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 ――何故、あのときの浮浪児が今ここにいるの?
 お兄様の寝屋に自由に入れるのは宮だけだった筈……。この様な下賎な者が何故……?

 和宮は体を強張らせながら、多岐に奉仕させている熾仁を凝視していた。
 多岐は見せ付けるように熾仁の一物を舐めしゃぶり続けている。
 淫猥な水音が熾仁の股間から聞こえてくる。まざまざと見せ付けられた和宮の胸内に怒
りが込み上げて来た。
 嫌! お兄様に愛でられるのは宮だけよ! 身分もない卑しい身でお兄様を穢さないで!
 声にはならない多岐への罵倒が、和宮の胸中を駆け巡っていた。
 股間の獣を宥めるように顔を埋めている多岐を見下ろし、熾仁は言う。
「……これ、多岐。もうよいぞ。さて和宮、おいで。そろそろ待ちくたびれたであろう?」
 多岐は頬に張り付いた髪を払いながら、熾仁の股間から顔を上げる。
 その唇から光る細い糸が伸び、ぷつりと切れた。
 多岐に奉仕させていた熾仁の一物は、多岐の唾液で濡れ光りつつ、再び猛り勃っている。

 ゆっくりと和宮に手を差し伸べる。和宮はその一物に魅入られていた自分に気付き、困
惑しつつも己を精一杯奮い立たせて叫んだ。
「い、嫌です! お兄様! そ、その様な女の後に、この宮に触れるおつもり!?
 どうか、穢れを落とし、場所も清めてその下賎な女を下がらせてくださいませ!」

 熾仁はやや肩を竦めると、静かな笑いを浮かべた。
「やれやれ。待てと申したのを聞かずに押しかけたのは其方の方であろう? 和宮よ。
 待ちきれずに参ったのではないのか? 相変わらず我が侭な事ばかり申すものよ」
 図星を衝かれ、頬を高潮させた和宮は、切り札とばかりに言い放った。
「あ、兄上様……いえ。今上帝は、お兄様が他の女とも懇ろであると宮に仰せられました。
 で、でも宮は、ずっとお兄様を信じてまいりました! そんな宮にこの様な仕打ちをな
さろうなんて……! あ、兄上様とて、きっと知ればお怒りになられますわっ!」

 熾仁の笑顔が静けさから酷薄なものへと変貌し、抑揚もなく和宮に話しかけてくる。
「その帝に黙ってここを訪れたのは、何方であるかな? すぐに引き返して帝に訴え出れ
る立場におありなのか、考えてもみるがよい。まだ其方には腹芸という物ができぬ。
 ……其方、宮中に戻ってから、帝に抱かれたのであろう? 帝の睦言を聞いたのだな。
 和宮よ。この多岐等は其方と年の端も変わらぬが、よほど世間を知っておるぞ?」
 熾仁の傍らに座し、手の甲で口を拭っていた多岐が、無言で和宮に微笑む。

 熾仁は再び、言葉に窮している和宮に手を差し伸べた。
「さぁ、もう駄々をこねるのはおやめ。和宮。これが欲しくて参ったのであろう?
 帝ももう御年だ。満足できぬ体を持て余して、我が元に参ったのではないのか?
 ――ここ迄ご自分でおいで。存分に満たして差しあげよう程に……」

 ……い、嫌……。……お兄様は穢れていらっしゃる……宮はそんなお兄様は嫌よ……。
 和宮の理性はそう警鐘を鳴らし続けるが、体は操られる様に立ち上がり、ふらふらと頼
りない足取りで、熾仁の座る寝具の元へと吸い寄せられていった。

 差し伸べられた熾仁の手の平に、そっと指先を落とす。それだけでぞくりと、言い様も
ない感覚が和宮を襲った。
「ふふ……。和宮よ。其方、先程の光景と今の怒りで既にもう濡れておるのではないか?
 其方の口は情がないが、躯は実に正直に反応するからな。どれ、脱いでご覧。見て差し
あげよう」
 熾仁の発する言葉が呪縛の様に、和宮を意のままに操る。
 和宮は放心した表情で、自らの腰紐を解き解した。
 乾いた衣擦れの音と共に、和宮の体から衣装が滑り落ちる。

 やや浅黒く、肉感的な肢体の多岐とは対照的な、白く華奢な裸体が顕わとなった。
「……やはりな。悪態をつきつつも、躯はしっかり欲情しておるではないか。和宮よ」
 熾仁が悦にいった様に微笑みながら、和宮の乳房の先端で既に屹立している蕾に触れる。
 びくりと反応し、和宮の意思がかろうじて我に返った。
「そ、その様な事っ……! い、嫌っ! 穢れた手で、宮に触れないでくださいませ!」
 熾仁の手を振り払い、和宮は刹那的に自らの腕で胸を覆い隠そうとして後退った。
 後退る足袋の踵が先程脱ぎ落とした衣にかかり、蹌踉《よろ》めいてしまう。

「……あっ……!」
 熾仁の為に念入りに梳ってきた髪が蹌踉めく反動で乱れつつ、宙を舞う様に流れた。
 その髪の一筋と共に、熾仁の手が和宮の肘を掴み支える。
「やれやれ。せっかちな皇女だ。まだ床に伏すのは早かろう? 我が手のどこが穢れと申
すのか、其方の口で答えてみよ」
 熾仁は和宮の腕を掴んだまま、己の座している正面に引き戻した。
 両腕を抑えられ、身を翻す事も叶わずに和宮の肢体は熾仁の目に犯される。
 こうして視姦される事は過去多くあった。だが今の和宮は、自尊心と欲望の狭間で葛藤
し、抵抗していた。抗う程に掴まれた腕に力が籠もり、和宮は小さく悲鳴をあげる。
「い、痛っ……! お放しになって! お兄様!」
「まだ質問に答えてなかろう? 我が手のどこが穢れと申すのだ。答えてみよ、和宮」
 今迄と違い、甘えを許さぬ言葉に、和宮は思わず癇気をもって熾仁を罵る。
「あ、兄上様は仰りました! お兄様はそうして、宮を穢されたのだと!
 下賎な女と宮を……宮を同じく扱い、穢したのだと! 兄上様の仰る通りだわ!
 だから……だから宮は兄上様に『清め』を受けねばならなかったのです!
 お、お兄様のせいよっ! なのに、なのにどうしてこんな仕打ちをなさるの!?」
 泣きながら抗議をする和宮に、熾仁は含みのある表情で笑った。

「ほう……。では今の其方は穢れが落ちているわけだな。さぞかし帝は念入りに其方を払
い清めたであろうよ。……なのに再びこうして来たのは何故だ? 自ら衣を脱いだのは?」
「……そっ……!」
 反論しようとする和宮の体が仰け反った。熾仁の舌が、和宮の秘肉を分け入り、奥へと
分け入ってきたのだ。
「……こうして帝に清めてもらったか? しかし清められたここが、濡れているのは解せ
ぬ。我が穢れた舌に蜜を滴らせ、柔肉をひくつかせておるのは何故だろうな?」
 荒々しく秘肉を貪る熾仁の舌が、和宮の唇から途切れがちな呻き声を導き出してゆく。
「……い、嫌……っ……! ……い、いやぁ……ぁあっ……!」

 淫猥な水音が、絶え間なく和宮の中心を襲う。熾仁に貪られる部位が疼く様に火照り、
立っている事もままならぬ程、和宮の膝はがくがくと震え、崩れ落ち始める。
 掴まれていた腕が開放されると、そのまま寝具に膝を落とし、床に手をついてしまう。
 熾仁の腕は和宮の腰へと移動し、床についた腰を軽々と持ち上げた。
「まだ床に伏すのは早いと申したであろう、和宮。帝御自らに清めて頂いたという『ここ』
を、もっとよく、穢れた我に見せるのだ」
 皮肉混じりに言い放ち、腰を持ち上げると、和宮の体を背後に向けさせる。
 ゆっくり仰向けに横たわる熾仁は、背後に向けさせた和宮の足を抱え上げると、自身の
目前に和宮の秘部が見える様、跨らせた。

 和宮の脳裏に、先程迄背部から馬鍬《まぐわ》っていた熾仁と多岐の姿が疎ましくも浮
かび上がる。
「……い、嫌……! こ、この様な格好、宮は嫌です……っ! ……んぁっ……!」
 陶磁器の如く白く滑らかな曲線を描く和宮の尻に、熾仁の無骨な指が鍵爪の様に埋まり、
眼前から離れようとしている体を制した。
 尻の肉を掻き分け顕わにした和宮の秘肉に、再び熾仁の顔が近づき、火照る部分を責め
始める。
「おかしな奴よ。普段、仰向けならば人前でも抗わぬに、向きを変えただけで何を慌てる
のだ? よく見えるぞ、和宮……。淫らに濡れ滴っている、其方自身がな……」
「……! ……くぅ……っ! ……はぁっ……!」
 熾仁の口が和宮の秘部に吸い付き、舌が蠢く。秘部の突起は痛い程に固く、鋭敏になっ
ていた。
 堪えようとしても、忍び声が漏れ出でてしまう。
「どうした。先程我らを『獣の様』と蔑んだ其方が、今同じ姿で獣のように吠えるのか?
 高貴な皇女殿であろうとも、其方は淫楽には抗えぬ。その様に育ってきたのだからな」
 熾仁の無骨な指が、和宮の秘部をかき分け、ぐっと和宮の内部に侵入する。
 指に絡みつく内部の襞を弄りつつ、溢れる和宮の秘液を押し出す様に蠢《うごめ》く。
 悲鳴とも、快楽の叫びともわからぬまま、和宮の喘ぎ声は高まってゆく。

 容赦ない局所の責めに、自尊心と理性は崩され、屈辱的な体位で与えられる悦淫に支配
されてゆく己を自覚しつつ、和宮には抗う術はなかった。
 崩れ落ちそうになる体を熾仁の腕で再び掴まれ、倒れ伏す事もままならず翻弄される。
 全裸で熾仁に騎乗位のまま局所を攻められ、反り返る体と共に豊かな髪が波打っていた。

「へぇ……。いい『顔』と『声』を持ってたんだね、ミヤサマ。それに染み一つない綺麗
な体だ。女のあたいでも、妙な気分になりそうだよ」
 傍らで、衣も纏わず膝を抱えていた多岐は、好奇心に駆られて立ち上がると、和宮と熾
仁に近づいて来ていた。
「……すごいな。さっきあたいの中にいっぱい出した若様のここも、まるで腹に食込みそ
うな程に猛り立ってるよ」
 多岐の手が和宮の視界に入る。その手が熾仁の一物に触れようとした時、和宮は咄嗟に
叫んでいた。
「無礼者っ! ……お、お兄様に触れる事は許しません! ……く……っ! お下がり!」

 多岐の瞳が挑む様に光ると、可笑しそうに笑い声を発した。
「股ぐらをしゃぶられながら言っても威厳がないよ、ミヤサマ。邪魔をするなってかい?
 そんな野暮はしないさ。あたいが今興味があるのはあんただよ。ミヤサマ」
 多岐が発音する『ミヤサマ』には、明らかに侮蔑が含まれている、と和宮は感じていた。

 その多岐の手が、熾仁の猛る物から離れる。そのまま手は素通りして和宮へと向かった。
 首筋から汗で肌に纏わりつく和宮の髪を、ゆっくりその手で払いのける。
「……お、お止め! 無礼者! み、宮に触れる事も許しませぬ……っ! 出てお行き!」
 熾仁は和宮に触れる多岐を見上げながらも和宮の腕を戒め、秘肉を嬲《むさぼ》る行為
を続けている。
 和宮は体を捩《よじ》りながらも、精一杯の虚勢を張って多岐を威嚇しようとしていた。

 思わぬ刺激に体が弾ける様に反り返る。
 多岐の手が和宮の両乳房を掴み上げ、そそり立つ乳首を人差し指でなぞっていた。
「……へえ……。すべすべしてるのに、吸い付くような肌だね。こんな肌はあたいの知っ
てる誰も持ってないよ、ミヤサマ。若様の抱いてた他の女達にもいなかったなあ……」
「な……っ!? ……はぅ……っ! い、今何と……?」
 和宮の問いかけに多岐は答えない。代わりに鷲掴みして突起している、和宮の乳房の先
端に唇を近寄せた。
「……んぁっ……! お、おやめなさ……あぁっ……!」
 熾仁とも異母兄の帝とも違う、細く紅い舌先が、和宮の乳房の先端をちろちろと、まる
で蛇の舌の様な敏捷さで甚振《いたぶ》り始める。
 秘部二箇所を同時に二人の人間に攻められ、和宮は否応も無く官能の渦に巻き込まれた。
「い、いやぁぁぁぁ……っ! ……」
 びくり! と体が一瞬痙攣を起し、全身の力が抜けてゆく。
 熾仁が手を離すと、和宮は力無く多岐の胸に覆いかぶさるように倒れこんだ。
「下賎な人間に触られても気をいかせちゃうんだ? ミヤサマ。随分感度がいいんだね」
 多岐が皮肉混じりに言うのを、和宮はかすれた意識でぼんやりと聞いていた。
 平素であれば、決してその様な暴言は許さない。しかし今の和宮に叱責する余力は無か
った。

「まだこれからであろう? 和宮よ。まだ其方が求めたものは与えてはおらぬぞ?」

 上体を起した熾仁が、力無く持たれかかっている和宮の腰を背後から持ち上げる。
 多岐にすがり付いていた和宮の上体が床へとずり落ち、うつ伏せのまま腰だけが抱え上
げられた。
 糸の切れた操り人形の様になっている和宮を見下ろしながら、多岐が呆れた様に言う。
「若様もせっかちだねえ……。せっかく天国にいるミヤサマを、少し休ませてやれば?」
「其方には解らぬだろう、多岐よ。躯は華奢でも、快楽には貪欲な皇女殿なのだからな」
 熾仁は事もなく言い放つと、ぼんやりしたまま腰を上げられた和宮に一物をあてがう。
 唾液と自らの秘液で濡れ光る和宮の蜜壷を、猛る熾仁が躊躇なく刺し貫いた。
「……ひぁ……っ! ……ぁ、ぁあ……っ……!」
 朦朧としていた和宮が、熱でうかされた様に力無く声を発する。
 未だ視点も定まらぬ瞳が見開かれ、熾仁の抽送によって唇端から透明な液が伝い落ちた。

 鈍い水音と、肌と肌とが頻繁に接触する度に生じる音が、寝屋で淫猥に鳴り響いていた。
 次第にその音を掻き消すかのごとく、か細い喘ぎが悦楽の喘ぎ声へと変わってゆく。
「……帝にたっぷりと穢れを祓うてもろうたのであろう? ……和宮よ。
 ならば清められた其方の『ここ』で、其方が我が穢れも清め与えてくれるであろうな?
 元許婚であった我らだ。慈悲深い帝がまた其方を念入りに清めて下さる事であろうよ!」
 若く猛々しい熾仁自身が、蜜を迸らせつつも脱力していた和宮の、奥深くまで刺し貫く。
 宙から引き戻され、またも快楽のうねりに巻き込まれた和宮の掠れた喘ぎが、激しい抽
送に悦楽で応えるかのごとく、寝屋に響き渡った。

「どっちもどっちだね……。あたいら平民より、よっぽど好き者じゃないか。やれやれだ」
 部屋の隅で衣を肩に羽織りながら、多岐は溜め息をつきつつ、密かに独りごちた。
 和宮は再び達しようとしている。その和宮を貫きながら、熾仁が急に叫んだ。
「多岐! 何をしている!? まだ其方の勤めは残っておるぞ! ……近こう参れ……!」
「あ……あい! 若様!」
 不意に呼ばれた多岐は、驚きながらも四つ這いのまま、絡み合う二人の元へ戻る。

 同じく四つ這いで熾仁に貫かれている和宮は、歓喜の喘ぎで満ち、多岐には気付かない。
 激しく和宮を打ち付けていた熾仁は、多岐が足元迄来たのを確認すると、愛液に塗れた
一物を、和宮の中から引き抜いた。
 二人の局部から、繋った光る透明な糸が伸び、自らの重みでぷつりと切れて床に落ちる。
 それを見定めると同時に、多岐の尻を押さえた熾仁がいきなり多岐を背後から貫いた。
「……んぁっ! ……な、なんで……!? ……若様……あぅっ!」
 既に乾き始めていた多岐の肉壷を熾仁の一物が貫き、激しく内部に打ちつけ始める。
 今まさに達しようとして、急に振り払われた和宮はしばし放心していた。
 そして事態の急変に気がつくと、怒りと驚きで悲鳴をあげる。
「お、お兄様っ!? な、何故ですっ!? ……い、嫌! お止めください!」
「……っ!」
 熾仁はものも言わずに多岐を激しく貫き続け、多岐の中に精を打ち放った。

 それを見せ付けられた和宮は悲痛に泣き叫び、素肌のまま床に泣き伏せった。
「い……嫌ぁぁっ! 酷い! お兄様、あんまりです!」
 精を多岐に放ち終えた熾仁は、先程と同じく寝具の上に胡坐をかく。
 そして、表情も変えずに和宮に言った。
「何ゆえ嘆くのだ、和宮。其方は最早我との婚約を解消し、降嫁なさると決まったであろ?
 大事前の其方を万が一にも孕ます訳にもいくまいよ。それ位は我もわきまえておる」


 精を放つと同時にやはり捨て放たれた多岐は、そんな熾仁の横顔を無言で見つめていた。
 ふっ、と一瞬諦めの表情を見せたが、何時もの様に奉仕すべく、のろのろと身を起した。
 しかし熾仁はそれを制した。そして泣き伏せる和宮に向かって声をかけた。
「和宮よ。我が憎いか?」
 ――泣き伏していた和宮がぴくりと反応する。
「我が其方を苦しめているのはわかっておる。其方を哀れとは、我とて思ってはおるのだ」
 熾仁の甘い言葉に、和宮は泣き伏していた顔を上げた。涙を溜めたまま熾仁を見つめる。
「お兄様……」

 しかし、次の熾仁の言葉で和宮の瞳からは涙さえも消え失せた。

「……せっかく其方に清めて頂いたが、またも欲望に負けてしまった。我は我が身が辛い。
 そこで頼みだ、和宮……。今一度、我を清めてはくれぬか? 今度は其方の、その清ら
かなる口と舌を用いてな」

 熾仁の思いもかけぬ提案に和宮は驚き、罵倒さえも口に出せずに強張っていた。
 ――この方は誰……? この方は、宮の知っている、あの優しかったお兄様なの……!?
 和宮は宮中に参内した日、異母兄が睦み事の最中に急に態度が変わった事を思い出した。

 ……兄上様も、宮が『純潔』を失ったとお知りになられてから急にお変わりになられた。
 宮をお人形の様に愛でてくれた兄上様が、穢れ物を清めると仰っては、乱暴に宮を引き
裂き、御心のままに宮の体中を蹂躙なされた。

 それから『清め』と室にお出でになる兄上様は、もう宮の知る昔の兄上様ではなかった。
 慈しむ瞳は失われ、好色な瞳で御自分の興味の赴くままに宮を貪り、お一人でお果てに
なられると、素っ気無く退室なさっておしまいになる。
 その都度、どんなに宮が寂しく惨めであるかを思い知らされてきた事か。
 兄上様にはもう宮の気持ちを御分かり頂けないのだという事は、理解できていた。
 だからこそ、お兄様が恋しくて。宮を抱きしめてくれるお兄様に逢いたくて、宮は今日
という日を待ち侘びてきたのだ。それなのに……!

 ――そうだ。今のお兄様の瞳は兄上様と同じなのだわ……。
 兄上様は、宮がお兄様に純潔を捧げたとお怒りになられた。では、お兄様は何故?
 何故宮にこの様な仕打ちをなさるというの……? ……わからない!


「……若様。それはさすがに酷いんじゃない? ミヤサマはさっき迄、何も知らなかった
んだろ? あたいの事も、他の女の事さえもさ……」
 ――つい口を出してしまった、と多岐は後悔した。この女に好感など持ってないのに。
 自分に戸惑っている多岐を冷ややかに横目で見ると、聞こえなかった様に熾仁は続ける。
「其方もまだ達せずにおるのであろう? 其方次第では、欲求も叶うやも知れぬぞ?」

 和宮は無言で熾仁を凝視していた。熾仁の気持ちが、考えが、和宮にはわからなかった。
 無言でいる和宮に、熾仁は ふう、と溜め息をつくと独り言のように呟いた。
「……いや、勝手な申し出であった。それは余りにも身勝手な、我の願望でしかなかった
な。忘れてくれ。そして其方はもう、帰り支度をするがよい。我が愛しい和宮よ」
 声色は寂しそうであったが、まるで賭博を楽しむ様な瞳の色が見えたのは、多岐にだけ
であっただろう。

 世間知らずの和宮には、到底見抜ける筈もない。和宮の表情が哀れみと慈愛に変わる。
 その慈愛が誰に向けられるものなのか、己自身であるものなのか、其処迄は和宮には理
解できずにいた。
 ――お兄様は、まだ宮を愛しむお気持ちを持ってくださっている……?
 淡い希望が和宮を動かす糧となった。
 よろよろと立ち上がり、熾仁の前に正座すると、消え入るような声で囁く。
「お兄様も、宮の降嫁を悲しんでくださってるの? 今でも宮を手放したくないと思って
いらっしゃる?」
「勿論だとも、和宮よ。我が伴侶として暮らした九年は、永久に続く筈であったのだ……」
 ――その言葉で、和宮の表情は再び輝きを取り戻した。
 どうやら熾仁は賭けに勝ったらしい。和宮はおずおずと、濡れ光る熾仁の一物を手に取
り、躊躇いがちに唇を近づけた。

 いざ熾仁自身が目前に迫ると、和宮は濡れ光る一物から発する匂いに困惑してしまう。
 ……これは宮のお兄様。だけどあの下賎な女の臭いも混じっている。
 厭わしさは湧き上るが、視線は外すまいと決めていた。
 ――お兄様は宮の口で、穢れを清めて欲しいと仰ったわ。下賎な香りがしようとも、宮
はお兄様の願いに応えなくては……!

「……先程、初めて見ただけですから……。お兄様をお楽に出来るかわかりませんが……」
 意を決した様に、和宮は熾仁に前もって断りを入れ、濡れる一物を口にした。
 拙い舌が熾仁の一物を舐め始める。熾仁のそれはやや猛りが収まっていたが、華奢な和
宮の口にはやはり大きく見受けられた。事実、熾仁の全てを口に含む事はできないでいた。
 それでも熾仁は満足そうに顔にかかる髪を掻き上げ、己に奉仕する和宮を見下ろした。

「お、お兄様……。こ、こんな大きなものが宮の中に入っていたのですね……」
 小さな水音を立てながら、一心に奉仕する和宮をしばらく見つめた後、熾仁は多岐に目
配せをして見せた。
 多岐はすぐにそれが何を指示するものかわかったが、今や無知でしかないと思える和宮
に”それ”をする事は何やら躊躇われていた。
 しかし、熾仁は『早くせぬか』と言いたげに顎を動かし、無言で多岐に命令する。
 多岐はまた諦めの表情をすると、和宮の背後に移動した。

 和宮は一心に、熾仁自身を自らの舌で舐め清めていた。忌々しいが、あの下賎の女がし
ていた行為を思い起こしつつ、それに習って舌と唇を動かしていた。
 徐々に熾仁の一物が猛り肥大し、上向きになってくる。
 それを咥え奉仕するには、自らの膝を立てねばならなくなった。まるで家畜が水を飲む
様な姿勢を取らざるを得ない。
 皇女としては屈辱的な体位であるし、己の髪が口元に垂れ絡んで奉仕に邪魔でもあった。

 ふと、熾仁の掌が和宮の頬に触れ、邪魔な髪を掻き揚げてくれた。
 掌はそのまま両耳朶の上で固定され、髪を押さえてくれている。和宮は熾仁を口に含ん
だまま、微笑む様に目線を上にあげた。
 ――熾仁は穏やかに微笑んで自分を見つめている。和宮は己が猛らせた熾仁の一物が誇
らしくもあり、甘い疼きさえ感じさせた。
「……上手いぞ、和宮……。其方の口で、我は拭い清められ、この様になっておる。
 ……くれぐれも、歯だけは立てずに頼むぞ……」
 熾仁の囁きに、和宮が頷こうとした時だった。

 火照る局部に、暖かくぬめるような感触が与えられ、和宮はびくり、と仰け反る。
 思わず含んでいた一物を濡れた口唇から離し、振り向こうとする。
 だが、熾仁が耳朶の上に当てた掌がそれを阻んだ。
「お、お兄様……!? な……何者かが宮の……背部に……んぁ……っ!?」
 和宮は自らの秘部を、多岐に舐められているとわかり、驚愕する。
「ごめんよ、ミヤサマ。……これもあたいのお努めなんだ……」
「……ま……また、お……前なの……!? た……たき……! ……ぁああっ!」
 多岐が和宮の秘肉をかき分け、指と舌を蠢かしていた。
 敏感な小粒が甘噛みされ、和宮はまたも仰け反り反応してしまう。
「お……お兄様っ! ……や……やめさせて……ください……ませっ! はぅ……っ!」
 頭を抑えられている和宮は、今度も多岐に抵抗できないでいた。

 熾仁が優しい声音で和宮に囁く。
「気を散らすでない、和宮。我は先程、多岐の方に放出したが、かなり際どかったのだ。
気付かず其方の中にも精を放ったやも知れぬ。万が一があってはならぬ故、多岐に其方の
内部を清めさせておかねばの。……さあ、其方は我を清めておくれ……」
 熾仁の手が、和宮の顔を猛る一物に押し付ける。
 だが女同士、敏感な部分を探り当てられ攻めたてられる和宮に奉仕の余裕はない。
「……で……できませぬ……! お兄様……っ! やめさせてくださらないと……!
 宮は……宮は……集中が……ひぁ……っ!」
 心ならずも多岐によって翻弄され、火照った蜜壺が湛えていた愛液がとろりと太股を伝
い、床に糸を引いて滴り落ちていく。
 熾仁は笑顔を崩さぬまま、和宮の頭部を押さえていた。
「やれやれ……。困ったものだ。其方が達した後でないと『清め』はしてもらえぬ様だな。
 ――多岐。”あれ”を使っておやり」
「……あい。若様。……ミヤサマ、今いかせてあげるよ」
 背部で多岐が何かを持ち出そうとしている気配がした。
「……な、なに……? 何をするつもりなのです!?」
 見えないという恐怖心が、和宮を竦ませた。背後で多岐が何かに舌を絡ませ、微かに淫
らな音を響かせている。
「ミヤサマは、こんな物には縁が無かっただろ? これはね、『張子』っていうのさ。
 女同士でも『あれ』が出来る張り型なのさ。……んん……っ!」
 多岐が悩ましい声を発する。
「……な……何をしているの……? お、お兄様っ! こ、怖い……!」
「案ずるな。張子とは我が一物に似せて作った紛い物だ。あれは二人の女が繋がれる仕組
みになっておる。多岐が今、それを自らに入れたのだ。其方と繋がる為にな」

 ――な、なに……? どういう事!? 張子? 紛い物? それをどうするというの!?
 和宮は青ざめ、必死に抵抗しようとした。
 熾仁は和宮の頭だけでは抑え切れなくなり、華奢な肩を床に抑え付けて自由を奪った。
「……もう充分濡れてるから怖くないさ。ミヤサマ……いくよ」
「い、嫌……! お止め! ……お願い! やめてぇぇ! ……ぁうっ!」
 和宮の蜜壷に、固く太い異物が侵入を開始する。和宮の陰裂は熱い蜜を湛え、
異物である筈の張子の進入を易々と許してしまった。

 『それ』はまるで生き物のように和宮の蜜壺の壁をかき分け、奥底を目指してゆっくり
と捻り進んで行く。
「…っ!! んっ…あっ!」
 奥まで当たると和宮と同じくして、多岐が喘ぎ声を発した。ゆっくりと引き抜かれたか
と思うと、再び貫いてくる。
「……くぅ……っ! ミヤサマ……。……あんたの中の襞がすごく絡みつくよ……!
 あたいの方が抜けちまいそうだ……。……んっ! あんた、『名器』って奴なんだ」
 多岐は刹那そうに喘ぎながらも、和宮の蜜壷を貫いてくる。

 和宮は抗い続けたが、中央内部を熾仁のものの様に貫く、固く太い『それ』に反応し始
めてしまう。
 下半身から未体験の感覚が和宮の後頭部を幾度も貫く度、彼女の喘ぎ声が多岐の秘部を
滾らせる。
 いつしか抗う事も忘れ、より深い快楽を欲するようになっていた。
「んぁっ……ミヤサ……マ……ま、まだ奥まで……」
 最後の一突き、多岐が力を込めた瞬間……二人の蜜壺の奥底に張子が辿り着いた。
「ああっ!!」
 二人の女の喘ぎが、寝屋に響き渡る。二人の少女が繋がり喘ぐ様を見ていた熾仁の一物
は、もうはちきれそうな程猛り立っていた。

 官能に喘ぐ和宮の頭を抑えつけ、自らの股間にあてがう。
「和宮。『清め』を再開しておくれ。我ももう耐え切れなくなりそうだ……!」
 熾仁の手で、和宮は猛り立つ一物を咥えさせられる。
 全身を駆け巡る快楽に喘ぐ和宮は、熾仁の茎に舌を何度も巻き付けようとする。
 しかし、茎へ舌を沿わせた瞬間、彼女の技を殺ぐように更なる快楽が身体の芯を貫く。
 多岐に翻弄される和宮は、うまく熾仁をしゃぶる事ができなかった。
 熾仁は自身の腕で、一物を咥えた和宮を上下に動かした。
「……んっ……んぐっ……! お、お兄様……く、苦しい……! ……も、もう……!」
「……わ、若様……っ! ……あ、あたいも……もう……! ……ぁあっ……!」
「……うむ……! 我も……もう、そろそろだ……。 和宮よ、我を受け止めよ!」
 和宮と多岐が達した直後、熾仁も自らを解放した。
 抑えつけられていた和宮の口内に、濃度の濃いねばねばした液体が放たれる。
 その液体は咽頭の奥深くに当たったが、飲み下すには量も多く、喉に絡みついた。
 飲み切れなかった白濁した液体が和宮の口端から溢れ出し、和宮はそれを指で拭った。
「……あ、ああ……。……これがお兄様の……?」
 気だるげに精のついた指を見つめる和宮に、熾仁は息を弾ませながら頷いた。
「美味とは言えぬだろうが……。やはり其方の中に出したかったのだ。……許せ、和宮」

 ……これがいつも宮の中に放たれていたお兄様なの……?
 もう兄上様以外からは、宮の中には頂けないものと思っていたのに、この様にお口から
頂ける方法も可能だったなんて知らなかったわ……。
「……お兄様。宮は今日驚くことばかりでしたが、お兄様のお気持ちは嬉しく頂きました」
 和宮は、さすがに疲れて休息を取っている熾仁に抱きつくと、甘える様に頬を当てた。

 多岐は気だるい体を起して張子を始末していたが、和宮の世間知らずな反応に肩をすく
め、溜め息をついた。
 ――貴族ってのは、おつむの中はからっぽなんだな……。まあ、あたいには関係ないさ。

「お兄様は宮がいなくなると思って、たき達を身代わりになさってらしたのでしょう?」
 熾仁に絡みつきながら、和宮は甘えるような声で尋ねた。
 熾仁は和宮の出した都合のよい結論に苦笑したが、あえて否定はしなかった。

 和宮は多岐に向かって、初めて自分から優しげに笑って見せた。
「下賎の身とはいえ、宮の代わりを勤めてくれた事には礼を言います。たき」
 二人の会話を空々しく聞いていた多岐は、驚いて振り返った。
 何か言い返してやろうかとも思ったが、和宮の世間への無知さにその気力もなくした。
「……あ、あたいは、別に……。ここは雨風も凌げるし、お飯も『おアシ』も貰えるしね」
「……? 『おアシ』って?」
 不思議そうに聞いてくる和宮に、多岐はやや面倒臭そうに答える。
「お給金の事さ。あたいはここで、三食昼寝付きで雇ってもらってるんだ。全部お勤めさ」
 和宮は『そうなの?』と無邪気そうに微笑むと、熾仁に振り返った。

「お兄様。宮は皆が幸福になれる方法を思いつきましたわ。たき、お前もよ!」

 熾仁も多岐も和宮の話を半分程に、いや、それよりまともに聞いていなかったのだが、
突飛な提案には視線を傾けた。
「たき、お前は生活が保障されればいいのでしょう?」
「……あ、ああ。まあ、そーだね……」
「そして宮はお兄様の元から離れたくないのです。こうして考えてみたら簡単でしたわ!
 降嫁の行列の祭、たきが宮に代わればよいのです。徳川家の正室ですよ、其方には望む
べくもない光栄ではありませぬか?」

 ――多岐は開いた口が塞がらなかった。
 よりによって、あたいが将軍様の正室だって!? このミヤサマって、やはりおつむが
足りないんじゃないか!?

「あのね……、ミヤサマ。公家どころか貴族でもない、教養もないあたいがだよ!?
 どうやって天下の将軍様の正室になれるっていうのさ!? 無理に決まってるだろ!」
「まだ降嫁迄には半年以上あるわ! 皇女としての嗜みならば、この宮が、なんとか其方
に体裁を整えさせてあげます。
 お前は徳川に、宮はお兄様の元に戻って元通りお兄様に輿入れするのです。
 賢明な考えだとは思いませんか?」

 熾仁はしばらく黙って聞いていたが、悪戯そうな笑いを浮かべ始めた。
「……面白いかも知れぬな。我々が作り上げた皇女が徳川家に嫁ぐわけか。
 期限はまだある事であるし、うまく行けば奴らの鼻もあかしてやれる。
 どうだ? 多岐。試しては見ぬか? なに、駄目で元々だ。生活の苦労は一切無いぞ?」
 和宮はすっかりと上機嫌になって、はしゃいでいた。
「お兄様もそう思われるでしょう? 大体、武家風情が皇女を娶るなんて不遜ですもの!
 今までの無礼は忘れてあげます。たき、いいえ、多岐。お前は宮になれるのですよ。
 今日から宮の元で暮らしながら作法を覚えるのです。わかりましたね?」

 和宮の最後の言葉に、熾仁は急に冴えない表情となる。熾仁にとって多岐は色々と便利
な玩具であるのだ。
「……教育は我が有栖川宮家でも出来るのではないか? 連れて行く程ではあるまい?」

 二人の馬鹿げた話を聞いていた多岐は、ふっと溜め息をついて答えた。
「いいよ。ミヤサマの所に行くよ。その代り、お給金は前よりはずんでおくれよ!
 それと、どうなったって命の補償だけはしてくれるんだろうね!?」

「お金なら、お前が欲しいだけあげるわ。警備もしっかりしてるから危険もないわ。
 それではお話は成立ですね。お前は今日から多岐という、宮付きの女御とします。
 お兄様、兄上様が物忌みの時にまた参ります。多岐は宮に頂けますわね?」
 熾仁は不満そうであるが、宮中に行けば多岐では遊べるのだと思い至った。
 代わりの玩具は多岐に連れてきてもらえばいいのだ。
「……多岐。それでよいか?」

 人間一人をまるで物のように扱う奴等に、多岐は改めて嫌悪を抱いた。
 ――最初からわかってた筈だろ、たき。金さえ貰えば別にもう、どうだっていいのさ。
 自嘲気味に笑うと、多岐は衣を纏い始めた。

「ああ。いいよ。あたいがミヤサマなんかになれるとは思えないけどね」
 和宮はやや不愉快そうな表情をしたが、すぐに気持ちを切り替えた。
「何を当たり前の事を。お前がこの宮そのものになどなれるわけはないでしょう。
 ただ、その余計なおしゃべりは今後お止めなさい。いっそ話さない方がいいわ。
 ――では、お兄様。そろそろ支度をして宮中に戻ります。
 前程にはお会いできないけれど、出来る限り参りますわ。
 さあ、多岐。お前も来るのですよ。では、湯浴みをさせて頂いて失礼します。
 また次の日まで、御機嫌よくお過ごしくださいませ。お兄様」

 こうして和宮は多岐という少女を共なって宮中へと戻っていった。

 歴史の一つの歯車が、軋みながらゆっくりと動き出す。

      ~承 了――転――

最終更新:2010年12月01日 08:38