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 初めは何を言われているのか、全く理解できないでいた。
 ――宮を徳川幕府に降嫁……? この者は、一体何の話をしているの?
 読み上げられている書状は、和宮にとってまるで舞台芝居の口上を聞いている様な、現
実味から程遠い内容であった。
 「お兄様。この者達は何を言っているの? 書状のあて先を間違えているのではなくて?
 宮には意味がわかりませんわ」
 和宮は黙って聞いている熾仁の傍に擦り寄ると、袖を掴んで不思議そうに聞き返した。

「……つまりは、この婚約を解消し、和宮内親王を徳川に下げ渡すから返せ、という事で
あるようだな」
 熾仁はあまり驚いた様子もなく、和宮だけではなく書状を携えた使者にも聞こえる様に、
抑揚の無い声で言い放った。
 御簾の向こう側では、書状を漆塗りの箱にしまった使者が正座し直し、無言で頭を下げ
る事で『御意』という肯定の意を示す。
 和宮は混乱し、熾仁の袖を掴んだまま誰にともなく叫んだ。
「嘘よ! 宮はもうこの有栖川宮家に嫁ぐものと、九年も前から決まっているのです!
 お決めになったのは現帝である兄上様だわ! 兄上様が今更そのような事を仰る筈はあ
りません!」

 しん、と静まり返る室内では 誰もが俯いたまま口を開こうともしない。
 重苦しい沈黙の刻を、和宮の悲壮な声が打ち破った。
「嘘よ……。そんなお話、兄上様とてお許しになられる筈が無いわ……。お兄様だって、
承諾などなさらないでしょう? ねっ!? そうだと仰って!? お兄様!」
 縋り付く和宮に居住まいを正させると、熾仁は漆塗りの文櫃を御簾越しから受け取った。
 文櫃の御紋も、書状に記された印も、確かに帝のものである。

 しばらく書状に目を通した後、黙ってそれを和宮に渡した。
「嫌っ! 宮は信じませぬ! 書状も見ませぬ! 兄上様に……今上帝に直接お会いして
確かめます!」
「和宮よ、それは余りに無礼であろう。落ち着きなさい。この書状も使者も正式なものだ」
 和宮は頭を振って文櫃を床に投げ捨てると、御簾の向こうで平伏する使者を見据えて立
ち上がり、声高に告げた。
「御上に和宮がお会いしたいとお伝えなさい! 急いで戻って伝えるのです! 宮はこの
書状等だけでは、御上のお言葉とは信じかねますと!」
 使者はしばらく平伏したまま無言で佇んでいたが、一呼吸おくと静かに答えた。
「では、そのお言葉を御書面にお書き添えください。某では陛下に口伝などできる身分で
はありませぬ故」
「な、なんと愚鈍なのっ! ……わかりました。書いてあげましょう。その代わり、必ず
きちんとお返事を頂いて来る事を、任として命じますよ!?」
「――御意に」
 半ば癇癪を起していた和宮は女官に筆を用意させると、震える手で意を書き連ねた。
 香を焚き染めた和紙を数枚失敗し、やっと書き上げた書状を女官から使者に手渡させる。
「確かに承りまして御座います。それでは、本日はこれにて失礼仕ります、後無礼をば」


 使者が立ち去ると、和宮は熾仁に縋って泣き始めた。
「お兄様っ! 宮を、宮を離さないで下さりませ! 宮はお兄様以外に嫁ぐ気はございま
せぬ! 宮は『皇女』です! 粗雑な武将への降嫁など、恐ろしくて考えたくもございま
せんわ!」
「和宮。落ち着け。これは『政』なのだ。我らが一存のみでどうにかできるものではない」
「嫌っ! そんな風に仰らないで! お兄様は宮を手放してもいいと仰るの? 宮は……、
宮は……っ!」
 泣きじゃくりながら縋りつく和宮の長く豊かな髪を、熾仁はあやす様に撫で付けた。
 いつもの様に抱きしめてはくれない熾仁に、和宮は自ら衣装を紐解き肌を重ね始める。
「やめなさい、和宮。出礼が下された今、其方はもう慎まなくてはならぬ」
 その瞳に情欲を映す和宮を、熾仁は言葉では制するが強固に振り払おうとはしなかった。
 自分の物ではなくなろうとしているこの少女に、熾仁は名残惜しさと情欲が湧き上がっ
ていた。

 人目も構わず肌も顕わにして絡みつく誘惑に熾仁は程なく陥落し、誘導されるまま慣れ
親しんだ肌を弄り、組み敷き始める。
 和宮の泣き声は悦楽の喘ぎと変わり、か弱く保護者に保護を求める少女から色欲を求め
る『女』へと表情を変化させていった。
 室に侍っていた者達は、毎度ながら憚りもせずに睦み始める二人の視界から姿を隠そう
と、足音を忍ばせつつ退室して行く。
 溢れる蜜壷を刺し貫かれると、和宮は歓喜の声を放ちつつ、熾仁に四肢を絡ませ、抱き
縋った。

 ――こんなにも激しく求めてくるお兄様が、宮を手離すものですか!
 淫らに腰を動かし自らの秘部で貪欲に熾仁を欲する和宮は、そう自分に言い聞かせつつ、
より激しい快楽を求める事で、先程の不快な出来事を忘れ去ろうとしていた。

「……其方は”喜怒哀楽”の感情が全て淫欲に結びついておるようだな……」
 熾仁は愉悦の笑みを浮かべると、一瞬苦痛そうな表情で濡れ光る一物を蜜壷から引き抜
き、和宮の華奢なうなじから胸にと、白濁した精を飛散させた。
「お兄様……?」
 平素とは違う熾仁の行為に、和宮は達しながらも霞のかかった瞳で見つめ返す。
 和宮の内部ではなく体外に精を放った熾仁は、それを掌で和宮の肌に塗り広げていった。
「美しいぞ……。和宮。其方には淫美な姿がよく似合う」
 塗り広げられた己の精が、乱れた呼吸でうっとりした様に胸を上下させる和宮の体を、
艶やかに濡れ光らせている。
 熾仁は自らの作品に、微笑みを浮かべて見入っていた。

 その後和宮の元へ今上帝から『三日後に会う』との返事が届く間、和宮は事あるごとに
熾仁を求め、熾仁も口先では拒みながら、激しい淫行を溺れるように楽しんだ。

 指定期日に御所に向かうと、幕府側からは老中 久世広周、 安藤信正らが参内していた。
 共に今上帝に和宮降嫁を願い出ていた者達の筆頭重臣達である。

 和宮は御簾越しに幕府の者らを見据えると、その無骨そうな外見に眉をしかめた。
 談義が始まると、しかめた眉間が頭痛がする程強く歪んでくる事に気を滅入らせる。
 「尊王攘夷」だの「倒幕」だの「暗殺」だのと、今迄の生活とは馴染み無い言葉が行き
交い、和宮を困惑させ、憤怒させていた。
 ――それが宮と、どんな関わりがあるというの? そんな血生臭いお話はもう沢山。
 挙句が「公武合体」の為の降嫁願い。皇女である和宮に「和平交渉の為、幕府の人質と
なれ」等と不遜な願い出をしてくる、この者達は一体自分を何様だと思っているの!?
 和宮には老中らの言葉が、神聖なる皇家の血を世俗の毒に交わらせようとする陰謀にし
か聞こえなかった。

 喩え異義叱咤と言えど、このように下賎な者達に等、語る言葉は持ち合わせてはおらぬ!
 彼らの口上に閉口している帝の背後に無理を言って参列していた和宮だったが、自らの
自尊心が口を開く事を拒否し、抑えきれぬ怒りに体を震わせていた。

 手にしていた扇をはらりと落とし、癇気で失いそうになる意識を辛うじて保とうとして
いる和宮の様子に、女官が無言で駆け寄り上申する。
「皇女様は御気分が優れぬ御様子にございます」
「うむ。やはり女姓に聞かせるべき話ではなかったの。委細は相わかった故、此度はこれ
にて半刻程閉会と致す。皇女は奥の間に下がらせ休ませるが、一同の者、よろしいかな?」
「……御意」
 帝は和宮を下がらせると、老中や公達らに一旦解散を命じた。

 奥の宮に運ばれた和宮は女官に豪奢な衣装を緩めてもらうと、徐々に顔色に血の気が戻
った。そして、今迄抑えていた癇気を身近の者達の前で爆発させた。
「誰も来ないで! 皇女の涙を見る事は何人たりとも許しませぬ! 皆、出てお行き!」
 乱れた髪を整えようとする女房の手を振り払い、部屋の化粧箱に収められた小道具を室
内に投げ散らかして狼狽する女官達を下がらせると、溢れる涙を寝具に押し付け嗚咽する。


 しばらく感情の赴くままに泣き続けていると、戸板の外から足音と話し声が響いてくる。
 今上帝らと幕府方の談義が終わり、帝が臥せっている異母妹の様子を見に来たのだ。
「和宮。まだ泣いておるのか。余だ、入るぞ?」
 入り口で伴を下がらせると、今上帝が泣き濡れる和宮の元に歩み寄ってきた。
 和宮は幼き頃より兄であり、父親代わりであった今上帝を見上げると、瞳から大粒の涙
をはらはらと落とし、帝にしがみ付く。
「御上! ……いいえ、兄上様! 宮は嫌ですわ! あのような恐ろしいお話はお断りく
ださるのでしょう? 兄上様は宮に降嫁等という惨い真似は、おさせになりませんよね?」
 先程の談義の場で抑え付けていた感情が、堰を切ったように溢れだした。

 腕の中で女の童の様に泣きじゃくる和宮を、帝は困った表情で抱きしめる。
「和宮……。哀れな異母妹よ、私とて真実、其方を政の道具になど使いとうは無いのだ。
 しかし、今の情勢ではもう断る事も引き伸ばす事もあい成らぬ。……察してはくれぬか」
「そんな! 兄上様はこの世で一番尊いお方ではありませんか! お兄様のお言葉は絶対
の筈です! どうかきっぱりとお断りしてくださいませ!」
「……許せ。和宮。余とて辛いのだ……」
 幼い頃から自分を愛しんできた兄の帝が、自分を皇室から捨て去ろうと決め惑っている。
 何としてでも帝の気持ちを変えさせなければ! 和宮は内心の動揺を隠しつつ懇願した。
「……兄上様は宮をあんなにも可愛がって下さったではございませんか。宮は今もよく
覚えております。ほら、兄上様はこうして宮をいつもお膝にお寄せくださって……」
 和宮は幼少時の頃の様に今上帝の膝に座ると、ほっそりした腕を帝の首に絡み付けた。
 本来なら皇女と言えど無礼な振る舞いであったのだが、和宮は自分がこうして甘える事
が、帝を喜ばせる術と昔から心得ていた。

 もうすぐ15になる和宮の体は未だ身の丈は華奢であり、帝の膝の間にすっぽりと納まる。
「愛しい異母妹よ。こうして抱くと、其方を初めて膝に抱き上げた頃を思い出す。初々し
かった童が、かくも美しく成長するとは。儚くなられた我らが父君もさぞお喜びであろう」
 和宮を見つめる帝の瞳が妖しく光り、膝に抱えたまま和宮の両肩を握り締める。
「――其方は余の気持ちを知っておったか? 本来ならば、有栖川宮家にも預けたくなど
は無かった。こうしていつまでも我が腕の中で愛でていたい大事な花であったのだ」

 衣装の襟元から先程緩められた鎖骨や胸元がはだけており、和宮は今上帝の視線がそこ
に釘付けになっていることに気づいた。
 肩から廻した腕で和宮の襟元を開くと、帝は異母妹の首筋に口を近づけてくる。
「あ、兄上様……!」
「こうしてやると、其方はあどけなく笑って喜んだものだ……。覚えておるか?」
 帝は和宮の襟元を開き肩まで顕わにすると、首筋から鎖骨へと舌を這わせ始める。
 熾仁が与えてくれる激しい情感とは違う、懐かしくも甘美な快感に和宮の体は震えた。
「……ああ……! あ、兄上様……い、いけませぬ……っ……」
 和宮の肌を異母兄の舌がねっとりと吸い付き這い回ると、懐かしい疼きが蘇ってくる。
 思わず帝の愛撫に切ない吐息を漏らしたが、その時ふと熾仁の端正な顔が和宮の脳裏を横切ってゆく。
 ――お兄様……!

 今更ながら帝に抗おうと試みるが、力が湧き上がってこない自分に和宮は困惑した。
 幼い頃から帝に施されてきた快楽の記憶は、それ程強固に和宮の体に染み込んでいた。
 和宮は快楽と熾仁への貞節に葛藤したが、抗いきれない欲情を『帝に降嫁を思い留ませ
る為』という大義名分に摩り替えてしまう事で、遂にはその葛藤さえも放棄した。
 元々熾仁とて、和宮と帝のこうした関係を知っているのだ。今またこうなったとて、責
められる事もあるまい。
 全てはお兄様の元に帰る為なのだ……と、和宮は自分に言い聞かせた。

 いつの間にか帯紐は解き放たれ、両の乳房から腹部まで顕わにされた和宮の肌を 帝は
確かめるように見入り、細く長い指先と掌で愛で始める。
 既に和宮は抗う事もせず、帝のなすがままに体を預けていた。
「おお……。背丈は童の様に小さくとも、中身は立派に成長し始めておる。この、吸い付
くような肌の感触、前にも増して鋭敏な反応! 余の可愛い和宮よ!」
 帝は小さく吐息を漏らす和宮の口に吸い付き、その口内を味わいながら和宮の体を覆い
隠す残りの布を取り除く作業にとりかかった。
 開いた衣の袖から腕を抜き去り、寝具の上に重ねると そこに和宮を横たえる。

 和宮の裸体を隠すものは、その豊かな黒髪と足袋だけになっていた。
 帝は和宮の首筋に両の掌をあてると、首筋から顎に向かってなぞる様に撫で上げる。
「……はぁ……っ……!」
 うなじを撫で上げられ、和宮の体は思わず反り返った。
 帝が手の甲で和宮の首筋にかかる髪を掻き分けるように左右に広げると、和宮の素肌に
纏わりつく髪の一筋もが振り払われ、さらりと伝い落ちた。
 反射的に胸を隠そうとする和宮の腕を掴むと、帝はその腕を広げて床に置かせる。
「隠してはならぬ。和宮よ、余に全てを見せておくれ」
 帝が言葉を発すると、仰向けに横たわる和宮は力を吸い取とられ、言霊によって封じら
れた人形の様に動きが止まり、なすがままの姿勢とされてしまう。
「あ、兄上様……っ!」
 目には見えぬ縛めに囚われた和宮は、切なそうに体をよじろうとするが自由になれない。
 視界を遮る様に帝の体躯がのしかかり、指が、唇が、舌が、和宮の体を這い回り始める。


 帝によって開花され、熾仁によって開設されてきた和宮の性感は、触れられる部位全て
に悦楽の反応し、甘い声を解き放つ。
「其方の体はまるで良くできた楽器の様だの、和宮。――奏でる程にいい音を発する」
 まだ熟しきっていない乳房に吸い付きながら、帝は楽しむように指先で和宮の背中を下
方から上部へと奏でるようになぞり上げる。呼応するように、和宮も官能の声を発した。


 またも和宮の脳裏に熾仁の顔が浮かんでくる。その顔は、寝屋で見た愉悦の笑顔だ。
 『……其方は”喜怒哀楽”の感情が全て淫欲に結びついておるようだな……』
 あの時熾仁が囁いた言葉が今の帝の言葉と重なる事を、和宮は頭の隅で遠く感じ取った。


 華奢な体の曲線を指で奏でながら、帝の舌は別の生物の様に和宮の腹部へと降りてゆく。
 時間をかけた丹念な帝の愛撫は、和宮の知る粗暴ともいえる激しい熾仁の愛撫とは異な
る淫楽を和宮に与えていた。
 一糸纏わぬ和宮の蜜壷から愛液が濡れそぼりつつ、伝い落ちてくる。
「もうここが蕩けておるのか、和宮。可愛い奴よ……」
 和宮の愛液滴る股間に帝の舌が到達すると、帝は笑いながら光る蜜を指ですくい上げた。
「あ、兄上様……! ……あぁ……っ……!」
 拘束が解けたように、和宮の足が帝の指一筋の刺激でびくりと持ち上がった。
 和宮の期待を焦らすかの様に、帝の舌はその中心部から離れ、持ち上がった脚の内股へ
と移動してゆく。
 和宮は切なさに自分の指を咥えて首を振り、中心部への愛撫を待ち焦がれた。

 濡れそぼる和宮の中心部を見つめながら、帝の舌は和宮の内股から膝裏へと伝い上がり、
足先へと向かった。やがて足首の先にある淡雪のように白い足袋に到達する。
 帝はその足袋の淵を噛み、獲物に喰らい付く獣のように、和宮から足袋をも剥ぎ取った。
 剥ぎ取られた足袋の内側より、白く小さな踵から足先までもが顕わになる。
 帝は瞼を閉じている和宮の踵を甘噛みすると、土踏まずから足指へと舌を絡め始めた。

 股間への刺激を待ち侘びていた和宮は、びくりと激しく反応し、帝が未知の感覚を与え
始めたその部位に眼差しを向けて驚愕した。
「あ、兄上様っ! ……み、帝で在らせられる兄上様が……その様なご行為を……はぅ!」
 帝ともあろう御方が、皇女とはいえ自分の足袋内部の足指迄を口に含んでいる事に、さ
すがの和宮も抵抗感に慄き逃れようとする。
「其方の体に厭わしい場所などあるものか。余は其方の全てが愛おしく、味わいたいのだ」
 そう言い放つと帝は和宮の足指を一本づつ咥え、足指の間にも舌を這わせ続けた。
 幼子が乳を含む様に足指にしゃぶりつき、ぴちゃぴちゃと音を立てて指股を舐め上げる。
 それは熾仁でさえしてくれた事の無い行為であり、予想外に強烈な快楽を和宮に与えた。
 帝は目を細めて和宮の濡れた秘部を見つめつつ、執拗に足指を舐り続ける。
「……ぁはぁっ……! あ、兄上様っ……! ……あ……あぁっ……!」
 新たなる淫戯に戸惑いつつも、和宮はその絶え間ない刺激に翻弄され、達してしまった。
 帝の口内で足指がつっと張り詰めると、突如糸の切れた様に脱力してゆく。

「ふふ……可愛いやつめ。達してしもうたのか。まだ余は肝心な部分を愛でておらぬぞ?
 おお、こんなにも濡らしおって……。困った皇女だ。余が綺麗にしてやらねばならぬの」
 放心した和宮の足指から口を離すと、帝はゆっくりと和宮の股間に顔を埋めていった。
 途切れかかった意識から、和宮は淫らな水音と共に、再び現実へと引き戻される。
「はぅっ……! ……あ、あぁ……! あ、兄上様……! ……ひぅっ!」
 濡れ光る花弁を押し広げ、帝の舌が達して弛緩しかかっていた和宮の秘肉を貪り侵す。
 呼応し、和宮の秘部の突起は再び痛い程に肥大し、硬直してくる。

 和宮の蜜壷からは尽きる事のない泉のように、愛液が滲み出していた。
「やれやれ。いくら拭い清めてもきりがないではないか。源を封じてみてはどうかな。
 ほれ、この様に掻き出してしまえばどうか」
 帝は指を二本、和宮の蜜壷に差し込んだ。和宮は小さく悲鳴をあげ背中を反り返らせる。
 指の根元まで蜜壷に埋め込むと、和宮の内部で二本の指を蠢かし始める。
「……ひゃうっ! ……ふぁ……っ! ……そ、そんな風になさったら……ぁんっ……!」
 最も鋭敏な内部の一部分を探られると、和宮は無意識に腰を浮かして反応してしまう。
「おお、痛かったのか? 和宮。どれ、どこが辛いのだ? ここか? 申してみよ」
 痛みや辛さで和宮が反応したのではないことは、帝は元より承知している。
 帝は言戯れでも和宮の反応を愉しみながら、蜜壷へと指を出し入れしつつ、鋭敏な突起
を舐めしゃぶった。
 和宮の浮き上がった腰が、がくがくと揺れ動き『もっと』というように股間を帝の顔に
押し付ける。さすがに熾仁との時のように、帝に対しては頭に足を絡める事は憚られた。
 素足にされた足指が絹を掴みながら、もどかしそうに腰を動かし仰け反らせる。

 帝は執拗に和宮の秘部を舐り続けるが、熾仁の様に、猛る一物を挿入しては来ない。
 何度達しても飽く事も無く、帝の舌は容赦なく攻め立てて、和宮の意識を引き戻した。
 翻弄され、開花された『女』の芯が火照りを御し切れず、和宮は狂おしくも喘ぎ放った。
 ――その一言が、これから自分に何をもたらすかも知らずに。
「あ、兄上様……! 宮は……宮は……あぁっ! ……お願いです……っ! 宮の……。
 宮のここに……あ、兄上様をくださりませっ……! ……も、もう……どうか……っ」


 ――和宮の放った言葉で、蜜壷を蠢いていた帝の指と舌の動きが止まった。
「……今、何と申した? 和宮よ。其方は何を欲したのか、今一度余に申してみよ!」
 好色そうに笑んでいた帝の表情が、すっと能面のように変化していた。
 和宮は帝の急激な態度の硬化に驚き、表情を読もうと汗で張り付いた乱れ髪を頬から払
いつつ、脅えながら帝の顔色を伺った。
「……あ、兄上様……? み、宮が今何か御気に触る事を申しましたでしょうか……?」
 いつも和宮を愛で甘やかした異母兄の表情ではない、冷めた瞳が見下ろしていた。

 ゆらりと行灯の薄明かりに、和宮の体の上から起き上がる帝の影が映し出される。
 和宮は直感的に、その帝の変化した容貌に恐怖を覚え、身を竦ませた。
「……其方のここに、余の何を欲したか聞いておる。和宮。……何故、欲しがる? まだ
其方は裳着の儀も済ませてはおらぬのに、もはやここは、男を欲しておるというのか?」
 蜜壷に埋められた帝の指が、和宮の愛液に塗れながら ぬるり、と引き抜かれる。

「……んぁっ! あ、兄上様……!?」
 幼き頃から異母兄に体中を愛でられ、快楽の芽を育まれてきた和宮には、何が兄を不快
にさせているのか理解できないでいた。
「余が愛でつつ熟すのを待ち望んできた花を、勝手に手折ったのは有栖川の熾仁であるな?
 ……あ奴め、基より夜渡りの名手であった故、よもやまだ幼き皇女には手を付けまいと
油断しておったに……。余を差し置いて高貴なる花に食指を伸ばすとは! 何たる不遜!」
 帝はまだ愛液の滴る指を拳に握り締め、怒りにわなわなと震えつつ呟いた。
「お、恐れながら申し上げます……。
 み、宮と有栖川宮家の熾仁殿下との婚約をお決めになられたのは、兄上様でございま
す。宮は、宮は兄上様の命に従いましたのに、なぜその様にお怒りになられますの……?」
 帝は脅えながらも聞き返す和宮を見下ろし、その表情が偽り無く不思議がっている事を
知ると、再び和宮を組み伏せた。

 帝の瞳に宿るのは欲望なのか怒りなのか、まだ俗世を知らぬ和宮には計り知れなかった。
 先程までの甘やかな声音と違った帝の声が、組み敷かれている和宮に発せられる。
「其方には余と熾仁の想いの違いがわからぬのか、和宮! 其方はここに熾仁を受け入れ
る事で、純潔を失ったのだ! 其方との婚儀も済ませぬうちから、あ奴はそこいらの女房
らと其方を同等に扱っておったのだぞ!? 余が大事に愛で慈しんできた其方をだ!」

 和宮はその言葉に当惑し、相手が異母兄の帝である事も忘れて抗い、叫んだ。
「――お兄様が他の女と宮を……!? 嘘、嘘です! だ、だってお兄様は宮を……っ!」
 つい先程まで大事な花を愛でる様に優しかった帝の腕が、和宮の言葉を遮る様に粗雑に
両足を抱え上げ、押し開げた。急に変貌した帝は、どこか熾仁にも似た力強さと淫放さを
発しており、和宮は当惑しつつ芽生えた恐怖感から、小さく悲鳴をあげて逃れようとする。
「真に愛しむ心算ならば、内儀も婚儀も済ませておらぬ幼い其方の純潔を散らす真似を致
す筈もないであろう! 熾仁とて既に元服を済ませた25の成人ぞ。普通の公達どもより
他の女子は味わいつくしておるわ! ほれ、其方が先程余にねだった物と同じ物を用い
てな!」
 帝は感情が激するままに自ら腰紐を落とすと、猛る一物をまだ愛液の乾かぬ蜜壷にあて
がい、抗おうとする和宮を躊躇うことなく刺し貫いた。
 火照りから急速に冷めつつあった和宮の体が、貫かれた衝撃で弾ける様に反り返る。
「はぅ……っ! お、お待ちを! 兄上様……っ! やっ……ぁ……っい、嫌ぁっ!」
 和宮の搾り出すような懇願は、もはや帝には届かなかった。
 体が軋む程開かれた脚が、床につくまで折り曲げられ、抽送に合わせて揺さぶられる。
 乱暴に腰を引かれると、和宮の豊かな黒髪が背部の絹の上に波打つように乱れ解けた。
 散り広がりゆく髪は、そのまま和宮の心情を表現するが如く、波紋を描いてゆく。
「う、嘘です……っ! お兄様が他の女達ともなんて……っ! ……ああっ……!」

 熾仁への疑惑と思慕と、帝に与えられる刺激が、和宮の芯に引火し、悩み悶えせた。
 交差する戸惑いが、更に和宮の愛液を溢れさせ、白い肌を桜色に染め上げてゆく。
 いつも物静かで穏やかであった帝も、今は呼吸も荒ぶらせ、額に汗を浮かばせている。
「嘘なものか。婚約の折よりあ奴は様々な女官達との浮名を馳せておった。今もこれ幸い
と新たな姫をこうして侍らせておるかも知れぬぞ? 和宮よ。何も知らぬは其方だけだ。
……口惜しい事よ! こうも淫らに体を慣れさせおって! 其方は余のものであったに!」
 和宮の淫靡な反応に怒りを覚えながらも、帝は久しくなかった程に怒張した一物で和宮
の蜜壷を攻め立て続ける。
 恐れ戦きながらも途中で止められていた欲情が満たされ、和宮は再び淫楽の波に抗う術
も無く飲み込まれていった。

 咽び泣く様な喘ぎ声が、悦楽の喘ぎへと変わってゆく。
 和宮の喘ぎに応えるが如く、帝の呼吸が早まり、脚を押さえる腕に力が込もった。
「図らずも世を裏切り、純潔を捨てた和宮よ! これが余から其方への降嫁の手向けだ!
 先程其方が余にねだった物を、とくと心して受け止めるがよい!」
 言葉と共に、帝は『くっ……』と硬直し、白濁した欲望を和宮の中に吐き出した。

「……あ、兄上様っ……。こ、降嫁の手向けとは……!? み、宮を手放されると……?」
 霞のかかった意識の中で、和宮は熱を帯びた様に喘ぎつつ、帝の言葉を反芻する。
「抗うではない! 和宮。熾仁めに汚された其方を、今、余が清めてやっておるのだ!」
 『清め』と称した帝の精が、和宮の内部に深く注ぎ込まれてゆく。
 思いの外、多量に放たれた精は和宮の蜜壷の中を満たし尽くし、結合部の結界の僅かな
隙間から股間を伝い落ちていた。

 灯篭の灯火が再び揺れ、重なっていたひとつの影が上部からゆっくりと浮き離れてゆく。
 抱えた和宮の脚を手放すと、帝は絹を拾い上げ、濡れ滴っている己の一物を拭き清めた。
 己の裃を調えると、傍らに放心したまま横たわる和宮の髪を指に絡め捕り、口寄せる。
 自ら放ち終えた精が、全裸のまま横たわっている和宮の内股で濡れ滴っているのを満足
げに眺めると、そっと和宮に囁いた。それは、嘗て和宮の聞き馴染んだ穏やかな声だった。
「哀れな可愛い異母妹よ。乱雑な扱いに驚きつつも感じておったであろう? 次からはも
っと優しく愛でてやろう。其方の穢れは余がしっかりと降嫁迄に清めてやる故、安心致せ。
 純潔を失のうておった其方は、今後余に償う為にも降嫁し、国家安泰に尽力するのだ」
 朦朧とした意識で、和宮は異母兄である帝の言葉を遠く聞いていた。

 ――宮とお兄様は、いけない事をしていたの……? 純潔……償いのための降嫁……?
 何故……? 宮には……宮にはわかりませぬ。
 帝が室を遠のく足音を聞きながら、和宮は虚ろに見開いた瞳から、一筋の涙を流した。


 その後、帝は日中和宮の室に訪れては、『清め』と称して和宮の体を貪った。
 夜間は正室や側室の室を訪れる為、帝の和宮への訪室は日を重ねる度に減ってきていた。
 帝の行為は前戯が長く和宮を疼かせたが、熾仁が和宮に施してきた行為と一体どこがど
う違い、『清め』であるのか、和宮にはわからなかった。
 ひとつ違うのは、帝の男性自身は若々しい熾仁に比べ、既に衰え始めており、和宮
は切ない火照りで満たされない日々を送るようになったという事だけだ。
 ――帝が去った後、和宮は疼く体を持て余しては悶え苦しみ、『お兄様に会いたい』と
いう思慕を日に日に強く募らせていた。

 物心つく頃には帝によって性的愛撫を受け続け、10歳では熾仁によって女にされた和宮
は自慰を覚える必要も無かったし、性については何一つ教えられる事も無く無知であった。
 心身への快楽は己の庇護者が与えてくれるものであり、求めれば与えられてきた。
 少女として花開き始める15歳になった和宮は性的知識には無垢のまま、男二人に快楽を
教え込まれ、高貴な殿方に愛でられている事が幸福なのだと認識してきた。
 そして今は満たされぬ空虚な気持ちと、降嫁への絶望で日々を過ごしている。
 渇望し、疼く体に苛まれる和宮は、この枯渇した気持ちを埋めてくれるのは熾仁をおい
て他にいないと思い込んでいった。

 宮中に帰して一ヶ月も過ぎた頃、お抱えの神官が帝に『物忌みの日』を告げた。
 『物忌みの日』は、定められるとその日1日、宮廷の一室に奥深く籠もる事になる。
 和宮は、その日を置いて熾仁に会える機会は無いと決断し、お偲びで外出の手筈を整え
ると、熾仁に親書を送って期日を待った。


 そして待ちに待った当日、和宮は懐かしい有栖川宮家へと戻ってきた。
 和宮の降嫁が具体的に決まり、有栖川宮家との婚約は正式に解消されていた為、和宮の
突然の来訪に家人は驚いた。しかし婚約は解消しても、皇女には変わりない。
 平素の如く振舞う和宮は、一ヶ月前と同じく丁重に扱われた。
 接客の間に案内されると、落ち着かぬ様子で御簾越しに声をかける。
「ねぇ、お兄様は? お兄様はどこ!? 文で本日伺う事は伝えてあります。お出かけに
はなられていないわよね。定刻には早いけれど和宮が参りました、と早くお伝えして頂戴」
 程なく有栖川宮家で顔馴染みであった女房が茶具を掲げて和宮の前に跪いた。
 女房はつつ、と後ろに下がると、三つ指をつき和宮に平頭する。
「恐れながら、熾仁の君様は、和宮親子内親王様に、しばしこの間にてお待ち頂く様にと
の仰せに御座います。宮様のお好きなお菓子も御用意して御座いますので、しばし御辛抱
願えますでしょうか」

 和宮はすっと立ち上がると、笑いながら女房に声をかけてやった。
「なぁに? 随分と大仰です事。少しお館から遠ざかっておりましたが、宮はここで育っ
たも同然なのですよ? お兄様がいらっしゃるのなら案内は不要です。お兄様は室で身支
度をなさっておられるのね? そっと伺って驚かせて差し上げたいわ」
 久しぶりの自由に、和宮は上機嫌だった。
 女房が困惑した表情で和宮を制しようとするが、和宮は気にも留めず慣れた足取りで、
熾仁の居室へと向かう。

 室の前では庭師が二人、廊下の外の庭に控えているのが見える。彼らも和宮に気づくと、
御簾越しに控えながら駆け寄ってくる。
「……和宮様、その先へ進む事はお待ちください! 熾仁様は程なくお見えになります故」
「……? 何を言うの? この先はお兄様の私室でしょう。あなた達がいるという事は、
お兄様がいらっしゃるという証。宮に指図は許しませんよ!」
 和宮はやや不興を抱きつつ、庭師をも制して熾仁の居室へと歩を進めた。

「お兄様! 和宮です。……入りますわよ?」
 室に入ると書物の置かれた間には熾仁はいなかった。その奥の寝間から、かすかな物音
とくぐもった声が聞こえてくる。
「まぁ、お兄様ったら。まだお休みでしたの? お寝坊さんね。お兄様! もう、お目覚
めになって! ああ、お兄様の香りに包まれるとほっとするわ……」
 和宮は微笑みながら寝屋へと向かい、書室と区切る帳から寝間へと顔を覗かせた。

 会いたかった熾仁を見出すと、和宮は満面の笑顔を浮かばせたまま、凍りついた。
 初めて見る光景に驚き、絶句したまま膝の力が抜け、腰を落としてしまう。
 ようやく気配に気づいた熾仁が、さして驚く様子もなく、和宮を振り返った。
 汗を浮かばせながら行為に耽る熾仁は、和宮に言い捨てるように言葉をかける。
「……和宮か。しばし待てと女房に申し付けておいた筈だが、相変わらずだな……。
 見ての通り……今手が離せぬのだ。しばしそこで待つが良い。……くっ……!」

 和宮は目の前で繰り広げられている狂態に、声も出ず唖然と見入ってしまった。

 ――若い女生が家畜の様に四つ這いになり、高々と熾仁に向けて腰を上げている。
 そして熾仁はその女の腰を掴み、背後から激しく貫いていた。
 貫く度に女の唇から嬌声が漏れ、乱れ絡む黒髪から覗く乳房が上下に揺れ動く。
 快楽の喘ぎを放っていた女が、熾仁が和宮にかけた声に反応を示した。
「か……ずの……みや……? はぁんっ! ……あ、ああ……『ミヤサマ』か。
 んぁっ……! ……ぁん! ぁん! ……も、戻って……来たの……んっ!」
 和宮は熾仁に貫かれている見知らぬ女が、自分の名を口にした事にまたも驚く。
 自分にこの様な口をきく女房は、かつて出会った覚えも無い。
 驚愕で凍り付いていた和宮は、この無礼な女への怒りで我に返った。

「お、お兄様っ! 何をなさっていますの! そ、そのような下賎な格好をなさるなんて!
 まるで獣のようですわ! ど、どうか、はしたない真似はおやめくださりませっ!
 そ、それに、その無礼な女は一体何者なのですっ!?」
 怒りで混乱し、搾り出すように叫びながら立ち上がろうとしている和宮に、熾仁は嘲る
様な笑いを返す。
 そして、和宮に女の顔が見える様、腰を掴み貫いたまま向きを変えた。
「見せる事に躊躇いは無くとも、見るのは初めての様だな。和宮。……ほれ、この顔に見
覚えはないか?」
 刺し貫く女の背後から、熾仁が笑う。
 貫かれている女は喘ぎながらも和宮に視線を交わし、にやりと勝ち誇るように笑った。

「だ、誰……!? お前は誰なのっ!?」
 和宮は女の視線に射すくめられ、気圧された様に強張る。
 熾仁は和宮に見られている事に興奮し、達しようとしていた。激しく腰を揺さぶり出す。
「……まぁ、待て。これではこの者も話し難かろう。……出すぞ! 多岐!」
「んぁぁぁっ!」
 熾仁は女の中に精を放つと、掴んでいた腰を離しその場に座り込む。
 離された女はそのまま崩れ落ち、しばし痙攣したように震えるとゆっくり起き上がった。
 そのまま慣れた仕草で和宮に尻を向けると、自らに放ち終えた熾仁の一物を口に含み、
ぴちゃぴちゃと舐め始める。
 和宮に向けられた股間からは、熾仁の放った精液が伝い落ちており、それをも和宮に見
せつけている様に思われた。
 室内に熾仁と女が馬鍬っていた性交の臭気が漂い、和宮は袂で顔を庇いながら叫んだ。
「ぶ、無礼者っ! み、宮にその様な汚れた部位を見せるなんてっ! お、お前は誰っ!」
 熾仁の股間に顔を埋めていた女は、気だるそうに一旦熾仁から口を離す。
「まあ、ちょっと待ちなよ。ミヤサマ。終わったら綺麗にしてさしあげるのもお勤めだろ。
 ……そうそう。あの時は『生臭い』なんて言って悪かったよ。今じゃあたいもお仲間さ」
 女はくすりと笑ってそう言うと、再び熾仁の一物に舌を這わせ始めた。
「……何の事です……」
 和宮は背筋に冷たい悪寒を走らせつつ、聞きたくない気持ちと裏腹に尋ねた。
 女に一物を舐め清めさせながら、肩に衣を羽織った熾仁が可笑しそうに笑い、応えた。

「覚えてはおらぬか。この者は初秋に其方が罰を願った少女、多岐だ」

「たき……? 初秋って……。 あ、あのときの浮浪児!?」
 和宮は熾仁の股間で振り返り笑う女を、凍りついたまま見つめていた。

                   承-1 終 

最終更新:2010年12月01日 08:34