない、か。小春は高橋の言葉を噛み締めた。
――なぜこの人の言葉は心に響くのだろう。小春の心が揺れる。ずっと止めていた心が、大きく揺れ動く。
そして次の瞬間には――弾けそうになった。
これ以上の会話を、小春は望まなかった。

「――助けてくれて、ありがとうございました」

それだけ言うと、久住小春は再び月島きらりとなり、高橋の前から姿を消した。


高橋はリゾナントに戻った。

「あっ、愛ちゃん。今日は遅かったけど、どこ行ってたんです?」

「ん、きらりちゃんに会ってきた」

さゆみと絵里は高橋の言葉を聞いて、顔を見合わせた。

「ひどーい!愛ちゃんまた抜け駆け?」

「リゾナンター分裂の危機が再び迫ってるよ、さゆ」

騒ぎ立てる2人を横目にしながら、高橋は2階へ上がって行った。

2階にはれいながいた。1人で大好きなテレビを見ている。
そんなれいなに気付かれないよう、自分の部屋に戻ろうとしたが、彼女は既にこちらを向いていた。

「・・・愛ちゃん、またダークネスと戦ったんやろ?ケガは?大丈夫だったと?」

「うん。・・・まあ、いつものことやし」

「・・・無理はせんでね」

れいなは勘が鋭い。彼女の真っ直ぐな目に射抜かれると、自分の心が読まれているような気さえしてくる。
高橋はそうされる前に、吐き出すことにした。


「なあ、れいな。生きることで孤独になっていくとしたら、それは生きてる意味あるんやろか」

「それはきらりちゃんのこと?でも死んでしまったら永遠に孤独になるとよ。そっちのほうが寂しいけん。愛ちゃんだって、そう思っとうやろ?」

「・・・今、私が助けた女の子。久住小春っていうんだけど。その子も、能力者だった。
その子は1人で、ダークネスと戦っている。その子がダークネスと戦う目的は、復讐だった。
私もその子も、大切な人をダークネスに殺された。昔の話だけど」

れいなは黙って聞いている。

「なあ、れいな・・・私も本当はダークネスに復讐したいのかもしれない。人を救うために――戦っているつもりだったけれど」

少しの間を置いて、れいなが口を開く。

「れいなは、愛ちゃんに救われたよ。愛ちゃんと会えてから、毎日が楽しいよ。テレビ、見れるし」

そう言ってれいなは1人で笑った。

「愛ちゃん。次はれいなも戦うよ。仲間がいるってこと、愛ちゃん忘れてる」


「私達のことも忘れてるでしょ、二人とも」

絵里とさゆみが、二人の気づかないうちに二階に上がってきていた。

「二人で勝手に愛を深められても困るの」

「高橋さんは1人でいると、色んな人の悲しみを覗いてしまうから。少しは私達にも、お手伝いさせて下さい」

「みんな・・・」

「そんな目をしないで下さいよ。絵里もさゆみも、ガキさんにチカラの使い方を学んでいるんですから」

さゆがそう言うと、1階から聞き慣れた声が聞こえた。その声には、大げさな動作がついているに違いない。

「噂をすれば、ですよ?」

三人の視線が、高橋にそそがれた。高橋の言葉を待っているのだ。
――この小さくて泣き虫で、頼りないリーダーの私を。
ならばせめてと、声が震えないようにして、高橋は言った。

「よし。じゃあ今日は皆で鍋パーティにしよう!」

――過去の復讐のためにダークネスを倒す。それでは、ダークネスを倒したあとに何が残るのだろう。
小春はそのことを分かっていなかった。
私も分からなかった。戦うために生み出された呪いの子が、ダークネスを倒したところで――。
でも今、理解した。
ダークネスを倒せば、私には仲間が残る。仲間には、平和が訪れる。
――それが私の戦う理由だ。


2週間後、舞子は再びリゾナントを訪れた。

「いらっしゃいませ」

先日と同じ女性店主が、先日と同じように挨拶をした。
舞子は再び一番奥の席に案内される。
だが今日は月島きらりもテレビカメラも、撮影スタッフ達もいない。
今日はプライベートだった。

「先日は済みませんでした。本当に急な用事が出来てしまって・・・」

女性店主が近くに来て、舞子に頭を下げる。

「いえ、とんでもない。私達こそ、急にお店を借りて撮影だなんて」

結局、舞子は月島きらりの過去を暴くことは出来なかった。
それで正しかったのだと、舞子は心からそう納得していた。

「ええ、でもきらりちゃんに会えたんで。それだけで、うちの子達は皆喜んでますよ。
あ、そうだ、ご注文は?この前は迷惑かけちゃったんで、サービスしますよ」

「サービス?そうだ、ねえ、あなた、お客さんの心が読めるって噂があるみたいだけど」

『訪れた客の心を読んでいるように、不自然なほど気の利く店主がいる』。
養父が言った言葉を、舞子は忘れていなかった。
それから、小柄な少女の、あの目のことも。


「ええ、簡単ですよ。ただの読心術ってだけですけど」

「じゃあ、私が何を注文するか、当ててみて。何だかとても楽しみだわ、こういうの」

舞子が言うと、店主が舞子の目をじっと見つめた。しばしの沈黙があって、店主が口を開いた。

「すぐに、お持ちしますよ。・・・おーい、れいな!」

その声に反応し、奥の厨房から1人、女の子が出てくる。それはこの前の少女だった。
――れいな・・・?この店主は今、れいなと言ったのか?
そんな舞子の心の声に答えるように、店主はもう一度声に出して言った。

「ご注文の『田中れいな』です」

「あれ、お姉さん、この前の・・・って、ちょっと愛ちゃん、これ何と!?」

愛ちゃんと呼ばれた先ほどの店主はそそくさとカウンターに戻っていく。
舞子もこのランチメニューは予想していなかった。望んでいたのかもしれないが・・・。

「・・・あなた、田中れいなさん?」

「あ、いえ・・・ハナタレーナです。鼻水が垂れちゃって」

そう言ってれいなは舞子に背を向け、鼻に手を当てながら逃げるように厨房に戻ろうとする。

「あ、待って!私、斉藤舞子っていうんだけど。ある家の養子になって、斉藤になったの。その前の姓は田中だった。
その頃は私には可愛い妹がいて。妹の名前は、れいな」

れいなは振り向かず、黙って聞いている。


「でも、私は妹を捨てたの。妹を捨てて、自分だけが幸せになることを受け入れてしまった。
そのときは、自分のことしか頭になかったの・・・。そのことは悔やんでも悔やみきれないほど、今でも本当に後悔してる。
今更とか、虫がいいとか思うかもしれないけど、できれば・・・許されるなら、私はもう一度妹に、れいなに会って謝りたい。
私は一生をかけて、れいなに謝りたい。本当に、ごめんなさい」

舞子はそこまで言うと、たまらずに窓の外に視線を移した。少女のことをそれ以上見ることが耐えられなかった。
本当に、今更だった。今更謝ったところで、何になるというのか。

れいなは振り向かずに、ゆっくりと、言った。

「・・・私は妹さんじゃないから、何を言ってるのか分からないけど。あの頃は生きるだけで精一杯やったし。
そっちのれいなって人も、そんなことはもう許してると思うよ。
その子は今、十分幸せになったんだから。どんなに辛い過去があっても、大切なのは今、この時やけんね」


その子は今、十分幸せになった。
それが舞子にとって一番望んでいた答え。
私の妹は過去を振り切り、愚かな姉を許せるほど、成長したのだ。
あんなに小さかったれいなが。
舞子の目から涙が溢れた。それから、抑えていた感情が。

「・・・ありがとう、もう1人のれいなちゃん。そうだ、もう一つだけ、私のわがままを聞いて。
れいなちゃん、あなたを本当の妹だと思って、今までしてあげたかったこと、してもいいかな」

れいなは、ずっと大好きだった姉のほうへ振り向いた。
捨てられたということについて、家族に負の感情を抱いたことはない。
ただ、孤独なれいなにとって、別れだけが悲しく、辛かったのだ。
れいなは、泣いていた。本当に鼻水が出ていたかもしれない。化粧も流れて、おそらく――ひどい顔だ。

「うん。でも・・・舞子お姉ちゃん、こんなれいなだけど、大丈夫・・・?」

「もちろん。でも本当は、肩掛けのショルダーをして欲しい。あとポシェット」

舞子が小声で言ったそれは、れいなには聞こえていないようだった。

そうして、舞子はれいなを抱きしめた。
姉が妹にするように。本当の、姉妹のように。

過去の出来事は変えることは出来ない。
だからこそ、人は過去から目を背け、忘れようとする。それは至極当然なこと。舞子はそう考えていた。
今日という、この日があるまでは・・・。
































最終更新:2012年11月24日 14:51