物語第一章・学校編
第五節~腕時計の謎~ Bパート
階段には一定の間隔でランタンが取り付けられており、千春を見失う事は無いと二人は思った。
「こっちよ。」
千春が壁に向かって指をさす。
そう言われて二人が千春が指をさした先に、扉がある事に気づく。
「こんなみずらい所に・・・」
「鍛えれば苦にもならないわよ。」
そう言うと、扉を開ける。
扉の中は何も無く、ただただ無駄に広い部屋だった。
そして、入ってきた扉の横に「訓練室」と書いてあった。
「ここなら大丈夫だわ。
地上には響かない防音になってるし、揺れも無いわ。」
「こんな凄い設備・・・どうやって作ったんだよ・・・」
「・・・・・」
二人が部屋を眺めていると、千春が突然提案を出す。
「二人には、ここで魔法を使えるようになって貰うから、覚悟しておいてね。」
「なんだか分からんが・・・面白そうだな。」
「俺も・・・やる。
暇つぶしには・・・なりそうだからな・・・」
二人が了承すると、千春が何かつぶやきだす・・・
「我の魔具に宿りし土の神よ・・・今!
その力を解き放て!
土神・グランドオベルガ!」
そう言うと、魔具が茶色に妖しく輝きだし、千春の背後に浮遊霊の様オーラが現れる。
「私を呼び出して何ようかな?
マスター?」
「炎と氷の魔具を持った二人を連れて来たわ。」
そう言うと、オベルガは驚きの声を出す。
「彼方達があの二人のマスターね?
大変ね・・・彼方達も。」
「?どういう事だ?」
「すぐに分かるわ・・・」
オベルガは二人に注意を促す。
「千春、どうすれば魔具の力を解放出来るんだ?」
「う~ん、全身のエネルギーを魔具に注ぎ込むように念じるのよ。」
簡単に言うが、イメージがとても難しい。
「そうすれば、自ずと魔具の力解放出来ると言うわけよ。」
「う~ん・・・難しそうだな」
白箕はすでに目を瞑り、集中している。
妖架はそれを見て、同じ様に目を瞑り、集中し始めた。
しばらくすると、妖架の腕輪が光りだした。
「妖架君!今よ!
解放して!早くしないと身体エネルギーをすべて持っていかれるわ!」
「分かった!
我の魔具に宿りし炎の神・・・今!
その力を解き放て!
炎神・エンペラーサイエス!」
妖架がそう叫ぶと、千春の時と同じで、妖架の腕輪の紫色が不気味に光り、妖架の背後に背後霊の様なオーラが現れる。
「お前が・・・炎の神か?」
「ああ、俺を呼び出したマスターはあんたか?」
サイエスが妖架をジロジロと見ながら聞く。
「そうだ、よろしくな。
サイエス。」
「へっ・・・精々足引っ張らない様に頑張ってくれよ。」
サイエスがまるで妖架をただの足手まといとしか思っていない様だ。
「注意するさ。」
最終更新:2009年04月01日 22:43