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ヤドン

ヤドン

英名:Slowpoke 学名:Stultos Aquos
標準体長:1.2m 標準重量:3.6kg 特性:マイペース/鈍感
進化過程 ヤドン →ヤドラン ヤドキング
主な生息地:トキワの森/無人発電所 など
水辺・水中に生息する四足歩行型怪獣ポケモン。
淡水・海水を問わず、カントー・ジョウト・シンオウと幅広い地域に分布するが、生息域は比較的狭い。
これはその鈍重な性質のため、外敵に脅かされず生息できる環境を確保しにくいことが原因と思われる。
また、ホウエンでの野生個体の生息は現在のところ確認されていない。

彼らの習性として有名なものは、何と言っても尾を用いた釣りであろう。
ヤドンの尾の先端の白色部分からは糖分を含んだ液体が分泌される。
尾を水に浸すと水中に分泌液が流出し、彼らはそれに引き寄せられて尾に食い付いた魚を捕食するのだ。
とはいえ基本的には雑食であり、魚以外に海藻や果実なども食用とする。

彼らの尾の力は意外なほど強く、時には自身より大きい魚ポケモンを釣り上げることもあるという。
その用途のため、彼らの尾は他の部位と比べても頑丈であり、痛覚も鈍い。
また、肉食ポケモンに食い千切られるなどで失われた場合も自然再生する。
このことからも、彼らにとって尾がいかに重要であるかが覗える。
尾からの分泌液は人間の味覚でも美味に感じるものであり、多幸感をもたらす作用がある。
そのため、ヤドンはしばしば犯罪組織などによる密猟の危機に曝される。
不幸にも彼らは警戒心が皆無に等しく、密猟者にも容易く捕獲されてしまうことが多い。
しかしヒワダタウンでのヤドン大量誘拐事件以来、ポケモンレンジャーや各地域のボランティアの尽力により近隣住民の間で保護意識が高まり、ヤドンの尾が闇で売買されることは少なくなっている。

ちなみに、ぼんぐり製モンスターボール製作の権威であるガンテツ氏によると、
ヤドンが大量に生息するヤドンの井戸の水はボール作りに最適であるという。
これは井戸水にヤドンの尾の分泌物の成分が溶け込んでおり、ポケモンの精神を落ち着かせる効果があるためとの説もあるが、科学的な分析の成果は得られていない。

性格は概ね、極めておとなしく温厚。人によく懐くためペットにも向く。
ただし、飼い主の顔を覚えて認識するようになるまでに時間がかかる場合もある。
特に近年は、コダックなどと共に癒し系の愛玩ポケモンとして需要が高まっているようだ。
その一方で体力に優れ、痛覚の鈍さもあって打たれ強く、
訓練すれば強力な念動力をも使いこなすため見かけによらず戦闘能力も高い。
そのことからヒワダタウン周辺などヤドンの生息地近くでは、トレーナー志望の子供に最初のポケモンとしてヤドンを与える保護者も珍しくない。

ヤドンはまた、独特の進化方法でも有名である。
釣りをするヤドンの尾にはしばしばシェルダーが食い付くことがある。
分泌液の甘味を得るためシェルダーが尾を強く噛むことで、シェルダーの持つ微量の毒素が注入されそれがヤドンの体内で何らかの作用を起こしてヤドランへの進化を促すといわれている。
その際、奇妙なことにシェルダーにも変化が起こり、殻の形が全く変形してしまう。
しかしながら、このメカニズムは実際のところほぼ未解明である。
シェルダーの毒素のみを抽出してヤドンに投与しても決して進化は起こらず、逆にヤドンの切断された尾のみにシェルダーを噛み付かせても殻の形態変化は起こらないのだ。
明らかに姿が変化していながら、シェルダー単体で引き起こせるものではないためヤドランの尾のシェルダーは現在のところ、シェルダーの進化形やフォルムチェンジとは認められていない。
一方、ヤドン自体の進化による肉体的な変化はあまり大きくない。
シェルダーの重みで直立するようになり、無防備になった腹部の皮膚が保護のため硬質化すること、また尾で釣りができなくなったことで狩りを行うようになり、運動量が大幅に増加して筋肉の発達により体躯が著しく成長することは特筆すべきだが、その二点を除けばヤドランの外見にはヤドンとの大きな差異は見られず、大柄なヤドンといった趣である。
ただし個体によっては性格面に変化が現れ、凶暴で攻撃的になることもあるという。
ヤドンの進化形はもう一種存在する。
野生の個体数が極めて少なく、目撃例がほとんど見られなかったことから研究が遅れヤドランに比べると生態が明らかになるのが幾分遅かったもう一つの進化形。それがヤドキングである。
ヤドキングもまたシェルダーに噛み付かれ、毒素の刺激により進化したものであるがこちらはシェルダーが好む尾ではなく、頭に噛み付かれて進化する。
何故シェルダーが分泌物を発生させないヤドンの頭に噛み付くかは不明で、現在もなお研究中である。
王者の印と呼ばれる特殊な鉱物が影響しているという説が有力。
「キング」の名は頭に被った形になるシェルダーがあたかも王冠のように見えることから命名されたものだが、その後の研究で、ヤドキングは実際にヤドン・ヤドランからなる群れの指導者を務めていることがわかった。
通常、ヤドンとヤドランの群れにはリーダーは存在せず、統制も取れていない。
しかし環境の変化による群れの移動、外敵の撃退などの必要に迫られた時、群れの中の一匹がヤドキングに進化して群れをまとめる姿が見られることがあるという。
シェルダーの毒素にはヤドンの脳細胞を活性化させる効果があるらしく、ヤドキングの知能は極めて高い。
進化後長い時を経たヤドキングの中には、テレパシーで人間との完全な会話を行えるものも存在する。

ヤドンの進化に於いて興味深いのは、それがポケモンの中でも唯一、可逆的なものだという点だ。
ヤドランやヤドキングに噛み付いているシェルダーは完全にヤドンと同化しているわけではなく、牙を食い込ませて固定しているに過ぎないため、強い衝撃を受けて牙が破損するなどで外れてしまうことがある。
驚くべきことに、この時ヤドラン・ヤドキングはヤドンに戻ってしまうのである。
好戦的で狩りの能力に長けていたヤドランもヤドンに戻ると狩りは行わなくなり、
ヤドキングに至っては優れた知能が失われ、進化後に学習した内容も忘れてしまう。
このことからポケモン学会では、ヤドラン・ヤドキングは正確にはヤドンの進化形ではなくシェルダーを媒介としたフォルムチェンジに近いものだとの説を唱える研究者も存在する。

余談であるが、ヤドンはその特徴的な生態のため、しばしば伝説や民話にも登場する。
特にジョウト地方にはヤドンに関する逸話が多く、ヤドンの欠伸が雨を降らせるという有名な言い伝えや高僧がヤドンと共に瞑想することで解脱に至ったという説話も残っており、身近だが神秘的な生き物としてヤドンを一種神聖視している地方も存在する。
ヤドキングの知能の高さもあり、進化前のヤドンも一見知能が低いように見えても哲学的な思索を巡らせている、或いは無我の境地に至っているのだと信じる人も少なくない。
未だ解明されていない数々の謎を持つヤドンは、ポケモンの神秘をまさに体現している種のひとつと言えるだろう。

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最終更新:2009年08月05日 15:20