うどんのおつゆだけあげます。
存分に飲んでやってください!
ささっ、一気にぐいーっと!
人間、終わりが見えちまうとダメだ。これまで一生懸命やってきたことが、全部、自己満足に思えてくるんだよ。
だからこそ、誰にでもわかるはっきりしたモノが欲しいんだ。
学校で一番大事なのは勉強のやりかたを学ぶことだと思うんだ。
将来、何かを調べたり勉強したりするときに、今の苦労が要領や忍耐、自信になってくるんだ
甘ったれるな!人生は失う事の連続だ。
それに耐えて前に進むことを考えるんだ。
ひとつ失ったからといって、残りは全部失うような真似だけはしちゃいけない
悪の反対は善、善の反対は悪じゃ。
「正義」の反対は、別の「正義」 あるいは「慈悲・寛容」なんじゃよ。
正義とは、人の従わねばならん道理を言う。
「正義を行う」となれば道理を守らせる、ということにもなる。
主人公:
それはいいことなんですか?
もちろん、必要なことじゃよ。
問題は道理が一つでないことじゃ。
「殺すな、奪うな」までは、ほとんどの思想で共通じゃがな、その先はバラバラじゃ。
「男女は平等」かもしれんし、「女性は守るべきもの」かもしれん。
「どんな命令でも忠実」が正義なら「悪い命令に逆らう」のもまた正義。
主人公:
じゃあ、なにが正しいんですか?
みんな正しいんじゃよ。
道理に関する限り、正しい事は一つと限らないんじゃ。
主人公:
でも、それじゃ困りますよ。
なにが正しいのかわからない!
だから「法」がある。
なにをしてはいかんかの約束じゃ。
…コレも正しいとは限らんがね。
じゃから、結局のところはその時ごとになにが正しいのかよく考える必要があるじゃろうな。
結局のところ、みんなにとって最も良いことを探して選択するのが「善」なんじゃろう。
じゃから、正義は善と限らん。
ともすれば自分の信じる道理を他人に押し付けることになるからな。
主人公:
…よくわかりません。
じゃあ、最初の質問に戻ろう。
やらなきゃならんと思ったからやったんじゃろ?
本当にそれが正しかったのか最善のやり方だったのかときどき反省してみるんじゃな。
いずれ、自分で納得できる時がくる。
主人公:
はぁ。
じゃあ、悪ってなんなんです?
一般的な定義から言うと、世の中のルールを破って、他に迷惑をかける行為じゃな。
主人公:
でも博士は「悪」なんですよね?
どうしてわざわざそんなものをやってるんですか?
ワシにとって悪はロマンなんじゃよ!
ロマン。わかるか?
ルールにとらわれないことじゃ!
希望、生命力、突破点、新しいもの。
幸せになりたいという欲望!
昔は、科学も自由も人権も平等も、みーんな「世の中の平和をみだす悪」だったんじゃよ。
主人公:
まさか!
なあに、ちょこっと歴史の本を読めばわかることじゃ。
それじゃあな、少年! 若いうちは悩んでおけよ!
正義は、本質的に妥協を禁じる。
じゃから善悪の判断が不安定なものがとにかく正義を行おうとすれば…
主人公:
自分に逆らうものをすべて排除するわけですね。
あるいは、同じ価値観に洗脳するか。
主人公:
とんでもない話ですね。
やれやれ、そんな連中がいなくなって一安心ですよ。
…連中がいなくなった?
ふふふ、若いのう。
自分の正義を押し付ける人間など、そこら中にいるじゃろうて。
…これは私の持論だがな、マスコミは現状に批判的であるべきなのだ。
誰しも自分に不利なことをわざわざ言おうとはしない。
だからこそ、我々がそれをみんなに知らせねばならんのだ。