ペトリのカメラは、値段の割にはよく写るといわれる。実際、使用してみてもその評価にたがわぬものがある。
では、実際、データからはどうなのか、という興味から、過去、アサヒカメラのニューフェース診断室にて取り
上げられたテストレポートの中から、絞り開放時における画面中心解像力と面積平均解像力を抽出し、ペトリ
及び他社の同クラスのレンズとの比較を試みた。もっとも、当方では原典を所有していないことから、復刻版
その他ニューフェース診断室の再録からなる資料からの引用であることをお断りしておく。
なお、アサヒカメラによる解像力の測定はJIS測定法によっており、本来はレンズ固有の性能評価というよりも
レンズの欠陥を検知することを目的とする測定法であること(後掲文献「復2」ライカM2のテストレポート
参照)から、あくまでもテストされた個体の記録した数字である点は留意する必要がある。また、レンズの性能
評価は、解像力のほか、コントラスト、諸収差の補正状況など様々なファクターにより様々な評価が成り立つ
ものであり、解像力の大小が、レンズの優劣を表す一つの目安になることは否定しないが、数値が低いからといって
悪いレンズ、と言い切れるものではないことを念のため申し添える。(いつかはペトリ)
【一眼レフ用中口径標準レンズ】
レンズ名 |
シリアル№ |
アサヒカメラ掲載年 |
構成(群/枚) |
画面中心解像力(単位:本/mm) |
面積平均解像力(単位:本/mm) |
テスト対象機 |
コメント(注1) |
出典(注2) |
ペトリCCオート 55/2 |
184934 |
1966 |
4/6 |
140 |
95 |
ペトリV6 |
購入レンズにはかなりの偏心があったので、各種の測定は八つの子午面について行い、その平均をとった。 必ずしも低くはないが、本来は同一円周上では同じ数値を示すはずなのに、偏心のため一部にひどく悪いところがあり、…つまり設計はよいのだが、工作の精度が伴わぬ、というわけだ。 |
復4 |
ペトリCCオート 55/1.8 |
308558 |
1967 |
4/6 |
200 |
107 |
ペトリFT |
― |
レ1 |
ペトリEEオート 55/2 |
65398 |
1970 |
4/6 |
160 |
120 |
ペトリFTEE |
― |
レ1 |
オートロッコールPF 55/1.8 |
1100472 |
1959 |
5/6 |
224 |
152 |
ミノルタSR-2 |
― |
ミノ軌 |
オートヤシノン 55/1.8 |
59100384 |
1960 |
4/6 |
200 |
116 |
ヤシカペンタマチック |
― |
レ1 |
オートタクマ― 55/1.8 |
409579 |
1961 |
5/6 |
125 |
97 |
アサヒペンタックスS3 |
偏心がわずかながら認められた。 |
ペンタ軌 |
キヤノンFL 50/1.8 |
11884 |
1964 |
4/6 |
140 |
89 |
キヤノンFX |
― |
レ1 |
ズミクロン―R 50/2 |
2002693 |
1965 |
5/6 |
200 |
140 |
ライカフレックス |
― |
復2 |
ニッコール―Hオート 50/2 |
752287 |
1967 |
4/6 |
180 |
128 |
ニコマートFTn |
― |
復1 |
ズミクロン―R 50/2 |
2229910 |
1968 |
5/6 |
224 |
131 |
ライカフレックスSL |
― |
復4 |
キヤノンEX 50/1.8 |
328857 |
1970 |
4/6 |
200 |
160 |
キヤノンEX-EE |
― |
レ1 |
フジノン 55/1.8 |
518147 |
1970 |
4/6 |
160 |
132 |
フジカST701 |
― |
レ1 |
キヤノンFD 50/1.8 |
33929 |
1971 |
4/6 |
180 |
146 |
キヤノンFTb |
― |
レ1 |
プラナー 50/1.8 |
5186399 |
1971 |
6/7 |
200 |
122 |
ローライフレックスSL35 |
― |
レ2 |
ズミクロン-R 50/2 |
2779646 |
1977 |
4/6 |
160 |
132 |
ライカR3 |
― |
レ2 |
SMCペンタックス―M 50/1.7 |
2509299 |
1977 |
5/6 |
180 |
114 |
アサヒペンタックスME |
― |
ペンタ軌 |
プラナーT* 50/1.7 |
6235039 |
1979 |
6/7 |
160 |
118 |
コンタックス139クォーツ |
― |
レ2 |
【準標準F2.8級(ペトリカラー35のレンズ)】
カメラ名 |
レンズ名 |
シリアル№ |
アサヒカメラ掲載年 |
構成(群/枚) |
画面中心解像力 |
面積平均解像力 |
コメント(注1) |
出典(注2) |
ペトリカラー35 |
CCペトリ 40/2.8 |
433778 |
1968 |
3/4 全群繰出し式 |
224 |
101 |
画面中心部ではなかなか高いが、スミに近いところでは、やや大きな偏心があったためもあって、低くなっている。 |
復2 |
ローライ35 |
テッサー 40/3.5 |
4325067 |
1967 |
3/4 前玉繰出し式 |
180 |
120 |
前玉繰り出し式のレンズだから、すべての性能が前玉の位置によって変わるので、撮影距離目盛を3メートルのところにセットしておいてテストを行った。 |
復3 |
コシナ35 |
コシノン 38/2.7 |
057529 |
1971 |
3/4 ビハインドシャッター |
180 |
96 |
― |
レ1 |
フジカデート |
フジノン 38/2.8 |
2620836 |
1976 |
4/4 ビハインドシャッター |
200 |
93 |
― |
復4 |
アグファ オプチマ1035 |
ゾリターS 40/2.8 |
26992 |
1978 |
4/4 ビハインドシャッター |
125 |
54 |
― |
レ2 |
ローライ35LED |
トリオター 40/3.5 |
7323522 |
1979 |
3/3 前玉繰出し式 |
180 |
75 |
― |
レ2 |
コンタックスT |
ゾナーT* 38/2.8 |
不明 |
1984 |
4/5 全群繰出し式 |
160 |
100 |
― |
レ2 |
(注1)コメント欄には、記事中において、テスト個体における解像力の数値に影響を与える事項に言及している記載を引用。
(注2)出典は以下のとおり。
復1:「カメラレビューカメラドクターシリーズ1 最新カメラ診断室 復刻版」
復2:「カメラレビューカメラドクターシリーズ2 話題のカメラ診断室 復刻版」
復3:「カメラレビューカメラドクターシリーズ3 カメラ診断室’76 復刻版」
復4:「カメラレビューカメラドクターシリーズ4 カメラ診断室’77 復刻版」
ミノ軌:「アサヒカメラ ニューフェース診断室 ミノルタの軌跡」
ペンタ軌:「アサヒカメラ ニューフェース診断室 ペンタックスの軌跡」
レ1:「クラシックカメラ選書-22 レンズテスト第1集」
レ2:「クラシックカメラ選書-23 レンズテスト第2集」
最終更新:2017年01月21日 17:28