第一章 第三話 笑顔

咲「あれは、教官に当たる人たちかな?なんか騒いでる?」


教官「おい!なぜこんなところにいる!集会所に避難しろ!」

咲「え、あの、話が飲めないんですが・・・」

教官「モンスターが放たれたと言っただろう!負傷者も出ている、早く避難しろ!」

咲はここまで言われても、なぜそんなことを言われるのかわからなかった。

教官の話を聞いていると、どうやら本当に故障らしい。

ドグマフだけだと思っていたら、危険度Aに相当するモンスターまで現われてしまい、管理室も混乱しているらしい。


咲「テストでは、ないのですか?これもテストをふるいにかけているとか・・・」

教官「くだらんことを考えずに避難しろ。」

危険度Aというのがどれだけ危険なのかが、咲にはわからない。

だが、切り抜ける自信はある。焦って避難することもないだろう。

咲「わかりました。なら、集会所に向かいます。忠告ありがとうございます。」

教官「よし、急いで集会所に行け。寄り道などするなよ?死ぬぞ。」

死ぬ、その言葉に咲は恐怖を持っていなかった。

教官の言うことは聞いた方がいいと思った咲は集会所に向かって走り始めた。

危険度Aのモンスターに会ってみたいという好奇心を抱きつつ。

だが、会うことはなく、集会所についた。

咲「あ、さっきの子もいる。というかほとんどの子がいるかな。」

咲は、朝の集会でざっと人数は数えていた。いないのは20人程度だろう。

そして、そこに見知った顔がない。雷がいないのだ。

咲「あいつ・・・世話が焼けるなぁ・・・」

咲は、音もなく、集会所から消え去った。気づいたものはいない。

場所が変わり、ここは体育館の裏。腕から血を流す雷の姿。

雷「おいおい・・・こいつドグマフじゃないじゃんか・・・」

不運にも危険度Aのモンスターに遭遇したようだ。

雷にも、能力はある。雷を操る能力、雷槍乱舞。

雷を操る、といっても特徴によって分けられる。

膨大な量の雷を密集させ、具現化する能力。

人間の体に電気信号を流し、操作する能力。

他にもいくつもの種類はあるが、雷は攻撃に特化した能力だ。

だが、マトモに訓練もしていないものには使いこなせない。

雷「くそっ・・・こんなとこで終わりかよ・・・」

モンスター「グガァァアアッ!!」

モンスターが咆哮した瞬間、影が現れた。

頭上に何かいる。もしかして、仲間か?なぶり殺しにされるのか・・・

咲「みーつけた。助けに来たぞー、雷ー。」

雷「咲っ!?こいつ、ヤバイんだ!来るなっ!」

まるで聞こえていないかのように咲は一直線にモンスターに向かって落ちていく。

とうとう、気づかれた。だが、もう遅い。

すでにモンスターに蹴りを入れた後だった。

信じられないことが起こった。

雷が手も足も出なかったモンスターが軽々と吹き飛んだ。

雷は、ここまでだとは思っていなかったようだ。

咲「つまんないなぁ・・・もうちょっと楽しませてよ。」

そう呟く咲の顔は明らかに笑っていた。

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最終更新:2009年02月26日 21:17
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