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 ――日差しがやけにまぶしく、俺の視界をさえぎっていた。
 あちこちから蝉の鳴き声が聞こえてくる。いつの間にか俺は虫取り籠と網を
手にしていた。そんな俺のシャツをぐいぐい引っ張る、子供の声が呼びかける。
「ねぇ、浩ちゃん! お願い! 美佳も連れてって」
 おかっぱ頭に大きな麦藁帽子を被った、日本人形のように愛くるしい少女だ。
「う~ん……。クワガタがいる山は、崖が多いからなぁ。まだ美佳には危ない
と思うよ」
「危なくないもん! 美佳、平気だもん! ねぇ、浩ちゃん連れてって!」

 麦藁帽子の下からのぞく、黒曜石のような瞳と紅をひいたような赤い唇。
 ああ。これは幼い頃の美佳と俺だ。
 田舎の山奥にある本家によく遊びにいっていた俺は、同世代の遊び相手が
いない美佳とも、よく遊んでやっていた。
「しつこいぞ! いい加減にしろ! 美佳! 浩ちゃんは俺とクワガタ採りに行
くんだ! お前なんか邪魔だから、家でままごとでもやってろよ!」
 背後から、命令口調で美佳を叱りつける声がする。
「いやっ! お兄ちゃんの意地悪っ! いつもいつも美佳をのけ者にするんや!
 美佳はお兄ちゃんなんか大嫌いや! ね、浩ちゃん。美佳と遊んで?」
 俺は美佳を叱る声の主と美佳の間で困ってしまう。

 美佳には可哀相だが、今日のクワガタ採りは前から優ちゃんと約束しており、
俺も楽しみにしていたイベントだ。
「な、美佳。すぐ帰ってくるからさ。美佳にもお土産に、おっきなクワガタを採っ
て来てやるよ。だからちょっとだけ我慢して。お昼は一緒に食べようよ」
「いや! 美佳も行く! 浩ちゃん、美佳も浩ちゃんと行くの!」
 俺は美佳の機嫌を取ろうとするが、優ちゃんは俺の言葉を遮り、美佳を俺か
ら突き飛ばした。小柄な美佳は優ちゃんの押し手で簡単に吹っ飛んでしまう。
「わがままばっかり言うな! 美佳! さぁ、浩ちゃん。こんなの放って置いて
行こうぜ。もっと日が高くなったら、クワガタが全部木の中に隠れちゃうよ!」
「う、うん……。美佳、ごめんな。すぐ戻ってくるからね」
 俺は優ちゃんに引っ張られ、突き飛ばされて尻餅をついている美佳を振り
返り、ごめんねを繰り返す。

「浩ちゃんのばかぁっ! お兄ちゃんなんか嫌いだ! お兄ちゃんなんか!
 お兄ちゃんなんか、死んじゃえばいいんや! 死んじゃえ!」
 美佳が泣きながら毒づいている。俺は穏やかじゃない言葉にうろたえて、優
ちゃんの横顔を見る。
「ほっといていいよ、浩ちゃん。甘やかすと、すぐつけあがるんだ、あいつ……」
 優ちゃんは、美佳の叫び声を全く意に返さないように無視して歩いている。

 ――あれ? おかしいな……。優ちゃんの顔がわからないぞ?
 優ちゃん、確か『すぐる』ちゃんだ。美佳と血を分けた兄で、藤堂本家で唯一
無二の長男だ。
 俺はもっとよく優ちゃんの顔を確かめようと、眼を凝らした。
 なんだか蝉の声よりおかしな電子音が邪魔をして、俺の集中を削いでゆく。
 電子音が大きくなり、優ちゃんの顔どころか辺りの風景まで白っぽくもやが
かかり始める。うるさい音だ……! ん? 誰だ?俺を揺さぶるのは……?

「――ちゃん。浩ちゃん! なんかこれが鳴ってるんよ。私が出てもいい?」
 ――うわっ!? いきなり成長した美佳が、全裸で俺にのしかかっている!
「…………あれ? ああ、夢か……」
 昨夜はあのまま寝てしまったんだっけ。俺も美佳もシャワーも浴びずに、裸
のまま抱き合って眠ってしまったんだ。

 部屋中に、昨夜美佳と性交した名残香が漂っていた。

「え? 何が鳴ってるって?」
「嫌ねぇ、浩ちゃん。寝ぼけてるん? これが鳴ってるって、さっきから起こして
たのに!」
 美佳の手には、俺の携帯が握られていた。そして、鳴っているのは玲菜が
勝手にセレクトした、彼女用の着メロだ。
 俺は美佳から携帯を受け取ると、電話に出ないまま玲菜のコールを切った。
 今朝は玲菜といつもの甘ったるいやり取りをする気にはなれない。どうせ午
後には会うんだ。その時に話せばいいさ。

 ――7時か。玲菜にしては早起きだな。俺は携帯で時間を確かめると、ふと、
おかしなことに気がついた。
 俺は昨夜、携帯の電源を切っていたはずだぞ? 目線を携帯から美佳へと
移す。美佳はうろたえながら、俺の視線から逃れるように顔をそむけた。
「ご免ねぇ……。浩ちゃん。悪気はなかったんよ。洗濯しようとしたら、それが
出てきたんで、珍しくていじってたの。そしたら急に音が鳴ったんでびっくりしち
ゃって……」
 ベッドの上で正座している美佳が、もじもじと身体を動かす。
 身体を動かすたびに、長い黒髪が揺れ、昨夜俺を虜にした裸体がゆらゆら
と のぞき見えてくる。
 それは全裸がすぐに見れてしまうAVよりも、なんだか官能的な光景だ。少し
開いた膝の間から、昨夜 俺が汚し散らした秘所を隠す、薄く茂った丘も見え
てしまう。

 俺はまたも湧き上がる欲望から目を逸らし、電源を切ったままの携帯をベッ
ドサイドの充電器に差し込んだ。
「ねぇ、浩ちゃん」
 俺が無言なのをいぶかしんだのか、美佳が声をかけてきた。
「……ん? ああ、気にしなくていいんだ。美佳。でも今度からは勝手に触るな
よ? これは俺のプライバシーなんだから」
 美佳が何かを言う前に、俺は今後携帯には触るな、という注意をしておく。
「うん……。もうしない。で、でもね、浩ちゃん! 美佳もそれ、欲しいなぁ……
って思って。浩ちゃんとおんなじ機械、美佳も持ってみたいんよ。どこで売って
るの? それって」
 俺は思わず振り向いた。しまった! また美佳の肢体が目に入ってしまう!
「み、美佳は携帯持ってないのか?」
 俺は視線を泳がせながら、なるべく美佳の身体を見ないように聞き返す。
「うん、自分では持ってなかったんよ。ポケベルみたいなのは持たされてたん
やけど……。連絡とかは近くの人が無線みたいなのでやってくれてたから。
 でも、今は身近な人って浩ちゃんだけやし、私も欲しいなって思ったの」

 そっか……。さすがに一人暮らしのマンションにSPは連れて来ないよなぁ。

「そうか、わかった。じゃ、後で大学に案内がてら買いに連れてってやるよ」
「嬉しい! やっぱり浩ちゃんって、いつも優しいんやね!」
 肩肘だけ立てて起き上がっていた俺に、美佳がいきなり抱きついてくる。
 俺は軽いはずの美佳の体重で、ベッドに押し倒されてしまう。

 ふわりと黒髪が宙に舞い、隠されていた乳房が顕わとなって 俺に押し付け
られてきた。美佳の乳首はコリコリと尖り、その感触がまた俺を刺激する。
「ば、馬鹿! よせって! お前、まだ裸なの忘れてないか!?」
「いいじゃない。浩ちゃんだって、まだ裸だよ……あれ? こ~うちゃん……!
 これ、なぁに?」

 ――ばれた。俺の股間は、早朝ということも相まって、シーツの下で猛って
いるのを、美佳が発見してしまう。
 ほっそりとした白い指が、俺の猛る欲望に触れ、やわらかく握りこんでくる。
「浩ちゃん……元気になってる。ねぇ……、また、美佳としたい?」
 美佳は悪戯そうに俺を弄びながら微笑んでいる。
「馬鹿! さ、触るなよっ! し、したくないっ! ほっとけば収まるんだ!」
「でも、さっきより おっきくなってるよ? こんなにおっきいのが、昨日私の中
に入ってたんだねぇ……。あの時は、体が割けちゃうかと思えたけど、これな
ら無理ないよね。こんなに太くて固いのが、私の奥深くまで……」
 俺は美佳の手を振りほどこうとしたが出来なかった。慣れない手つきで俺を
握り、上下へとゆっくりしごく美佳の手から生まれる快感に、思わず声が出そ
うなほど反応し、見とれてしまっていたのだ。

「浩ちゃん……。先っぽから液が出てきてるよ? なんだか可愛い……」
 先走っている俺自身に、美佳は赤い唇を近寄せてゆく。
「や、やめろよ……! 昨日のままで、洗ってもいないから汚いぞ……うっ!」
 俺は思わず声を漏らしてしまった。
 美佳の唇から小さく紅い舌が延び、俺の先端から出ている液を舐め上げた
のだ。
「汚くなんか無いよ……。浩ちゃんのだもん……あ、私のも交じってたんやね
……んっ……! 綺麗に……してあげる……っ……」
 美佳は俺の先端から、ゆっくりと舌先で舐め始める。最初は舌先だけだった
のが、舌と唇全体で、猛り反り返っている俺を舐めしゃぶり始めた。

 ぴちゃぴちゃと淫猥な音を立て、美佳は熱心に俺に奉仕する。
 俺自身を舌でなぞり、時に口に含んでは吸い上げる。美佳が処女だったの
は俺自身が夕べ確かめた。なのに、一体どこでこんなことを覚えたんだ!?

 もう、俺は美佳を止める事が出来なかった。あまりの気持ちよさに、そのま
ま放出したくなる。だが、このままではなんだか美佳に敗北したようで後味が
悪いし、されているだけでは物足りなくなっていた。

「美佳。俺も美佳を綺麗にしてやるよ。そのまま俺の方に腰を突き出せ!」
「……え……? ひゃぅっ!?」
 俺は美佳の方脚をつかむと、力任せに俺の顔の上を跨がせた。
 すぐ目の上に、昨夜俺がむしゃぶった美佳の秘部を持ち上げてくる。
 美佳の秘所から菊の門まで見えるように、形のよい尻を両手で掻き分けた。

「こ、浩ちゃん……! 嫌っ……そんな格好……恥ずかしい……ひっ!」
 俺は両親指で隠れていた美佳の蕾を顕わにすると、すかさず音を立てて吸
い始めた。
 俺を攻め立てていた美佳の唇が動きを止める。代わりに全身がびくん、びく
んと反応し、短い喘ぎ声が俺の股間から聞こえてくる。

「……どうした? 続けろよ、美佳。俺もお前がよく見えてるぞ」
 すぐに美佳の蕾は固くなって顔を出し、源泉からは甘い液体が流れ始める。
 俺も美佳に負けじと、わざといやらしい音を立てながら、美佳の秘所を攻め
立てた。
 美佳は必死になって、再び俺を喰らおうとする。だが、俺の与える刺激に耐
えることに精一杯で、歯を立てないように舌を絡める事しかできないでいた。
「こ、浩ちゃん……意地悪しないで……ぇっ! あぅっ! んぁぁ……っ!
 そ、そんなにされたら……できないよぉ……っ!」
 美佳の喘ぎが哀願に近くなる。俺は嗜虐的快感に抗えなくなっていた。
「駄目だね。夕べまで処女だったくせに、俺を誘惑しようとした罰だ。さぁ、ちゃ
んとしゃぶれよ! 俺も美佳をもっと可愛がってやる」
 「こ、浩ちゃ……! そ、そこは……やぁっ……!」
 美佳がよだれを垂らしながら、俺のものを口から離して仰け反る。
 俺は美佳の源泉に指を突き立てながら、美佳の菊門に舌を這わせていた。
 どうやら美佳はここも感じるらしい。一人遊びでもしていたのだろうか。

 俺はそこを重点的に攻める事にした。ゆっくりと舐めほぐし、淫らな音を立て
る。舌が動くたびに、美佳はびくん、びくんと反応する。
 固く閉じられた菊の中心に舌先を押し入れようとすると、美佳の腰が悩まし
げに動く。腰が動いた弾みで、美佳の源泉に差し込んでいた指が抜け、俺の
顔に美佳の愛液が大量に迸った。

 美佳は一瞬痙攣したように震えると、がっくりと力を抜いて俺の上に倒れ掛
かる。どうやら絶頂を迎えてしまったらしい。
「ご……ご免ねぇ……、浩ちゃん……浩ちゃんの顔……汚しちゃった……」
 荒い吐息を吐きながら、美佳が小声で囁くように謝る。
 まだ、全身から力は抜けたままらしい。
「駄目だね。綺麗にすると言ったのに、逆じゃないか。そんな嘘つきにはお仕
置きしてやらなくちゃな、美佳」
 俺は腕で濡れた顔を拭うと、美佳の液を菊門に塗りつけ、人差し指を一本
差し込んだ。ぬるりとした美佳の愛液が潤滑剤となり、指の根元まですっぽり
と入る。美佳の入り口が、俺の指を締め付けてくる。
「い、いやぁぁぁぁ……っ! そ、そこは……き、汚いよぉっ! 浩ちゃ……ん!」
 言葉とは裏腹に、美佳の腰は招くように蠢いている。
 まだ、指一本分しか余裕はなさそうだが、充分快感を知っている証拠だ。
「……気持ちいいんだろ? 美佳。自分でいつもここをいじっていたのか?
 見かけと違ってスケベなんだな。処女なのに感度が良過ぎると思ってたよ」
「…………!」
 美佳は何も言えずに、俺の未熟な言葉攻めを真っ赤になりながら耐えようと
している。
 俺自身もこんな体験は初めてで、またも夢中になってしまっていた。

 俺は体勢を入れ替えると、バックのまま美佳の腰を浮き上がらせる。
 美佳の腰をしっかり固定すると、溢れる蜜壷に 爆発寸前の俺自身を突き
立てた。美佳が歓喜の悲鳴をあげる。
 根元まで俺自身を美佳の内部に埋め込むと、先程揉み解した菊門にも、
指を一本突き立て、内部で指を蠢かせる。
 再び美佳の体が仰け反り、埋め込んでいる俺自身を今まで以上に締め付
けてきた。
 溢れる潤滑液に助けられても、抽迭を行うことさえきつい。
 俺は半ばムキになって、ぐっ! ぐっ! と力を込めて、美佳の内部を貫き
続ける。
「あっ……ああっ……! 浩ちゃん……! も、もう許してぇ……っ!」
 美佳が必死に哀願する。だが、その声音は逆に俺をもっとねだっているよう
だった。
 俺は思い切って美佳の菊門に指を二本差し込んでみる。
 途端に俺を包み込む美佳の内部が激しくしまる。
「うっ……! み、美佳……っ!?」
根元まで刺し貫いていた俺の男根は抜くことも叶わず、あまりの締め付けの
快感で、またも耐え切れずに、美佳の内部で爆発してしまった。
 美佳もまた痙攣し、二度目の絶頂を迎えていた。

 互いに体勢を崩し、折り重なったままベッドの上に倒れこむ。
 二人共もう無言だった。ただ荒く、乱れた互いの息が部屋の中に響いていた。

 動悸が治まると、またも俺は自己嫌悪に襲われる。
 昨日再会したばかりの少女の処女を奪ったばかりか、お世辞にもノーマルと
は言いがたい行為で、二度も避妊せずに中出ししてしまった。
 こんなにも興奮し、自分を抑え切れなかったのも初めてだった。
 俺の中には、異常な性癖が隠れていたのかもしれない。そして、それを引き
出したのは、今俺の体の下でぐったりしている、美佳と言う名の少女なのだ。

「美佳……、大丈夫か?」
 俺の下で放心状態になっている美佳に声をかける。
 もう一度、謝罪をするのが本筋なのだろうが、いくら謝罪しても上っ面な言葉
にしかならない事はわかっていた。
 たった二度の性交で、俺は美佳の身体に夢中になり、陵辱に近い形で俺の
性欲を満たす為だけに美佳を貪った。これは事実であり、もう白紙には戻せ
ない現実だ。

 しばらく息を整えた後、美佳が慈母のような微笑で俺を見上げてくる。
「だ、大丈夫……。私、浩ちゃんが美佳を愛してくれて嬉しいんよ。たとえ愛し
てくれたのが、美佳の体だけでも……ね……。だから、そんな困った顔しない
で。浩ちゃん……」
 俺は全てを見透かしたような美佳を、黙って抱きしめた。なんだか罪悪感で
泣きたい気分だった。しかし俺には泣く権利なんてない……。

 きっと、これからも俺は美佳を抱きたくなるだろう。欲望のまま汚すだろう。
 現に、こうして抱きしめているだけでも、俺は再び欲情しそうになっている。
 美佳がそばにいる限り、俺は新たに覚えてしまった欲望を抑える自信がも
うなかった。
 美佳は、母親のような仕草で、抱きしめた俺を抱き返してくる。
「大丈夫……。心配ないよ。きっと、これからもっと私達、上手くいくわ……」
 そう確信を持って囁く美佳の言葉の意味も、美佳の瞳が妖しく光っているこ
とも、まだ俺は全く気づいていなかった。

最終更新:2008年03月22日 04:07