夏祭り

 嘴亭萌え狼師匠の創作落語のひとつ。

<鑑賞>
 夏祭の夜。ロマンスを求めて出てきた少年ふたり。「すっげ!」「マジうす着! っていうか半裸!」浴衣姿の少女たちに興奮しつつ、祭の中を散策する。「お前が話しかけろよ」「やだよ、お前から行けよ」しかしなかなか声を掛ける勇気が湧かない。「行けってマジで」「いやちょっと待てって」時間だけが過ぎてゆく。「いや行かなきゃ来た意味ないから」「んなこと言うんだったらお前から行けって話だし」そのとき、普段ふたりとケンカしてばかりのクラスメイト、男勝りの馨を発見する。浴衣である……。

<解説>
 萌え狼はオチにあまりこだわらない噺家であった。それよりも噺の雰囲気を重視した。そのため萌え狼らくごには、要するにそのシチュエーションをやってみたかっただけでしょ、という噺がいくつもある。これはその最たるもの。しかし曲がりなりにも落語ならばなんらかのオチをつけないわけにはいかず、一体どんなオチをつけるのかと観客の期待が高まったラスト、こうなる。「ところでそれはそうと、お雛様の首が抜けます」


最終更新:2009年12月02日 09:15