咲は入学を拒んだ。だが、楽しんでいる。
拒んだ理由、それは『楽しすぎておかしくなる』というものだった。
押さえてはいるが、咲は、モンスターを痛めつけることがいや、何かを壊すことが好きなのだ。
だから、意識して力を抑え込んで、衝動を抑えている。
だが、モンスターをみた瞬間リミッターが外れたかのように抑えされなくなった。
咲「雷、危ないから、退いてて。巻き添え食うから。」
雷「あ、あぁ・・・」
あんなものを見せられてはそうするしかない。
巻き添えを食う、というのは多分、モンスターよりも咲の攻撃の方が当たる可能性が高いだろう。
モンスター「ギャ、グギギ・・・ギ・・・ガァァアア!!」
けられた程度で死ぬわけもなく、襲いかかってきた。
咲「雷もダラしないなぁー。こんなのにやられかけてたの?」
雷「大きなお世話だっ!って、おい!来てるって!」
咲「む、この程度じゃ、ケガもしないよ。」
目の前まで迫っていたモンスターを殴りつつ言う。
なんという反応速度だろう。目前に敵が迫っていながら平然と反撃に回れる冷静さも恐ろしい。
咲「そんなんじゃ、すぐに死んじゃうよ?」
モンスターに話しかけながら笑う咲は雷の人生のなかで
最高とも思える恐怖を与える存在だった。
咲「こんなのにやられるなんて、やっぱり、だらしないなー。」
雷「お前がバケモノなんだって・・・というか、まだ生きてるぞ、あれ。」
だんだんこの状況に慣れてきた雷は起き上がっているモンスターを指差した。
咲「ん、弱いけど生命力あるんだ。楽しませてね♪」
モンスター「グ・・・ガ・・・」
敵わないことがわかってしまったモンスターに闘う意思はもう無い。
だが、咲はまだ、闘うことを続けたがっている。
モンスターの決断は早かった。なぶり殺しにされるよりも潔く死ぬことを選んだようだ。だが、それも咲次第。
咲「あ、雷の能力って、雷槍乱舞だったよね?」
攻撃をあしらいつつ話しかける。
雷「そうだけど、なんだよ。今はこの状況をどうにかしろよ。」
咲「じゃあ、ひとついいもの見せてあげるよ。」
そういって、モンスターと距離をとる。
雷「何を見せるんだよ?後でもいいだろ?」
咲「今じゃなきゃだめだよー。見せるものは、〝雷槍乱舞〟。」
雷「・・・・・・・・・・・・は?」
雷は思わず間抜けな声を出してしまった。
咲の能力は見た限り、完全に雷槍乱舞とはかけ離れている。
なにかの聞き間違えだろうと、聞き流して見守ることにした。
咲「じゃあ、見せてあげるね♪しっかり覚えなきゃ殺すよー。」
のんきに言っているが、絶望を与えるのには十分だった。
攻撃が再び始まろうかとしていた時に、咲の全身が青白い光に包まれた。
そして、その光は、右腕、右手、と移動して収束していく。
雷「本当に使えるのかよ・・・マジでバケモノだな・・・」
咲「・・・死刑宣告。帰り道で執行します。」
雷「許してくれー!」
無駄な会話をしているうちに攻撃されないのはなぜかと言えば
雷が強力すぎて、近づくだけでもダメージになるからだ。
そして、集まったエネルギーは手のひらで球体になる。
咲「ここから、しっかり見とくんだよ?」
雷「あ・・・あぁ、わかった。」
急に咲が球体を握りつぶす。
驚いている間にエネルギーは腕を包み、槍の形状になる。
そして、思いきり咲が地面を蹴り、モンスターに急接近し突き刺した。
突き刺さった槍を抜こうとするが、触れた手が弾かれ、消滅する。
咲「それで、ここでこの槍を無数の槍を集合体だとイメージして収束を緩めると、終了だよ。」
これで説明終わり!と咲が言った瞬間、槍がバラけ、モンスターを内側からただの肉塊へと変えた。
モンスターの体の主成分は魔力。普通に空気中もある物なので、意思を失った肉塊は数秒後には完全に消滅していた。
雷「おいおい・・・一瞬とはいえ、相当やばいもんみたぞ・・・」
咲「細かいことは気にしない!スッキリした~♪あ、雷。今の覚えた?使える?」
雷「使えるか!やりかたはわかったから、練習すれば使えると思う。」
咲「見たら使えるでしょ、普通。雷はバカだもんね。」
お前がバケモノなんだ!と叫びたかったが死刑にはなりたくなかったから抑えて、集会所に咲と共に向かった。
最終更新:2009年02月26日 21:19